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  • 書評|日本のスタートアップが海外のVCから投資されない理由|”Secrets of Sand Hill Road” by Scott Kupor

    書評|日本のスタートアップが海外のVCから投資されない理由|”Secrets of Sand Hill Road” by Scott Kupor

    業界にはそれを象徴する中心地があります。映画の象徴がハリウッドで、金融の象徴がウォール・ストリート(イギリスのシティでもいいですが)であるように、ベンチャーキャピタルの象徴がシリコンバレーにあるサンド・ヒル・ロードなのだそうです。

    最も有名なベンチャーキャピタルの一つであるアンドリーセン・ホロウィッツ(略称:a16z)の第一号社員であり『HARD THINGS』で有名なベン・ホロウィッツにとって長年にわたり片腕となってきたスコット・カーパのはじめての書籍”Secrets of Sand Hill Road”はスタートアップの起業家がよりベンチャーキャピタルを理解できるように、情報の不均衡を解決するために書かれた本です。

    Secrets of Sand Hill Road: Venture Capital and How to Get It (English Edition)

    Secrets of Sand Hill Road: Venture Capital and How to Get It (English Edition)

    これを読んだ最初の感想なのですが、起業家だけでなく、日本の投資家や経営者にとっても大きな参考になる本だと思いました。 おそらく、日本人の多くは金融を理解していないし、スケール(規模)の大切さを理解していない。頭では理解しているのかもしれないけど、行動や習慣として身についていない。ここで描かれるベンチャーキャピタルの生態系は金融とスケールを最大限に活かす仕組みを、関わる人たちが長年かけて築き上げてきたものなのだと理解できます。

    ベンチャーキャピタルの生態系と金融

    日本にはメジャーなベンチャーキャピタル はありません。メジャーとは世界のトップに位置するベンチャーキャピタル です。具体的にはAccelSequoiaとかa16zとかです。シンガポールや中国にはオフィスやあったり、代表者がいるのに。実を言えばソフトバンクやサイバーエージェントは積極的にスタートアップに多額の投資していますし、世界的なメジャープレーヤーだったりします。しかし、多額の投資は日本のスタートアップではなく、中国やインドや東南アジアのスタートアップに対してです。なぜ、日本のスタートアップには大きな投資がされないのでしょうか?それがスケールの問題です。

    ベンチャーキャピタル(ジェネラル・パートナー:GP)にとっての顧客は投資家(リミテッド・パートナー:LP)です。投資家がベンチャーキャピタルに資金を提供して、運用してもらい、運用益を得る。ベンチャーキャピタルはスタートアップに投資して、IPOやM&Aで利益を確保して、その利益を投資家に還元する。投資家、ベンチャーキャピタル、スタートアップの関係を簡単に説明すればこんな感じになります。

    投資家とは大学基金、年金基金、企業年金、保険会社、ファンド・オブ・ファンズなどです。実は、ボクたち普通の人から集めた金だったりします。投資家たちは一般の人たちからお金を預かって運用します。その運用先の一つがベンチャーキャピタルです。そのほかにも株式、ヘッジファンド、社債や国債、不動産など様々な投資先があります。リスク回避と流動性確保のために現金も少し保有しますが、ごく一部です。

    LPは基準となる金融指数と比較して500から800以上のベーシスポイント(金利の単位:1ベーシスポイント=0.01%)を上回る利益をベンチャーキャピタルには期待します。たとえば米国S&Pの10年の利回りが7%であれば、ベンチャーキャピタルのポートフォリオからは12から15%を期待します。

    日本とアメリカの金融力の差が国力の差になっている

    教育が大事だと言われています。教育に投資をしないと、将来の人材が育たずに、国力も衰えていくと言われます。

    この本では投資家を理解するためにイェール大学の大学基金が例としてあげられています。2018年度のレポート(PDF)を見ると、基金の規模は294億ドル(約3.2兆円)です。イェール大学の基金は資金運用で年間8%の利益を生んでいて、大学の年間売上1.15億ドルの1/3を占めています。生徒の学費は運営費用の1/10しか賄えないので、基金の運営益がどれだけ大学運営にとって重要なのかがわかります。漫画『インベスターZ』の世界はアメリカの大学では当たり前なんですね。

    インベスターZ(1)

    インベスターZ(1)

    イェール大学の大学基金はSmoothing Ruleという独自の運用ルールを採用していて、基金からどれくらい大学の運営費を拠出するか決められています。インフレ率が2%で物価が上昇すると仮定した場合、Smoothing Ruleに従えば基金は年間で7.25%の利益を資金運用で確保する必要があります。イェール大学のベンチャーキャピタルへの投資は全体の16%で、過去20年の実績では毎年77%の利益をベンチャーキャピタルへの投資から得ています(ただし、過去10年では18%。ドットコムバブルってすごかったのね。)。

    では、日本はどうなのかと調べてみると日本の最高学府である東京大学の基金は2017年度実績で109億円でイェール大学の294億ドル(約3.2兆円)と比べると約1/300です。驚愕の差です。1/3ならまだわかるのですが、1/300ですよ。利率は1%未満(イェール大学は8%)で運用益は9100万円。うーん、東京大学は国立大学だから、基金にはあまり頼らないのかなあ……と金持ちっぽい私立の慶應義塾の大学基金を調べてみたら2018年3月末時点で688億円で、東大よりはマシだけど、イェール大学の3.2兆円には遠く及ばず。

    残念ながら慶應義塾の基金運用実績については公開していないようですが、自己資金で賄えるほど稼げていないようです。公表されている資料を見ると慶應の研究における自己資金比率は3%。慶應でこれですから、他は察して知るべしでしょう。自ら稼ぐ力はなく、研究資金のほとんどを外部に頼っているのがわかります。日本の大学の金融力のなさが、資金力に直接効いてしまっています。日本の大学は自分でもっと稼げるようになった方がいいですね。

    日本の金融力の低さが日本の生産性低下を招いているとマリアナ・マッツカートの本でも理解しましたが、国の基礎体力でもある教育も日本は金融力の低さが原因でアメリカと大きな差をつけられているんですね。いっそのこと、イェール大学に大学基金の運用をアウトソースしたらいいのではないですかね。

    日本のスタートアップが投資対象として魅力的でない理由

    日本のスタートアップがベンチャーキャピタル にとって魅力的でない理由はスケールしないからです。日本のスタートアップはほぼ全て日本を市場と見て起業します。しかし、以前にも書きましたが、日本(=日本語)は英語圏や中国語圏と比べるとあまりにも小さいし、人口が多いインドやインドネシアと比べると成長率があまりにも低いのです。ベンチャーキャピタルは投資利益を得るためにはスケールするスタートアップに投資する必要があります。

    日本のスタートアップは日本を市場にしている段階で、ベンチャーキャピタルが必要とする市場規模が見込めません。「まず日本で成功したら」と言いますが、日本で成功してから世界で成功した日本のスタートアップなんてありますか?そんな空想にメジャーなベンチャーキャピタルは投資しません。

    この本を読むとベンチャーキャピタルが必要とするスケールと時間が理解できます。ベンチャーキャピタルの利益の中間値は実はあまり高くなく、それだけを見ると投資家にとってあまり魅力的な投資先ではありません。NASDAQより160ベーシスポイント低いので、ベンチャーキャピタルに投資するならNASDAQ平均に投資した方がずっといいのです。しかし、ベンチャーキャピタルはベルカーブのように平均的な会社が中央にたくさんいるのではなく、利益は冪乗則カーブを描いてトップのベンチャーキャピタルが高い利回りを叩き出しています。トップのベンチャーキャピタルとは先に挙げたSequoiaやa16zで、凡庸なベンチャーキャピタル と300ベーシスポイントの開きがあるそうです。だから、NASDAQより魅力的な投資先なのです。

    ベンチャーキャピタルを野球の打率で考えるのは間違っているのだそうです。5割が投資額以上のリターンを得ているので、ベンチャーキャピタル の打率は5割と悪くないように見えます。しかし、5割は投資した金を失っている。ベンチャーキャピタル の世界では2割から3割がシングルヒットか二塁打。投資額の二倍くらい戻ってきますが、5割の損失は補えません。そして、残りの2割から3割がホームラン。このホームランから10〜100倍のリターンが得られます。

    野球の統計で例えるのであれば、打率よりもホームラン比率(At bats per home run)の方が適切なのだそうです。フェイスブックは1000倍だったそうです。1000倍のリターンが得られれば、それ以外全てを失っても全く問題ない。ホームラン比率を高めるためには三振は問題でなく、ホームランの機会を逃す方がよっぽど痛い。フェイスブックの初期ラウンドに参加する機会は二度と来ないのです。

    では、ホームランを打つために何を基準としてベンチャーキャピタルはスタートアップに投資するのでしょうか。基準は三つあって、1) ひと、2) プロダクト、3) 市場です。いくら創業者チームが素晴らしくて、プロダクトが良くても、市場が小さかったら投資する魅力はありません。残念ながら日本のドリームチームが素晴らしいプロダクトを作っても、日本市場だけをみていた次のフェイスブックにはなれません。これが日本のスタートアップが海外のメジャー級のベンチャーキャピタルから投資されない理由です。日本のスタートアップがメジャー級から投資されるには、福山太郎さんのFondのようにアメリカ市場を直接狙う必要があります。ボクがアドバイザーをしていたシンガポールのスタートアップも、シンガポールを起点にしながらアメリカ市場を直接狙って、メジャー級から投資を受けました。

    この本はどんな人にオススメか

    世界を相手に起業してやろう!メジャー級から資金提供を受けてユニコーンになってやろう!という気概のある将来の創業者にはオススメです。そもそもそういう人たちのために書かれた本です。

    スタートアップの資金調達指南書であればブラッド・フェルドの”Venture Deals”がすでにバイブルとしてありますし、本書でカバーされている内容もかなり重複します。日本で起業して、日本で資金調達するのであれば『起業のファイナンス』があります。

    この本はむしろ日本の経営者に読んで欲しいですね。あまりに多くの日本企業が「まずは日本で成功してから」と小さくまとまっています。これではアメリカや中国の企業に追いつけるわけがありません。そうでしょう?だって、彼らの現場であるアメリカや中国の市場の方がずっと大きいのですから。日本→海外だと一歩遅れることになります。この一歩の差はスピードの速いこの業界では致命的です。その時にはすでに新しいトレンドが生まれています。

     

     

  • 書評|天才は回り道をしながら遅れてやってくる|”Range” by David Epstein

    書評|天才は回り道をしながら遅れてやってくる|”Range” by David Epstein

    幼年期からの英才教育。タイガー・ウッズやチェスのポルガー姉妹のように特定の分野を小さなころから徹底的にやりこんだ天才たちを例にとって、専門教育に取り組むケースがあるようです。さらに、マルコム・グラッドウェルの『天才! 成功する人々の法則(原題:Outliers)』(本当にダサい日本語訳タイトルだ!)で有名になった一万時間の法則(何かに秀でた人は、その分野で一万時間を使っている)も相まって、なるべく専門分野を決めて、それに集中する傾向に拍車がかかりました。その傾向に異議を唱え、むしろ幅広いスキルを手に入れたほうが何かを成し遂げる可能性が高いと唱えているのが今回紹介する書籍”Range”です。

    この本を書いたデヴィッド・エプスタインはローレンス・レッシグの”America, Compromised”のなかで少し触れられていたProPublicaで調査報道を務める記者ですが、もともとは雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』などスポーツ記者でした。本書のタイトルである”Range”は「幅広さ」を意味しますが、彼自身も幅広いキャリアを持っているようです。

    Range: Why Generalists Triumph in a Specialized World (English Edition)

    Range: Why Generalists Triumph in a Specialized World (English Edition)

    マルコム・グラッドウェルが紹介した一万時間ルールでは、専門的なことに時間を費やすと、その分野で頭角を現す可能性が高いと言っています。しかし、幼少期にはサンプリングピリオドという何でもやる期間が重要だとわかってきているそうです。代表的な例はW杯で優勝した2014年ドイツのサッカーチームで、22歳以降に専門的な組織サッカートレーニングを受けた選手が多かったそうです。

    このほかにもトム・ブレイディ(フットボールの前に野球でドラフト入り、野球、フットボール、バスケットボール、空手のどれを専門にするか悩んでいた)ニック・フォールズ(大学までフットボールとバスケットボールのどちらを選ぶか悩んでいた)、エステル・レデツカ(スキーとスノーボードの両方で金メダル。その前はビーチバレーボールとウィンドサーフィン)やワシル・ロマチェンコ(様々なスポーツをやって、最終的にボクサーになる)などの例を挙げています。さすがに元スポーツ記者!

    ポリマスの時代

    この傾向はスポーツに限らず、ビジネスでも同じだそうです。マーク・ザッカーバーグは「若い人たちは単純によりスマートだ」といいましたが、実際には50代の起業家は30代の企業かと比べて2倍の成功している実績があり、急成長しているスタートアップの創業者の平均年齢は45歳なのだそうです(ちなみに、日本は43歳だそうです)。ゆっくりと学ぶのが最も効果的な学習なのだそうです。それは中年でも同じで、早ければいいということではないとのこと。日本のおじさんたちも頑張りましょう。

    前回に紹介したイントラヴァートもそうですが、英語圏でここ最近注目されている単語に博学者(ポリマス:Polymath)があります。ポリマスの代表選手がレオナルド・ダ・ヴィンチですね。最近だとネイサン・ミルボルトなんかまさにポリマスのイメージです。ポリマスは知識だけじゃなくて、技量も熟練している人なので、現代ではスポーツ選手なども含めていいのだと思います。大谷翔平の二刀流も野球に限定してますがポリマスですね。

    AIに駆逐される狭い専門性とAIと補完関係にある広い専門性

    タイガー・ウッズやポルガー姉妹が若い時期からの専門トレーニングの成功例とされています。これはパターンがあるもの(ゴルフ、チェス、消火作業)は経験がスキルと比例するからです。しかし、反復的なパターンが存在するものは例外であって、多くのスキルはパターンがないために経験とスキルが比例しません。

    反復するパターンがあることはAIが得意分野だったりもします。AIがチェスで人間に勝てるのは反復するパターンがあるためです。エキスパートがあるカタマリをパターンとして学習します。カタマリの方がバラバラより覚えやすいからです。たとえば、20の単語を覚える場合、20の単語から構成される文章を覚えるほうが、ランダムな単語を個別に20個を覚えるより遥かに簡単です。

    反復したパターンのレンジが広いほど、人間が得意分野となり、反復したパターンのレンジが狭いほどAIが得意分野となります。ガン治療のような答えのない(つまりパターンがわかっていない)研究分野はAIは手が出ませんGoogleも流行り風邪のトレンド分析をあきらめました。「高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要する」というモラベックのパラドックスです。

    この本はどんな人にオススメか

    最初の方はすごく面白いのですが、途中からかなり中だるみします。あまりにも冗長なので、途中でやめてしまいました。それでも、最初の出だしはその欠点を補ってあまりある魅力があります。ボク自身も若い頃から専門分野を極めた方がいいし、若ければ若いほど輝くものだと思っていました。

    それでもボクが学ぶことを辞めないのは、実際に50歳を過ぎた今でも知識は増えていると感じるし、ギターも弾けるようになったし、自分が作る新しいオリジナルカレーは美味しいし、新しいインスピレーションが湧いてくるからです。少し落ち着いたら今度はロングボードやろうと思ってます。まあ、若い人にはかなわないかもしれないけど、自分自身が実感できているんだからいいやと。

    でも、こうやって研究結果を見せられると、なるほど、いつから学びはじめてもいいし、ゆっくりやればいいんだと励みになります。そういった意味で、ボクみたいなおじさんが読むと元気になると思います。

  • 書評|人見知りのためのネットワーキング指南|”Taking the Work Out of Networking” by Karen Wickre

    書評|人見知りのためのネットワーキング指南|”Taking the Work Out of Networking” by Karen Wickre

    昔から異業種交流会のような新しい出会いの場はありました。インターネットの時代になり、特定の興味を持った人たちが集まるイベントやコミュニティーを見つけることが容易になりました。Facebookグループやイベント検索、海外ならMeetupEventbrite、国内ならDoorkeeperPeatixなどのイベントアプリが人気です。ボクは国内外を問わず、出張に行く時はこのようなアプリで現地イベントを事前に探しておきます。現地の人たちとネットワーキングするためです(もちろん、美味しいレストランやバーも調べて事前予約しておきます!)。

    今でこそネットワーキングは苦になりませんが、最初はどうしたらいいのかわからなかったし、なかなか見ず知らずの他人に声をかけられませんでした。元々は内向的な人間(イントラヴァート)で、一人でいることを好む性質なんです。人とのつながりが大切な社会でネットワーキングは重要なスキルなのですが、内向的な人間にとっては苦痛です。今回紹介する”Taking the Work Out of Networking”は内向的な人間のためのネットワーキング指南書です。紙媒体より先にKindle版とオーディオブック版が出たので、Scribdのオーディオブック版を聴きました。

    Taking the Work Out of Networking: An Introvert's Guide to Making Connections That Count

    Taking the Work Out of Networking: An Introvert’s Guide to Making Connections That Count

    著者のカレン・ウィッカーはドットコムの初期から活躍する編集者で従業員がまだ500人ほどだった頃のGoogleでも働きました。

    シリコンバレーでネットワーキングが必要な理由

    カレン・ウィッカーが定義する現代のネットワーキングは「特に必要な情報を獲得するため、多くの人と出会うための能動的な活動」です。

    ネットワーキングの必要性は日本だとあまり理解できないかもしれません。ボクがシンガポールとアムステルダムでスタートアップをしていた時には、たくさんのネットワーキングに参加しました。そうしないと生きていけないからです。日本と違って、海外では一つの会社に三年いれば長い方。スタートアップであればいつ潰れてもおかしくない。日本と比べて生活基盤は非常に脆弱です。

    仕事を変えたい、仕事が欲しい、仕事の仲間を見つける時に必要なのが人脈です。日本人は一つの企業に長く勤める傾向があるので、社内人脈が重視されます。しかし、海外では常に環境が変わるので、社外人脈が大切なんです。そのためのネットワーキングです。日本でLinkedInが流行らない理由の一因は社外人脈を重視しなくてもいい日本独自の環境にあるのかもしれませんね。

    ネットワーキングは必要だけど苦痛

    では、海外の人は日本人と比べてネットワーキングが好きかといえば、そんなことはありません。自分自身を偽らないといけないから、ネットワーキングは苦手な人が多い。ボクもそうですが、特に内向的な人たちはネットワーキングに苦手意識があります。

    それでも内向的な性格はネットワーキングに活かせる場合もあるとカレン・ウィッカーは指摘します。例えば観察力や傾聴力。コミュ力がなくて話すのが苦手でも(話すのが苦手だからこそ)他人を観察して、他人のことを聞くことができます。また、内向的な人はオンラインでのゆるいコミュニケーションが得意だったりもします。

    イントラヴァートの特徴

    まずは言葉の定義。イントラヴァートは必ずしも「内気(シャイ)」ではありません。コミュ障でもありません。外向的(エクストラヴァート)な人は外との関わりからエネルギーを得ます。内向的(イントラヴァート)な人は自らの中からエネルギーを得ます。他人と関われないのではなく、他人と関わってエネルギーを使った後に、自らの中でエネルギーを充電し直さないといけないのです。また、沈黙が苦にならないのもイントラヴァートの特徴です。会話に加わっていないのではなく、会話を聞き、それを自分の中に吸収しているのです。そうして会話の糸口を探ります。

    内向的な自分自身を変える必要はなく、内向的な強みを活かすことです。そのためには、大きく3つの原則があるそうです。

    1. まず、質問する
    2. 質問する準備をしておく(緊張しないように心の準備) 
    3. 観察する(「そのメガネいいね」とか、言える)

    ネットワーキングのコツ

    ネットワーキングも量より質だそうです。その質は「意味のある会話」だったり「インスピレーションが得られる」だったり自分自身で定義します。また、得られることだけを考えないことも重要です 。相手をATMのように扱わない。相手に与えないといけません。

    ボク自身も海外生活が長いため、いろんなアドバイスを求められることが多いし、紹介されたりします。多くの場合、喜んで時間を取るし、アドバイスもすれば、人も紹介します。ただ、ガッカリするのはそのあとのフィードバックがないこと。アップデートもなくある日また「困った」が来る。これが続くとさすがにげんなりしてきます。

    ゆるいつながりと軽いタッチ

    ネットワーク理論で「ゆるいつながり」を提唱したのはマーク・グラノヴェッターです。カレン・ウィッカーはこの「ゆるいつながり」がネットワーキングで重要だと説きます。最初に言ってた「量より質」と矛盾するような気がしますが、質の低いコミュニケーションを多くの人とやっても仕方がないけど、多くの人と緩やかに質の高いコミュニケーションをするのがネットワーキングのコツだということでしょう。これを「ゆるいタッチ」と定義しています。「ゆるいつながり」を広げ、質の高いコミュニケーションを維持する「ゆるいタッチ」の11のガイドラインを紹介しています。すべてをここで紹介しませんが、「ちゃんとフォローアップする」とかネットワーキングに限らずにコミュニケーション全般で重要なことが挙げられています。

    この本はどんな人におすすめか

    イントラヴァートは最近よく目にするキーワードです。日本語で言えば「内向的」なんですが、決して人が嫌いなわけではないのだけれど、自分の殻に閉じこもりがちの人たち。まあ、実はボクもそうです、なかなか信じてもらえませんが。

    この本で書いてあるアドバイスは一か所にとどまらない環境が前提になっているので、日本の環境とは若干異なります。ただ、コミュニケーションのアドバイスとしては至極当たり前のことが書かれているため、コミュニケーション指南書としては十分その機能を果たすでしょう。外国人とコミュニケーションをとることが多い人は読んでおいて損はないと思います。

  • 書評|議論するツールとしての「腐敗」| “America, Compromised” by Lawrence Lessig

    書評|議論するツールとしての「腐敗」| “America, Compromised” by Lawrence Lessig

    ローレンス・レッシグといえばクリエイティブ・コモンズの設立でフリーソフトウェアとインターネット文化への大きな貢献で有名ですね。あまりに有名なので、ボクがここで付け足す必要もないでしょう。そんなレッシグの新著。レッシグはここ最近は政治の腐敗に注力していて、今回の”America, Compromised”も前回の”Republic, Lost”の第二版の拡大版な感じです。今回は「腐敗」の定義を政治という特定の分野だけでなく、他の業界まで一般化しています。

    America, Compromised (Randy L. and Melvin R. Berlin Family Lectures)

    America, Compromised (Randy L. and Melvin R. Berlin Family Lectures)

    Republic, Lost: Version 2.0

    Republic, Lost: Version 2.0

    「腐敗」の定義

    この本で扱っている「腐敗」は組織の腐敗です。腐敗=悪ではないところに注意が必要です。ローレンス・レッシグがこの本で定義している「腐敗」は組織の本来の意図から外れている状態を指します。例えば、悪の帝国の意図が武力による世界征服(モラル的には悪)だとして、そこから外れてマハトマ・ガンジーのような非暴力で世界平和に貢献していたら、その悪の帝国は「腐敗」していることになります。モラル的な判断は「意図」の部分であり、「腐敗」はそこから外れているかどうかです。

    また、この本で扱っている腐敗は組織の構造的な腐敗で、個人の腐敗とは切り離されています。例えば不正献金を受け取った議員がいても、組織としての「議会」が腐敗していることにはなりません。また、健全な議員の集まりでも、組織としての「議会」が腐敗していて、意図した機能を果たしていないこともありえます。

    レッシグはこの「腐敗」の定義は過去を振り返って分類するためではなく、将来に向けて議論するためのダイナミックなツールとしています。特定の組織(例えば議会や銀行)の本来の役割は何で、それが逸脱していないか議論してチェックするツールなんですね。それは自らが所属する企業でもいいのかもしれません。

    腐敗を生み出す原因としての「不適切な依存」

    レッシグはこの本の中で、議会、金融、製薬、教育、法律とそれぞれの分野で腐敗の検証をしています。この検証で鍵となるのが「不適切な依存関係」なんだと思います。例として最初に上げているのが選挙におけるフィルタリングです。例えば、香港の選挙の候補者選びの段階で中国本土がフィルターをかけたら、本来の民主的投票の意図である「国民を代表する政治家を選ぶ」意図から外れます。最終的な投票は香港市民ですが、代表する候補者が中国本土に依存しています。これが腐敗の原因の一部である不適切な依存関係の例です。

    この定義だと金融業界ではスタンダード・アンド・プアーズのような格付け機関は公共性が求められる意図があるのに、商業的な依存関係から忖度してしまうので「腐敗」しています。しかし、リーマンショックを引き起こした銀行は必ずしも腐敗の定義に当てはまらない。銀行の意図は利益を出すことだから。むしろ、適切な規制ができなかった議会の腐敗が遠因だとレッシグは言います。銀行はもともと貯蓄と投資の2つの機能で別れていた。それを金融規制緩和で一つにした。結果的にニューディール以降続いていた安定が崩れてしまった。ああ、ここでも悪者なシカゴ学派と新自由主義。

    腐敗の解決には議論が必要

    なぜ、このような不適切な依存関係が生まれ、結果的に組織は「腐敗」するのか。その要因の一つは脆弱性だとレッシグは言います。脆弱性からほころびが生まれる。これがタイトルになっている”Compromised”ってことなんじゃないでしょうか。Compromisedには標準を下回る「妥協」ですが、システムの脆弱性のためハッカーの侵入を許すことも意味します。

    最後にその解決案も提示していますが、レッシグは組織の透明性やそこから生まれるデータの再利用性などを提案しています。ただ、やはりそれは議論をスタートするための提起であり、実際に世間でこのツールが使われて議論して意味があるんでしょうね。

    この本はどんな人にオススメか

    フレームワークやツールを作れる人って頭いいなあって思います。法則を見つけて整理整頓する能力。一つのことを掘り下げ、コアとなる部分を探り当てる。レッシグの場合は前著”Republic, Lost”で政治を掘り下げ「腐敗」のコアを探り当てた。 ニッチで発見したコアを一般的に当てはまるか検証する。それが今回の”America, Compromised”ですね。そういうフレームワーク思考を学ぶ教材としてオススメです。

    そして、実際に組織の目的が意図から外れているかどうかを議論してチェックするツールとしても実際に優れていると思います。レッシグはこの本でアメリカの議会の組織的な「腐敗」を検証していますが、日本の政治の「腐敗」を議論するためにも使えるでしょう。この本を読んでいると「大企業病」というキーワードも浮かんできます。そもそもの意図から外れて自分の所属する企業が大企業病にかかっているかチェッkするツールにも使えるんじゃないですかね。

  • 書評|悲観主義者の逆襲 “Falter” by  Bill McKibben

    書評|悲観主義者の逆襲 “Falter” by Bill McKibben

    「世の中それほど悪くなってない」と考える楽観主義者と「世の中は悪くなっている」と考える悲観主義者に分けることができます。楽観主義者の代表はこのブログの書評でも紹介したハンス・ロスリングの『ファクトフルネス』スティーブン・ピンカーの”Enlightenment Now”です。そして、今回紹介するビル・マッキベンの”Falter”は悲観主義者の代表格となるでしょう。まあ、実際にはそのどちらでもない「興味があまりない」人たちが大多数なのでしょうが。

    Falter: Has the Human Game Begun to Play Itself Out?

    Falter: Has the Human Game Begun to Play Itself Out?

    地球温暖化が一般的に議論に上がったのは1988年のアメリカ上院の公聴会でのジェームス・ハンセンの発言からです。ビル・マッキベンは同じ頃から地球温暖化の分野でジャーナリストとして活躍しているので、この分野においては超ベテランです。また、環境保護団体の350.org(日本の”350 Japan“もある)の発起人の一人でもあります。だからこそ、「世の中は悪くなってない、むしろ良くなってる」なんて楽観的なベストセラーが生まれ「ざけじゃねー!」言いたくなったのでしょう。まあ、気持ちはわかります。

    この本は地球温暖化だけでなく、人工知能やDNA改造まで広範囲をカバーしています。それを一括りにして「ゲーム」としています。人類はその「ゲーム」に勝つことができるのか?が主題です。あまりにも広範囲なトピックをカバーしようとしているため、散漫な印象を読み手に与えてしまっています。ぶっちゃけ、後半は読んでいません。なので、半分だけ読んだレビューとなっています。

    なぜ地球温暖化は改善されないのか?

    ここでも最近はすっかり悪者が板についた新自由主義とリバタリアンが諸悪の根源として登場します。ビル・マッキベンが今回特に念入りに槍玉に挙げているのがアイン・ランドとチャールズ・コークの二人です。もちろん、個人攻撃ではなく、彼らが代表する地球温暖化の国際協力の足を引っ張る勢力ですね。

    日本の場合は世界の潮流から少し外れて、新自由主義になっていません。日本の政党は基本的に大きな政府志向ですよね、自民党を含め。だから、日本のほうがアメリカと比べて地球温暖化に取り組みやすいんですかね。この本を読んでると、地球温暖化に対するアメリカの一部の層の強い拒否反応がすごいことは理解できるのですが、その心理までは理解できません。

    まずは、アイン・ランド。彼女自身はリバタリアンと一線を画した「オブジェクティビズム」なのですが、ピーター・ティールをはじめ現代のリバタリアンに非常に人気の高い小説家です。しかし、何と言っても巨悪の根源は石油コングロマリットとその利益を代表するチャールズ・コーク

    自動車業界に悪影響があるからという理由で公共交通機関に反対するってすごいですね。おまけに税金をたくさん収めているんだから、投票権も納税額に比例して増えるべきだなんて主張したりするんですから。お金がある人ほど影響力が行使できるアメリカの議会制民主主義の構造的欠陥はローレンス・レッシグも近著”America, Compromised”で指摘していますね。

    この本はどんな人にオススメか

    内容的には悪くないといいますか、ボク自身はアメリカの影響力がある人たちについて色々知ることができてよかったです。ただ、あまり論理的な構造になっていなくて、冗長的な部分が多々あるのが欠点です。情報量は多いので、それさえ我慢できたらいいのかもしれないです。

    たぶん、リベラルを自称する人たちにもオススメなんでしょうね。地球温暖化って本当に人類が全力で取り組まなければいけないので、あまり政治っぽく語るネタにしたくはないのですが。

  • 書評|Oculusの歴史「ラッキー・パーマーの章」 “The History of the Future” by Blake J. Harris

    書評|Oculusの歴史「ラッキー・パーマーの章」 “The History of the Future” by Blake J. Harris

    スマホの伸びが鈍化していて「スマホの次のプラットフォーム」が期待されています。「スマホの次」に期待がかかるのはAmazon Echoに代表されるボイスと、Oculusに代表されるVRですね。今回紹介する書籍”The History of the Future”はOculusの創業からFacebookに買収、ラッキー・パーマーの追放までを追ったドキュメンタリーです。

    タイトルを日本語にすると「未来の歴史」。VRが未来のプラットフォームだと信じる人たちの歴史です。

    The History of the Future: Oculus, Facebook, and the Revolution That Swept Virtual Reality

    The History of the Future: Oculus, Facebook, and the Revolution That Swept Virtual Reality

    Oculusの創業の歴史については以前にも記事に書きました。簡単に書くとこうなってしまうのですが、実に簡単ではなかったことがこの本を読むとわかります。とても情報量が豊かで、この本を読んでVRに関するボクの思い込みは随分と解消されました。

    ゲームプラットフォームとしてのVR

    まず、ボク自身の思い込みが晴れたことの一つがOculusは新しいゲームプラットフォームとして開発されたことです。Oculusはスマホのような汎用性の高い一般的なプラットフォームではなく、先ずはプレステやファミコンのようなゲームプラットフォームなんだと。著者のブレイク・ハリス(写真)は”Console Wars”といったゲーム業界の本を他にも出していますが、なるほど、その流れでOculusなんですね。まあ、あとはDMMですかね。

    Console Wars: Sega, Nintendo, and the Battle that Defined a Generation

    Console Wars: Sega, Nintendo, and the Battle that Defined a Generation

    クラウドファンディングはチームプレイ

    二つ目はOculusのような大規模なクラウドファンディングは個人では太刀打ちできるレベルではなくなってるという事実。クラウドファンディングってお金のない起業家がサクッとお金を集めるプラットフォームのイメージがありますが、とんでもない。

    ラッキー・パーマーは最初は小さなキャンペーンを考えていました。起業についてもそれほど乗り気ではありませんでした。しかし、ブレンダン・イリーベがラッキー・パーマーを説得してOculusを設立、マイケル・アントノフとネイト・ミッシェルが参加して巨大なキャンペーンに仕立て上げました。

    Kickstarterのキャンペーンをはじめる前に、ゲームエンジンのUnityやUnreal Engineに対応してもらうように奔走したり、チャネルとしてSteamと連携できるように交渉したり。こういうビジネス面でリードを取るのはブレンダン・イリーベ。そりゃそうだよなあ。いくらラッキー・パーマーがVRのハードウェア開発では天才でも、ビジネスは経験が全くないからわからないものね。

    ラッキー・パーマー追放の真相

    Oculusは最終的にはFacebookに買収されてめでたしめでたしなんですが、創業者のラッキー・パーマーは追放されてしまいます。もう、いろんなスキャンダルがありすぎました。実際には読んでいただいた方がいいと思いますが、一言で言えば「あんた、脇が甘すぎるよ!」ですね。でも、まあ、若いんだからしょうがない。

    この本はどんな人にオススメか

    VR関連をフォローしている人は当然ながら読んだ方がいいです。GOROmanさんとか日本でも有名なゲームやVR関連の人たちがたくさん出てきます。新しいゲーム業界の構造を理解することもできるので、ゲーム業界に興味がある人にもオススメです。

    これからOculus Questを買おうと考えている人は悩ましいですよね。この本を読んで思うのは、もともとOculusが考えていた世界はOculus Questが一つの到達点なのかもと。それでも、Oculus Questが「スマホの次」と言い切れない。それは、もともとOculusがスマホのような汎用的なプラットフォームではないから。Facebookは一般的なプラットフォームになる可能性まで含めてOculusを買収したんでしょうね。だから、本書のタイトルである”the History of the Future”となるのはまだまだ先かなと。その答えは本書にもありません。

    本書はOculusの歴史「ラッキー・パーマーの章」であり、ゲームプラットフォームとしてのOculusの歴史なので、「スマホの次」を知りたい人はラッキー・パーマー以降のOculusの歴史が出るのを待つ必要があります。

  • 書評|プログラマーという人たち|”Coders” by Clive Thompson

    書評|プログラマーという人たち|”Coders” by Clive Thompson

    職業には特定のイメージが付きまといます。弁護士は硬いイメージ、ホストはチャラいイメージ。今回紹介するクリーヴ・トンプソンの”Coders”はプログラマーに焦点を当てて、どんな人たちなのかを描いていきます。プログラマーも内向的でコミュニケーションが苦手なオタクっぽいイメージがありますよね。当然ながらそういう人たちは多いのですが、そうでない人たちだってたくさんいます。

    Coders: The Making of a New Tribe and the Remaking of the World (English Edition)

    Coders: The Making of a New Tribe and the Remaking of the World (English Edition)

    プログラミングとジェンダー

    このご時世、職業としてのプログラマーを掘り下げていくと避けて通れないのがジェンダー論です。”Coders”でも一章をジェンダー論に費やしています。その章以外でも女性とプログラマーのトピックにはかなり神経を使って触れています。エミリー・チャンの”Brotopia”でも紹介されていますが、プログラマーはもともと女性の職業でした。

    コンピューターはハードウェアで、ソフトウェアはその付随的な役割くらいにしか考えられていなかったこともあります。そして、弁護士や医師のような「セクシー」な職業と違って、お金が儲かる職業ではなかったのもその理由の一つです。プログラマーはコミュ障のオタクの白人男性である必要はないのです。

    プログラマーは整理整頓が大好き?

    プログラミングやアルゴリズムは論理そのものなので、論理的思考が必要となります。”Coders”でもプログラマーは論理的思考をする人たちだと紹介されています。ただ、どうなんでしょうね。「プログラミングは論理的な思考が必要」=「プログラマーは論理的思考ができる」なんですかね。プログラミングにも習熟が必要で、習熟者が書くコードは初心者が書くコードより無駄がないですよね。

    この本にもリファクタリングの話が出てきます。ボク個人も開発プロジェクトをリードする立場にありましたが、あまり経験のないプログラマーの書くコードは耐えられないくらいぐちゃぐちゃでした。動けばいいのですが、ぐちゃぐちゃなコードは技術的負債としてどんどん積もっていきます。

    そういう意味ではプログラミングという行為を通じて論理的思考が強化されていくんだと思います。論理的思考ができる人はプログラミングに向いているとは思いますが。

    ハッカーとクラッカー

    プログラマーはリバタリアンのイメージもあります。自由の戦士。でも、実際にアンケート調査をすると、かなりリベラルだったりするそうです。政府による企業への干渉には反対だけど、それ以外はリベラル。まあ、スタートアップの多いサンフランシスコやニューヨークはそもそもリベラルな街ですからね。

    この前ついに逮捕されてしまったジュリアン・アサンジのWikileaksやサイファーパンク、ハッカー集団のアノニマスはリバタリアンのイメージが強いですよね。

    ハッカーはプログラミングに精通している人、クラッカーはその技術や知識を悪用する人です。ハッカーとクラッカーはコインの裏表の関係にあります。何をハックするか。善悪の区別があまりつかない若いプログラマーだと特にそうです。

    この本はどんな人にオススメか

    なんとなくオススメしにくい本です。著者であるクリーヴ・トンプソンはプログラマーのステレオタイプとは違うイメージから抜け出そうとしています。そのためにいろんなプログラマーを紹介しているのですが、たくさん紹介しているが故に一人一人はあまり掘り下げられていません。つまり、深みがありません。このブログでも紹介しているCode for AmericaやInstagramや他のスタートアップのプログラマーたちも紹介されています。自分がいろいろ調べて書いたこともあって、その浅さが気になってしまうんですよね。

    ただ、「プログラマーすげーぜ!世界変えるぜ!」みたいな軽薄な書籍ではありません。いろいろと多角的な見方をしています。そういう意味では広く浅くプログラマーという職業を知りたい人にはオススメです。

  • 書評|イノベーションは文化でなく仕組みで作る|”Loonshots” by  Safi Bahcall

    書評|イノベーションは文化でなく仕組みで作る|”Loonshots” by Safi Bahcall

    イノベーション推進の取り組みを行っている企業はたくさんあると思います。組織の外から取り込むこともあります。スタートアップを買収したり。また、組織の内側から変える取り組みもあります。アジャイルやリーンスタートアップに取り組んだGEなんて代表例ですよね。日本だと新規事業を専任でやる組織を作る場合もあります。このような取り組みは成功することもあるし、失敗することもあります。

    大企業とスタートアップを比較して、企業文化がイノベーションを推進する原動力になっているという考え方もあります。しかし、今回紹介する”Loonshots”の著者であるサフィ・バーコールは「企業文化」はイノベーションには関係ないといいます。実際に、多くのイノベーションを生み出した携帯電話のノキア、医薬品のメルク、そしてディズニーもイノベーションを生み出したにも関わらず、同じ企業文化で同じ人材がその後に失敗したりしています。

    タイトルとなっているルーンショットは一般的に言われる「ムーンショット(月に行くような難しいこと)」にかけて「いっけん馬鹿げた(Loon)クレイジーなアイデア」という意味です。

    LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする

    LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする

    • 作者:サフィ・バーコール
    • 発売日: 2020/01/23
    • メディア: 単行本
    Loonshots: How to Nurture the Crazy Ideas That Win Wars, Cure Diseases, and Transform Industries

    Loonshots: How to Nurture the Crazy Ideas That Win Wars, Cure Diseases, and Transform Industries

    液体の組織と固体の組織

    水は液体、氷は固体ですよね。組織も同じだとサフィ・バーコールは言います。この状態の変化を相転移(そうてんい)といいます。水はゼロ度で液体から固体になります。液体でいながら固体でいることはできません。組織も同様でイノベーションを生み出す液体型の組織と管理が得意な固体型の組織は両立しません。組織において「元素」にあたるのは人です。元素が液体と固体では行動が違うように、人も組織の状態によって行動が変わります。

    このような考えのルーツは第二次世界大戦で軍隊と科学を結びつけたヴァネヴァー・ブッシュなのだそうです。当時のアメリカはドイツと比べて科学的な兵器開発が遅れていました。潜水艦「Uボート」、弾道ロケット「V2ロケット」やメッサーシュミットが開発した初のジェット戦闘機「シュヴァルベ」が代表例ですね。アメリカは科学力がなかったわけでなく、固形的な当時のアメリカ軍隊が液体的な科学者のアイデアを取り入れることができなかったのです。

    固形型組織と液体型組織の化学反応

    ヴェネヴァー・ブッシュは軍隊の外に科学研究開発局(OSRD:Office of Scientific Research and Development)を設立、固形型の軍隊組織から離れた場所で液体型の科学者組織を作りました。この「兵士と芸術家を分ける」というのが成功の秘訣のひとつめ。

    ふたつ目が「技術」を管理するのではなく、「移転」を管理するということ。液体型組織が作り上げた「クレイジーなアイデア」を固体型組織に採用してもらうことですね。つなぎ役が大切。これが、イノベーションは文化でなく、組織の立て付けが大切だということです。

    イノベーションの罠

    この本ではイノベーションを妨げる様々な罠についても解説されています。その中でも興味深かったのが、ふたつのルーンショットです。P型ルーンショットは派手でわかりやすいアイデア。例えば、ネットフリックスやアマゾン。もう一つはS型ルーンショットで地味でわかりにくいアイデア。例えばウォルマートやグーグル。P型ルーンショットを続けて、S型ルーンショットに敗れ去る例がたくさん紹介されています。パンナムやポラロイドが代表例ですね。アップルを追い出されて、ネクストを創業した頃のスティーブ・ジョブスもその一人です。

    もうひとつ興味深かったのは「結果」のマインドセットと「システム」のマインドセットの違いです。何かに失敗した場合(もしくは成功した場合)、その結果の原因を分析するのが「結果」のマインドセット。例えば、競合より価格が高かったとか。「システム」のマインドセットはその結果を生んだプロセスに着目します。なぜそのような決断をしたのか?誤った決断を避けるためには何をしたらいいのか?

    この本はどのような人にオススメか

    イノベーションに興味がある人にはまずはオススメです。イノベーションのツールや文化について書かれた本は多いのですが、組織について書かれた本はあまり多くありません。

    この本では組織が液体から固体になる方程式を提示しています。実際の方程式は本で確認してください。水が液体から固体に変わるのがゼロ度であるように、組織が液体から固体になるのが150です。これは偶然にもダンバー数と同じです。

    ただ、これはまだまだ仮説として考えたほうがいいでしょうね。”Loonshots”で提示されている仮説が本当にそうなのかはまだまだ分からない。

    サフィ・バーコールは物理学の博士号を取ってるだけあって、科学者なんですよ。過去のイノベーション事例から数式を作り出したら生存バイアスを受けますからね。ジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー』なんてまさに生存バイアスの代表例で、彼の本に取り上げられた企業の多くはその後に没落しています。そういう意味では、”Loonshots”は誠実な本でもあります。

    *2020/1/23に日本語に翻訳出版されました。

  • 書評|「価値」と「生産性」の再定義|”Value of Everything” by Mariana Mazzucato

    書評|「価値」と「生産性」の再定義|”Value of Everything” by Mariana Mazzucato

    日本は生産性が低いといわれていますが、それは本当でしょうか。

    生産性の計算は労力や資本といったインプットに対して、どれくらい価値を生み出したかというアウトプットから算出されます。では、そのアウトプットである「価値」ってなんでしょう?一般的にはアウトプットは国内総生産(GDP)を使います。では、GDPが定義する「価値」とはなんでしょう?マリアナ・マッツカートは新著”Value of Everything”でGDPの歴史から経済活動における価値の変遷を紐解いていきます。

    The Value of Everything: Making and Taking in the Global Economy

    The Value of Everything: Making and Taking in the Global Economy

    価値の源泉はなにか?

    そもそも経済活動における「価値」ってなんでしょうか?というのが最初の問いかけとなります。マリアナ・マッツカートは国内総生産(GDP)の歴史から経済活動における価値の変遷を紐解いていきます。GDPを計算するうえで大切なのが生産境界(production boundary)です。生産境界の内側にあるものが「価値」があり、GDPに計上されます。生産境界の外側にあるものは「価値」がないため、GDPには計上されません。

    国の力を測る基準は時代によって変わってきました。最初のころは農業が中心だったので、農業が生産境界の内側(価値を生み出す側)にあり、職人や商業は外側(価値を享受する側)にありました。工業化が進むと工業が生産境界の内側に入りました。そして、金融が生産境界の内側に入りました。この測定基準は標準化され、国際基準が国連が定める国民経済計算(SNA: System of National Accounts)となりました。GDPはSNAが基準となっています。

    生産境界の内側(価値を生み出す側)と外側(価値を享受する側)は新自由主義によって曖昧になりました。価値は市場が決める、価格がついているサービスや商品はすべて価値ということになってしまいました。ただ、そうしてしまうと公共サービスやボランティア活動は価値がないということになってしまいます。家事も同様。

    GDPは生産面、分配面、支出面の三つの見方ができます。生産面が価値創出なのですが、原価と売価の差が「付加価値」となります。ただ、政府が提供する公共サービスって価格がないので生産面にはあまり入ってきません。政府の支出がGDPに入るのは支出面が大きくなります。単純にGDPの計算方法だけみてしまうと、政府はお金を使うばかりで、価値を生み出さないという感じになってしまいます。

    価値の創造と抽出

    1975年から2017年にかけてアメリカのGDPは3倍増え、生産性は60%向上しました。この伸びには主にアメリカとイギリスの金融業界の発展が関わっています。多くの国がアメリカとイギリスの成功に見習って金融の規制緩和と強化を目指しました。それに成功したのがシンガポールであり、香港ですね。具体的にはFISIM(間接的に計測される金融仲介サービス)がGDPを計算する標準である国民経済計算(SNA)に含まれるようになった1993年からです。しかし、賃金は増えていない。つまり、40年近く、数%のエリートのみが富の伸びを享受していると指摘しています。

    ボク個人は農業は内臓、製造業は筋肉、金融業は心臓や血管などの循環系だと考えています。栄養自体は胃袋である農業が抽出して、それが体の部品である製造業となる。そして、それを運ぶのが金融業の役割。最近だとテクノロジー業界もそうなのかもしれません。

    マリアナ・マッツカートも金融業界やテクノロジー業界の価値を否定してはいないのですが、「お前ら、もらいすぎやろ!」と考えているようです。つまり、価値を生む側ではなく、価値を抽出する側であるといいます。

    金融業、製薬業、テクノロジー業に共通して言えるのは「オレらリスク取ってますから!」ということですが、金融業は金融破綻で政府の救済を受けました。つまり、実際にはほとんどリスクを取っていません。損しても政府が助けてくれます。製薬業に関しても研究開発の支出が多いことで知られていますが、実を言えばそのほとんどは模倣品の”Me Too”ドラッグで新薬開発への投資は非常に少ない。テクノロジー業界にしてもVCが投資するのは基礎研究ではなく、売れる技術です。基礎研究にお金を出しているのは政府の補助金だったりします。Webだって、インターネットだって民間企業が開発したものではありません。本当の意味でリスクを取っているのは政府です。スタートアップに投資している投資家ではありません。

    ショシャナ・ズボフの新著”The Age of Surveillance Capitalism”でも監視資本主義を生み出したGoogleは抽出の革命を起こしたと指摘していて、「抽出」という言葉を使っているのが共通点です。

     この本はどんな人にオススメか

    この本はGDPの歴史本とも言えます。GDPは国力を測るツールとして開発されましたが、時代によって「価値」の定義は変遷してきました。そして「生産性」も同様に変化してきましたし、これからも変化するでしょう。「日本の生産性は低い」というのはそう簡単に言えるものでもないのです。むしろ、近年になって急速に「価値」を生み出すようになった金融とテクノロジーの波に乗り遅れたというべきでしょうね。製造業のままで金融業と同じ「生産性」を実現しようとしたって、それはなかなか難しいのではないでしょうか。

    「生産性」を語るには様々な視点が必要となります。この本はそんな視点を提供してくれる人とです。もちろん「サービス残業」とか無くなった方がいいですし、テクノロジーを活用して効率的な仕事ができるようになった方がいいです。ただ、そういう小手先のことだけでなく、もうちょっと根本的な変化が必要なんじゃないですかね。

  • 書評|独占禁止法の歴史から現代のGAFA寡占と経済の停滞を検証する|”The Curse of Bigness” by Tim Wu

    書評|独占禁止法の歴史から現代のGAFA寡占と経済の停滞を検証する|”The Curse of Bigness” by Tim Wu

    多くの人は世の中を悪くしてやろうなんて考えてないですし、その人たちなりの正義に基づいて行動しています。ある人にとっての正義が、別の人の正義ではないというだけです。それはこれまで散々もてはやされていたGoogleやFacebookが、ここ最近は悪者として描かれることが多くなったことにも見て取れます。

    人としては悪いことをしているつもりではないのに、いつの間にかダークサイドに落ちている。人の問題でなければ仕組みの問題となります。今回紹介するティム・ウーの新著”The Curse of Bigness”では仕組みの問題として独占禁止法のあり方を指摘しています。

    巨大企業の呪い ビッグテックは世界をどう支配してきたか (朝日選書)

    巨大企業の呪い ビッグテックは世界をどう支配してきたか (朝日選書)

    • 作者:ティム・ウー
    • 発売日: 2021/04/09
    • メディア: 単行本
    The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age

    The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilded Age

    現在の問題:先進国内での貧富の差の拡大

    ティム・ウーはまず問題提起からはじめます。それは貧富の差の拡大です。

    ハンス・ロリンズは『ファクトフルネス』で、スティーブン・ピンカーは”The Enlightenment Now”でそれぞれ「世の中は今だよ悪いが、全体的には良くなっている」という分析を数値とともに示しました。最貧国はどんどん少なくなってきています。国と国の間の格差はなくなりつつあります。しかし、悪くなっていることもあります。スティーブン・ピンカーも認めるところではありますが、その一つに先進国内での貧富の差の拡大があります。

    アメリカでは1%の人が23.8%の所得(フロー)を稼ぎ、30.8%の資産(ストック)を所有しています。1997年から2012年にかけて産業が一部の企業によって寡占化され、寡占度指数であるハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス(HHI)は75%の産業で上昇しました。そして、株価は全体的に下がりました。

    ティム・ウーの主張を簡単に言えば「寡占化がイノベーションを妨げている。寡占化が1990年代から進んだのは、独占禁止法がシカゴ学派によって無力化されたからだ」です。この主張を検証するために、19世紀から今までの独占禁止法の歴史を紐解きます。そう、この本は独占禁止法の歴史本なんです。

    ルーズベルトとトラスト・バスター

    英語で独占禁止法はアンチトラスト(anti trust)です。反トラスト法とも言います。トラストが隆盛を極めたのはこの本の副タイトルにもなっている「金ぴか時代(gilded age)」で、ロックフェラーやカーネギー、モルガンなど19世紀に多くの資産家を生み出しました。この時代はまだ株式会社の設立は許可制で規制も多かったため、多くの資産家がトラスト(信託)を形成し、緩い規制の中で独占化をしていきました。

    この動きに待ったをかけたのがルイス・ブランダイスセオドア・ルーズベルトです。セオドア・ルーズベルトはテディーベアの名前の由来にもなった今でも人気のある大統領ですね。アメリカの独占禁止法は1890年に制定されたシャーマン法が当時すでにありましたが、あまり効果的に使われていませんでした。ブランダイスは弁護士として、ルーズベルトは大統領としてモルガンなどの独占企業の解体(トラスト・バスター)を進めました。

    理想の政治と経済とは

    なんでもそうですが、どのような価値を最大化するために、どのような手段を用いるのか理解するのって大事ですよね。当時は経済活動の最大化のために独占は効果的だと考えられていました。ダーウィンから派生した優生学も人気があったので、競争を勝ち抜いた独占は社会的にも経済的にもいいものだとみなされていました。

    もう一人の独禁法活用の立役者のルイス・ブランダイスはそうは考えませんでした。彼の考えを簡単に言えば「良い経済と政治は個人に十分な自由とサポートを与えて、意味があり充実した人生を送るようにしなければならない」です。そして、独占はそれを実現するための自由を奪うというのがブランダイスの考えでした。ふつうの人々の認識って、「経済はお金を稼ぐ活動、政治は自分の好みを投票で反映させる活動」くらいの感じではないでしょうか。だから、ブランダイスの考え方はかなり理想主義でラディカルでした。そんな理想主義を貫いてJPモルガンの鉄道独占を阻止して、最終的には最高裁判所の判事まで上り詰めてしまうんだから、大したものです。

    よい独占とわるい独占

    ルーズベルトはいい独占とわるい独占を区別して、「わるい独占」を徹底的に叩きました。ルーズベルトの時代はそれでもよかったのですが、国として運用するためにはなにが「いい独占」でなにが「わるい独占」なのかを判断するための客観的な基準が必要となります。

    これを定義したのがロバート・ボークシカゴ学派でした。そして、シャーマン法を実質的に無力化してしまったのもシカゴ学派でした。シカゴ学派は「わるい独占」は価格が上がる独占だとしました。非常にシンプルですよね。独占的な立場を利用して価格が上がれば「わるい独占」になる。独占禁止法が適用されて実際に会社が分割されたのってATTが今のところ最後なんですよね。シカゴ学派は新自由主義のひとつで、政府の規制は最小限であるべきという立場です。

    この「価格が上がる独占は悪い」という判断基準はとても明確なので、幅広く受け入れられました。そして、実際に裁判までなったのがマイクロソフトで、それ以降はまったくありません。最近のGAFAの寡占化による弊害の議論で悪者として登場するミルトン・フリードマンもシカゴ学派の一人ですね。

    ティム・ウーの主張と提案

    マイクロソフトの独禁法裁判以降、様々な産業で寡占が進み、イノベーションを妨げているというのがティム・ウーの主張です。たしかに、GoogleはGoogle Videoで失敗してYouTubeを買収したり、Facebookも勢いが落ちてからInstagramやWhatsAppを買収したりとやりたい放題ですよね。スタートアップも結局のところ、GAFAに買収されるのが最終ゴールになりつつあります。買収を拒んだFacebookの買収を拒んだSnapなんて頑張ってはいますが、規模の経済でどこまで戦えるかというとかなり厳しいでしょう。おなじくFacebookからの買収を拒んだTwitterだって、ようやく明かりが見えてきたという感じです。買われるか、潰されるかという選択肢がメインになってしまってる。

    ティム・ウーはこのような状況を打開するためにいくつかの提案をしています。合併には審査プロセスがありますが、このプロセスを改革して民主化することを提案しています。あと、面白いなと思ったのはヨーロッパから学ぶということです。

    この本はどんな人におすすめか

    なかなかニッチなテーマですが、GAFA寡占に対する危機意識のトレンドに興味がある人は読んでおいたほうがいいでしょう。おそらく、現在の状況の根幹にあるのは新自由主義の価値観で、GAFAに代表される特定産業の寡占化はその現象というか結果なんだと思います。結果を変えるには根底にある価値観を変えるしかないですからね。だからこそ価値観から再定義したルイス・ブランダイスを大きくフィーチャーしたのでしょう。