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  • コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    ソース:”20VC: MOST DOWNLOADED FOUNDER EPISODE OF 2017: BRIAN ARMSTRONG, FOUNDER & CEO @ COINBASE” by The Twenty Minute VC

    ざっくり言うと

    • なんでAirbnbを辞めて起業した?
    • ビットコインとイーサリアムの違いは?
    • ICOについてどう思う?VCをディスラプトする?

     The Twenty Minute VCのポッドキャストでコインベースの創業者でCEOのBrian Armstrongのインタビューをやっていました。コインベースは世界で最も成功している仮想通貨関連スタートアップで、仮想通貨関連で初めてユニコーンとなりました。コインベースを起業する前はAirbnbでソフトウェアエンジニアとして働いていました。

     

    なんでAirbnbを辞めて起業したんですか?

    • 2010年にAirbnbでソフトウェアエンジニアをやっている時。Hacker Newsを見ていた時にサトシ・ナカモトの論文が出てきた。クリスマスの夜にそれを読んだ。すごく興奮した。
    • 夜や週末を使ってミートアップをやったりコードを書いたりした。まだその時は起業しようなんて考えていなかった。周りの意見を聞いても自分に自信を持てなかった。
    • 実際に起業をしようと思ったのは2012年の夏にY Combinatorに参加してから。もらえるのは150K(1600万円くらい)だけど、このアイデアを信じてくれて投資してくれる人がいるという事実が自信につながった。お金をもらったことよりも自信をもらったことが重要だった。

    参考:コインベースの初期のピッチデッキ

    ビットコインとイーサリアムの違いは?

    • コインベース自体は特定の暗号化通貨に偏ることはない。これからも新しい暗号化通貨が出てくると思う。それを踏まえながらビットコインとイーサリアムの違いは三つ。
    1. スケーラビリティの違い(イーサリアムの方がスケールできる)。ビットコインは1秒で3から7の処理しかできないが、イーサリアムは1秒で17から25の処理ができるし、シャーディングなどでさらに処理速度を速める計画がある。ビットコインはコミュニティーが一枚岩でなく、スケーラビリティに関して意見が分かれている。
    2. 使われている言語の違い(イーサリアムの方が複雑なことができる)。ビットコインでは四則計算くらいしかできないが、イーサリアムは完全なプログラミング言語が備わっている。安全性の問題など色々と懸念されているが、開発者にとっては強力なのがイーサリアム。
    3. 関わっているチームの違い。ビットコインもイーサリアムもスマートな人たちの集まりだが、文化の違いがある。ビットコインは初期から参加している人たちが多い。理想的な動機を持っている。イーサリアムは技術集団で何ができるか可能性を探るのが好き。

    ICOについてどう思う?

    • ICOはイーサリアムブロックチェーンの上にトークンを発行してそれを売ることで資金調達をすること。ICOはIPOを想起させるからあまり好きな言葉じゃない。トークンセールとも言われるけど、そっちの方が個人的にはしっくりくる
    • 長期的には色々な可能性があるが、短期的には試行錯誤が続くと思う。ガートナーのハイプ・サイクルをたどる。

    ICOはベンチャーキャピタルをディスラプトする?

    • 現在のベンチャーキャピタルは資金調達と付加価値サービス(アドバイスやコネクション)がバンドルされている。両方価値があるものだけど、バンドルされる必要があるかは疑問はある。
    • 将来的に(クラウドファンディングやICOなどを使って)アーリーアダプターから資金調達をして、アドバイザーには株式を与えるなどすることは可能かもしれない。

    スケーラビリティの問題についてどう思う?

    • スケーラビリティは技術的な問題より政治的な問題が大きい。これは分散化の特徴でもあるのだけれど、いまのビットコインの状況は分散化のために生産性が損なわれているように見える。
    • 技術的に見ればTwitterやYouTubeをスケールさせる方がブロックチェーンをスケールさせるよりずっと難しい。技術的にはクレジットカードのトランザクションに追いつくのは十分可能だと思うし、摩擦を減らすことでユーザービリティに関してはクレジットカードをはるかに超えることができる。

    Airbnbで学んでコインベースで応用していることは?

    • Airbnbでは多くのことを学んだ。多くの経験をコインベースで活かしていて、その一つは人の採用。求める人材の基準を高く持つこと。企業が大切にしている価値を基準とすることなど。
    • ミッション・ドリブン(create an open financial system for the world)な企業というのもAirbnbとコインベースの共通点。それを全体会議や様々なコミュニケーションチャネルで伝えるようにしている。

    soundcloud.com

  • プロダクト開発の優先順位のラディカルでシンプルな付け方

    プロダクト開発の優先順位のラディカルでシンプルな付け方

    原文:”A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization” by Richard Banfield

    「すべきことを終わらせる」ための最大の課題は「何をすべきかを知る」ことなのは皮肉なことです。私たちの本の『Product Leadership』でこのトピックにまるまる一つのセクションを費やしました。最近では、この課題を確認するためにいくつかの調査を実施しました。100人以上のプロダクトプロフェッショナルを対象としたアンケート調査で、TwitterとLinkedInで投票をしましたが、結果は同じでした。プロダクト担当者の最大のチャレンジは優先順位付け。

    Source: Twitter Poll

    なんで優先順位づけは難しいのか?

     プロダクトのクリエイターは多くの責任がありますが、そのタスクを遂行するために必要な権限はありません。役員たちはチームに多くの要求し、顧客や営業はカスタム機能やバグ修正を依頼してきます。これらを断るのは難しい。

     ほとんどのプロダクトマネージャーやリーダーは優先順位づけに必要な手法を持ち合わせていないことがわかりました。どのアイテムが重要で、どのアイテムは後回しにできるかを分別する簡単な方法。売上の圧力、偉い人の意見、組織内の合意で優先順位づけをしている場合が多すぎます。彼らには助けが必要です。

     必要なのは概念ではなく具体的な方法です。

    どのように優先順位づけをするのか?

     優先順位付けは明確なビジョンとそこに到達する道のりを明確にすることからスタートします。幸いにそのためのシンプルで洗練されたソリューションがあります。私の同僚のGeordie Kaytesと友人のRadhika DuttとNidhi Aggarwalが非常に便利なソリューションを作りました。

    「プロダクトが魅力的なビジョンから生まれることは非常にまれです。今までのキャリアを通じて私たちみんな素晴らしいプロダクトを作る努力をしてきました。しかし明確な道筋はありませんでした。私たちは自分たちの見識を比較し、ビジョンからプロダクトを作るためのプロセスを考え出しました」 – Radhika Dutt

    彼らはそれをラディカルプロダクトと呼んでいて、それは私はスゲエと感じました。

    ステップ1:プロダクトビジョンを作る

     彼らのビジョンデベロップメントワークシートを使うと簡単なステップでクリアで明瞭なビジョンに近づくことができます。あなたがスタートアップの創業者であれ、プロダクトリーダーであれ、チームと一緒にこの作業を行うことを勧めています。

     ワークシートを使うって最初のビジョンを作り、チームとともに反復作業をします。これがそのワークシート…

    ビジョンデベロップメントワークシート

     これがその穴埋め問題式のフォーム…

     現在、[カスタマーセグメント]が[行動や結果]したいとき、彼らは[現在のソリューショ ン] します。これは非常に耐えがたいことです、なぜなら [現時点でのソリューションの欠点]だからです。私たちは [課題が解決された世界]を望みます。私たちは[技術やアプローチの概要]で実現します。

    ステップ2:ビジョンとプロダクトストラテジーを結びつける

     このラディカルプロダクトモデルでは優れたプロダクトストラテジーのための4つの要素が定義されています。ペインポイント、デザイン、機能とロジスティックです。

    ペインポイントとは「誰のため?」と「彼らの痛みは何?」です。

    デザインとは「ユーザーが目にする最も重要なフィーチャーやコンポーネントは何ですか?」と「それはどのような感情をユーザーにもたらしますか?」という問いに答えるものです。

    機能とは「どのようにそのフィーチャーをユーザーに届けますか?」と「どのような技術、専門性、データ、パートナーシップや機能を開発する必要がありますか?」にあたります。

    ロジスティクスは「その製品はどのようにユーザーに届けられますか?」や「どのようにサポートしますか?」といったチャネルに関することです。

     これにより作業を明確にして優先順位をつけるためのロードマップが準備できます。

    RDCLストラテジーキャンバス

     Radical Productの作者はこのシートを定期的に見直すことを進めています。

    ステップ3:ビジョンに当てはめて優先順位を決める

     下にある2×2マトリックスを使ってどのニーズにチームがフォーカスすべきかを評価することができます。どれを無視して、どれを後回しにするか。ビジョンを基準としてフィルターすることで何が必要で何が不必要なのか優先順位を決めます。

    ビジョン/事業継続性テスト

    ビジョンのフィットと事業継続性から優先順位を決める

     資金が潤沢にあればビジョンに投資すべきです。投資家や顧客を説得できるのであれば特に。資金が足りない場合は「ビジョンの負債」を取ることもできます。しかし、「技術的負債」と同様にこの負債は将来的に返済する必要があります。

    難しいのはビジョンとフィットするけど事業継続性が低い場合や、ビジョンはフィットしないけどビジネスの心配をせずによく寝れる場合です 🙂 – Nidhi Aggarwal

    ステップ4:プロダクトビジョンを計測する

     実行は計測しなければいけません。優先順位がどのような結果を生むかを知る必要があります。計測することで改善ができます。残念ながら、ほとんどのプロダクトチームは顧客の価値や満足の結果に紐づかない自己満足の指標を使いつづけています。

     この最後のトピックはもっと詳細な説明を必要とするでしょう。このトピックに関してはNate WalkingshawのMind The ProductプレゼンテーションとDuttの製品分析と測定に関する考えを読むことを強くお勧めします。

    ここで紹介されているRDCLツールキットの日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

    この記事はFresh Tiled SoilのCEOであるRichard Banfield氏による”A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization“の翻訳です。

  • 正しいワークショップを行う11の秘訣

    正しいワークショップを行う11の秘訣

    Hyper Islandでのワークショップの様子 – Phil Hesketh, Thomas Anderson, Sydney Johnson, Josephine Hjort, kien, Manish KC, Renzo Vallejo

    原文:”How to do your workshop right – 11 tips & tricks” by Dan Nessler

     友達のために一度最高の料理を作ってもシェフにはなりません。毎晩同じ品質の料理を提供するには室の高い材料、技術、創造性、柔軟性、修練が必要です。レシピを心で理解しなければなりません。

     ワークショップの運営と進行も同じです。ワークショップの成功は幸運でもなければ参加者の好みでもありません。慎重な準備とエクスペリエンスのデザイン、ツールやデザイン、ルールと原則の遵守がワークショップを成功に導きます。

     ワークショップに参加して何回「なんで8時間もこんなことに無駄にしたんだ?いったい何がポイントだったんだ?」とワークショップをあとにしましたか?

     うまく実践するための技術、ルールやツールがある。いくつかは当たり前で初歩的に見える。それなのに、それを無視したり従わなかったりすることが多い。そこで、ここに11のよいワークショップの材料を改めて紹介します。

    正しいワークショップを行う11の秘訣

    1. 参加者を理解する

     プロダクトやサービスはユーザーにサービスを提供するもので、それはワークショップも同じです。エクスペリエンスとなにか使えるものを提供します。参加者はどんな人達なのか、ワークショップに関連するニーズとペインはなにか。それがワークショップで提供しなければいけないことです。

    2. 共通のビジョンとゴール

     誰かと自分の時間を浪費させることほど最悪なことはありません。だからやめましょう。なぜここに集まったのか最初に定義して合意しましょう。<>u明確なビジョンと測定できるゴール。それを参加者に提示してください。参加者とコレボレーションして合意するのもいいでしょう。これにより、ゴールに集中してワークショップの最後に結果を測定することができます。 チームキャンバスはビジョン、ゴール、価値、ルールと役割を決めることに役立ちます。

    Hinderling Volkartでのチームキャンバス

    3. しっかり構成してアジェンダを使う

     ゴールがわかっているのは素晴らしいですが、途中で迷ったり行き詰まったりしたくありません。分刻みで計画する必要はありませんが、トピックとマイルストーンは決めておきましょう。 しっかりとした構成は参加者が集中することを助け、方向性を持つことができます。以下が一般的な構成です。

    1. オンボーディング

    • あいさつとお互いの紹介 (アイスブレーク)
    • ワークショップのビジョン、ゴールとアジェンダ
    • ワークショップ中のルール

    2. ワークショップのキートピック

    • ワークショップの内容

    3. オフボーディング

    • ワークショップのまとめと達成したゴール
    • 次のステップとアクション
    • 振り返りとフィードバック

     アジェンダはワークショップ中は常に見えるようにしておきましょう(ホワイトボードに書くなど)。ポストイットを使ってアジェンダのアウトラインを表現することもできます。そうすることによって進行中でも柔軟に対応することができるようになります。終了するごとにポストイットを取り除くことで達成感を感じることもできます。

    Hinderling Volkartでのワークショップアジェンダ

     参加者とラフなアジェンダを事前に共有しておきましょう。そうすることで参加者も準備をしておくことができますし、透明性を確保することにもなります。

    4. アイスブレイクとエナジャイザー

     アイスブレークとエナジャイザーは参加者の参加を促してムードづくりをします。あまり親しみのないトピックスや参加者同士がはじめて顔を合わす場合に特に有効です。アイスブレークとエナジャイザーの方法はたくさんありますが、以下のリンクが役に立ちます:

    www.thebalance.com

    toolbox.hyperisland.com

     私が好きなアイスブレークは«phototelling»です。以下のリンクは私の好きなバージョンでコンテキストに合わせて調整してあります:

    hiteamweek.com

    Credits: Hyper Island, Teamweek, Thomas Boie Rasmussen, Anna Evans, Sydney Johnson, Letizia T Lodi

    5. ルールを決めてみんなの行動を決める

     ワークショップはグループがコラボレーションする場です。どのようにコラボレーションをするのか参加者の間で共通の理解があるようにしましょう。参加者が合意できるルールを決めるか、一緒に作りましょう。私はこれを使っています:

    ワークショップのルール(例)

     また、チームキャンバスはここでも役立ちます。

    theteamcanvas.com

    6. 振り返りとフィードバック

     ワークショップの終わりに何をして何を学んだのかをまとめることは重要です。これはワークショップの仕上げで、なぜそもそもここに集まったのかを測ることができます。コンテンツ、プロセス、個人的な観点から振り返りましょう。参加者も振り返りやフィードバックを共有してもらいましょう。参加者から学び改善することが重要です。更に、参加者に対する気遣い、個人的な関心や関わりの気持ちを伝えることになります。いくつかの素晴らし振り返りやフィードバックのやり方を以下に紹介します。

    Reflection:

    Hyper Island Toolbox

    Feedback:

    Hyper Island Toolbox

    7. 「パーキングロット」を用意する

    Hinderling Volkartの«Parking lot»

     これは私のお気に入りです。

     しっかりアジェンダを決めても細かい議論や脇道に大きく逸れてしまうことがあります。このようにゴールから大きく離れてしまいます。そんなときのために「パーキングロット」を用意しておきましょう。トピックから外れてワークショップでは話しきれない考え、質問、アイデアを書き留め、ワークショップの後でも忘れないようにするため。

    8. 休憩を取る

     休憩を随所で取ることは必要ですし、生産性も向上します。TED talksが18 – 20分で終わるのもそのためです。誰かが話をしているのに集中できるのが最大でそれくらいです。インプットのための話をする時間がワークショップではあります。話す時間はなるべく短くして、アクティビティや議論の間に細かく分けましょう。仕事でも同様です。「ワーク」ショップと言われる所以です。休憩を取りましょう。BufferがブログでPromodoroなどいろいろな休憩のとり方を紹介しています。

    open.buffer.com

    Credits: Buffer

    9. オフタイムの時間を作る

    ワークショップ中に参加者がメールに夢中でパソコンをずっと眺めてるっていう経験ありませんか?私たちはやることがたくさんあって、メールや電話などをする必要もあります。事前にオフタイムの時間を計画して、メールや電話ができるようにしましょう。この方法はGVデザインスプリントでも推奨されています。

    www.gv.com

    10. 軽食と飲み物を用意する

    ワークショップの間に「水飲みたい..」って思ったことありますよね。自分のワークショップではそのようなことをしてはいけません。参加者の水分と糖分補給に気を使いましょう。最低限、水とスナックを。ハングリーでアグリーな参加者はワークショップに必要ありません。

    11. 司会進行のための第三者を雇うことを考慮する

     ワークショップによっては第三者の進行役を検討することをオススメします。進行役の役目は時間管理をしたり、トピックから離れないようにしたり、課題を解決することでワークショップの目的を達成することです。第三者の進行役はチームがゴールに集中して結果を出すことを助けます。

    まとめ

     一つのレシピに固執しないようにしましょう。私が提示したのはレシピの一つでしかありません。このようなやり方は私には適しています。ワークショップだけでなく、レクチャーやカンファレンスでの発表でも。ここで紹介した原材料は私にとってはとてもいいベースです。自分で好きなものを選び、工夫しながら自分とオーディエンスにとって一番いい方法を見つけましょう。

    ここで紹介されている『チームキャンバス』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

    この記事はスイスのオンラインエージェンシーHinderling VolkartのUXディレクターDan Nessler氏による”How to do your workshop right – 11 tips & tricks“の翻訳です。

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  • スタンフォード大学でも使われている『共感マップ』のアップデート

    スタンフォード大学でも使われている『共感マップ』のアップデート

    原文:”Updated Empathy Map Canvas” by Dave Gray

     何年も前にXPLANEで共感マップをデザインしました。私たちがゲームストーミングと名付けた人間中心デザインツールキットの一部でした。

     共感マップは多くのチームが共感による人に対する深い理解を共有することに役立っています。顧客のエクスペリエンスを向上、社内政治の理解、より良い仕事環境など多くのプロジェクトで活用されています。

     共感マップは私たちのワイルドドリームを超えて成功しました。スタンフォード大学d.schoolのカリキュラムで採用され、ハーバードビジネスレビューでも掲載されました。IDEOの創設者であるDavid KelleyとビジネスパートナーTom Kelleyが「IDEOのリーダーからの3つの創造的チャレンジ」の一つにも選ばれました。

    なんでアップデート?

     共感マップが作られ数年経ちますが、その間に多くのバージョンが現れました。共感マップは共感を育むためのエクササイズを補完するフレームワークとして特定のアイデアを元にデザインされています。共感マップの成功はエキサイティングであり、非常に喜ばしいことですが、数年に渡る様々な解釈の中で失われたものもあります。また、Webで展開されているいくつかのバージョンはオリジナルからダウングレードされています。

     最近では、ビジネスモデル・キャンバスのデザイナーのAlex Osterwalderと協力してCulture Mapという組織文化をマッピングするための新しいツールを開発しました。その過程で私はキャンバスデザインについて多くのことを学びました。

    そこで『共感マップ』の新しいバージョンを作ることにしました。Alexから学んだことを活かしてより使いやすく、より良いエクスペリエンスと成果を目指しました。

    アップデートの内容

    1. チームが活動のコンテキストと目的を明確にするためゴールを組み入れました。このゴールはWhoDoのエクササイズでも明確にすることができます。
    2. 活動の流れをより明示的にするためにセクションに番号を加えました。 流れの説明は後ほど説明します。
    3. 「考えると感じる」のセクションを頭の中心に置きました。これのより観察できる外の現象と 観察が難しい内面を区別しやすくなります。また外側にあった「痛みとメリット」も頭の中に移動しました。
    4. チームがエクササイズに入りやすくするためのいくつかの思考準備の質問を追加しました。

    使い方

    1. ゴールからはじめましょう。「誰」が共感マップの主人公で、あなたは「何」をしてほしいのか。これは新しい観察可能な行動から形作られる必要があります。
    2. ゴールを明確にしたら、キャンバスを時計回りで作業していきましょう。「見る」「言う」「やる」「聞く」の順番です。観察可能な現象(目に見えるもの、聞くもの)に集中することによりその対象に深く共感できるようになります。彼らの経験がどのようなものか想像する機会となり、「彼らのように感じる」感覚に近づきます。
    3. 外側の要素を埋めてから、頭の中の動きにフォーカスしはじめます。多くの共感マップは頭の外側に「考えてること、感じていること」を置いて、あまり書き込む余地がないことに気づきました。真ん中の大きな頭はこのマップデザインの最も重要な側面の1つです。実際に最初の名前は「The Big Head」でした。なぜなら、もともとのコンセプトはその人が何を感じて何を考えているか知ることだからです。そして、それは今も変わりません。
    4. もしプロダクト、サービス、またはカスタマーエクスペリエンスをデザインしている立場であれば、共感マップは価値のデザインにとても良いインプットになります。価値のデザインはAlexのもうひとつのツールであるValue Proposition Canvasが使えます。

     この新しい『共感マップ』テンプレートを使用すると何が起こるかについてフィードバックを聞きたいと思っています。このようなツールは、ユーザーのフィードバックの共有からのみ改善されます。このツールを試して、どのように機能しているのか、どのように改善できるか教えてください。 コメントであなたの考えやフィードバックを共有してください。

     このアップデートされた『共感マップ』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

     カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

     『共感マップ』日本語版はXPLANE社の許可を得て配布しています。この記事はXPLANE創業者Dave Gray氏による”Updated Empathy Map Canvas“の翻訳です。

  • エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    クレジット:E-residentのPeter Kentieさんが寄贈してくれたイラスト

    原文:”We’re planning to launch estcoin — and that’s only the start” by Kaspar Korjus

     エストニアはe-Resideincyが世界の起業家が信頼できるICOを実施するときのベストな選択肢であることを目指しています。そして三種類の暗号化トークン「エストコイン」を検討しています。

     スタートアップの世界はICOによって大きく変わろうとしています。

     株式を提供する代わりに、ブロックチェーンをベースとした暗号コインを発行して世界各国の投資家から資金を調達しています。

     アメリカ、シンガポールとスイスがICOを実施する上で起業家が検討する国としてリードしています。一方で各国政府はどのようにICOを規制するのかを検討しています。起業家にとっても投資家にとっても不幸なことに、ICOは法律上はグレーなエリアで実行しなければいけませんし、透明性と信頼性の問題によりこのイノベーションの歯止めがかかっています。

    解説

    ICOのトークンには二つの考え方があります。一つは「利用料」としてのトークン。もう一つは「証券」としてのトークンです。資金調達をする企業は「利用料」としてのトークンと位置づけることが多いように思われます。これは「証券」としてのトークンは法整備が整っていないからですし、「証券」の発行には大きな責任が伴うからです。

     それにもかかわらず、ICOを通じた資金調達金額はベンチャーキャピタルからの資金調達を上回っています。しかし、資金調達はICOの一面に過ぎません。スタートアップが発行した暗号化トークンに投資している人たちのインセンティブは開発の支援というオンラインコミュニティーに近いものがあります。

     エストニアの仮想住民プログラムであるe-Residencyも急速に成長しているスタートアップです。政府のスタートアップであるにも関わらずです。それは仮想住民からのフィードバックにより絶え間なく改善されているからです。そして商業セクターのベストプラクティスも取り入れています。私たちは急速に成長するコミュニティーを持ち、そのコミュニティーはe-Residencyプログラムからどのように価値を最大化できるのかを常に探しています。

     そこで、2017年8月にe-Residencyブログを通じて「エストニアのようの国がICOを通じて自らの暗号化トークンを発行したらどうなるか」を聞きました。その時につけた暗号化トークンのニックネームが「エストコイン」でした。e-Residencyがプラットフォームを通じてどのように「エストコイン」をグローバルで流通させ交換させるのかを説明しました。誰でも登録できるデジタルIDがあるからです。

     この記事はすぐにバズりました。世界中のメディアで取り上げられました。世界で2億人くらいの人がこの記事を読んだと推定しています。

     多くの人がこのアイデアに熱狂して「エストコイン」のあり方について意見を書きました。そして多くの人は批判的でe-Residencyプログラムのマーケティングスタントでしかないのではないかと推測しました。

     私たちはアイデアを閉じたドアの奥で作ることができますが、e-Residencyを作り上げる上でオープンポリシーは常にベストでした。できる限り早い時期からオープンに議論をはじめる。それによりアイデアを改良することができ、どのようなサポートが必要なのかも理解できます。サポートする人も批判する人も貴重です。

     暗号化コミュニティーは政府のこのような介入に一番批判的なのではと最初は予想していました。しかし、実際は違っていました。クリプトワールドの起業家も投資家も熱狂的に興味を持ち、アイデアを受け入れているようでした。反面、伝統的な組織は一番批判的でした。欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギも懸念を表明しました。

    qz.com

    「エストコイン」に対する多くの批判はエストニアが仮想通貨を発行したくてもできないことです。エストニアの唯一の通貨はユーロであり、これは私たちが誇りとするEUのメンバーの必須条件だからです。誰もそれを変えるつもりはありません。

     ですから私たちは「エストコイン」を暗号化トークンとしています。

     政府は暗号化トークンが通貨として利用できることによる破壊的なインパクトも考慮する必要があります。暗号化トークンは世界的に価値を交換するもっと効果的な方法だからです。しかし、暗号化トークンは通貨としての利用よりもさらに大きな重要性があり、必ずしもそのカテゴリーに押しとどめるべきものではありません。

     エストニアの観点から見ると、「エストコイン」はデジタル国家を開発するための世界的資金調達をする手段を提示しています。そして、e-Residencyを通じて起業するスタートアップを増やすという目的を達成するため仮想住民のインセンティブとしてトークンをデザインしたいと考えています。

     仮想住民によるビジネスはエストニア経済に前向きなインパクトをすでにもたらしています。2017年12月に発行されたDeloitteよる独立したレポートによると最初の三年間でエストニアは1億4400万ユーロを回収し、2025年には18億ユーロになると予想しています。これは1ユーロの投資に対して100ユーロを回収することになります。私たちは仮想住民たちに価値を提供し続けることによってのみそれを達成することができます。

    「エストコイン」の目的はそれを加速することです。そしてデジタル国家の開発のため追加の投資と利息を活用します。

     それでも疑問は残ります。「エストコイン」はコインを持つ人のどのような課題を解決するのか?「課題を探すソリューション」これもよくある批判でした。提案が発表されてからオーディエンスに「エストコインを買うのに興味があるか」を聞き、答えは「イエス」でした。どうして「イエス」なのかは自分でもまだ明確ではないにも関わらず。

     驚くかもしれませんが、私たちは「エストコイン」が「課題を探すソリューション」であることを完全に認めます。そして、それは必ずしも悪いことではありません。

     e-Residencyも立ち上げ時は「課題を探すソリューション」でした。このソリューションは世界中の誰でもエストニアのデジタルIDの申請ができ、エストニアのデジタル公共サービスを受けられるというものでした。しかし、最初の仮想住民たちはそれがどのような問題を解決するのかも確かではないにも関わらずに申し込みました。

     三年後に3万人の仮想住民申請を通じて私たちはe-Residencyが解決する課題について理解を深めました。世界的な起業の民主化と地域に縛られない働き方の推進です。エストニアの仮想住人に関してはここで詳しく読めますし、どのような課題を解決してきたのかはこのビデオ広告でも紹介しています。

    「エストコイン」の提案をしてから私たちは世界中のフィードバックに慎重に耳を傾けてきました。そしてどのように構築するかだけでなく、どうして人々がそれを欲するか理解を深めてきました。

     その概要を説明する前に、「エストコイン」のビジョンを実現するためにまず何をしなければいけないのかを説明します。私たちはe-ResidencyをグローバルでICOを実施するベストのオプションとしなければなりません。

    信頼できるe-ResidencyのICO

     ブロックチェーン技術は世界を二つに分けました。一つは政府や伝統的な機関でもう一つはクリプトコミュニティー。両方とも相手には将来がないというフリをします。

     多くの場合、真実はどこか真ん中にあり、分断も元に戻ります。暗号化を取り込まなければ政府は経済成長の原動力を手放し、妥当性すら失う危険があります。公共の監視を取り込まなければ、まともなクリプト投資家も偽物投資家によって変質してしまい、トークンの価値にも疑問符がつきます。

     リスクとその複雑さに関してはアメリカ証券取引委員会が暗号化通貨とICOに関する包括的な声明が読むに値します。

     私たちはブロックチェーンが非常に強力な破壊的なソリューションになりつつあることを認識する必要があります。そして、公共機関は全ての人の利益のためにできる役割があります。伝統的な派閥と暗号化の派閥。二つに分かれた派閥は平和的な合意に達する必要があります。

     それこそがエストニアで起ころうとしていることです。「エストコイン」の提案が発表されてから私はエストニア議会内で公共機関と商業セクターの代表者、クリプト起業家、世界中のハッカーを集めたキックオフを開催しました。この会議にはe-Residencyプログラムのチームメンバーと諮問委員、エストニア財務大臣、議員、エストニア中央銀行、ICOを実施している企業とそのアドバイスをしている法律事務所が参加しました。

    エストニア議会でのキックオフ

     私は特に遠くからエストニアに足を運んでくれたTrent McConaghy、Anish MohammedとBruce Ponに感謝します。

     私たちはエストニアがどのように取り組むかを理解するための膨大な作業を始めました。どのように正当な起業家を支援してデジタル国家として成長できるのか。同時に公共の利益を守り、国家とビジネス環境に対するリスクを軽減できるのか。

     私たちは他の国々でのベストプラクティスから学ぼうとし、エストニアのユニークさを活かしてさらに先に進むための方法を探りました。これ以来、私たちは継続して一緒に働き、定期的に意見の交換をしました。

     理解できる注意深い理由でエストニアは暗号化に対して友好的な国家とは言えませんでした。しかし、驚くべきことに最初に私たちが発見したのはエストニアはすでにクリプト起業家にとって絶好のビジネス環境だということです。100%オンラインのクロスボーダーマネージメントから分配されない利益に対する0%の法人税まで。

     さらに私たちの安全なデジタルIDはKYC(Know Your Customer|顧客の身元証明)の一部として利用できます。企業は投資家と起業家の両方の身元証明のために多大なコストと時間をかけています。投資家がキーを忘れて暗号化トークンにアクセスできなくなったという話はよく聞きます。このようなことは政府が保証しているデジタルIDがウォレットと紐づいている仮想住民には起こりません。

     実際に多くの企業がe-Residencyを通じてエストニアでICOの準備をしています。また、すでにe-ResidencyをKYCのプロセスに組み込もうと模索しています。

     ICO現象が成長し続けると、ICOにとって「天国」とされる国が出てくるでしょう。しかし、私たちは現在のICOに懸念を持ち、どのようなICOでも誘致したいわけではありません。未成熟な行動や資金の行き先の不透明性ですでに多くの投資家が失意によって離れていきました。また多くのICOは実際には関わりのない有名人や組織の名前に頼っていたりもします。暗号化トークンに関するe-Residencyやエストニア自体の告知はこのブログで詳細に説明することを覚えておいてください。

     現実はほとんどのICOに私達が望むような標準はありません。

     更に暗号化トークンの価値は現在は非常に揮発性が高くビットコインを含めその他の大幅な価格上昇は近い将来急速な冷え込みも考えられます。多くのアナリストは現在の暗号化市場と90年代のドットコムバブルの類似性を指摘しています。ドットコムバブルは崩壊しましたが、損背景にある基礎的な技術(インターネット)はなくならず、多くの可能性を切り開き世界を変えました。同じことが暗号化でも起きるでしょう、たとえそのバブルが崩壊しても。

     人々が最終的に求めているのは信頼を背景とした本当の価値です。信頼はe-Residencyの価値の一つです。政府に保証された安全なデジタルIDsそれを活用したオープンで透明性の高いビジネス環境があります。これが私たちが信頼のあるICOの誘致にフォーカスする理由です。

     ではどうやって信頼あるICOをe-Residencyを通じてサポートするのか?

     最も明白なソリューションは法律を変えることです。エストニアは仮想住民の起業家を支援するためやこれから成長する産業を支援するために法律を改定する意志があります。例えば、エストニアはヨーロッパの中で配達ロボットとライドシェアを合法にした最初の国です。さらに人工知能の法律の枠組みに関しても議論をしています。

     しかし、ソリューションを探すために必ずしも法の力が必要なわけではありません。さらに、多くの複雑さがあり、その中にはEUの枠組みで取り組まなければいけないものもあります。

     これらの議論は現在進行中です。しかし、私たちが最初にやらなければいけないことははっきりしています。規制された環境下において合法的に責任のあるICOを立ち上げるための明確なガイドラインを出すことです。

     e-Residencyは積極的に責任のあるICOを支援したいと考えています。私たちは国家としてその組織のICOをバックアップすることはできませんが、e-Residencyを通じたICOでの信頼性を高めるたるのガイドラインを提供することができます。そのガイドラインには投資家により高い信頼性と透明性を確保するためのベストプラクティスが含まれます。

     私たちは現在ガイドララインを作成中です。何がガイドラインに加わるべきかフィードバックをください。例えば暗号化トークンの分類や、どのような法律に従わなければいけないのか、どのようなベストプラクティスに従わなければいけないのかなどをガイドラインに含める予定です。こうすることによって投資家は投資がどのように使われているかをトラッキングすることができます。

     最もトリッキーなICOに関わる課題はトークンの分類です。トークンは証券なのか、利用料なのか。私たちのガイドラインは両方を取り組まなければいけません。起業家が自分のニーズに合わせて正しい分類のトークンを選べるようにしなければいけません。ある責任を避けるようにICOのトークンを構成するのではなく。私たちは起業家の暗号化トークンが「証券」とラベルづけされる事に慎重なことを認識しています。しかし、これは投資家からのより高い信頼を得られる方法です。私たちは大胆に起業家が証券としてのトークンをもっと実施しやすいビジネス環境を支援していきたいと考えています。

    「エストコイン」の提案が発表されてからe-Residencyの申請が跳ね上がりました。多くはICOへの投資が目的だと理解しています。つまり、e-Residencyを通じてデジタルIDとリンクした形でICOを実施することは成長しつつある投資家のコミュニティーへのアクセスのコスト、時間と手間が軽減される事を意味しています。

     多くの仮想住民はすでに投資目的でこのプログラムを利用しています。しかし、私たちの長期的な目標は投資家と起業家のコミュニティーによる規模の経済を実現する事です。

     商業セクターも起業家と投資家を支援する重要な役割があります。例えば金融や弁護士サービスです。もしこれを読んでいて支援できるとお考えであれば私たちのチーム(e-resident [at] gov.ee)にコンタクトしてください。

     私たちの目標はエストニアが信頼あるICOの世界でのベストオプションとなる事です。それは公共と商業セクターが協力してe-Residencyや透明性の高いビジネス環境といったエストニアのユニークな特色を活用することで実現します。エストニアはエンジニアたちがSkypeを開発することによって通信の中間業者を取り除いて以来、ビジネスの技術革新の最前線にいます。私たちはブロックチェーン、暗号トークン、安全なデジタルIDによって証券の中間業者を取り除くことができる機会に直面しています。これによりe-Residencyを通じて世界規模で真に分散化されたP2Pの証券取引を実現することができます。

    エストコインはどのようなものになるのか?

     公共と商業セクターの議論の中で私たちはエストニアの暗号化トークンがどのように機能しするか世界中からのフィードバックに基づいて審議しています。

     このプロジェクトの当初のニックネームは「エストコイン」でしたが、エストコインという名前は急速にグローバルブランドとなりましたので現在でもそのまま使っています。

     私たちはデジタル国家にとって、利用者にとって有効なエストコインを一つだけではなく、三種類を特定しました。三種類全て実行可能で欧州中央銀行に警戒心を抱かせるものではありません。

     私たちは批判にも関わらずエストコインの準備を進めるのではなく、批判に感謝をして進めます。批判によってどのように推進すべきか理解できたからです。

     一つまたはそれ以上のエストコインが複数の目的を実現するために実行される可能性があります。

     以下がそれぞれのエストコインの背景です。

    1. コミュニティーエストコイン

     暗号化トークンの強みの一つは行動に対してインセンティブを与えることです。トークンの保持者はコミュニティーの成長から恩恵を受けます。

     Ehtereumの創業者であるVitalik Buterinに私たちのアイデアの概要を発表まえに共有したのですが、これはその時に特に強調されたポイントです。以下がその引用です。

    e-Residencyエコシステム内でのICOは仮想住民とファンドを同じ方向性に向かせる強いインセンティブを作り上げます。共同にできることが多いため、経済的な側面を超えたコミュニティーへの帰属意識を高めます。

     コミュニティーエストコインは世界中の人たちが仮想住民として参加することにインセンティブを与え、e-Residencyの価値を引き出すことで新しいデジタル国家の成長に寄与すると考えられます。これには投資家や起業家がe-ResidencyをICOのプラットフォームとして活用することも含みます。

     すでに多くの仮想住民が様々なやり方でデジタル国家の成長にボランティアとして貢献してくれています。彼らの経験をコンテンツとして共有したり、他の人をプログラムに紹介してくれたりしてくれています。しかし、私たちはその貢献にどのようにリワードを提供したり支援できるか分かりませんでした。

     更に仮想住民の最も価値のある活動の一つはお互いのビジネスや実際のエストニア国民とのビジネスの活性化です。つまり、e-Residencyは公共サービスへのアクセスだけでなく、成長する価値あるコミュニティーに参加することによって事業を拡大することです。

     幸いに私たちはすでにコミュニティープラットフォームがあります。そこでエストコインがプラットフォームの「利用料」として価値のあるものとして、コミュニティーの成長に貢献した参加者には自動的に発行される仕組みが考えられます。

     例えばe-ResidencyのWebサイトにトラフィックを送り、実際に新しく仮想住民が増えた場合に、その仮想住民にはエストコインが発行されるなどです。またコミュニティー内でクラウドソーシングのような仕組みを作ったりが考えられます。

     エストコインはネットワーク効果でプラットフォームの成長を可能にしますが、調達された資金はこのプラットフォームのさらなる開発やエストニアでビジネスをする企業への再投資にも活用できます。

     私たちは商業セクターからの参加も求めています。商業セクターはeResidencyエコシステムで重要な役割を担っています。会計処理やバンキング、バーチャルオフィスなどのサービスをエストコインで利用できるようにしたいと考えています。仮想住民に対して様々なサービスを提供する企業があり、エストコインの交換も奨励していきたいです。

     実際にコミュニティーエストコイン立ち上げのための国家的ICOには公共と商業セクターのパートナーシップが必要です。単一組織がトークンとファンドの分配を管理すべきではないからです。

     最初のフォーカスは「利用料」としてのエストコインですが、e-Residencyの開発によってデジタル国家の成長の恩恵をエストコイン保持者が受けることも重要です。つまりコミュニティーエストコインは最終的には伝統的/暗号の双方の交換所でオープンに取引されることを意味します。実際には投機家を抑制するためにロックアップ期間が必要となるでしょう。エストコインの保持者はデジタル国家の長期的な成長から恩恵が受けられるようになります。

     透明性は仮想住民やその企業だけでなく、プログラム自体にとっても重要です。つまりエストコインの供給量について明確にしなければいけません。どのような法律の元でどのような利用ができるのか。ブロックチェーンのフェデレーションがエストニア政府と独立組織のネットワークのリーダーシップを提供するために必要となるでしょう。

     このような暗号化トークンの利用は多くの人たちが自律して全ての人たちのために協力しながら働く役に立つでしょう。私たちはすでに仮想住民がお互いにつながりビジネスをともに加速していきたいということを理解しています。またここ数ヶ月の間、エストコインを得たい人が増えていることも理解しています。

     e-Residencyプログラムはデジタルスタートアップとして国全体をオンラインでスケールアップするというこれまで誰もなし得なかったことを行っています。これは仮想住民へのメリットが高まるにつれて加速的に進行しています。コミュニティーエストコインはこれをさらに加速するメカニズムとなります。コミュニティーに参加する価値を高め、成長を助ける人たちにリワードを提供することにより全体のサービスを劇的に改善することになります。

    2. IDエストコイン

     エストニアのデジタル国家の中心(そしてe-Residencyプログラムの中心)は政府が提供する安全なデジタルIDです。

     これはデジタルIDでも世界をリードするイニシアティブです。しかし最先端でい続けるためにはそれを支える技術を継続的に改善していく必要があります。エストニアはすでにいろんな意味でブロックチェーン国家と言えます。ではブロックチェーンを活用してIDをトークン化してみてはどうでしょうか。

     このモデルにおいてエストコインはデジタル社会の中で利用されるブロックチェーンベースのトークンとなります。例えばデジタル署名、サービス利用のためのログイン、スマートコントラクトの実行などです。

     エストニア国民と仮想住民はデジタルIDに紐づく一定量のトークンを得ることができ、必要な時にはその量を増やすことができます。たとえこのIDトークンが購入されたとしてもエストニアの売り上げとはなりません。ネットワークの維持に利用されます。実際にこの提案によって全ての人はコストを抑えることができるようになります。

     このIDエストコインとコミュニティーエストコインの大きな違いはここです。IDエストコインは身分証明の一部なので取引したり売ることはできません。実際にe-Residencyプログラムが成長して人の数が増えればIDエストコインの価値は下がります。これは時間とともに取引コストが下がることを意味し、規模の経済に寄与します。

     すべの人が望むものではないかもしれませんが、この仕組みは私たちのビジネス環境にさらなる透明性をもたらします。しかしこの透明性は多くの人が仮想住民になることを選ぶ理由の一つです。透明性は仮想住民がグローバルでビジネス展開をするための信頼の源泉となります。実際にこのIDエストコインモデルはエストニア警察や国境警備隊がある状況下において法律違反を犯した仮想住民からトークンを取り上げることにも利用できます。

     なぜエストニア国民や仮想住民はこのIDエストコインを推進したいのでしょうか?

     IDエストコインにより現在デジタル国家を運営するために使われている技術をなくすことができ、そのコストも削減することが出来ます。

     エストニア国民と仮想住民はこの低コストの恩恵を受けるだけでなく、デジタルIDを利用してさらに簡単にサービスを受けることが出来ます。

     例えば、私たちは最近デジタルIDカードの証明書に関する問題があり、停止する必要がありました。実際にハッキングされた形跡はなく、新しい証明書もすぐにダウンロードできるようになりました。しかし、スムーズなプロセスとは言えませんでした。このケースを通じてデジタル国家はIDサービスがスムーズに機能し統合するために商業セクターに大きく依存していることがわかりました。

     対照的にIDエストコインはどのようなデバイスでも機能し、アップデートは必要ありません。

     エストニアにとってこれはデジタルインフラの信頼性、安全性、透明性の劇的な向上につながります。そして国をもっと効果的にスケールアップすることを可能にします。エストニア政府の様々な部門はe-Residencyの利益のためにハードに働いています。国境警備隊がIDカードを発行し、各国の大使館に届けます。そしてIDカードを手渡すために対面の面談をします。

     しかし、もし私たちが改善して遠隔地からのデジタルIDの認証を合法化したら仮想住民はオンラインですぐにデジタル国家に参加することができるようになります。カードが承認され配達され、自ら取りに行く必要は無くなります。

     IDエストコインの実現は私たちのデジタル国家が未来に備えることとなり、技術と法律が進化に対応することができるようになります。

    3. ユーロエストコイン

     ここまで価値が上がったり下がったりするエストコインのモデルを見てきましたが、単純にユーロと紐づいたエストコインを発行したとしたらどうでしょうか?これがユーロエストコインです。

     私たちはユーロの代替通貨を発行することはありません。しかし、e-Residencyコミュニティー内だけで使える暗号化の分散化の利点と安定して信頼ある認可された通貨の組み合わせの可能性はあります。

     ユーロエストコインと実際の金銭の交換には銀行が必要となります。しかし取引は独立してブロックチェーン上で行われます。つまりグローバルにある無料のコミュニティーベースの交換所で交換がされることになります。必要なのはデジタルウォレットと政府がユーロエスタコインを1ユーロで買い戻すという政府のコミットメントです。

     もしe-Residencyのプログラムチームが15人の小さなコミュニティーだとします。そして誕生日でどのようにユーロエストコインが機能するのかみましょう。メンバーの誕生日に私たちは一人につき10ユーロを使います。つまり一回につき13回の支払いが発生します*1。支払いには銀行で40ユーロセントかかります*2。つまり隠れた支払いコストは5ユーロ以上になりますし、プロセスにも時間がかかります。しかし、この価値は私たちの間で回るだけです。デジタルで処理したいからというだけで銀行の関与が必要あるでしょうか?普段の生活は銀行のネットワークなしで動いた方が早く効率的です。

     では次に日々国境をまたがり交流を続けている仮想住民コミュニティーの複雑さをみてみましょう。仮想住民は世界の住民で、世界中どこでもビジネスができるのが成長の要因の一つです。仮想住民コミュニティー内のユーロエストコインはグローバルの価値交換を可能にし、仮想住民とエストニア国民の間のビジネスを活性化します。

     e-Residencyコミュニティー内のユーロエストコインの運用はビデオゲームなどのオンライン世界でのトークンの運用と似ています。仮想住民はユーロエストコインを購入してそのほかの仮想住民と価値交換をすることができ、必要であれば銀行取引と納税義務に準拠して現金化することもできます。大きな違いは仮想住民はゲームのためにトークンを利用しないということです。仮想住民が得られるのは他の仮想住民との簡単なグローバル取引です。

    新しいデジタル国家に参加しましょう

     私たちはブロックチェーンを通じたトークン国家は今後の地球にとって重要だと認識しています。さらにICOはスタートアップの成長のあり方を大きく変えようとしています。しかし、信頼と合法性の問題は解決されないといけません。私たちは同時に提案されたエストコインに需要があり、エストコインは仮想住民コミュニティーを大きく成長する可能性があることを理解しています。

     私たちは引き続きこの提案をエストニアの公共と商業の両セクター、暗号化起業家、投資家、世界のパートナーとなる可能性のある組織とともに改善していきます。

     以前にe-Residencyのビジョンに書いたとおり、私たちは人類の歴史の中で非常に短い地政学の境界線に閉じ込められた機会の中で生きています。今は国家は生まれた場所で私たちに割り当てられ、多くの場合はそのままです。このランダムな人口の割り当てが何よりも大きく私たちの機会の大きさを握っています。

     しかし、変化は近づいています。暗号トークン化は私たちが行動するかどうかに関わらず世界の性質を変えます。だから私たちがリードする必要があり、それはすでにエストニアで起きています。私たちは新しいデジタル国家の構築と世界中の起業の民主化という全体の目標にフォーカスし続けます。

    私たちのe-Residencyのビジョンはこちらから。

    medium.com

     エストコインの提案に考えや、応援や、批判をくださった方々に感謝します。全ての人が改善に貢献し、私たちを前に進めています。新しい年にさらにアップデートをすることを楽しみにしています。

     e-Residencyから申請することで私たちのデジタル国家に参加することができます。もしプログラムを利用してEU圏内でEUの企業を立ち上げに興味があればこちらで詳しく説明しています。

    medium.com

    解説

    前回に紹介したアメリカ証券取引委員会とはうって変わって前のめりな姿勢のエストニアです。アメリカや日本のように歴史(レガシー)がないのがエストニアの強みですね。ソ連から離脱して国連に加盟したのが1991年、NATOとEUに参加したのが2004年ですから。

    アメリカやエストニアではICOで発行されるトークンを「証券」としてみなす方向に進んでいます。現時点でエストニアは最もICOに関して最も積極的に取り組んでいる政府と言えるでしょう。エストニアが中央管理の世界と分散管理の世界と二つに分かれた世界を調和させることができるのか、世界が見守っています。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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    www.catapultsuplex.com

    *1:14回の気がするのですがオリジナルは13回と書いてあるので…

    *2:ヨーロッパではデビットカードの利用が多いのでその利用料なのでしょう

  • アメリカ政府機関が使っているデザイン手法を集めた『18Fメソッドカード』日本語版

    アメリカ政府機関が使っているデザイン手法を集めた『18Fメソッドカード』日本語版

    大規模デザインシステムを作る:いかにしてアメリカ連邦政府のデザインシステムを作り上げたか」という記事を以前に書きました。これがカタパルトスープレックス最初の翻訳記事でした。

     この取り組みは米連邦政府一般調達局の部門の一つである18Fという組織が中心となっています。そして、その18Fが自分たちで使っているデザイン手法を集めたのが18F Method Cardsです。今回はこのアメリカ政府のデザインチームが利用しているメソッドカードの日本語版を新しくはじめた「カタパルトスープレックスデザイン」で公開しました。

     このメソッドカードを翻訳していると「あ、この場面はこのメソッドを使ってるんだなあ」というのがはっきりとわかります。改めてメソッドカードを眺めながら記事を読んでみると面白いかもしれません。

     このメソッドカードも以前の記事で紹介しているのですが、多くが英語というのが難点でした。メソッドカードに書いてあるやり方を何回かやるうちに、自分のスタイルみたいなものができてきます。あまり詳しいやり方を読んでその通りにやるよりも、これくらいの粒度で試行錯誤しながらやったほうが最終的には身につくと思います。

    ここで紹介されている『18Fメソッドカード』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

  • GoogleでGmailを作り、Facebookの「いいね」を作ったポール・ブックハイトが語るスタートアップ

    Paul Buchheit, Fueled by Brawndo

     ポール・ブックハイトはGoogleの23番目の社員でGmailを作ったり、AdSenseのプロトタイプを作った人。Googleの有名なスローガン“Don’t be evil.”も彼の発案。Googleの後、2007年にブレット・テイラー達とFriendfeedを起業。2009年にFacebookに買収される。これがFacebookの「いいね」ボタンとなる。

     すげー!GoogleとFacebookの両方で重要なイノベーションに貢献した人ですよ!

     そんな彼の貴重なインタビューがTwenty Minute VCのポッドキャストで上げられてましたので、要点だけまとめてご紹介します。

    GoogleからY Combinatorへの関わり

    • 学生時代の90年代オハイオにはスタートアップはなかった。だからカリフォルニアに行った。カレッジを卒業してインテルに入った。でもあまり面白くなかった。全てのシステムをLinuxで作っているスタートアップがあったから、そこに入った。そこがGoogleになった。23番目の社員。
    • Googleが大きくなってもスタートアップに興味を持ち続けた。Y Combinatorのやっていることにとても興味があってメールを送った。「なんか手伝えない?」って(笑)
    • Y Combinatorのセカンドバッチから参加した。6回目のバッチで初めてエンジェル投資家としてWufooに投資した。Y Combinatorのポール・グラハムやジェシカ・リビングストンは常に起業家の側に立って考えて行動する。これはずっと変わっていない。そして小さなプロダクトに見えてもその将来のポテンシャルを見極める力がすごい。

    Gmail誕生秘話(プロダクトとカスタマー)

    • すでに既存プレイヤーがいる分野は一見するとすごく大変。Gmailの時もすでにHotmailやYahoo Mailが先行していた。ラリー・ペイジにメールシステムを作ってくれと言われた時も「マイクロソフトなんて数百人がメールシステム作ってるんだよ?マジで?」と答えた。そしたら「だから勝てるんだよ!」だって(笑)
    • 実際にローンチの時ですらGmailのチームは十二人くらい。スタートアップのようにリソースに限りがあるチームはどこかに集中しなければいけない。例え小さな規模のユーザーでもめっちゃくちゃ愛してくれるようなプロダクトにしないといけない。これが「ディープアピール」の意味。ユーザーの深くまでアピールできれば時間をかけてその輪を広げ、もっと多くのユーザーにアピールができるようになる。
    • 多くの失敗は全ての人にアピールしようとすること。ゼロから作り上げる場合、それは不可能。Gmailの最初のゴールは100人のハッピーユーザーを獲得することだった。使ってる人に電話したよ。「Gmail使ってハッピーですか?」って。そしてハッピーじゃないユーザーのところに行ってその原因を知ろうとした(この教えはAirbnbにも受け継がれます)。
    • ある人はOutlookの機能が全部欲しいと言った。君をすぐにハッピーにできそうもないなあとあきらめる。でも、ある人は一つか二つの機能を追加すればハッピーになってくれる。それならできる。そういうのを積み上げていった。もちろん、ローンチの時に全てのユーザーがハッピーだったわけではない。それでもそれなりの数のユーザーが興奮してくれて、eBayでGmail招待状が取引されたりした。

    マーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジが持つ起業家としての資質

    • 発明をすることはハックすることと同義であることが多い。その時は悪いアイデアだと思うことも、時代が変われば正しいことになる。振り返ってみれば自然な選択でも、当時はそうではない。例えばGmailは全てをJavaScriptで作ると決めた。当時は反対する人がたくさんいた。ブラウザーが落ちるからと。実際にJavaScriptが原因でよくブラウザーは落ちた。でも十分なハッキングと実験で落ちないようになった。ブラウザーも成熟して今では当たり前になった。
    • 成功する起業家を見極めるのは難しい。でも、マーク・ザッカーバーグやラリー・ペイジに共通しているのは普通の人には持ち得ない強烈な信念。普通の人にとってはほとんど現実的ではない世界観を持っている。これはイーロン・マスクもそうだよね。彼ら以外の全てが「お前は間違ってる」と言っても、彼らは「いや、間違ってないね」と言える。普通の人はこう言った社会的な圧力に屈してしまう。
    • 信念を持つのは頑迷なこととは違う。戦術や手段に執着するのは頑迷さの表れ。正面玄関が開かない、勝手口も開かない。なら窓を破ってしまえばいい。やり方は見つければいい。一つのやり方に固執するのは頑迷さ。

    スタートアップへのアドバイス

    • メンターとしてスタートアップにアドバイスをする時はバカみたいに単純な解決策を提案する。これちょっとやってみない?って。大抵それって最悪の解決策なんだ。それでもやってみれば何かを学べる。大抵の人はすごく複雑な解決策があると思っている。でもそうじゃない。直近の課題を解決するシンプルな解決策が必要なんだ。
    • 一番危険なのはマーケットから離れること。必ずマーケットからフィードバックを受けなければいけない。
    • 一番最近にエンジェル投資家として投資したのは「害毒のないソーシャルネットワーク」と言えるもの。FrendFeedでFacebookの「いいね」ボタンとなるものをブレット達と開発したけど(ほとんどブレットだけど)、それがいい発明だったのかはまだわかってない。もちろん悪いものではないけど、ソーシャルネットワークの根本を変えるには至っていない。今のソーシャルネットワークでは他人を攻撃をした方が役に立つことを言うより目立つしクレジットが上がる。

    翻訳:カタパルトスープレックスなかむらかずや

    soundcloud.com

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  • 書評|シェアリング経済以降の新しい地図「WTF」Tim O’Reilly

    Tim O'Reilly (3)

    “WTF”の著者、Tim O’Reilly氏

     インターネットで世の中が大きく変わり、変わり続けています。時代が変わると地図も変わります。コンピューターの時代はIBMがエコシステムの中心でした。パソコンの時代はマイクロソフトがエコシステムの中心でした。さらにオープンソースが地図を書き換え、GoogleやFacebookがさらにその地図を書き換えました。そして、今また地図が書き換えられようとしています。その地図はどんなものなのか。それがティム・オライリーの最新著書”WTF“の主題です。

     ティム・オライリーはソフトウェア開発者ならおそらく誰でも一冊は持っている本の出版会社O’Reilly Mediaの創業者で、Web 2.0という言葉を広めた人です。そう、Web 2.0もその当時の地図でした。WTFは英語で”What the fuck”の略ですが、この本では色々な意味で取れます。”What’s the future”もその一つ。WTFという時は驚きとともに色々な感情が込められます。日本語だと「なんてこった」に近いかもしれません。すごい発明を見た時に発せられる「なんてこった」とか。すごく悪いことが起きた時に発する「なんてこった」とか。

     新しい技術はいいことばかりではない。フェイクニュースや人工知能(AI)についての不安感。WTFはどちらにでもなるし、それを選ぶのは私たち自身ですよというのがこの本の言いたいことかな。

    昔の地図

     この本は昔の地図からはじまります。パターンは繰り返されるので、昔の地図の変遷を見ることでそのパターンを読み取ることができるからです。ボク自身はマイクロソフトに勤めていたので、IBMからマイクロソフトへのパソコンの主役の移り変わりやそのあとのオープンソースの流れも理解しているつもりです。

     それでもフリーソフトウェアからオープンソースへの流れって曖昧でした。Linux FoundationはLinuxだけでなく様々なオープンソースプロジェクトの支援をしていますが、その成り立ちもあまり理解していませんでした。

     この辺はあまり物語として日本で語られていない部分なんじゃないかという気がします。ジェダイとシスの戦いは面白いけど、シスが滅びて平和になった世界の話はあまり面白くない。この本ではそんな新しい希望と可能性の世界地図がどのようにできたかの物語として伝えようとしています。そこからパターンを探る。「フォースを感じるのだ」みたい。見た目もちょっとオビ=ワン・ケノービっぽい。

    新しい地図

     この本の面白いところはインターネットの技術的な話にとどまらないところです。シェアリング経済やIoTはネットと実社会の垣根を限りなく無くした。それがどういうことを意味するのか。ボクたちはどのように今の地図を読み解けばいいのか。それをティム・オライリーと一緒に考えるような形になっています。

     その範囲はかなり広く、政府や公共サービスのあり方、メディアのあり方、組織のあり方まで広がっています。特にCode for Americaとの関わりから始まる公共サービスに関しての章は非常にエキサイティングでした。少し中だるみする部分もあるのですが、全般的にわくわく感を維持しています。

    この本はおススメか?

     テクノロジー分野やインターネットに興味がある人にはおススメです。あと政府関係や自治体の人たちも読んだほうがいいかも。これから起業しようとする人、新規事業に取り組もうという会社員もここで描かれる新しい地図は参考になるでしょう。翻訳が待たれるところです。まあ、ティム・オライリーの本なんでどこかの出版社が日本語版を出してくれるでしょう。

    WTF?: What's the Future and Why It's Up to Us

    WTF?: What’s the Future and Why It’s Up to Us

     

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  • ルイス・フォン・アンが語るEdTech、人工知能、CEOとしての成長

    2LuisVonAhn MGB

     ルイス・フォン・アンはCAPCHAの開発者であり、20代の時に二つのスタートアップを立ち上げGoogleに売却しています。いまは外国語を学ぶプラットフォームのDuolingoの創立者でCEOです。Duolingoも成功していて、すでに世界中で約1億2000万人が登録していて、100億円の資金調達を行いました。すげーな、マジで。

     そんな彼のとてもよいインタビューがTwenty Minute VCのポッドキャストで上げられてましたので、要点だけまとめてご紹介します。

    Duolingの誕生話

    • 自分自身は外国語は得意じゃない。
    • Googleに二つ目の会社を売却してカーネギーメロン大学で教授をしていたころ、EdTechで何かやりたいと考えていた。その時のPhDの生徒とそんな話をしていた。そして教育の中のいくつかの分野をそれぞれ考えた。
    • なんで言語教育にたどり着いたかと言えば、英語圏では外国語教育ってそれほど大きくないが、非英語圏では大きい。人口で1.2億人くらい。年間で80億ドルが外国語を習うために使われている。特に英語を学ぶことが。
    • ほとんどの人は貧困から抜け出すのために英語を学ぶが、英語を学ぶためのソフトウェアは非常に高価だった。貧困から抜け出すために高価なソフトが必要というのは皮肉な話だった。だから無料のDuolingoを作った。

    EdTechは難しいのか?

    • EdTechは大きく分けて二つある。教育するツール(教育ツール)と教育することを支援するツール(教育支援ツール)。Blackboardは教育支援ツールの代表。教育支援ツールはメインにはなれない。
    • 教育ツールはコンテンツの問題がいつも付きまとう。UGCのように簡単ではない。学びたい人と教えたい人を単につなげるみたいな単純なものでもない。
    • 更に教育は規制されている。予算も地区レベルに細かく分かれていて、州レベルに大きな予算があるわけではない。そして各地域ごとに教え方も異なる。当然ながら国ごとにも異なる。
    • 特に経済先進国では教育は無料でそのクオリティーは高い。教育ツールはその10倍よくなければいけない。
    • 単純に言えばEdTechは確かに難しい。

    人工知能がEdTechで果たす役割は?

    • Duolingoを1対1の先生と同じぐらい効果的にしたい。教育や教育心理学の世界では多くの研究がされている。もっとも有名なのはブルームの2σ問題。1対1の教育と1対nのクラスルーム教育を比べた場合、1対1の教育の方が圧倒的(2標準偏差)に成績がいいという調査結果。これはずいぶん前から分かっていて、最もいいのはすべての人に1対1の教育を実施すること。
    • 当然ながらこれではスケールしない。しかし、AIを活用すれば1対1の先生くらい効果的な教育をできるようになる可能性があると思う。そのためにDuolingoでもAIに大きな投資をしている。
    • 最近立ち上げたチャットボットもその過程的なプロダクト。チャットボットは言語教育においては革新をもたらすと思う。それは言語教育が会話の上に成り立つから。数学などは会話的でないのでチャットボットは合わないかもしれない。チャットボットでピザを注文するよりは自然。
    • 言語習得で一番困難なのは続けること。モチベーションを高く持ち続けること。学校教育は社会がモチベーションとなる。学校に行かなくなると社会と断絶してしまう。しかし個人学習ではそのような力が作用しないので、さらに困難。実際にEdTechの教育ツールでの継続率やプログラム完了率は非常に低い。1%とか2%とかそういうレベル。ゲーミフィケーションはモチベーション維持に役立つ。
    • Duolingoの継続率は非常に高い。人気のゲームと同じくらい。ユーザー登録をした55%の人は次の日も使う。普通の教育ツールは10%から15%くらい。登録して7日後の継続率(D7)は30%の後半。Duolingoの競合はゲームアプリだと考えている。人気ゲームの場合登録してから一年後の継続率(D365)は20%と言われている。Duolingoもそれくらい熱中できるものでなくてはいけない。
    • 50%までいかないまでも、かなり大きな割合のユーザーは「単に時間を浪費したくない」という理由でDuolingoを使う。『キャンディークラッシュ』で遊ぶより罪悪感がない。最初の予想は「いい仕事に就きたい」とか「海外旅行に行きたい」だったのだが。

    会社とともにCEOとして成長すること

    • これまではGoogleにすぐに売却してしまったので、ここまで会社が大きくなったのは初めての経験。
    • 最初に学んだのはマイクロマネージをしないこと。自分でやるのではなくて、チームにやる気を起こさせるのが仕事だということに気が付いた。
    • 会社をスケールするのに伴う困難のひとつは人を解雇すること。Duolingoではそれほど解雇する機会はないが、それでも解雇しなければいけない時がある。「素早く採用、素早く解雇(Hire Fast, Fire Fast)」はいいと思っていない。いま従業員は100名くらいだが、これだけ資金調達をしたのだから雇える余力はもっとずっと多い。それでも採用にはとても時間をかけている。
    • 自分の発言がほかの社員にどれくらい重いのか理解しなければいけない。規模が小さいときはみんな友達みたいなものだった。いまは何気ない一言が組織に大きな影響を与えてしまうことがある。

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    soundcloud.com

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  • ティム・オライリーが語るプラットフォームの未来

    Tim O'Reilly (3)

     ティム・オライリーは技術系の人なら必ず一冊は持っているオライリーメディアの創始者で、現在でもその発言は大きな影響力を持っています。彼が新しい本『WTF!』を発売するのに合わせてa16z*1のポッドキャストでベネディクト・エヴァンスと対談をしていました。

     非常に示唆にともよい対談でしたので、要点だけ書き起こしました。英語の聞き取りに自信がある人は実際のポッドキャストを聞いてみてください。

    • プラットフォームはうまく行くこともあれば、いかないこともある。ビジネスモデルも同じ。既存のタクシー会社はアプリを使っただけでUberやLyftとの競合に勝つことはできない。アプリはビジネスモデルの構成要素の一つでしかない。基本的なビジネスモデルとそのプラットフォームを変えなければ勝てない。
    • アルゴリズムエコシステムは現在のプラットフォームの中心。アルゴリズムは何かを最適化する。Googleなら関連性を最適化するし、Facebookならエンゲージメントを最適化する。そしてフェイクニュースの論争を見てもわかるようにアルゴリズムは間違った方向に行くこともある。
    • エコシステムがどこで間違ったかといえば、IBMやマイクロソフトの独禁法違反が思い浮かぶ。両方ともテクノロジーエコシステムの企業だがいつのまにかエコシステム自体と競合するようになった。
    • 利益の最大化のために動くのが企業のロジックだが、偉大な企業が必ずしもそれがそのロジックで大きくなったわけではない。例えば初期の広告に対するGoogleの姿勢。自分たちの利益とエコシステムのための利益が相反することがあり、多くの場合はエコシステムの利益を優先した方が中長期的に結果が出る。
    • その企業にとって本当のビジネスモデルとはなんなのか。Googleの競合も移り変わっている。その結果としてエコシステムからでなくGoogle独自のコンテンツを提供するようになってきている。それによりむしろFacebookに対して持っていた優位性(関連性の最適化)を失いかけている。Google自体が目的地にしようとしている。本来の戦略的な強みは目的地にたどり着くための強力な中継地点であったのに。
    • ソフトウェアで儲ける仕組みは二つしかなく(バンドリングとアンバンドリング)、その意味においてモバイルは2000年のPCの位置付けにある。エコシステムは成熟して、次を探している。しかしスマートフォンではUberやLyftのような新しいホワイトスペースが常に発見されている。モバイルバンキングは前から言われてたが、モバイルタクシーを予見する人はいなかった。
    • ノースクリーンの可能性。これまでのインターフェースより摩擦が少ない。Amazon Echoや一部の成功しているスマートウォッチの成功要因の一つはスクリーンがないことを前提に開発されていること。これから複数のデバイスをまたがる水平プラットフォームが出てくるか興味深い。そのための標準化もあるだろうが、必要最低限になるのではないか。
    • フェイクニュースやスパムなどプラットフォーム自体に問題を抱えていて、いまはそれをデバッグするときに来ていると考えている。経済はハードサイエンスというよりもゲームデザインに似ている。ゲームのルールをもう一度見直す大きな機会がある。
    • 自由経済は実験の基盤。2つの実験を一つの大企業でやるよりも数百の実験を数百の小さな企業で行うのがシリコンバレー。昔はスタートアップを立ち上げる目的はビジネスを立ち上げることだった。いまはエグジットすることが前提となっている。彼らのプロダクトはむしろ金融商品に見える。

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

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    *1:ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ – Andreessen Horowitzの最初のAと最後のZの間に16のアルファベットがあるのでa16zと表記している。技術でよく使う表記法。例えばローカライゼーションならi10nだし、インターナショナリゼーションならi18nとなる。