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  • 書評|新自由主義が生んだ独占企業群がみんなから自由と機会を奪っている|”Monopolies Suck” by Sally Hubbard

    書評|新自由主義が生んだ独占企業群がみんなから自由と機会を奪っている|”Monopolies Suck” by Sally Hubbard

    ティム・ウーは著書”The Curse of Bigness”(2018年)で独禁法に焦点を当てて、現代が独禁法以前の「金ピカ時代(Gilded Age)」に戻りつつあると警笛を鳴らしました。そして2020年にようやく司法省が重い腰を上げてGAFAの独禁法違反について動きを見せはじめました。

    今回紹介するサリー・ハバードの”Monopolies Suck”はティム・ウーの”The Curse of Bigness”のアップデート版として、活動家としての立場から、いかに独禁法が骨抜きにされてきて、民主主義と資本主義の根底を危うくしているのかを解説しています。ティム・ウーの著書よりもっと具体的に実害を糾弾しています。サリー・ハバードはニューヨーク州検事として独禁法に関わる案件を手掛け、現在はOpen Markets Insutituteの役員です。現場で独禁法にずっと関わってきている人です。

    Monopolies Suck: 7 Ways Big Corporations Rule Your Life and How to Take Back Control (English Edition)

    Monopolies Suck: 7 Ways Big Corporations Rule Your Life and How to Take Back Control (English Edition)

    • 作者:Hubbard, Sally
    • 発売日: 2020/10/27
    • メディア: Kindle版

    ティム・ウーも指摘していることですが、独禁法を骨抜きにしたのはシカゴ学派の経済学者たちでした。ミルトン・フリードマンロバート・ボーク。アメリカの独禁法の根幹はシャーマン法クレイトン法で定義されています。この二つの法律は競争を促進して市場がその恩恵を享受できるようにすることが目的です。しかし、シカゴ学派は企業の経営効率の考え方を持ち込みました。大きいことはいいことだ。なぜなら、大きい方が経営効率が高いから。裁判で効率重視の判例を積み上げることで、独禁法を骨抜きにしてきました。その結果、80%の産業でシェアの集約化が起きているそうです。3から4の企業が一つの産業で80%のシェアを持っている状態にあるそうです。

    現在起きている様々な問題を解決するには独禁法を正しい運用に戻すことだとサリー・ハバードは主張します。独占の解体で全ての問題を解決できるわけではないが、解決に向けてスタートをを切るには独占の解体が必須だと言います。

    では、実際に独占はどんな実害があるのか?大きく分けて三つあります。サリー・ハバードはもっと挙げていますが、ボクはこの三つに集約できると思います。

    1. 価格が不当に釣り上げられている
    2. 税金が独占企業に吸いあがられている
    3. 雇用の機会が減っている

    市場が3〜4の企業で独占されている時、消費者に選択肢はありません。例えばレンタカー会社は11ブランドあるように見えますが、実質的には3企業しかありません。複数のブランドを作って競争があるように見せかけるのが独占企業のやり方だそうです。ユニリーバ(アイスクリームのベン&ジェリーズとか)もP&Gもたくさんブランド持ってますしね。オー・ボン・パンクリスピー・クリーム・ドーナツもプライベート・エクイティーのJAB Holdingsが親会社ですし。航空会社も合併を繰り返し三回運賃が値上げされました。様々な調査結果でも、数少ない企業で独占されている業界は値上げが行われ、その利益は消費者には還元されずに株主と役員にしか還元されていないそうです。

     “Three successful fare increases – [we were] able to pass along to customers because of consolidation,” by Scott Kirby, then the president of American Airlines

    「合弁のおかげで運賃値上げに成功し、コストを顧客に転換できた」当時アメリカン航空の社長だったスコット・カービーの発言

    President Obama promised to fight corporate concentration. Eight years later, the airline industry is dominated by just four companies. And you’re paying for it. by ProPublica

    独占企業は好きな時に好きなだけ課金もできます。有名なのがアップル税ですよね。ゲーム『フォートナイト』で有名なエピックがアップル税と戦ってAppStoreから締め出され、裁判になりましたよね。「アップル税」が嫌ならiPhoneからAndroidにスイッチすればいいじゃん?多くの人にとって(どれほど優れていようと)AndroidのスマホはiPhoneの代用にはならないんですよ。つまり、実質上、iPhoneプラットフォームのAppStoreという市場はアップルが独占してるんです。だから、30%なんて何の根拠もない「税金」を開発者を経由して消費者に押し付けることができる。

    「アップル税」に対抗して、アプリ開発企業が団体結成…Spotify、Fortnite、Tinderらが結集 | Business Insider Japan

    独占企業は税金のように消費者から徴収しますが、政府には税金を払いません。2018年にFortune 500で利益を計上している379企業のうち、91企業が税金を払っていないそうです。アマゾン、スターバックスやシェブロンのような大企業がです。場合によっては税金を受け取っています。そう、支払う額より、税金補助で受け取る金額の方が大きい場合があるのだそうです。例えばアマゾンはヴァージニア州で電気代を払っていないそうです。誰が払っている?政府が税金で払っているそうです。アマゾンは税金を納めていないだけでなく、税金で電気代まで払ってもらっています。「アマゾンがバイデン新大統領の新型コロナワクチン接種公約に同社リソース提供で協力」みたいなスタンドプレーではなく、ちゃんと税金を払いましょうと。

    アメリカ合衆国内国歳入庁はフェイスブックに対して1兆円以上の脱税の嫌疑をかけられています。まあ、1兆円に比べれば、その1/100にも満たない様々な寄付は微々たるものですよねとサリー・ハバードは皮肉を言います。大企業がちゃんと納税すれば、もっといろんな支援ができたはずなのに。

    フェイスブック に1兆円以上の脱税の疑い | HYPEBEAST.JP

    多くの大企業は自分たちの独占の正当性を主張しますが、多くの場合は嘘だとサリー・ハバードは主張します。勝者総取りは正しくないし、ネットワーク効果も言い訳にはならない。なぜなら、ATTはそれでも分割されたのだから。ソーシャルメディアですら(ATT分割の時のように)相互運用性を確保できればいいだけ。

    この本を読んで、リベラルと保守の差ってほとんどないと改めて思いました。独占企業を生んだ思想は新自由主義ですが、保守もリベラルもその路線を1980年代からずっと続けてきました。それは、民主党のクリントン政権もオバマ政権だって同じなんです。以前に紹介したマイケル・サンデルが能力主義批判した”The Tyranny of Merit”もそうですが、現在の問題の多くは保守/リベラルは関係ありません。「保守/リベラル」のような、すでに賞味期限切れの切り口では理解できない。これからの世界を作るには、これまでとは違うレンズが必要なんだと思いました。

  • 書評|みんなの脳についての知識は意外と間違っている|”Seven and a Half Lessons About the Brain” by Lisa Feldman Barrett

    書評|みんなの脳についての知識は意外と間違っている|”Seven and a Half Lessons About the Brain” by Lisa Feldman Barrett

    ボクは脳についての書籍が大好きです。ジーナ・リッポンの”The Gendered Brain”もすごく刺激的でした。たぶん、脳は誤解が多い科学だから、その誤解を自分の中で解きほぐしていくのが楽しいんだと思います。へー、そうなんだ!日本でも『情動はこうしてつくられる』が翻訳されている感情科学を専門としている心理学者のリサ・フェルドマン・バレットの新著”Seven and a Half Lessons About the Brain”も色々と脳についての誤解を解いてくれる楽しい小品でした。

    Seven and a Half Lessons About the Brain

    Seven and a Half Lessons About the Brain

    • 作者:Feldman Barrett, Lisa
    • 発売日: 2021/03/04
    • メディア: ハードカバー
    情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

    情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

    • 作者:リサ・フェルドマン・バレット
    • 発売日: 2019/10/31
    • メディア: 単行本

    本書はその名の通り、7章と半章から構成されています。最初の半章は7章を理解するための前提条件を説明しています。それは、脳の一番重要な機能は何か。そもそも、脳の一番重要な機能は考えることではありません。脳のが一番重要な機能は生存のためにエネルギーを効率的に使うことです。体を動かすにはエネルギーが必要です。そして、複雑な機能を持つ生物ほど、蓄えたエネルギーをどれくらい消費するか管理が必要となります。どうやってエネルギーを管理するのか。急激な反応はエネルギーを消費するので、予測が重要となります。脳は省エネのために予測します。

    人間は身体的にとても複雑な生き物で、脳も大きいです。なぜ人間の脳がこのように進化したかは説明できません。進化に目的はないからです。しかし、人間の脳の役割は説明できます。脳の役割は合理性ではなく、感情でもないし、創造性でもありません。「考える」機能は最も重要な役割ではなく、生存のためのエネルギー管理に必要だから結果的にそのような機能を持っただけです。

    この半章がとても刺激的でした。残りの7章もなかなか楽しいです。面白かったことを箇条書きにします。

    • ポール・マクリーンの「三位一体脳モデル」は間違い。脳は三つに分かれていない。ひとつしかない。
    • 人間の大脳皮質は他の生物と比べても大きくはない。脳全体の比率でいえば同じ。
    •  言語を司る部分とか、視覚を司る部分などの脳の分類は、その研究者の研究分野を反映しているだけ。実際のニューロンはマルチパーパス。すべてをできるわけではないが、いろんなことができる。

    • 脳はネットワーク。脳内のネットワークでもあるし、社会的なネットワークでもある。人間の赤ちゃんの脳は社会的なネットワークの中で成長する。これは他の動物にはない特徴。
    • センサーデータ(聴覚や視角)と脳内のメモリーを脳が処理をして判断する。だから、見たと思って、もう一度見たら違う人だったとかあり得る。幻影みたいなもの。病院に入るような幻影ではなく、日常的な幻影。
    • アートの半分はアーティストが作る、残りの半分は鑑賞者が作る。
  • 書籍|能力主義と自己責任は正しいのか?|”The Tyranny of Merit” by Michael J. Sandel

    書籍|能力主義と自己責任は正しいのか?|”The Tyranny of Merit” by Michael J. Sandel

    2020年のアメリカ大統領選挙で負けたものの、なぜドナルド・トランプはこれほど多くの人を惹きつけるのか?なぜイギリス人はEU離脱を支持するのか?ポピュリズムと一言で言うけれど、なぜポピュリズムがここまで台頭してきたのか?ローレンス・レッシグが主張するように、政治が人々を代表していない。国民全員が四年生大学を出ているわけじゃないんだぜ!(アメリカは1/3しか学位を持っていない)。

    トマ・ピケティの新著”Capital and Ideology”ではポピュリズム台頭の理由を一部を説明してくれてはいますが、非常に分かりにくい議論でもありました。それが日本語ではバラモン左翼(brahmin left)と商人右翼(merchant right)の議論です。なぜ、ポピュリズムが台頭するのか?それは既存の政党が有効な政策を打ち出せていないからだ。その主張はわかるのですが、ピンとこない。なぜか?右と左に分ける分類自体が有効性を失っているのではないでしょうか。現在において保守とリベラルの決定的な違いってなんですかね?

    日本では『これから「正義」の話をしよう』が出版されたマイケル・サンデルの新著”The Tyranny of Merit”(邦題『実力も運のうち 能力主義は正義か?』)はピケティが完全には答えることができなかった問題を掘り下げて答えようとする意欲作です。問題の根本は行き過ぎた能力主義と自己責任です。保守もリベラルも共に能力主義の路線を宗教のように信じてしまっているため、本当に求められているニーズが見れずにピントがずれてしまっている。

    実力も運のうち 能力主義は正義か?

    実力も運のうち 能力主義は正義か?

    • 作者:マイケル・サンデル
    • 発売日: 2021/04/14
    • メディア: 単行本
    The Tyranny of Merit: What's Become of the Common Good? (English Edition)

    The Tyranny of Merit: What’s Become of the Common Good? (English Edition)

    • 作者:Sandel, Michael J.
    • 発売日: 2020/09/15
    • メディア: Kindle版
    これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

    これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

    • 作者:マイケル・サンデル,鬼澤 忍
    • 発売日: 2012/08/01
    • メディア: Kindle版

    本書で問題提起されているいき過ぎた能力主義はリベラルと保守のような党派とは関係なく蔓延している政治の逸脱だとマイケル・サンデルは主張します。能力があるものが成功する、生まれたスタート地点に関係なく。貧しい家庭の生まれでも、裕福な家庭の生まれでも、努力して勝ち得た能力があれば成功できる。これが能力主義です。能力主義以前の階級主義より全然いいですよね?この能力主義のどこが「問題」であり「政治的な逸脱」なのでしょうか?

    逸脱の出発地点は(やはり)ネオリベラリズムを推し進めたレーガン&サッチャーです。政府の責任を小さくして、個人の裁量を増やす。成功するかどうかはあなた次第(政府ではなく)。保守政党は小さい政府を目指し、個人や企業の自由を拡大する傾向にありますからね。理解できます。レーガン政権もサッチャー政権も肥大した政府の赤字をなんとかしなければいけなかったですし、当時としては必要な舵きりだったでしょう。

    レーガンからブッシュ政権の保守系の共和党政権に続いたのがクリントン政権とオバマ政権のリベラルな民主党政権でした。これはイギリスでも同じで、保守な保守党からリベラルな労働党に政権移行しました。しかし、アメリカのクリントン政権、オバマ政権、そしてイギリスのブレア政権はそれぞれ能力主義だけは継承したんです。むしろ、さらに推し進めました。能力主義をさらに推し進めることで、格差が更に広がりました。能力主義って格差を是正する仕組みではないですよね。貧しい家庭からでも成功できる。一方で能力のない人は貧しくなる。固定された格差を再構成する仕組みなんです。能力=学力(大学卒)です。トマ・ピケティの「バラモン左翼」は学歴偏重のリベラルの姿勢から命名されています。

    なぜ、歴史的に労働者の味方だったリベラルがエリート主義とも言える能力主義に偏重したのでしょうか。保守もリベラルも能力主義が機能する二つの前提を信じています。そして、能力があれば成功することができる。

    1. 市場は公正な状態で運営されている
    2. 能力主義は生産性が高い

    しかし、この前提自体が幻想だとマイケル・サンデルは指摘します。公正ではないし、生産性も高くない。能力主義は学歴主義でもあるのですが、ハーバード大学やイェール大学などトップの私立大学は裕福な家庭の出身者で占められている。大学入学に必要なSATのような標準テストは塾や個人指導で高得点が取れます。また、多額の寄付をしてくれる家庭の子女は優先枠があります。社会的流動性(social mobility)が担保されているからこそ、差別を肯定する。貧しい家庭でも努力すれば成功できるのが社会的流動性が高い社会ですが、現在の能力主義に社会的流動性はほぼありません。

    能力主義は硬直した(流動性のない)格差を肯定している。これが問題点の一つです。しかし、問題点はそれだけではありません。能力があれば成功できる。そして、それは自分の努力の賜物。能力がなければ成功できない。その責任は自分が負う。本当でしょうか?

    成功の要因は実際には努力や才能だけではなく、運や周りのサポートの要素も大きいわけです。例えば、バスケットボールの神様マイケル・ジョーダンがルネッサンスの時期に生まれたら?これは運の要素ですよね。他にも腕相撲のチャンピオンはなぜその能力だけで富を築くことができない?これもそう言う社会に生まれてきた運ですよね。学費の高い私学に通える家庭に生まれてきたこと自体も幸運ですよね。下駄を履いた成功者を崇め、ハンデを負った成功しない人たちには自己責任を押し付ける。これがもう一つの問題点です。

    このような能力主義はネオリベラリズムに責任を押し付けがちですが、ネオリベラリズムって最初っからそうだったのでしょうか?

    マイケル・サンデルが現在の能力主義を「政治的逸脱」とするのは、ネオリベラリズム以前の哲学的思想は、能力主義を否定していたからです。サンデルが比較するのは自由主義のリベラルの代表であるフリードリヒ・ハイエクと社会福祉思考のリベラルの代表であるジョン・ロールズです。ハイエクは政府の役割より市場の役割を大きくすべきとする古典的な保守ですし、ロールズは市場だけに任せずに政府の介入が必要だと考える古典的なリベラルです。面白いのはハイエクもロールズも思想的にはかなり違うのに、能力主義を否定するのは同じなことです。価値を決めるのは能力ではなく、市場だとハイエクもロールズも主張します。ハイエクは市場に全てを委ねるべきだと考え、ロールズは結果は再分配すべきだと考えます。

    ハイエクとロールズは政治的立場は違えど、能力主義が収入や資産につながることを否定しました。能力があるから価値があるわけではない。それは自由に反する。

    マイケル・サンデルは本書の後半はその解決策を提案しています。彼の考える理想主義的な解決方法もいいんだけど、やっぱり最終的にはユニバーサル・ベーシック・インカムしか解決方法はないんじゃないかとも思ってしまいました(竹中平蔵のなんちゃってベーシック・インカムじゃないですよ!)。

  • 書評|人間と機械の利害は合致できるのか|”The Alignment Problem” by  Brian Christian

    書評|人間と機械の利害は合致できるのか|”The Alignment Problem” by Brian Christian

    グーグルで人工知能(AI)の倫理を研究していたティムニット・ゲブルが解雇されたニュースは2020年の終わりのニュースとしてはかなり衝撃的に受け止められました。なぜか。職場における差別の要素もあるのですが、AI倫理の重要性がかなり大きくなってきているからではないでしょうか。ビジネスと倫理のバランス。これはグーグルのような営利企業にとっては非常にデリケートな問題です。

    今回紹介するブライアン・クリスチャンによる”The Alignment Problem”は「人間と機械の利害は合致できるのか」という倫理を含めた幅広いAIに関する問題を扱った非常にタイムリーな書籍となりました。AIの何が問題で、どのような解決方法が模索されているのかを取材を通じて丁寧に解説しています。AIによるディストピアみたいな遠い将来の話ではなく、今現在何が起きていて、どのようなアプローチで解決が模索されているのか。

    The Alignment Problem: Machine Learning and Human Values (English Edition)

    The Alignment Problem: Machine Learning and Human Values (English Edition)

    • 作者:Christian, Brian
    • 発売日: 2020/10/06
    • メディア: Kindle版
    Algorithms to Live By: The Computer Science of Human Decisions (English Edition)

    Algorithms to Live By: The Computer Science of Human Decisions (English Edition)

    • 作者:Christian, Brian,Griffiths
    • 発売日: 2016/04/19
    • メディア: Kindle版

    本書では、まず”Alignment Problem”とは何かを解説します。三つの代表的な例が1) Word2vec、2) 保釈リスクを計算するソフトウェアCOMPAS、そして 3) Googleのイメージ検索です。それぞれ、AIが導き出す結果は必ずしも人間にとって正しくない。つまり、人間と機械の利害が合致(Align)できていない例です。

    Word2vecは非常に優れた言語解析ができると評価される一方で、人間の持つバイアスをそのまま引き継いでしまう性格もあります。例えば以下の数式。

    医者ー男性+女性=看護婦

    医者から男性の要素を抜き出し、女性の要素を加える。そうすると導き出される答えが「看護婦」となってしまう傾向にあるのです。え?正しいと思う?それがバイアスです。本来であれば……

    医者ー男性+女性=医者

    ……でなければいけないですよね。医者は職業なんだから、男性も女性も関係ない。このバイアスを取り除くのにImplicit Association Testが有力視されていますが、現時点でまだ解決できていません。Googleイメージのゴリラ問題もいまだに解決できてないですしね。

    AIは人間の言葉から女性差別や人種差別を学び取る – GIGAZINE

    分散表現とWord2vec|実践的自然言語処理入門 #3 – Liberal Art’s diary

    この他に、この書籍では公平性の問題や透明性の問題など幅広いトピックをカバーしています。例えば、「犯罪者の仮釈放の逃亡リスクをAIで判断していいのか?」という問題。2020年のアメリカ選挙で隔週で行われる投票法案でカリフォルニア州が仮釈放をAIで行う法案(Proposition 25)において住民に評決を託しました(関連記事)。結果的には否決されましたけどね。本書でも多くの専門家はまだAIがそこまで予測するのは難しいとの見解を示しています。

    同様に犯罪を未然に防ぐためにAIを活用できないのでしょうか?AIは犯罪を起こす可能性がある場所や人物を事前に特定できるのでしょうか。これもバイアスの問題と根っこは同じなのですが、公平性に問題があります。つまり、そのデータセットにバイアスがそもそもあるのではないかということです。公平性を高めるにはより多くのデータが必要になります。しかし、その場合はプライバシーの問題もより大きくなってしまいます。機械学習でプライバシーを担保する方法として「差分プライバシー(differential privacy)」が注目されています。

    AIはブラックボックスのシステムとして有名です。どうしてAIはそのように判断したのか人間には説明が難しい。例えばなのですが、コロナ禍でトリアージが必要になったとします。トリアージは「全員を救うことはできない」という前提のもとに、救う優先順位を決めることです。「命の選択」なんて日本語では言われたりもします。その「命の選択」をAIが決めたらどうですか?嫌ですよね。だって、AIがなぜAさんではなく、Bさんを優先したか、理由がわからないんですよ。実際に本書で紹介されているアメリカでの事例では肺炎のトリアージは、ルールベースのシステムが採用されています。ニューラルネットワークのシステムの方が精度が高い結果が出たにもかかわらずです。なぜか?ニューラルネットワークのシステムで出た結果は医師が説明できないからです。

    そこで注目されているのが「説明可能なAI(XAI:explainable AI)」です。XAIはDARPAをはじめとした多くの研究機関が力を入れている分野で、英語圏では一般的なテックメディアでも紹介されるくらいには注目されている分野です。

    XAIの分野で注目されているのは一般化加法モデル(GAM:Generalized Additive Model)だそうです。流石にここまで来ると私もよくわからないので、Qiitaのリンクを下に貼っておくので、興味があったら調べてみてください。

    ここまでが本書の中盤くらいです。残りはディープラーニングの歴史(主に強化学習)をおさらいした上で、「好奇心」をAIに植え付けるにはどうしたらいいのか(intrinsic novelty preference)、「不確実性」をAIが持つにはどうしたらいいのか(inverse reword designAI safety gridworlds)などこれからの課題と現在の研究結果の紹介となっています。

    ブライアン・クリスチャンは前著”Algorithms to Live By”で生活の中にあるアルゴリズムを普通の人にもわかりやすく解説してくれました。本書はそれよりもかなり技術よりの書籍ではありますが、倫理を含めたAIに関する非常にホットなトピックをわかりやすく解説してくれています。AIの知識をアップデートしたい人には強くお勧めします。

     

  • 書評|スタートアップを大企業からの攻撃から守るイノベーションの鎖|”The Innovation Stack” by Jim McKelvey

    書評|スタートアップを大企業からの攻撃から守るイノベーションの鎖|”The Innovation Stack” by Jim McKelvey

    ペイメントのスタートアップとして大成功したSquareといえばジャック・ドーシーのイメージが強いと思います。ジャック・ドーシーはツイッターの共同創業者でもあり、知名度が高いので仕方のないことです。今回紹介するのはSquareのもう一人の共同創業者であるジム・マッケルビーの初書籍である”The Innovation Stack”です。

    Squareには創業からこれまで、一度だけ大きな危機がありました。アマゾンが参入してきたのです。ジム・マッケルビーは、なぜアマゾンのような大企業からの攻撃をSquareのような小さなスタートアップが退けることができたのか、そもそもSquareはなぜ成功することができたのか、これを自分に問いかけ続けました。そして、過去に似たような事例がないのか探して研究しました。その研究の成果が本書となります。

    The Innovation Stack: Building an Unbeatable Business One Crazy Idea at a Time (English Edition)

    The Innovation Stack: Building an Unbeatable Business One Crazy Idea at a Time (English Edition)

    • 作者:McKelvey, Jim
    • 発売日: 2020/03/10
    • メディア: Kindle版

    (多くの優れた書籍がそうであるように)ジム・マッケルビーは言葉の定義からはじめます。「起業家」とは何か?「イノベーション」とは何か?ジム・マッケルビーはヨーゼフ・シュンペーターまでその起源を遡ります。

    ジム・マッケルビーが本書で定義する「起業家」とは、真のリスクテイカーです。実を言えば現代のスタートアップ創業者は(例えばクリストファー・コロンブスのような真のリスクテイカーと比べて)それほどリスクを取る必要がありません。ベンチャーキャピタルから資金調達したお金は返す必要ないんですから。もちろん、資金調達できるまで持っていくには多くの労力や個人的な資産も必要かもしれませんが。ヨーゼフ・シュンペーターの頃、企業家は特別な人たちでした。クレイジーと同義語でした。

    ジム・マッケルビーが本書で定義する「イノベーション」とは、実現したいことをやるためには既存のやり方をコピーできないため、仕方なく生み出す手法です。ビジネスで成功する簡単な方法はコピーすることです。自然の法則はコピーです。コピーしてできるなら、それに越したことはありません。しかし、「起業家」は既存のルールがない未知の領域に(仕方なく)足を踏み入れるため、既存のやり方ではできないことがあります。既存のやり方とは違うやり方、それが「イノベーション」です。

    「イノベーション」の正体がわかれば、本書で紹介している「イノベーションスタック」も理解できます。文字通り日本語に訳せば「イノベーションの積み上げ」です。一つのイノベーションではなく、複数のイノベーションの積み上げ。何か新しい別のやり方には不具合がある。その不具合を解消するために別のイノベーションが必要になる。その連鎖が「イノベーションスタック」です。ただ、ボクはこの本を読んでいて「イノベーションの鎖」の方がイメージ的には近いと思いました。未知の領域に踏み込んでいくのですから、命綱が必要ですよね。その命綱をイノベーションの鎖で紡いでいき、ゴールに達成する。この方が本書で紹介する「イノベーションスタック」のイメージに近いと思います。

    本書ではSquareの具体的なイノベーションスタックの他に、四つのイノベーションスタックの事例が紹介されています。バンク・オブ・イタリー(後のバンク・オブ・アメリカ)、イケアサウスウェスト航空です。いやあ、お見事!これらの事例では確かにイノベーションがキレイに繋がっています。特にアマデオ・P・ジオニーニとバンク・オブ・イタリーは感動的です。すごい!

    まあ、すごいと言ってもわからないでしょうから、簡単にSquareのイノベーションスタックの一部を紹介します。

    解決すべき課題:これまでクレジットカードが使えなかったお店がクレジットカードを使えるようにする。そのために……

    1. 簡単にする(One Price:すべての人に同じ取引手数料)。しかし、小さな取引ではお金を損する。そのため、取引量を増やす必要あるため……
    2. サインアップを無料にする。それを維持するためにはコスト削減が必要で……
    3. ハードウェアを安くする。当時のクレジットカードリーダーは950ドルかかっていたが、Squareでは原価を0.97ドルまで抑えることに成功した。しかし、あまりにも安いので何か仕掛けがあるのではと不審に思う人たちもいた。そのため……
    4. 契約をなくした。いつはじめてもいいし、いつ止めてもいい。契約で利用者を縛ることをやめた。はじめるのにSquareと話す必要もない。しかし、それだけでは十分なコスト削減ではないので……
    5. 電話サポートをやめた。しかし、そのためには顧客が電話する必要がないようにしなければいけないので……
    6. 使いやすい美しいソフトウェアを開発した。直感的で使い易ければ電話して使い方を聞く必要はない。しかし……

    6まで紹介しましたが、実際には14まであります。一部ではありますが、一つのイノベーションがさらに次のイノベーションの必要性を生み出していることがわかると思います。後半になるほど、金融業やペイメントの規制が関わってきて、イノベーションしていくのが難しくなります。

    ボクが「イノベーションスタック」をイノベーションの鎖と訳したいか。もう一つの理由は、「イノベーションスタック」が競争から守ってくれるからです。よく、「競争優位性」といいますが、よくできた「イノベーションスタック」はそれ自体が競争優位性となります。競合がとる基本的な戦法は「コピー」です。アマゾンもSquareのビジネスモデルをコピーして攻撃を仕掛けてきました。しかし、一つのイノベーションをコピーすることができても、複数の連なったイノベーションの鎖全てをコピーするのは至難の技です、例え巨人アマゾンにしてもです。上の1から6のSquareのイノベーションスタックでも3と6だけでも大変そうじゃないですか?これが14もあるんですから。

    この本は前半がイノベーションスタックに関する事例を含めた詳しい解説になっていて、後半はジム・マッケルビーの個人的な考察というかエッセーっぽい内容になっています。コンパクトに前半だけでよかったんじゃないかなあ。ただ、後半もイノベーションスタックが崩れる条件とかも書いてあるので、それはそれで面白かったです。なぜ、バンク・オブ・アメリカやサウスウェスト航空の優位性が崩れてしまったのかとか。

  • 書評|ルービック・キューブ考案者が語る創造性とデザイン|”Cubed” by Ernő Rubik

    書評|ルービック・キューブ考案者が語る創造性とデザイン|”Cubed” by Ernő Rubik

    ルービック・キューブの考案者エルノ・ルービックの初書籍が今回紹介する”Cubed”です。ルービック・キューブが世に出てから40年以上経過しています。これまでに自伝とか出ていそうなものですが、この本がエルノ・ルービックが初めて書くの書籍。自分とその発明品であるルービック・キューブについて語ります。内容はUXデザイン、成功と失敗、プロフェッショナルとアマチュアなど非常に多岐にわたります。単純な「自伝」ではなく、とても知的好奇心を刺激してくれる良書でした(オーディオブックはScribedにあります)。

    Cubed: The Puzzle of Us All

    Cubed: The Puzzle of Us All

    • 作者:Rubik, Erno
    • 発売日: 2020/09/15
    • メディア: ハードカバー

    本書の構成は「自伝的な部分」と「考察的な部分」に分かれます。時系列的に「自伝的な部分」が全体の骨格を作るのですが、その間に「考察的な部分」が挿入されます。その時点で自分が考えたこと、その時点と現代のつながり。

    エルノ・ルービックは子供の頃からパズルが好きだったのだそうです。タングラム15パズルペントミノに夢中になったそうです。立体的なパズルとの最初の出会いは立体型のペントミノだったと振り返っています。また、ルービック・キューブ以前に立方体のパズルとしてはソーマキューブがあったそうです。内向的な性格だったのでパズルのような一人遊びが合っていたそうです。チェスもやったそうですが、誰かと対戦するゲームより、ナイト・ツアーのような一人遊びの方が好きだったそうです。勝ち負けとか興味がない。

    自分は全てにおいてアマチュアだとエルノ・ルービックは振り返っています。職業としてはずっと教師ですが、発明家として、建築家として、デザイナーとしてそれぞれにおいてアマチュアだと言います。プロフェッショナルはお金や評価など「外的動機づけ」が必要だけど、アマチュアは自分のやりたいことをやりたい「内的動機づけ」が重要になるとエルノ・ルービックは言います。ただ、アマチュアとプロフェッショナルの区切りも実は曖昧でスティーブ・ジョブズのような人はお金に興味はなく「内的動機づけ」に突き動かされたプロフェッショナルなんだろうと。白黒はっきり分かれるようなものではないだろうと言います。

    教師として専門にしていたのは図法幾何学で、ルービック・キューブのアイデアもここから発展していったそうです。エルノ・ルービックがすごいのは想像力だけが創造性ではないと理解しているところです。ちゃんと作れないといけない。ルービック・キューブのプロトタイプは木で作り、輪ゴムや釣り糸で試したそうです。最終的に私たちがしるあの構造までたどり着きます。ルービック・キューブを分解したことがある人ならわかると思いますが、あの構造はすごいですよね。よく一人で考えた。

    そして、アルノ・ルービックは根っこはデザイナーなんでしょうね。お父さんがグライダーを専門にした航空デザイナーだったのと同じで。あの形、あの重さ、あの大きさに至るまで試行錯誤します。スムースに動くことも重要。UXデザイナーでもありインタラクション・デザイナーでもあるんですよ。本書でもUXデザインの重要性について言及しています。

    さらに、このパズルがちゃんと自分で解けるのかも実証します。すごく難しかったそうです、作った本人にとっても。最初は1ヶ月かかったそうです。「すごく根を詰めて必死にパズルを解いた」といろんなところで書かれているそうなのですが、実際には仕事の合間に楽しみながら取り組んだそうです。ルービック・キューブを解くアプローチとして直感派とアルゴリズム派がいるそうなのですが、アルノ・ルービックは直感的なアプローチと論理的思考で解いたそうです。さらに商用化に向けた特許申請や製造、素材をどうするかなどなど。海外で販売するときの登録商標の問題など紹介されています。 

    アルノ・ルービックはお金も地位も名誉も興味がないそうです。だから今まで本も書かなかったんでしょうね。古い車をずっと乗っている。高級な食事や衣服にも興味がない。建築家でもあるので、自分の家を作るのが好きなんだそうです。それができるだけのお金があれば十分。そして、自分の好奇心を満たすことができればいい。だから、いろんなことに興味があるんですね。本書でもルービック・キューブを軸としてAIやシステム思考について思考を巡らしています。

    自伝というよりは、様々な考えをルービック・キューブを中心に語ったエッセーのような本です。ルービック・キューブの発明者が存命で、現代の技術や考え方と関わり合いを持ち続けていることが(大変失礼ながら)単純に驚きでしたし、その考察もとてもユニークだと感じました。なぜユニークなのかと言えば、それが借り物じゃないからなんですよね。エルノ・ルービックはとてもユニークなルービック・キューブを一人で作り上げた人なんですから。

  • 書評|(個人的に)ダメだった書籍を晒してみる

    書評|(個人的に)ダメだった書籍を晒してみる

    人間には好き嫌いがあって、ダメなのはダメ。本を読んでいて「これヤバいなあ」って思うことありません?日本語だと危険信号って言えばいいのかな。英語だとレッドフラグって言います。ボクにとってレッドフラグなのがいくつかあります。

    1. 脳科学をリファレンスとして、右脳とか左脳とか単純な分け方をする
    2. 相関関係と因果関係を簡単に結びつける
    3. 統計の詳しい情報がない

    ここ最近、立て続けにレッドフラグの書籍に三冊連続で当たって、かなりダメージを受けています。まず、一発目がアルバート・コスタの”The Bilingual Brain”です。

    The Bilingual Brain: And What It Tells Us about the Science of Language

    The Bilingual Brain: And What It Tells Us about the Science of Language

    • 作者:Costa, Albert
    • 発売日: 2020/05/01
    • メディア: ハードカバー

    まず、最初から右脳と左脳とか使っちゃってます。ジーナ・リッポンの”The Gendered Brain”にもありますが、脳はネットワークなので、単純にここの部位はこの役割と言えません。生後一ヶ月の赤ちゃんが言語を理解しているかどうかなどの実験を解説もしてくれているのですが、その科学的な根拠も(多分あるのでしょうが)詳しくは説明されません。面白いとは思うのですが、その根拠となる研究の信憑性がどうも信じられず、読み進めるのがとても苦痛でした。

    二発目がジョセフ・ヘンリックの”The WEIRDest People in the World”で、これはレッドフラグのオンパレードでかなりのトンデモ本でした。

    The Weirdest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous

    The Weirdest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous

    • 作者:Henrich, Joseph
    • 発売日: 2020/09/10
    • メディア: ハードカバー

    この本は「西洋」がなぜ特殊で他の文化と比べて先進性を獲得したかを説明しています。WIREDは「変な」と言う意味ですが、西洋の(Western)、教育を受けた(educated)、工業化された(industrialized)、豊かで(rich)、民主的な(democratic)のそれぞれの頭文字をとっています。簡単に彼の主張を解説すると……

    1. プロテスタントは辞書を読むために文字を学ぶことを推奨した
    2. プロテスタントは他の宗教と比べて識字率がとても高かった
    3. 識字率が高いプロテスタントは脳が変質して(!)WIREDな特徴を獲得した
    4. そのため、先進的な技術を身につけることができ、世界を植民地化することができた

    環境に合わせて脳が変質するのはいいですよ。実際にそのようだし。ただ、脳が変質したから他の文化と比べて優劣な特徴を獲得したってどうですかね?プロテスタントの識字率がカトリックより高いのはデータを示していますが、日本や中国とは比較していません。なんで、プロテスタントは全世界その他の全ての宗教と比べて識字率が高かったと言えるのか?「西洋」の先進的な技術の多くは西洋以外から輸入した考えが元になっているのはどう説明するのか?そもそも、世界を植民地化できたのは軍事力じゃないの?もう、ツッコミどころのオンパレードです。

    ここ立て続けに、リテラシーを高めるような書籍(スチュワート・リッチー”Science Fictions”カール・バーグストームとジェヴィン・ウェスト”Calling Bullshit”)を読んだ影響もあるんですかね、かなり疑り深くなっているのかもしれません。それを差し引いても、この二冊は本当にヒドかった。

    三冊目は指南書です。日本の書籍でも「○○するには△△しろ」みたいな断定的な指南書や「□□□力」みたいなフワッとした啓発書が多いですよね。ボクはこのような指南書や啓発書の類は苦手です(否定はしません)。それでも、たまーに『リーン・スタートアップ』のように本当に刺激されるような実用書(指南書ではない)があるので、全く無視もできません。地雷が多いのだけれど、飛び込む価値がある。

    アニー・デュークの”How to Decide”は「決断力」に関する書籍です。結果を左右する要因は二つ。「運」と自分自身の「決断力」。運はコントロールできないが、自分の決断はコントロールできる。だったら、うまくコントロールして良い結果になる可能性を「決断力」で高めましょう。そう言う趣旨の本です。まあ、そうですねと。

    How to Decide: Simple Tools for Making Better Choices

    How to Decide: Simple Tools for Making Better Choices

    • 作者:Annie Duke
    • 発売日: 2020/10/13
    • メディア: Audible版

    優れた実用書(例えばリーン・スタートアップグロースハック)はコンセプト(WHYとWHAT)がシンプルなのですが、具体的なやり方(HOW)はたくさんあります。そのため、非常に広がりがあるんです。事例は提示されるものの、具体的なやり方(HOW)は提示されません。だからハウトゥー本(指南書)ではないんです。一方で、多くの指南書はHOWに力点がおかれるため、広がりがないし、柔軟性にも欠けます。

    この本もとても面白いコンセプトだと思うんです。自分の決定を振り返るツールを提供しているし、それはきっと役に立つこともあると思います。しかし、面倒で使い続けることはできないと思う。(おそらく)この本で主張するほど汎用的でもない。投資に失敗したら、自分の投資に関する決定を理解するよりも、ちゃんと投資の勉強した方がいいもの。汎用的な決断力向上ツールってないと思ってしまう、少なくともこの書籍で紹介されているようなやり方では無理なんじゃないかな。

    「読んだ本を全てここで紹介しているのではないですよ」という紹介でした。当然ながら読んでも書評を書かない場合もある。

  • 書評|世界の終わりの現在|”Notes from an Apocalypse” by Mark O’Connell

    書評|世界の終わりの現在|”Notes from an Apocalypse” by Mark O’Connell

    「世界の終わり」は魅力的なトピックで、遥か昔からずっと語られてきました。世界の終わりはもうすぐだ!と。マーク・オコネルも「世界の終わり」に取り憑かれた一人で、その研究成果をまとめたのが本書”Note from an Apocalypse”です。専門書と言うよりはエッセー。

    この本は「世界の終わり」についての本ではありません。つまり、未来について予想はしていません。この本は「世界の終わりの現在」についての本です。マーク・オコネルの個人的な「世界の終わり」への執着心と不安が起点となっていて、その正体を探るために世界の終わり巡礼の旅に出ます。サウスダコタ、ニュージャージー、スコットランド、チェルノブイリ……

    Notes from an Apocalypse: A Personal Journey to the End of the World and Back

    Notes from an Apocalypse: A Personal Journey to the End of the World and Back

    • 作者:O’Connell, Mark
    • 発売日: 2020/04/14
    • メディア: ハードカバー

    なかなか面白い構成になっていて、前半がルポルタージュ風で資本主義を中心として保守の人たちが「世界の終わり」に対してどのように考えていて、どのように行動しているかが描かれています。後半はエッセイ風で旅を通じてマーク・オコネルが「世界の終わり」について内省的に考えるプロセスを描いていきます。前半と後半では少し雰囲気が違います。

    まずは主に保守な人たちがどのように「世界の終わり」を考えているか。プライベートでささやかな取り組みからピーター・ティールの海上都市、さらにイーロン・マスクの火星移住まで話が徐々にデカくなっていきます。マーク・オコネルが彼らに対する視線はかなり冷ややかで、「世界の終わりのために準備しているのではなく、自分たちのファンタジーのために準備をしている」と一刀両断です。世界が終わった後に、いかに自分が生き残るか(そして自分が理想とする世界を作るか)に力点が置かれているのが特徴です。世界を終わりから救おうなどとは考えていない。

    最初に登場するのがプレッパーズと呼ばれるサバイバルマニアたちです。彼らの特徴は保守的な思想の持ち主で、白人男性至上主義が見え隠れしています。サバイバル商品にこだわりがあるのも特徴で、世界の終わりなのに商業主義なのってどうよ?とマーク・オコネルもチクリと批判します、同じ「世界の終わり」に取り憑かれた人間として共感する部分はあるものの。プレッパーズの上位版のラグジュアリー・サバイバルもあります。その代表がVivosです。お金持ちのために高級シェルターとサバイバルネットワークを販売しています。世界の終わりがきても、安心してラグジュアリー生活を送ることができます。

    さらに金持ちなプレッパーズは高級シェルターでも満足できません。自分の国がダメになった時、他の国にも逃げ場が欲しいよね!保守系のサバイバリストに人気がある国がニュージーランドなのだそうです。金持ちといえばテック系でIPOした元スタートアップ創業者。彼らの多くはリバタリアンで、そんなテック系リバタリアンな金持ちの愛読書が”The Sovereign Individual”。この本に影響されて「リバタリアン的な国を作るのだ!」と選ばれた国がニュージーランドで土地を買いまくられているのだそうです。LinkedInのリード・ホフマンもそうですし、a16zのマーク・アンドリーセンもそうです。その代表者がピーター・ティールでニュージーランド国籍まで取得しています。もう、お前らバカじゃないの?お金を持ちすぎると、ろくなことしないですよね。そんな無駄遣いをしてるから批判されるんだよ。

    The Sovereign Individual: Mastering the Transition to the Information Age

    The Sovereign Individual: Mastering the Transition to the Information Age

    • 作者:Davidson, James Dale,Rees-Mogg, Lord William
    • 発売日: 1999/08/26
    • メディア: ペーパーバック

    自国がダメだったら、ニュージーランドに移住すればいい。でも、地球がダメになったらどうするよ?そう考えて火星の植民地化の準備をしているのがイーロン・マスクです。スケールが違いすぎて笑うしかない。火星協会(Mars Society)という火星の植民地化と移住を目指す団体があります。なんと、この火星協会は日本にもNPO法人日本火星協会という支部があります。イーロン・マスクは火星協会でスピーチもしてますし、色々と表彰されているそうです。そりゃそうだ。テスラの赤いスポーツカーを火星に向けて打ち上げるような人ですから。マーク・オコネルに「世界の終わりではなく、自分たちのファンタジーのために準備をしている」と言われるのも仕方ない。

    後半は人類はエコロジカル的な自殺行為(エコサイド)を続けていると主張するダーク・マウンテン・プロジェクトに触発されたキャンプに参加したり、チェルノブイリの廃墟を観光するエクストリームツアーに参加したりしながら、自分自身の「世界の終わり」に対する不安と対峙していきます。太陽が膨張し続ければ地球はなくなる。大量絶滅は地球ですでに五回も起きている。その六回目が人類だからどうしたと言うのか?「世界の終わり」はいつかは来る。ひょっとしたらCOVID-19で世界は終わるかもしれない。温暖化が続いて、将来的には人間が地上で生きていけなくなるかもしれない。そんな終わりゆく世界を子供達に受け継いでいいのだろうか。そもそも、人が多すぎるのに子供を作っていいのだろうか?マーク・オコネルはどちらかと言えば悲観的な人ですが、最後には自身の子供達に救われます。

     

  • 書評|人間の「仕事」消滅後の世界|”A World Without Work” by Daniel Susskind

    書評|人間の「仕事」消滅後の世界|”A World Without Work” by Daniel Susskind

     人工知能によって人は仕事が奪われる!この手の話はすでにクリシェですよね。今さら真面目に語ってどうするの?今回紹介する”A World Without Work”はまさに語り尽くされた感のあるこのネタを改めて大真面目に検証する本です。

    本書を書いたダニエル・サスキンドは情報化による法律実務のパラダイムシフトなどの論文で日本でも知られるリチャード・サスキンド教授の息子さんです。”The Future of the Professions”を父親と共著で出していますが、今回が初めての単著となります。

    A World Without Work: Technology, Automation, and How We Should Respond

    A World Without Work: Technology, Automation, and How We Should Respond

    • 作者:Susskind, Daniel
    • 発売日: 2020/01/14
    • メディア: ハードカバー
    The Future of the Professions: How Technology Will Transform the Work of Human Experts

    The Future of the Professions: How Technology Will Transform the Work of Human Experts

    • 作者:Susskind, Richard,Susskind, Daniel
    • 発売日: 2017/03/02
    • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)

    本書は既に多く語られた感のあるトピックを現在のトレンドに合わせて整理整頓することにより、新鮮な視点を提供することに成功していると思います。例えば、トマ・ピケティが提起しているような格差問題、GAFAの独占の問題にまで議論を広げています。風呂敷を広げすぎると、畳むのは大変。でも、ちゃんと整理整頓できていると思います。

    ダニエル・サスキンドは「テクノロジーが人から職業を奪う」という予測がハズレてきたのか、そして、なぜその予測は今度はハズレないかもしれないのかを説明していきます。まず、テクノロジーが人から職業を奪わなかった理由が以下の三点となります。

    1. テクノロジーは人を効率的にする
    2. テクノロジーはパイを大きくする
    3. テクノロジーはパイを変える

    経済学におけるスキルの定義は学歴でした。高学歴=高スキルという考え方。スキルプレミアムモデルと言います。しかし、スキルプレミアムでは説明できない事象が起きてきました。二極化です。そこで新しいタスクベースの仮説が生まれました。それがALM仮説です。「テクノロジーがルーティンなタスクをなくし、人はクリエイティブな仕事ができるようになる」という楽観的な考えはここからきています。人間とテクノロジーは補完的な関係であるというのが「1. テクノロジーは人を効率的にする」考え方で、これまではその仮説は正しいように見えます。

    また、テクノロジーは生産力が高いのでパイを大きくします。パイが大きくなるので、人の労働する余地は残されるのです。さらに農業から工業、工業からサービスへ産業が移行したようにテクノロジーはパイ自体を変える効果もあります。テクノロジーが一部の人のタスクを奪ったとしても、新しいタスクが生まれます。ALM仮説によりテクノロジーと人間の関係性はうまく説明ができたと思われました。しかし、結論を出すのはまだ早いとダニエル・サスキンドは主張します。

    これまでのテクノロジーは人間が指示をする必要がありました。AIは人間を真似ることで失敗を繰り返してきました。人間を頂点とした考え方が(間違っていたと言わないまでも)うまくいかなかったのです。しかし、現在のAIは人間を真似ることをやめました。AIは人間から学ぶことなく最適解を見つけることができるようになりました。AlphaGo Zeroのように。AGI(強いAI)は遠い将来に可能になるかもしれませんが、目先にある特定のタスクを人間よりできるようになることを目指したANI(弱いAI)が勝利しました。人間が唯一の頂点なのではなく、複数の頂点があり得るとANI(弱いAI)は証明しつつあります。そうなると、人が説明できるルーティンなタスクだけでなく、人が説明できないノンルーティンなタスクもテクノロジーで人間とは違ったやり方でできるようになることを意味しています。

    AIが進化した世界において、ALM仮説でも説明ができないようになってきたとダニエル・サスキンドはいいます。ルーティンではない仕事もできるようになってきた。もちろん、クリエイティブな作業を含めて全ての仕事がルーティン化してしまうには数十年かかるかもしれない。ひょっとしたらそれ以上かかるかもしれない。ジューディア・パールが言うように現在のAIでは因果関係を見つけることはできないと主張していますし。マーカス・デュ・ソートイもAIがアートを作れるようになる日は来ないのではないか?と示唆しています。現在は確かにそうなのですが、100年後の未来までは誰もわからないし、テクノロジーが、これまでは「ノンルーティン」だと考えられてきたタスクを「ルーティン」としてできることが多くなってきているのは確かなのですし、「ルーティン」の割合は徐々にですが大きくなり続けています。

    テクノロジーが人間の仕事を奪うと何が起きるのか?貧富の差が生まれた要因の一つがテクノロジーだとダニエル・サスキンドは解説していきます。この本の前半はAIについてなのですが、後半は経済や社会の仕組みの話になっていきます。人間の仕事がなくなった世界で、私たちはどのような社会の仕組みを作ることができるのでしょうか。ここで大きく参照されるのがトマ・ピケティです。格差をなくすには累進課税が必要だし、資産に対する税金も強化しなければいけない。この辺の主張は丸ごとピケティです。さらにベーシック・インカムにも主張を展開していきます。ただし、ダニエル・サスキンドは全員に平等なUBIは信じていなくて、範囲を決めるCBIが必要だと主張します。

    本書は現代の言論トレンドを「うまくまとめた」感があります。すごく現代の今旬なテーマをよく研究してるし、それを一つのパッケージとしてまとめたのは素晴らしい手腕だと思います。しかしながら、ダニエル・サスキンドが持つユニークな考え方が見えてこないのも欠点ですね。「よくまとめたなー」とは思うけど、新しい考え方には全く触れることがなかった。何とか自分の立ち位置を作ろうと頑張っている若い研究者の本。そう考えれば、少しはあたたかい目で応援したくもなってきますが。

  • 書評|壊れた科学に泣かないで|”Science Fictions” by Stuart Ritchie

    書評|壊れた科学に泣かないで|”Science Fictions” by Stuart Ritchie

    科学は人類の進歩に欠かせない手段ですよね。生物的な進歩よりも技術的な進歩の方がずっと早く、そのスピードが人間と他の生物の大きな差となっています。一方で、科学の信用が揺らぐような事件も起きています。日本だとSTAP細胞の論文の問題が取り沙汰されましたよね。

    本書で著者のスチュワート・リッチーは科学が機能不全になりつつある危機状態だと警笛を鳴らします。その代表例が再現性の危機で、2016年の調査では1500人の研究者に対する調査で70%が他者の研究の再現に失敗しました。なぜ、科学は機能不全になりつつあるのか、その原因は何か、そして再び科学に健全性を取り戻すことができるのか。

    Science Fictions: How Fraud, Bias, Negligence, and Hype Undermine the Search for Truth

    Science Fictions: How Fraud, Bias, Negligence, and Hype Undermine the Search for Truth

    • 作者:Ritchie, Stuart
    • 発売日: 2020/07/21
    • メディア: ハードカバー

    本書では多くの科学の間違った事例が紹介されています。当然ながらSTAP細胞論文不正も事例として取り上げられています。それ以前のファン・ウソクによるES細胞論文不正もそうですし、TEDでも有名となったエイミー・カディのパワーポージングもそうです。もっと有名なところだとノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンもベストセラー『ファスト&スロー』で主張していたプライミングに関して間違っていたことをのちに認めています。科学者は時には意図的に、時には不注意で間違いを犯します。これらは全てピアレビューなど科学的なプロセスを経て著名なジャーナルに論文が掲載された研究成果です。

    スチュワート・リッチーはマートンの規範(以下)をリファレンスとして科学が壊れてしまった事例を検証します。

    普遍性(Universalism):性別や国籍など特定の文化に影響を受けない

    無私性(Disinterestedness):人類の利益であり私利私欲のためではない

    共有性(Communarity):科学は共有して協業することで発展する

    組織的懐疑主義(Organized Skepticism):科学の成果は常に積極的で懐疑的な姿勢で精査されるべき

    科学が機能していない状態にある場合、以下のいずれかが当てはまるそうです。

    • 不正(Fraud)
    • バイアス(Bias)
    • 過失(Negligence)
    • ハイプ(Hype)

    ES細胞論文不正STAP細胞不正論文は不正(Fraud)の事例ですよね。多くの論文でデータを捏造した藤井善隆の事例もそうですし、人工気管支の移植手術で多くの犠牲者を出したパオロ・マッキャリーニの事例もそうですね。本来だったらピアレビューが組織的懐疑主義を担保しているはずなのですが、機能しなかった。

    出版バイアスはバイアス(Bias)の代表例で、肯定的な研究結果ばかり公表されることです。本来であれば、良い仮説で良い実験であれば、結果が出なくても評価されるべきです。ジャーナルで出版できないのであれば、科学者としては意味がない(評価されない)ため、お蔵入り問題(file drawer problem)が発生します。それだけならいいのですが、出版してもらうため肯定的な成果を意図的に出そうとしてしまいます。統計的な有意性P値が使われます。このP値を意図的に出すことをPハッキングと言います。数値的なゴールが設定されると、その数字が意図する本来の目的から離れて、数字自体が目的になってしまいます。

    このほかにも単純に計算が間違ったり、ケアレスミスがある過失(Negligence)の事例もGRIMSPRITEテストを単純に受ければいいのに受けていなかったり。心理学の分野でGRIMテスト手法が使えた71本の論文のうち、50.7%で1つの疑わしい平均値があり、20%以上の論文で複数の疑わしい数値が含まれていました。ラインハートとロゴフの「債務がGDP比90%を超えることで、債務と経済成長の間の負の相関関係が大きくなる」という経済学に関する発表も、結局はExcelのタイプミスが原因でした。

    不正にせよ、バイアスにせよ、過失にせよ、ピアレビューを逃れて出版された論文は多数あります。そして、それが判明するのは大抵は内部告発だったり、メタ科学(とその手法であるメタ分析)からわかったことです。多くは発見できずにそのままになっています。

    その上にハイプ(Hype)の問題があります。メディアが相関関係しかないのに、あたかも因果関係があるように報道するなど外的要因もありますが、論文自体がセンセーショナルでミスリーディングな見出しをつける内的要因が増えているそうです。NASAの異質な生命体に関する発表(GFAJ-1)がこれにあたります。ほかにもTEDみたいなプレゼンの見た目で勝負するイベントもハイプの温床になっているっぽいですね。この本で紹介されているキャロル・ドウェックの「グロースマインドセット」なんてまさにこれですね。

    なんでそうなってしまうの?マートンの規範がなぜ機能しないの?となりますよね。スチュワート・リッチーはインセンティブの問題だと指摘します。研究者は評価されるために論文をジャーナルに掲載したい、ジャーナルはステータスを維持するために肯定的な論文を掲載したい。正確さを担保する数値ゴールはハッキングされてしまう。正確さよりもインセンティブが勝ってしまう。

    じゃあ、どうしたらいいの?これもマートンの規範に求めるしかない。スチュワート・リッチーが期待するのが共有性(Communarity)と 無私性(Disinterestedness)です。それを代表するのがオープンサイエンスオープンアクセスです。査読前のプレプリントによって共有性(Communarity)が高まることによってPハッキングもある程度防ぐことができます。

    科学って万能で信用できるイメージがありますよね。この前に紹介した”Calling Bullshit” もそうなのですが、その信用できるイメージを悪用するケースが増えているということなんだと思います。リテラシーを高めて自己防衛するのも限界があります。やはり、ここは科学やジャーナリズムの自浄作用を期待したいところですよね。ミルクが溢れたら拭けばいいだけなんですよ。