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  • 翻訳記事|アトラシアン成長の秘訣、ロータッチ営業モデル

    翻訳記事|アトラシアン成長の秘訣、ロータッチ営業モデル

    How Atlassian built a $20 billion company with a unique sales model | Inside Intercom by Geoffrey Keating via Inside Intercom

    マイクロソフト、オラクル、IBMのような伝統的な法人顧客にソフトウェアを販売する企業は同じようなやり方で営業します。交渉、長い営業サイクル、実際には使わない意思決定者から要求される機能のチェックリストなど。

    しかし、アトラシアンはこれとは全く違うソフトウェアビジネスの成長モデルを見つけました。アトラシアンはJiraやHipChatの開発やTrelloの買収で12.5万ユーザーを伝統的なセールスプロセスなしに獲得しました。

    このような成長はSaaS企業にとって珍しいことです、特異ですらあります。典型的な超成長の道筋は営業活動に多大な投資をし、長期的な顧客生涯価値がの顧客獲得の初期コストを上回って全体的に利益が出ることを期待します。

    アトラシアンは全く違う道筋を作りました。IPO当時、売り上げの19%しか営業マーケティングに使っていませんでした。同規模の企業と比べると全く少ない投資額です。

    もし、これが「真実にしては都合が良すぎる “Too good to be true”」と感じるのであれば、それは間違っていません。他者が営業マーケティングに巨額の投資をする中、アトラシアンは全く違うチャネルに投資をしました。 高速でボトムアップの拡散マシンを10年近くかけて磨きあげました。

    私たちはアトラシアンのプレジデントであるジェイ・シモンズに時間をもらい、アトラシアンでそれがどのように機能してきたのかを聞きました。

    すべては注目すべき”Remarkable”プロダクトからはじまる

    成長を推し進める役割としての「口コミ」はすでに確立されています。

    顧客は「口コミ」が製品購入の意思決定において最も重要だと答えています。創業者は最も重要な顧客獲得チャネルだと言います。それが初期段階でも拡大期でも。しかし、あまり理解されていないのは、セス・ゴーディンの言葉ですが、人々から注目”Remark”されるには、自分自身が注目に値する”Remarkable”にならなければいけません。

    製品が勝手に売れていくのは、アトラシアンの初期の成長の鍵となった発見でした。しかし、いくつかの条件が整った場合に限りです。それは、ユーザーが熱中して自らが伝道師として組織の内側にも外側にも伝えたくなるような素晴らしい製品であることです。製品とマーケティングとユーザーの密接なフィードバックループによって、アトラシアンはビジネスを前進させる非常に効率的なフライホイール(慣性を利用した推進装置:弾み車)を作り上げました。

    「フライホイールは素晴らしい製品作りから始まります。アトラシアンの初期において、私たちは注目に値する”Remarkable”な製品を作る議論をしました。”Remarkable”という言葉を意識的に使いました。私たちは人々が注目”Remark”せずにはいられない製品を作りたかったからです。ここから口コミがはじまります。そして、フリーホイールは顧客にとって意味のある問題を解決する素晴らしい製品でなければ成立しません。そのために顧客にとっての摩擦はなるべく排除するようにしました」ジェイ・シモンズ

    アトラシアンのフリーホイール

    なぜ、ロータッチは21世紀の法人営業モデルなのか

    現在の法人顧客は10年前とは全く違う方法でソフトウェアを調達しています。自分自身を考えてみましょう。Googleで検索して、知人に聞いて、会社の同僚と話をする。私たちは供給が限定的で需要をコントロールしていたサプライヤーの世界から無限の供給がある顧客が全ての力を持つ世界に移行しました。

    この新しい世界では、顧客は全ての知識、意見、を持って営業サイクルの中に入ってきます。すでに自分自身で学んでいます。すでに、フリーミアムのバージョンを使っているかもしれません。そして、獲得するための最良の方法は営業に電話をしてもらうことではありません。最良の方法は製品を利用してもらい、その価値をなるべく早く理解してもらうことです。

    「多くの評価者や顧客にとって、購入サイクルはインターネットによる情報の民主化によってここ10年で大きく変わっています。確かHBRの記事にあったとも思うのですが、65%の購入サイクルはすでに顧客によって完了しているとされています。

    そこで、私たちのフリーホイールは顧客にとっての摩擦を極力減らすことに注力しています。いくらくらいコストがかかるのか、よくある疑問はどういうもので、どのような答えなのか、そしてそれを支えるサービス。そうすることによって私たちの製品の価値が顧客自身で簡単に発見できるようにすると言えるのです。」ジェイ・シモンズ

    ロータッチはノータッチではない

    アトラシアンのアプローチは他のビジネスにとっても魅力的です。正式な営業組織をなくし、間接コストを削減、研究開発への投資を増やすせます。ほとんど魔法のようです。製品をWebサイトにおいて、トラフィックを集めて、奇跡的に全く努力せずに製品が売れていく。

    しかし、「使いやすくていい製品が勝手に売れていく」はSaaSにとっては神話の一つです。ジェイもそこを強調するのに苦慮しています。ロータッチはノータッチではありません。ロータッチモデルでは営業サイクルの初期において営業チームを完全に無くしたり、最小限にすることができます。しかし、アトラシアンでは依然として人の手でロータッチモデルを維持しています。

    「もし、あなたが大企業の顧客でより複雑な課題を持ち、私たちにとっても大きな価値があるのであれば、それを手助けするチームが存在します。エンタープライズ・アドヴォケートです。この組織は4年前くらいからはじめ、大企業の複雑な問題に特化しています。

    しかし、全ての顧客に対してこのモデルで対応すると、12万の既存顧客に5000の新規顧客を四半期に獲得するのは非常に困難になります。私たちはフリーホイールによる効率的なモデルを作り上げることに集中し、顧客が自分自身でサインアップしてプロダクトを使いはじめる仕組みを作らなければいけません。もし、私たちの関与が必要なけらば、それは素晴らしいことです。もし、私たちの助けが必要でしたら、最大限の支援をします。」ジェイ・シモンズ

    透明性の高い価格モデルの利点

    価格のオンラインでの公表に抵抗感を感じるB2Bソフトウェア企業は多いと思います。競合が価格を参考にして下回る値付けをしないか心配になります。大きな商談でもっと価格を上げることができるのではないかと考えます。大企業の顧客が価格交渉の材料にするのではないかと懸念します。

    B2Bソフトウェアの世界でアトラシアンは際立った存在です。彼らの価格ゴールは顧客の決断を助けること。余計な営業プロセスに惑わされず、なるべく簡単に素早くソフトウェアを動かすことができるようにする。クリック、購入、利用。

    「顧客にとって、よくあるつまずきポイントは価格です。価格をWebサイトに明示しないことで、営業にコンタクトさせる。心理的には“顧客を驚かせて逃したくない、なるべく高い価格設定で売りたい、ソフトウェアの機能を説明する前に、顧客の課題を理解して、その解決を提示することで価格の正当性を訴えたい”でしょう。

    私たちのモデルでは、価格が顧客にとってのつまずきポイントにならないように気を配っています。最上位プランにおいてもです。それで速度を上げることができます。大企業の顧客でもWebサイトから1万ドル(約100万円)で10から50人のチームのプランを営業の関与なしに購入することができます。」ジェイ・シモンズ

    ロータッチ営業モデルが全てではない

    ビジネスモデルは事業の成否を決める判断の一つです。間違ったモデルを選べば、始まる前から失敗してしまいます。正しいビジネスモデルを選ぶのは、単に価格のページを変えたり、機能を追加したり、具体的なマーケティング施策を実施したり、営業チームを雇ったりすることではありません。全てのビジネス要素を考慮に入れなければいけません。

    「あなたのビジネスモデルはあなたの市場と、その市場にどのようにアプローチするかに依存します。もし私がワークデイ(大企業向けの人事ソフトウェア)で、世界で最も大きな2000社を市場としてみるのであれば、アトラシアンのモデルは適していません。HRの管理システムは複数導入するものではないので、ワークデイのソリューションの購入はとても大きなトップダウンの決断になります。たった一つを選ばなければならず、人事のトップとCIOがスポンサーとしてつくことでしょう。つまり、コンサルティングが必要となり、非常に営業サイクルの長い商談になるでしょう。まずやってみようのようなモデルではありません。

    創業者として、あなたは全てを考慮しなければいけません。私のアドバイスは”アトラシアンを参考にしてアトラシアンのモデルを採用する”と安易に考えないことです。」ジェイ・シモンズ

    ジェイのアドバイスは明白です。SaaSでサービスを売ろうが、物理的なモノを売ろうが、まずは顧客を理解し、どのように魅力的に感じてもらうかです。そうすることで、ようやくロータッチ営業モデルの適用を判断することができます。

  • 抄訳|ウェブのための協定(Contract for the Web)

    抄訳|ウェブのための協定(Contract for the Web)

    原文:”Principles for a Contract for the Web” by World Wide Web Foundation

    ウェブのための協定(Contract for the Web)

    基本原則

    ウェブは人々が集まり、自由に知識を共有できるようにするために設計されました。すべての人にウェブが人間性に貢献するようにできるための役割を担うことができます。以下の原則を守ることで、世界中の政府、企業、市民は公共性とすべての人のための基本的な権利としての開かれたウェブを守る手助けができます。

    政府は

    • だれでも、どこでも、オンライン活動ができるように、すべての人がインターネットに接続できるようにします。
    • いつでも、だれでも、インターネットのすべてに拒否されることなくアクセスできるよう、インターネットのすべてが提供されるようにします。
    • すべてのひとが自由に、安全に、恐れることなくインターネットが使えるように、人々が持つ基本的なプライバシーに関する権利を尊重します。

    企業は

    • だれもインターネットを利用し、形作る活動から疎外されないよう、インターネットを安価にアクセスできるようにします。
    • 消費者のプライバシーと個人情報を尊重し、人々が自分たちのオンライン生活を自ら管理できるようにします。
    • 人間性にとって最善の技術を開発し、人間性にとって最悪なことに挑戦することで、ウェブを真に公共の利益として人々を最優先に位置づけます。

    市民は

    • ウェブで創造者でもあり、協力者であることにより、すべての人にとって豊かで有益なコンテンツがウェブで提供されます。
    • 民間での議論と人間の尊厳を尊重する強いコミュニティを形作り、すべての人がオンラインで安心でき、受け入れられると感じます。
    • ウェブのために戦うことにより、ウェブはいついかなる時、場所であっても開かれた世界的な資産であり続けます。

    私たちはこれらの原則を守り、政府、企業、市民の役割と責任を定める「ウェブのための協定」を作り上げる審議プロセスに関わります。現在、ウェブが直面している挑戦はとても困難で、私たちオンラインに限らず、すべての生活に影響を与えます。しかし、私たちが協力して一人ひとりが自身の行動に責任を持つことで、私たちはウェブが真にすべての人のためであることを守ることができます。

    解説

    ウェブが生まれて30年たち、ウェブの生みの親であるティム・バーナーズ・リーが声明yomoyomoさんの日本語訳とともに開始したのが「ウェブのための協定」でした。中国語や様々な言語にこの協定書は翻訳されているのですが、まだ日本語がないため抄訳を公開しました。ボク自身がこれを翻訳する十分な資格があるとは思っていないので、きちんとした翻訳が出るまでの暫定的なものです。そのうち、ちゃんとした日本語訳が公開されるでしょう。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

  • イノベーションとディスラプションの違い|アメリカの有名ベンチャーキャピタリストの考えるトレンド

    イノベーションとディスラプションの違い|アメリカの有名ベンチャーキャピタリストの考えるトレンド

    アメリカには多くのベンチャーキャピタルがあり、有望なスタートアップに投資をして、IPOやM&Aなどで投資で得た株式などを売却することで多くの利益を出しています。ベンチャーキャピタル自身が大きな資金を持っているわけではなく、機関投資家などから資金を集め、それをスタートアップに投資をします。実際に株式を売却できるほど大きくなるスタートアップの数は少なく、ベンチャーキャピタルのクライアントにとってはハイリスク/ハイリターンの投資です。

    投資を回収するには有望な技術やトレンドについて常にアンテナを張り巡らせてなければいけません。ベンチャーキャピタルにとっては信頼性が大切ですし、信頼されるためには投資の回収実績を上げなければいけません。マーク・アンドリーセンとベン・ホロヴィッツによるアンドリーセン・ホロウィッツ(最初のAと最後のZの間に16のアルファベットがあるためにa16zとして知られる)は、クライアントからもスタートアップからも信頼されているベンチャーキャピタルの一つです。

    a16zは技術トレンドやスタートアップに関するポッドキャストを配信しています。ベンチャーキャピタルのユニオン・スクエア・ヴェンチャーズの共同創業者であり有名ブロガーでもあるフレッド・ウィルソン(画像の写真右)とのインタビューが興味深かったので、そのサマリーを抄訳として紹介します。インタビューの相手は暗号化通貨に強いa16zのクリス・ディクソン(画像の写真左)です。

    イノベーションとディスラプションの違い

    • 技術的なイノベーションは常に出てきているが、イノベーションがディスラプションに繋がっていない
    • 例えばモバイル前とモバイル後では人気のあるWebサイトはそれほど変わっていない。Facebookがいい例。モバイルというイノベーションはFacebookを破壊せず、モバイルを取り入れたFacebookはより強固になった。
    • ディスラプションは既存のビジネスモデルを破壊することによって起きる。Googleは広告をビジネスモデルにした。それまではライセンスで課金されていたのが、広告で無料になった。
    • ビジネスモデルが変わると全てが変わる。それまでの強みが弱みになり、新規参入がしやすくなる。
    • 暗号化通貨(クリプト)など暗号化技術はディスラプションを起こす可能性がある。それは単に技術の変革ではなく、ビジネスモデルの変革だから。これまでの広告やサブスクリプションのような既存のビジネスモデルではなく、トークンのビジネスモデルになる。

    革新的なイノベーションとディスラプションの要素

    • 革命的なことが起きるには重要な要素が揃っていることが必要。インターネットの場合はブロードバンドだった。モバイルの場合はiPhoneだった。暗号化通貨(クリプト)にはまだ重要な要素が揃っていない。
    • クリプトが本当に利用されるには本当の意味での分散化を実現しなければならないし、セキュリティーも高めないといけない。そして、ATMネットワーク程度の処理能力を持たないといけない。これはインターネットにはブロードバンドが必要だったのと同じ。
    • その理由でNFT(代替不可能なトークン)には投資しているが、DEX(分散化した取引所)にはあまり投資していない。長期的にクリプトは有望だが短期的にはクラウド(特に開発者とエンタープライズむけのSaaS)の方が投資先としては有望。

    暗号化通貨(クリプト)に期待すること

    • 暗号化通貨の世界はもっと新しい資金の市場が生まれることを期待している。もちろん、詐欺の横行など問題になってるのは理解している。それでも、これまでベンチャーキャピタルの市場の中に入れなかった普通の人たちが投資家として参加できるのは素晴らしいこと。これはスタートアップにとってもにとっても良いこと。
    • 多くの人は投資としてのクリプトと利用としてのクリプトを二つに分けているが、これには反対。投資するにはユーザーである必要がある。FacebookのユーザーがFacebookを作り、YouTubeのユーザーがYouTubeを作っているのに、投資に参加できない。これはおかしい。
    • Twitterが大きくなるときにクリプトがあったら、きっと取り入れてただろう(フレッド・ウィルソンはTwitterの初期からの投資家で『ツイッター創業物語』にも登場します)。

    • インターネットの初期の頃はインターネットで置き換えるオフラインのものに投資していた。オンラインニュースとか、オンラインショップとか。オンラインほにゃらら。これはあまり賢いやり方ではなかった。インターネットネイティブなものに投資しなければいけない。クリプトの場合はクリプトネイティブなやり方を見つけないといけない。

    クラウドはまだまだいける(特に開発者向けとエンタープライズ)

    • 開発がさらに楽になるようなSaaSは多くの余地が残されている。例えばStripeのおかげで決済を組み込むのが簡単になった。Twilioのおかげでテキストを組み込むのが簡単になった。もっとあると思う。
    • 投資が活発なのはエンタープライズSaaSの分野。FacebookやYouTubeのようなB2Cは当たれば何百倍にもなって派手だけど、その数は多くない。B2Cの場合は勝者総取りで、トップと二番手の間には10倍以上の差がある。B2Bも同じだけど、トップと二番手の差は3倍くらい。
    • AIが仕事を奪うというけど、クラウドの方がもっと奪う可能性がある。例えば、給与支払いのクラウドはこれまでの社内システムの開発者や給与に関わっていた人たちの職を奪う。すぐに目に見える形ではないけど、気づかないうちに必要なくなっている。

  • イギリス政府がはじめたボイスに優しいコンテンツ戦略

    イギリス政府がはじめたボイスに優しいコンテンツ戦略

    原文:”Hey GOV.UK, what are you doing about voice?” by Sam Dub and Mark Hurrell

    ここ数年で多くの人がAlexa、SiriやGoogleアシスタントのようなボイスアシスタントを家庭に取り入れ、スマートフォンで活用するようになりました。

    最も人気のある活用方法は質問をすることです。そして、その質問に政府が答えることを期待しています。そこで、GDSでは小さなチームを作り、GOV.UKにおいてどのようにその期待に応えられるかを研究しました。

    なぜGOV.UKにとってボイスが重要なのか

    スマートスピーカーはイギリスで急速に普及しています。 8%の成人が所有し、2018は3%増えました。2016年にGoogleは20%のAndroidデバイスからの検索はボイスによる検索だと発表しました

    ボイスプラットフォーム自体はユーザーの質問に関する情報を共有していません。しかし、AmazonやGoogleのチームとの議論から、ユーザーがボイスインターフェースを通して質問する内容は政府が最も信頼たり得るソースだということを理解しました。

    ボイスインターフェースは情報アクセスのためにDragon Naturally Speakingのようなソフトウェアを使っている人たちにとっては新しいものではありません。しかし、 アクセシビリティのコミュニティーは現在のボイスインターフェースの盛り上がりに大きな期待を持っています。ボイスインターフェースの劇的にシンプルなインターフェースはコンピューターやスマートフォンを使いにくいと感じている多くの人たちの助けになる可能性があります。

    GOV.UKにとってボイスインターフェースは政府によりアクセスしやすくしてユーザーの高まる期待に応える機会となります。

    ボイスの大規模利用への挑戦

    政府としてはボイスサービスに関して一貫した方法を取る必要があります。

    最近の GDS Innovation Survey によると、多くの地方行政、政府機関や省庁がすでにボイスを使ってサービスや情報を提供できるか可能性を探っています。

    GOV.UKのアプローチはデザイン原則 に沿って以下の点を考慮に入れる必要があります。

    • クロスプラットフォーム
    • クロスガバメント
    • 一貫性
    • 拡張性

    私たちのチームはボイスアシスタントのためのアプリを開発してみました。私たちは一つのアプリで全ての主なボイスアシスタントをサポートできるか試してみました。

    「答え」からはじめる

    私たちはまず、それぞれのボイスサービスがどのようにユーザーに答えを提供するのかを調べました。

    私たちは三つのソースがあることを理解しました。

    • 検索エンジン:Webを検索して適切なリンクとボイスとして提供できるコンテンツ部分を見つける
    • ナレッジエンジン: データと計算を使い、事実に基づく回答が必要な質問に対する答えを提供する
    • アプリケーション: known as skills on AlexaやCortanaではスキルと呼ばれているもの。多くのボイスプラットフォームは独自のアプリストアを持つ

    以下が人気のある主なボイスアシスタントがそれぞれ何を使っているかをまとめたものです。

      検索エンジン アプリケーション ナレッジエンジン
    Siri
    Apple
    Google iOS & SiriKit Wolfram Alpha
    & Siri Knowledge
    Assistant
    Google
    Google Google actions KnowledgeGraph
    & Wikidata
    Alexa
    Amazon
    Bing Alexa skills Evi & Alexa
    Knowledge
    Cortana
    Microsoft
    Bing Cortana skills Bing Satori

    この調査により、検索エンジンとナレッジエンジンにとってGOV.UKがデータソースそして取り込みやすいようにすることで、多くの質問に答えることができることがわかりました。

    GOV.UKを検索エンジンにもっとわかりやすくする

    GOV.UKではオープンなWebによく練られたコンテンツデザインを適用しているため、既存のガイドラインですでに多くのコンテンツがボイスプラットフォームにとって答えを引き出しやすいようになっています。

    検索エンジンは私たちのコンテンツをクロールして機械学習でボイスとして適切な答えを摘出します。私たちが作成したGoogleアシスタントのデモで体験することができます。

    しかし、もっと改善することができることもわかりました。schema.orgの構造化データ標準を活用することで、検索エンジンにさらに多くのコンテクストを提供して私たちのコンテンツをよりよく理解する助けをすることができます。

    この四半期は以下の三つを実装しました。

    私たちのコンテンツ戦略を考える上で、もっと多くの示唆を得ることができました。私たちはすでにコンテンツを既にコンテンツをわかりやすく、自然な言葉で簡潔に作成しています。しかし、会話形式で提供するにはさらに必要なことがあります。例えば、Amazonは一息で答えを提供できるように推奨しています。

    これを踏まえ、私たちは以下を実行する予定です。

    • オープンなパブリッシングをさらに進める。ガイダンスがサービスに隠れないようにする。
    • 構造化データの利用を改善し、検索エンジンにとってさらにわかりやすくする
    • さらに簡潔な答えをガイダンスに取り入れる

    GOV.UKをナレッジエンジンに取り込む

    検索エンジンはWebをスキャンして答えを探しますが、ナレッジエンジンはデータベースから事実を探します。

    私たちはユーザーがボイスアシスタントを活用することを助けるには政府が提供する標準的なデータをナレッジエンジンが取り込みやすい形にすることが最も効果的だと考えます。

    私たちはAPIを通じてGOV.UKのデータを最も簡単に標準に基づいて提供できる方法を主なナレッジエンジンのプロバイダーと話し合っています。

    既にGOV.UKのコンテンツAPIは存在しますが、ナレッジエンジンが必要な詳細の構造がまだ不足しています。数週間前に小規模な新しいAPIを試験的に作り、限定的にさらに構造化かされたデータの提供を開始しました。

    結果はわかり次第またお知らせします。

    ボイスアプリとスキルの現在の制限

    私たちは答えを提供することにフォーカスしています。まだボイスを活用した公共サービスの活用まで踏み込んでいません。例えば、例えば給付金の請求や運転免許取得試験の予約などです。これは現在のボイスインターフェースではこれらを提供することができないからです。

    • プライバシー:多くのボイスサービスは会話の履歴を保存しています
    • 個人認証:多くの公共サービスは高いレベルの個人認証が必要となります
    • 個人情報:住所の入力も躊躇されます。

    公共サービスで利用するには多くの障害があります。しかし、私たちはボイスの環境に注目し続けます。将来的に標準的なクロスプラットフォームが実現され、多くの機能が改善されることを期待します。

    将来の展望

    もしボイスの可能性を知りたいのであれば、AndoroidかiPhoneのスマホを使って以下の質問をGoogleアシスタントに問いかけてみてください。

    • 新しいパスポートを取得するのにどれくらいの時間がかかりますか?(How long does it take to get a new passport?)
    • 運転免許試験にはいくらかかりますか?(How much does a driving test cost?)
    • 育児手当はいつ支払われますか?(When will I get child benefit paid?)

    Sam Dubは is a product manager on GOV.UKのプロダクトマネージャー、Mark HurrellはGDSにおけるHead of Graphic Designです。

    訳者解説

    GOV.UKだけでなく、欧米の優れた組織はユーザー中心の考え方が大前提としてあり、それを実現するための原理原則を明確にして明文化しています。GOV.UKの場合はデザイン原則がその一つになります。優れた組織において原理原則は世間に見せるためだけのカッコつけたビジョンやミッションとは違い、本当の行動原則となります。ボイスのような新しい技術が出てきても、その原理原則に照らし合わせて適応します。ボイスが原理原則に合わないのであれば、使わない。

    それは頑なであることとは違います。ガイドラインレベルではそれが適切だと考えれば技術に合わせます。それはデータのさらなる構造化やより簡潔な文章の心掛けなどに現れます。新しい技術に対する取り組みのお手本のような事例であり、ブログ記事ですね。素晴らしい。

  • ビットコインを使うUXプロセス(暗号化通貨の支払いシステムを開発から学ぶ)

    ビットコインを使うUXプロセス(暗号化通貨の支払いシステムを開発から学ぶ)

    原文:”Cryptocurrency payment UX process” by Samantha Shaibani

    暗号化通貨は技術コミュニティーの中でも外でもとてもアツいトピックです。興味と意識が高まる中で、暗号化通貨に多くの人が引き寄せられています。

    多くの人がウォレットをダウンロードして、ビットコインやイーサリアムなど暗号化通貨を購入しています。多くの人は投資と考えていますが、実際に暗号化通貨を使って何か買うことができるのでしょうか?結局のところ、暗号化通貨は通貨で、それを使って何か買うことをできるのでしょうか。

    この記事は以前に書いた記事”crypto wallet MVP“での私たち(Joseph Guerra, Brandon Fancher, Garren DiPasquale, Sam Shaibani) の活動の続きです。私たちはデジタル通貨のウォレットから支払いシステムにピボットして、開発することにしました。そこから学んでいきます。開発するシステムの名前はマルシェ(Marché)です。フランス語で商人という意味です。いいでしょ、ウィ(oui)?

    マルシェはWebサイトで簡単なものを買うことができます。ブロックチェーンのはじまり「ジェネシスブロック」のコーヒーマグとか。私たちの目的は使いやすくて満足のいくユーザーエクスペリエンスのデジタル通貨支払いシステムです。私たちは自分たちが経験した三つのプロセスを共有したいと思います。

    パート1:学ぶ

    私たちの仮説は「デジタル通貨をすでに持っている人はそれを使いたい」でした。すでに似たようなシステムはありますが、それがうまく活用されているのか、実際に利用しているのかがわかりませんでした。

    Earnで調査

    Joeは Earn.com を利用してデジタル通貨の利用と動機について調べました。Earnは回答者に現金またはビットコインで受け取ることができるので、私たちにとって素晴らしいツールでした。

    過半数以上の人 (93%) はデジタル通貨を投資目的で所有していました。そして、多くの人 (83%) はデジタル通貨で何か買うことに前向きでしたが、半分の人 (49%) が実際にデジタル通貨で何かを飼った経験があるだけでした。最後の質問は「どうしたらデジタル通貨を使いますか?」というオープンな質問で、詳細なフィードバックを得ました。 Joeは回答を以下のように分類しました:

    この調査では「利便性」(28%) が最も重要だとわかりました。次が割安感、価格の安定、売り手が受け付けること、暗号化通貨でしか買えないものと続きます。これらの結果からさらなる疑問が生まれました。

    どうすればモノを買いやすくなる(利便性が高まる)?スクリーンの数を少なくすればいい?QRコード?満足いくアニメーション?ステータスの可視化?

    利便性はユーザーエクスペリエンスにフォーカスすることで解決できそうな問題のようです

     手数料、税金、個人情報、最先端な感じと答える人はあまり多くなかったのには少し驚きました。おそらく、利便性に比べるとニーズとしては高くないのでしょう。暗号化通貨の特徴を強調することでデジタル通貨での買い物における使いやすさ、セキュリティー、利便性を改善することができるかもしれません。

     これらの調査の結果はマルシェの開発をするための調査を継続する正当性となりました。

     もし興味があれば、オリジナルのデータはこちらにあります。

    競合調査

     競合調査では暗号化通貨を支払い方法として採用しているeコマースサイトのチェックアウトのプロセスを研究しました。実際には Coinbase CommercePursePayBearそしてEtsyです。

     このチェックアウトプロセスのデザインの調査でEtsyのショップの一つがデジタル通貨を扱って支払いをシミュレートするのを見つけました。そこで、イーサリアムのパーカーをカートに入れ、いくつかのステップののちにチェックアウトすることができました。確認画面が表示され、メールが送られてきましたが、支払いの情報は全く入力していません。特にやることはなさそうだったので、そのまま普通に暮らしていました。

     数日後にイーサリアムのパーカーが出荷されたという出荷確認がメールで送られてきました。特に売り手から連絡はなく、私が実際に支払いしてないことを知らないのかもわかりません?わお。

     私たちは売り手はデジタル通貨を受け取るオプトインをしなければいけないことを知っていました。しかし、それは支払いを回収するのには十分な情報ではありませんでした。

     悪のデザイン反対運動の推進者として私たちは売り手にコンタクトをして状況の説明しました。予想通り、売り手は何も状況を理解していませんでした。売り手は支払いがされたかわかりませんし、無償で商品を送っているかもわかりません。ウォレットのアドレスをメッセージで送ってくれたので、BitPay を使って支払いを完了しました。

     私たちはこの得られた知識を善意と適切なデザインを議論する目的で共有しています。支払いシステムを悪用しないようお願いします。善良であってください。

    EtsyのショップオーナーにGoogle Formを使ってアンケート

     この経験をしてEtsyの他の売り手にもデジタル通貨を受け入れるエクスペリエンスのフィードバックをもらいたいと考えました。私たちは5つの質問で構成されるシンプルなアンケートをショップのオーナーに送りました。

     調査で分かったのはネイティブでデジタル通貨をサポートしていない貧弱な支払いシステムがチェックアウトで使われているということでしたが、それでも売り手は引き続きデジタル通貨を受け付けていく意向があるということでした。

     これによりマルシェの方向性を検証することができました。これこそまさに私たちが提供しようとしていたものですから。チェックアウトの間にスキャンして支払いを直接サイトに送ることです。

    売り手と会話する

     言葉を広めて支払いの受け入れについてフィードバックをもらう素早い方法として、近くのコーヒーショップやファーマーマーケットに行って売り手と直接話をしました。デジタル通貨は真のピアツーピアの支払い方法なので、ファーマーマーケットで試してみる価値はとても大きいです。人と人の取引で、中間業者がいません。

     私たちが話をしたほとんどの人は Square のPOSを使ってApple PayとGoogle Payを受け付けていました。そこで「ビットコインは扱ってないんですか?」と聞いたところ、回答は「いや」か「それってApple Payで扱ってるの?」か「ビットコインって何?」でした。そこで、デジタル通貨のことを説明して、売り手と買い手のメリットについても説明しました。

     Earnでの調査を振り返って考えると、売り手の受け入れについてどう考えればいいでしょうか?もっと見えるようにする必要があるし、市場での加速も必要そうです。改善の余地は大いにありそうです。でも、どうやってメリットについて伝えればいいでしょうか?

    パート2:開発してみる

     私たちは取引のプロセスがどのようになるのかを理解したいと考えました。そこで、機能するプロトタイプの開発をはじめました。これは自分たちで支払いシステムのプラットフォームが開発できるという技術的な仮説検証でもありました。

     これはブロックチェーンのユニコーンがチームにいることで初めて可能になることがわかりました。例えばBrandon Fancherのように。彼が機能するバージョンのマルシェを作り、ユーザーテストをすることが可能になりました。

     マルシェはReact *1ベースのWebアプリケーションでHeroku *2上のNode.js *3Express *4でホストされています。Bitcore-wallet-service *5、階層的決定性ウォレット(HD wallet:hierarchical deterministic wallet)とBIP39の暗号を解読するBIP39ニューモニック(BIP39 mnemonics)を使ってビットコインキャッシュ(BCH)での支払いを処理します。ビットコイン(BTC)は手数料が安いので選びました。そして技術スタックによってビットコインキャッシュ(BCH)に簡単に変換できるからです。

    フローチャート

     JoeとBrandonはユーザーとの接点の鍵となるユーザーとテクニカルのフローを作りました。この俯瞰的な視点はUXの改善点の発見に役立ちました。特にプロセスをもっと便利にできる部分です。これは時間が経つにつれて変わることを意識しています。

    パート3:実際の人(と猫)で試してみるニャー

     私たちはマルシェをデジタル通貨とビットコインの取引について知識がある人(と)で試してみました。

     私たちの究極的なゴールはパパやママが使えるくらい簡単なものをデザインすることだったので、(最初は)その複雑さを十分理解していてデジタル通貨のタッチポイントを理解している人からフィードバックをもらうことにしました。ハイテク好きのペルソナで私たちのMVPの最初のアーリーアダプター層です。

     これが意図的に「ジェネシスブロック」のマグカップを選んだ理由です。そうすることでクリプト信奉者を集めることができると考えました。

     この機能するプロトタイプでマルシェを試すために朝のコーヒーセッションを開催しました。完全に機能するわけではないですが、これは学びの実験で、多くの面白いことを学ぶつもりでした。

    The Workarounds

     デザイナーの観点で見るとデジタル通貨のユーザービリティテストは全く異なったものでした。理想的には単にユーザーにプロダクトを渡してそれを観察したいところでしたが、今回はもう少し手助けが必要でした。

     テストしてくれる人たちに実際のお金を使ってもらうわけにはいかないので、取引をするのに十分なビットコインキャッシュがあるBitPayウォレットが入った私のスマホを渡しました。BitPayのユーザービリティーをテストしていないので、これは完璧なシナリオとは言えませんでした。BitPayを使っていない人には、少し慣れが必要でした。

     少し歪曲された結果になることはわかっていましたが、私たちは完全な取引をするためにこのようなやり方をする必要がありました。それでも最初期にこれほど多くのことが学べたので、これはこれでいいのです。

    チェックアウトのフロー

     チェックアウトのプロセスをテストしている時、どの個人情報をマルシェが求めているのか、いないのかで混乱があることに気がつきました。

     現実の世界では送り先の住所を入力して、支払いの住所が同じか違うか確認をします。支払いの住所の確認のステップがないことに気がついたユーザーは私たちがこのステップを入れるのを忘れたのだと考えました。

     もちろん、忘れていません。暗号化通貨で支払い処理をする場合、支払い住所は必要ないのです。なぜなら、支払い住所などないのですから。ウォレットに住所はリンクされていません。

     これはユーザー教育とステップを通じての明確さがさらに必要だということです。情報がないこと、どうしてないのか。これらはユーザーのセキュリティーに関する見方を軽減します。ね、おもしろいでしょ?

    ビットコイン(BCH)からアメリカドル(USD)に

     そして、ユーザーがビットコインキャッシュの額とそれに対するアメリカドルの価値を見たときに混乱することが観察できました。マルシェはユーザーが考えるようにデザインされています。これはいい取引レートなのか?なんで二つのコストがあるのか?もっといい取引レートになるまで待ったほうがいい?Amazonのような伝統的な取引ではアメリカドルの額を見て特に考えることなく続けます。

     たとえデジタル通貨の考え方を理解した人であっても、テストセッションでは混乱しました。知らないわけではないのです。単にクレジットカードを使ういつもの慣れたやり方と違うからです。つまり、この分野に慣れた人でも使い勝手の問題に遭遇することを学ぶことができました。まだまだ改善の余地があります。

    次のステップ

     私たちはアンケートをたくさん送って、動くプロトタイプを作って、人とユーザビリティーテストをすることによって多くを学びました。これがMVPの目的であり、UXのプロセスです。

     私たちはマルシェを立ち上げ、プロモーションをして、実際のユーザーで試す計画です。そしてもちろん、オーダーしてくれた人にはマグカップを送ります!

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    *1:JavaScriptのフロントエンドライブラリー

    *2:PaaS(Platform as a Service)と呼ばれるサービスで、アプリケーションを実行するためのプラットフォーム

    *3:環境非同期型のイベント駆動のJavaScript環境

    *4:Node.js向けのMVCフレームワーク

    *5:BitPayのライブラリ

  • Netflixから学ぶコンテンツビジネス成功の秘訣|アヴェンジャーズとディフェンダーズ/スタートアップとハリウッド/ライブストリーミングの可能性

    Netflixから学ぶコンテンツビジネス成功の秘訣|アヴェンジャーズとディフェンダーズ/スタートアップとハリウッド/ライブストリーミングの可能性

    この記事はa16zによるオリジナルインタビュー”a16z Podcast: The Internet of Taste, Streaming Content to Culture“の日本語抄訳です。英文のオリジナルはSoundCloudYouTubeで確認してください。

    創業したての頃のNetflixはどんな感じだった?

    • 当時のNetflixの社員はみんなカッターと定規を持ってた。DVDを郵便で送るのに最適なサイズを計らないといけないから。
    • 創業者でCEOのリード・ヘイスティングスがすごいのは、その当時から現在のモデルを考えていたこと。ホームエンターテイメントはもうすぐインターネットで届けられると見越していた。当時はサウスパークのビデオを電子メールで送ろうとしたら、それを開くのに7日はかかっただろうからね。クレイジーだと思った。

    スタートアップとハリウッドの違いとNetflixの文化

    • シリコンバレーは量を求める。ハリウッドは質を求める。この両方で成功することは滅多にない。
    • Netflixはシリコンバレーにもハリウッドにも拠点を置いて、ハリウッドを拠点としている1000人くらいは世界最高のエンターテインメント企業だと思ってるし、シリコンバレーを拠点としている4000人くらいは世界最高の技術会社だと思ってる。それぞれ正しいし、二つの文化を混ぜ合わせようとしない。
    • このような文化は創業者でありCEOのリード・ヘイスティングスによるところが多い。誰でも発言をしていいし、そして決まったことに関して結果を出す。具体的に何をやってるのかわかんないけど、サポートするよ。そういう文化。

    年間でどれくらいのコンテンツを作る?

    • 1日に7から10くらい。だから大体年間で2000くらい。その中から今年では30本のオリジナルシリーズになって、18のオリジナル映画、35オリジナル子供向けシリーズ、19の各国独自のシリーズ。68ドキュメンタリープロジェクト。だから実際に作られるのは100くらい。
    • 幸いにしてアイデアは無尽蔵に出てくる。足りないのはそれを実行できる人。

    VCにとって気になるのは成功するスタートアップの見極め。それはコンテンツ業界でも同じですよね。成功を見過ごす(False Positive)、失敗を掴む(False Negative)をどうやって見極めますか?

    • ストレンジャー・シングス 未知の世界』のザ・ダファー・ブラザーズがいい例。彼らは若く経験もなかった。でも、素晴らしいビジョンを持っていて、その提案を聞いてすぐにシリーズになるだろうと思った。エピソードが出来上がるに成功の核心は高まった。まさかここまで大成功するとは予想してなかったが。
    • アイデアを実行に移すという意味でも、彼らはあまり経験はなかった。他人のビジョンをシリーズ化したり、ワーナー・ブラザースでゾンビ映画を作ったけど公開はされなかった。あとでそれを見せてもらったんだけど、とてもいい映画だった。ただ、素晴らしい映画体験を作るにはリソースが少なすぎた。
    • それがヒットするかどうかは公開するまでわからない。公開したあとも、徐々に口コミで広まってしばらく経ってからヒットすることもある。『殺人者への道』は2015年12月に公開された。これは作品の良さもあるけど、タイミングもよかった。ほとんどマーケティングしなかったのに口コミがすぐに広がってヒットした。Netflixの社員の中でここまでのヒットを予想した人はいないんじゃないか。

    脚本が良くても、実際の出来が悪かった場合はどうします?

    • 会社がやり直しを命じることはない。ダメだと思ったらクリエーターが自然と方向転換する。クリエーターが「これが自分のショーだ」だと言えばそれを支援する。DVDのメーリングサービス時代の学びでもあるのだけれど、人の好みはものものすごく多様だということ。当時は10万の作品があって、一日6万作品を郵送していた。
    • 失敗と言えるのは制作費と比較して十分な視聴がされなかった時。大ヒット映画『グリーンデスティニー』の続編『ソード・オブ・デスティニー』はヒットはしたけど、かかった制作費を考えると商業的に成功したとは言えなかった。

    インターネットにより嗜好の多様性がなくなってきたと言われています。みんなアメリカのハリウッド映画を見て、みんな同じ音楽を聴いて。でも、Netflixでは多様性が見られる。

    • Netflixでは両方の現象が見られる。『ストレンジャー・シングス』はすごくグローバル。アメリカの八十年代を経験した人だけでなく、全世界様々な世代が見ている。Netflixみたいなサービスがあるからあのテレビで引用されているような音楽や映画を若い世代の人たちも理解できる。
    • 一方で19カ国で独自コンテンツを制作している。その国独自の視聴者のための独自コンテンツ。この外国で製作された独自コンテンツに英語の字幕や吹替をつけて配信すると、アメリカ国内のケーブルテレビの独自番組くらいのヒットになる。アメリカでリメイクしたものより、その国独自で作ったものをそのまま字幕や吹き替えで持ってきた方がヒットする。
    • 自分がアリゾナに住んでいてレンタルビデオ屋で働いていた時、すっごくマイナーな映画は店に置けなかった。それを借りる人が通える範囲の距離にそれほどいないから。外国映画を上映している映画館も長距離バスに乗っていかなければいけなかった。コンテンツ制作者もそういうマイナー映画を気に入った人たちに別の映画のおすすめとかできなかった。アリゾナ州に住んでいる人間でそんな映画が好きなのは自分くらいなのだったから、そんな人間を製作者が探すことは無理だった。

    コンテンツ制作とスタートアップの類似性は

    • スタートアップの創業者に近いのはテレビ番組制作ではショーランナー。映画の場合、ショーランナーは脚本家を指すし、その制作にはもっと多くの人が関わる。そういう意味ではテレビ番組の制作はシリコンバレーのモデルに近い。
    • Netflixは初期からクリエイティブの自由さで評価を得た。これは現実的にそうしないと回らないという面もあった。Netflixがエンターテイメント業界に貢献できるのは「責任の自由(Freedom of Responsibility)」と言えるもの。Netflixの仕事は素晴らしい人材を探すこと。そしてその人材に必要なリソースを提供すること。その道を妨げないこと。
    • ハウス・オブ・カード 野望の階段』がNetflixの最初のオリジナル作品だったが、デビッド・フィンチャー*1との約束はパイロットなしの二つのシーズンの提供。

    技術的には録画のストリーミングだけでなくライブ中継も可能なのでは?

    • Netflixがライブ中継をやらないのはいくつか理由がある。一つはNetflixの価値はオンデマンドであるということ。ライブ中継だとその時にしか見れない。ニュースや音楽、スポーツなどライブ中継は素晴らしいし、それを提供するサービスもある。
    • スポーツ中継などの場合、権利はスポーツリーグにある。最終的な着地点であるNFL.comやNBA.comが一番いい。

    マーベル・シネマティック・ユニバースとの関係は?

    • Netflixと契約した当時のマーヴェルの経営状況は決して良くなかった。破産寸前の時もあった。『アイアンマン』も借金をして作った。『アイアンマン』はマーベル・シネマティック・ユニバースの成否を握る最大の賭けだった。
    • Netflixもその賭けに乗った。『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『アイアン・フィスト』『ルーク・ケイジ』などすべてのフランチャイズに関する契約はいっぺんに行った。
    • 常にリスクとリワードの考え方をする。映画の劣化版しかテレビで実現できないのではないかというリスクはあった。実際にそういう事例はたくさんある。しかし、『ディフェンダーズ』というテレビ版のアヴェンジャーズはNetflixでしか見れないというリワードは大きい。
    • それぞれの作品は関連しているけど適度な距離を保っている。そのために、一つの作品で失敗しても回復可能なモデルとなっている。これは『ディフェンダーズ』と『アヴェンジャーズ』の関係にも言える。

    競合についてどう思います?

    • Amazon Primeは資金力も豊富だし将来的に素晴らしい仕事をするんじゃないかと思う。軽く見たことはない。Netflixはテレビ番組にフォーカスしているけど、Amazonはそれ以外のこともやっていて、それぞれ成功している。ビジネスモデルが違うのでAmazon自体に関するコメントは難しい。
    • Huluはハリウッドが作ったもう一つのバイヤー。バイヤーはすでに市場にたくさんいるけど、Huluのモデルは伝統的なモデルの面白い延長線上にあると思う。
    • YouTubeをみて自分たちのストリーミングモデルが行けると確信できた。直接的な競合だとは考えていない。「ひまつぶし」のマネタイズとして優れている。Facebookや他のプレーヤーが参入してもインターネットにおけるビデオ視聴のシェアを伸ばし続けている。

    soundcloud.com

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    *1:映画『セブン』や『ファイトクラブ』の監督として有名

  • ブロックチェーンとエストニアの情報連携基盤『X-Road』の違い

    ブロックチェーンとエストニアの情報連携基盤『X-Road』の違い

    原文:”There is no blockchain technology in the X-Road” by Petteri Kivimäki (Nordic Institute for Interoperability Solutions)

    最近、X-Road(エストニアの情報連携基盤*1 )はブロックチェーンを基盤としたテクノロジーだと説明する記事を複数見かけました。または、内部的にブロックチェーンを使っていると。それが事実なのかどうか検証したいと思います。

    ブロックチェーンとは

    ブロックチェーンは今年の流行語の一つで、テクノロジー分野で最もアツいとされています。ブロックチェーンは2009年に最初の暗号化通貨として立ち上がったビットコインの基盤技術として知られるようになりました。それ以来、ブロックチェーンは暗号化通貨だけでなく、様々なビジネス分野やユースケースに適応されるようになりました。

    ブロックチェーンは分散化されたパブリックデータベースで、取引情報をチェーン上に保存して、改ざんから守り、データの整合性を保証します。ブロックチェーンはP2Pネットワークでそれぞれのノード(エンドポイント)は平等で全てのノードの完全なブロックチェーンのコピーが保存されます。ブロックチェーンに保存されたデータはネットワークに参加している続く全てのブロックを変更して複製されない限り、変更することはできません。この仕組みによりブロックチェーンのデータ改ざんは非常に難しいものになっています。

    取引データはブロックチェーンにおいてマークル木*2の形式で保存されます。連続するブロックはお互いにリンクされ、チェーンを形成します。それぞれのブロックは、その前のブロックの暗号学的ハッシュを含み、最初のブロックからチェーン上のブロックの順序と整合性を確認することができます。この仕組みにより、チェーン上の取引データの監査と確認をすることができます。

    ブロックチェーンは中央集権ではないため、新しいブロックが追加される前に参加するノードの合意が必要となります。これは合意プロトコルまたは合意機構によって行われます。最も一般的な合意機構はProof of Work (PoW) とProof of Stake (PoS)です。

    X-Roadとは

    X-Roadはオープンソースのデータ連携レイヤーで、組織がインターネット上でデータ連携することを可能にします。X-Roadは中央管理された情報システム間の分散統合レイヤーで安全に標準化されたサービスの提供と消費の方法を提供します。X-Roadはデータ連携をする双方の匿名性、整合性、互換性を保証します。 

    サービスプロバイダー(例:基本レジストリ)とそれを消費するコンシューマー(例:Webポータル)のアイデンティティはX-Roadのオペレーターにより集中的に管理され、全てのデータ連携はデータのコンシューマーとプロバイダーの間で直接行われます。データ連携の証拠はデータ連携した双方のローカルストレージに保存されます。第三者はアクセスできません。タイムスタンプと電子署名によってX-Roadからおくらえレウデータの否認不可を保証しています。

    X-Roadはバッチ処理による署名とタイムスタンプをサポートしています。バッチ処理による署名は添付を含むメッセージのために作られます。バッチによるタイムスタンプとは最後に作られたタイムスタンプから遡ってバッチ処理によって非同期に作られるタイムスタンプです。バッチ処理によるタイムスタンプはタイムスタンプサービスの負荷を削減するために利用されます。署名とタイムスタンプの両方の機能はマークル木とバッチ中にメッセージをハッシュチェーンを通じてリンクされるメッセージプロセスを元にしています。ハッシュチェーンを使うことで任意のメッセージが特定のバッチ処めいの一部だと確認することができます。しかし、異なるバッチと含まれるメッセージの間にリンクはなく、バッチ処理された全てのメッセージを全てリンクはされていません。

    セキュリティーサーバーは全ての署名とタイムスタンプがバッチ処理されたメッセージをメッセージログデータベースに保存します。ログの記録はディスクに定期的に保管され、データベースからは削除されます。メッセージログのアーカイブは以前にアーカイブさたメッセージに依存し、このチェーンは異なるアーカイブファイルに続きます。これによりメッセージログのアーカイブファイルは一つのセキュリティーサーバーにあるメッセージのチェーンを構成します。つまり、メッセージのアーカイブファイルはチェーンを破ることなく変更することができなくなります。

    X-Roadはブロックチェーンを基盤としているか?

    ブロックチェーンは非中央化された分散データベースで、合意プロトコルを通じて更新されます。ネットワーク上の全てのノードは平等で、データベースの完全なコピーを所持します。データベースに格納されたブロックは暗号学的ハッシュ機能でリンクされます。

    X-Roadのセキュリティーサーバーに格納されているメッセージログのアーカイブファイルは一つのセキュリティーサーバーで処理された全てのメッセージを含みます。メッセージは暗号学的ハッシュ機能でリンクされています。ファイルはローカルで保管され、ファイルをホスティングしているサーバーはファイルを作成する必要があります。それぞれのセキュリティーサーバーはそれぞれユニークなメッセージのチェーンを持ちます。それ以外のX-Roadのエコシステムメンバーはファイルにアクセスできません。

    ブロックチェーンとX-Roadの共通点はデータをリンクする暗号化ハッシュ機能です。それ以外はあまり共通点はありません。それは目的のユースケースが異なるからです。暗号化ハッシュ機能はブロックチェーンが生まれる前から存在しました。暗号化ハッシュタグをブロックチェーンでもX-Roadでも使っていることで、X-Roadがブロックチェーンを基盤としていることにはなりません。自転車も自動車も車輪があります。しかし自動車が自転車の前にあったからといって、自動車は自転車を元にしていると言いません。ブロックチェーンとX-Roadにも同じことが言えます。

    上記からX-Roadはブロックチェーンを基盤としていないと言えますし、内部的にも使っていないと言えます。

    解説

    この記事はThe Nordic Institute for Interoperability Solutions(略称:NIIS フィンランドとエストニアが共同で設立)がX-Roadとブロックチェーンの違いを解説したものです。

    X-Roadはもともとエストニア政府が開発した情報連携プラットフォームで、MITライセンスのもとにオープンソースとして公開されています。海外でも使われていて、2018年2月にはフィンランドのX-RoadとエストニアのX-Roadが接続されました。

    この記事にもありますが、X-Roadとブロックチェーンを混同する記事が日本でも見受けられます。確かにエストニアはブロックチェーンの公共サービスへの活用にも積極的ですが、その基幹システムとも言えるX-Roadは違うんですよ。

    カタパルトスープレックス なかむらかずや

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  • アメリカ政府機関「18F」から学ぶプロダクトオーナーの役割

    アメリカ政府機関「18F」から学ぶプロダクトオーナーの役割

    原文:”So, you’re a Product Owner…” by Hannah Kane

    18Fで官公庁のパートナーとのプロジェクトでデジタルプロダクトを開発するときの最大のゴールは最終的に官公庁パートナーがそのデジタルプロダクトとその結果のオーナーシップを完全に持つことです。これこそ私ちが政府の技術的プロジェクトにおけるトランスフォーメーションにおけるミッションの実現につながっています。

    このオーナーシップの意識を醸成する方法の一つがプロダクトオーナーを初期の段階で決めることです。プロダクトオーナーは官公庁のメンバーで、18Fと一緒に働きプロダクトを初期段階から最終的なデリバリー、さらにその先へと導いていきます。プロダクトオーナー(PO)は18Fとのエンゲージメントが終了した後にプロダクトの全責任を持ちます。

    18Fプロジェクトにおけるプロダクトオーナーの役割とは?

    私たちのパートナーシッププリンシプルに記述されているように、エンパワメントされたプロダクトオーナーは「所属する官公庁や部門の仕事や課題に関して理解していて、共に開発するプロダクトの普及支援ができる人物。ユーザーリサーチに基づきプロダクトの長期的ビジョンを確立し、戦略を実行に落とし込み、進捗をリードしていく」という役割を持っています。

    POがプロジェクトに使わなければいけない時間はそのプロダクトの性質に依存しますし、時間と共に変化します。POは初期の段階ではプロダクトとの責任を18Fのメンバーと共有します。しかし、18Fのメンバーはプロジェクトが進むに従ってその責任をPOに移管していきます。データを多く扱うWebサイトやインタラクティブなアプリケーションの場合は、最終的にPOはフルタイムの仕事となる可能性があります。

    私たちは官公庁のPOに戦略的なやり方と戦術的なやり方の両方を求めます。POはプロダクトのビジョンを持ち、これは解決する問題の深い理解に基づきます。18Fとの仕事では、ユーザーとプログラムが必要とする戦略を作るためにユーザー中心のアプローチをとります。また、プロダクトの成功を組織の内側と外側の両方に位置づけます。

    戦術的なレベルにおいてPOはソフトウェア開発におけるバックログの改善からスプリント計画といった会議やタッチポイントに参加し、場合においては主導的な役割を果たします。これらの専門用語がわからない場合(多くの官公庁POははじめての人が多い)、これらがソフトウェアプロジェクトの具体的で戦術的なタスクを定義して計画するため定期的に頻繁(多くは毎日)に訪れる機会だと覚えておいてください。

    プロダクトオーナーは技術的なバックグラウンドが必要?

    POはソフトウェア開発チームの重要な一員ですが、技術的なバックグラウンドは必要ありません。多くの場合、潜在的なユーザーやユーザーが持つ課題についての理解、そして課題に着実に近づいていく姿勢の方が技術的知識より決定的に重要になります。 複雑なステークホルダーとの関係を調整し、ビジネスとプログラムのゴールを理解し、難しい決断をし、時には妥協点を探ることもプロダクトオーナーの仕事です。

    プロダクトオーナーが顧客やユーザーの声を代表していると考えるのであれば、POは技術的なバックグラウンドがない方が望ましいことが多いです。もちろん、対象とするユーザー層が非常に技術的でなければ、技術に疎いPOはユーザーニーズを理解しやすいでしょう。

    大きなインパクト

    それではプロダクトオーナーはソフトウエア開発においてどのように大きなインパクトを与えるのでしょうか?以下はプロセスにおいてあなたのスキルや経験を活かすヒントです:

    • ユーザーのニーズを常に前面に打ち出し、ほかのメンバーにも同じ姿勢を求めましょう。よくあることですが、チームやステークホルダーは自らの仕事を機能で説明する習慣に戻ってしまいます。機能やバグなしのコードのためではなく、人々が持つ具体的な問題を解決するためにここにいるのだと思い起こさせましょう。プロジェクトの成功をユーザーニーズの解決と位置付けましょう。
    • プロダクトを使うユーザーとできる限り頻繁に繋がりましょう。構造化されたリサーチ活動(インタビューやコンテキストインタビュー)、ユーザーテスト(ユーザーがプロダクトを使う様子を観察)、スプリントレビュー(ステークホルダーに定期的にデモをしてレビューを受ける)や共創活動(デザインスタジオなど)多くの機会があります。全ての機会を利用してユーザーのニーズを理解する努力をしましょう。ユーザーが使う言葉や、苛立ち、混乱、驚き、喜びのポイントをノートに残しましょう。
    • ステークホルダーと繋がり情報をアップデートしましょう。定期的なアップデートのデモへ招待したり、プロダクトの様々な部分における専門家として話を聞いたり、プロダクトのビジョンや戦略について話をするために時間をとってもらいましょう。
    • 柔軟的でいましょう。最近、18FとのプロジェクトでPOの役割を果たしたAmber Sprinkleは「POのビジョンはチームを導くのに役立ちますが、そのビジョンにたどり着く道筋に関してはオープンマインドでいることが必要です。そして、ビジョンは変わることも理解しておかなければいけません」と語っています。
    • 簡潔な言葉を使いを意識し、ほかの人にも簡潔な言葉を使うことを求めましょう。簡潔な言葉は一般の人たちにとって読みやすく、理解しやすく、政府の公共サービスを理解しやすくなります。専門用語に注意をし、シンプルでストレートな言い方を推進しましょう。
    • 難しい決断をしましょう。POは相反する優先順位に関して戦略的に選択をすることでチームの成功に大きな貢献をすることができます。POはプロダクトバックログの完了に責任を持ちます。その優先順位は常に現在の優先順位に反映されなければいけません。
    • チームの推進力と士気を上げましょう。チームメートが問題解決にフォーカスして結果を出すことを助けましょう。成功を積極的に称えましょう。失敗やつまずきから学ぶことにリーダーシップを発揮しましょう。開発のプロセスの中でチームは見失いがちで、POの仕事はチームを前に進めることです。

    プロダクトオーナーの仕事に興味があるのであれば、米国森林局のオンライン許可プロジェクトにPOであるAaron Burk氏のインタビューを読んでみることをお勧めします。Aaron氏はPOについて大事なことを指摘しています。POは技術ではなく、課題を解決して価値を提供することが仕事だと述べています。 このような価値観を持っているのであれば、POの仕事はとても意味のあるものとなるでしょう。

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  • エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    原文:”Welcome to our digital nation, Payoneer” by Kaspar Korjus

    ぺイオニア(Payoneer)はペイメントのプラットフォームで、起業家がグローバルに支払いや支払いの受け取りをローカルと同じように簡単にできることを実現します。しかも、ローカルの銀行口座なしに。

    本日、エストニアの電子国家にぺイオニアを招待し、世界中に急速に拡大するエストニアの仮想住民(e-resident)に専任のサポートを提供します。仮想住民の企業はすでに200カ国で150通貨と35言語で運営されています。

    このコラボレーションはエストニアの仮想住民に金融サービスの選択肢を広げることになります。同時にぺイオニアにとって400万人の既存顧客へのグローバルなEU企業を完全にオンラインで設立する機会が提供できることになります。私たちはぺイオニアの既存顧客にエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に理解していただき、登録していただきたいと考えています。

    多くのエストニアの仮想住民はすでにぺイオニアを利用して、そのサービスに前向きなフィードバックを私たちに伝えてくれています。そして、この協力関係はぺイオニアとエストニアの仮想住民制度(e-Residency)がさらに利用しやすくなることを促進します。

    この結果、ぺイオニアは仮想住民に向けて特別なキャンペーンを実施しています。このリンクを通じてぺイオニアアカウントを登録すると、口座登録3カ月以内に$5,000の支払いを受け取ることができます。さらに$250を受け取ることができます。エストニアの仮想住民はさらに低い手数料、より高い取引量、特別サポートなど特別な条件でサービスを受けることができます。

    ぺイオニアがエストニアの仮想住民に提供するもの

    口座は世界のどこからでも完全にオンラインで開設することができ、国境をまたいでビジネスをする世界の起業家に有益な多くの機能があります。

    ぺイオニアのグローバルペイメイントシステムを使えば仮想住民に複数の国の複数の貨幣でカードを含めた支払いを受け取ることができます。仮想住民にとって重要なのはぺイオニアの口座所有者が口座から資金を引き出し、個人の銀行口座に移せることです。これによりエストニアにある仮想住民の会社のために法人口座を作れない場合でも、伝統的な銀行口座の必要性がなくなります。

    これは仮想住民がEUの法人口座を持てるというだけではありません。アメリカ、イギリス、日本、中国、カナダやオーストラリアの現地銀行があるかのようにエストニアの会社がお金を受け取れるのです。

    必ず必要なわけではありませんが、ぺイオニアでお金の取引をするのに一番簡単な方法な、ぺイオニアのネットワーク内で取引をすることです。Amazon、Google、UpWork、Fiverr、Airbnb、ShutterstockやGettyImagesを含め、すでに多くのマーケットプレイスがぺイオニアを利用しています。フリーランス、アフィリエイトマーケティング、Amazonでの販売、アプリ開発、ストックフォトなど場所に縛られないビジネスを展開している企業にとってこれはとてもメリットがあります。

    仮想住民はぺイオニアの口座から国をまたいだ支払いもできます。サービス、サプライヤー、従業員や契約社員への支払いなどです。ぺイオニアのネットワーク内での支払いや、ペイメントカードでの支払いの他にもSEPA(Single Euro Payments Area 単一ユーロ決済圏)内であれば銀行への直接送金も可能です。

    バンキングの将来

    仮想住民の制度(e-Residency)を開始して場所に縛られない起業家にサービスを提供してから銀行へのアクセスは最大のチャレンジの一つでした。

    それでも大きな流れは明白でした。

    新しい技術は急激に世界中の人たちに起業の機会を広げています。会社の設立、会社の運営やバンキングなどのビジネスツールは完全にオンラインで低価格で少ない労力でできるようになっています。それでも、まだまだ改善する余地はあります。

    グローバルに生活し、どこからでもオンラインで仕事をするのは新しいスタンダードです。行政と金融機関はともに国境や官僚主義から生まれる障害を少なくするようなスマートなソリューションを提供する努力をすべきです。

    エストニアはぺイオニアが私たちのデジタル国家に参加することを歓迎します。なぜなら、私たちは世界中にとって選択肢が増えること、価格を低く抑えること、障害が少なくなることを歓迎するからです。

    エストニアの仮想住民制度もぺイオニアもそれぞれ世界で急激に広がりを見せています。特に東アジアなど私たちのスタート地点から離れた場所で顕著です。偶然ですが、今年には双方とも韓国に新しいオフィスを設立し、韓国の起業家支援に力を入れています。これにより力を合わせて現地の起業家支援を強化することができます。

    仮想住民は以下のリンクからさらにぺイオニアの提供するメリットについて学ぶことができます。

    ぺイオニアの顧客はエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に関してe-resident.gov.eeで学ぶことができます。また、以下のブログ記事ではどのように場所に縛られない会社を設立できるのかを学ぶことができます。

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  • ケンブリッジ大学のインクルーシブ・デザイン・キット(多くの利用者を包括的にとらえるアプローチ)

    ケンブリッジ大学のインクルーシブ・デザイン・キット(多くの利用者を包括的にとらえるアプローチ)

    原文:”What is inclusive design?” by Engineering Design Centre, Department of Engineering, University of Cambridge

     全てのデザインにおける決定はユーザーを含むか含まないか潜在的な判断がある。インクルーシブ・デザインはユーザーの多様性を理解することにより、自らが対象となっているのかユーザーに理解できるようにすることを強調しています。それにより、できる限り多くのユーザーを包括できるようにします。ユーザーの多様性はユーザーのできること、ニーズ、動機などを含みます。

     ここではまずプロダクトパフォーマンス指標(PPIs)の例を紹介します。プロダクトやサービスが機能していることを確認する上で考慮しなければいけない指標です。ここではユーザーのニーズがどのようにこの指標に当てはまるのかをみていきます。そしてPPIを全てカバーするには対象となるユーザーの多様性の理解がどのように必要なのか、そしてその多様性にインクルーシブ・デザインを通じてどのように対応していくのかを説明していきます。また、「全てのためのデザイン」や「ユニバーサル・デザイン」との違いも提示します。

    プロダクトパフォーマンス指標(PPIs)

     インクルーシブ・デザインは人々の多様性とそのデザイン上のインパクトに着目します。しかし、パフォーマンス指標は人、利益、環境を含み幅広い側面をカバーしなければいけません。下のパフォーマンス指標フレームワークを参照してください。

     パフォーマンス指標を利用して製品のライフサイクルを通じてどのようなインパクトがあるのかを様々な側面で検証します。製品のライフサイクルは一般的に以下のステージから構成されます:

    • 開発する
    • 製造する
    • 流通販売する
    • 利用する
    • 廃棄する
    • 再生する

     多くの現行製品にとってユーザーはゴミ箱に捨てて「廃棄する」でしょうし、埋め立てて「再生する」でしょう。しかし、リサイクルや改修はその代替となる例となります。

    このパフォーマンス指標の詳細はthe Designing Our Tomorrow businessのウェブサイトで確認できます。

    訳者注

    ケンブリッジ大学の許可のもと、カタパルトスープレックスデザインのGithubでPowerPointのテンプレートの日本語版を無償で配布しています。

    ユーザーの多様性を理解する

     ユーザーを正しく理解できないとプロダクトに不必要な不満の原因となり、ユーザーを除外することとなります。そして、それは返品やカスタマーサポートの増加に繋がり、商業的に成功する可能性を低くします。。

     ユーザーの多様性を理解する上で、「健常者」や「障害者」といった偏見のある枠組みを疑うことは重要です。2003年にマイクロソフトから委託されたアクセシビリティテクノロジーに関する調査で以下のコメントを得られました:

    「障害者」というコンセプトはアクセシビリティテクノロジーのニーズを理解する足かせとなる可能性がある。 … IT業界は利益を受けるより幅広い人たちを考慮すべきだ。- マイクロソフト (2003)

     人々の多様性は「できること」を全てカバーしたピラミッドモデルがより正しく表現できます。このピラミッドでセグメントを作ります。一番下のセグメントは困難がないことを示し、上にあがると困難の度合いが高まります。具体的な例を下に示します。

     この多様性は「できること」という視点で最初に作られましたが、それ以外の観点でも利用することができます。例えば、ライフスタイル、動機、性別、過去の経験などです。要するに「違うことはあたりまえ」(引用:Lange and Becerra, 2007) なのです。

    このピラミッドモデルはユーザーの多様性を表しています。The pyramid model presents a continuum of population diversity. 普及データと困難度の定義は2003年のマイクロソフトの調査から導き出されています。

    インクルーシブ・デザインの定義

     英国規格協会(British Standards Institution)は2005年にインクルーシブ・デザインを「メインストリームの製品/サービスにおいてなるべく多くの人たちが特別なやり方やデザインなくアクセスでき、利用できるデザイン」と定義しています。

     インクルーシブ・デザインはいつも一つのプロダクトが全ての人のニーズに対応することが可能(または適切)だと示唆していません。そうではなく、以下の点を通じて人々の多様性に対応するようガイドします:

    • 一つの製品ではなく、製品ファミリーや派生製品を開発し、できるだけ多くの人々をカバーする
    • それぞれ個別の製品が明確なターゲットユーザーを持つことを確実にする
    • 様々な場面において幅広いユーザー層のユーザーエクスペリエンスを高めるために製品利用の困難度合いを減らす

    多様性のピラミッドモデルは困難度合いの高い人たちを包括しつつ、ピラミッドの頂点にある困難度合いの最も高い人たちには専門の商品の必要性があることを認めています。

    ユニバーサルデザインとの比較

    「すべての人のでためのデザイン(Design for all)」と「ユニバーサル・デザイン」は同じ文字通りの意味があります。これらの考え方は建造環境*1やウェブサイトのデザインから起因していて、当初は政府の規定を背景として活用されました(the Design for All FoundationのウェブサイトUniversal Design Handbookより)。

     プロダクトデザインにおいて「すべての人のためのデザイン」も「ユニバーサルデザイン」も一つの製品がすべての人々をカバーできないことは認めています。それでも、これらのアプローチはメインストリームの製品は技術的に可能な限りより多くの人がアクセスできるようにするべきだとしています(Universal Design Handbookより)。

     インクルーシブ・デザインはプロダクトデザインから派生して、特定の製品が特定のユーザーのニーズに合わせることにフォーカスすることで、ユーザー自身が適切な製品を選ぶことができ、その特定マーケットのプロダクトパフォーマンス指標を最大化します。インクルーシブ・デザインはメインストリームの商品のユーザー層の拡大を意図しますが、同時に対象ユーザーのニーズを満たすための商業的な制約も認識しています。

     ウェブサイトや建造環境のターゲットユーザーはほぼすべての人たちなので、この場合は三つのアプローチは同じと言えます。

    ネクストステップ

    ケンブリッジ大学ではワークショップコンサルティングを提供しています。

    訳者からの解説

     この記事はUniversity of Cambridgeによる記事”What is inclusive design?“を著者の許可のもと、日本語に翻訳しています。この記事はカタパルトスープレックスのなかむらかずやにより日本語に翻訳されました。University of Cambridgeはこの翻訳の正確さを保証してません。正確な内容については、原文による正式の文言を確認してください。

     このインクルーシブ・デザインという考え方は主にヨーロッパで普及していて、デジタルサービスが最も進んでいるとされるイギリス政府の公共サービスでもその理念が踏襲されています。デジタルが使えない人たちをどのように取り込んでいくのか。日本においてもデジタル化が期待されていますが、高齢化社会においてはインクルーシブ・デザインの考え方が役に立ちます。「高齢者」と一括りにせず、困難度のピラミッドを使ってどのようにデジタルを活用できない層を包括していくといいでしょう。高齢者だけがデジタルが苦手なわけではないですし、高齢者だからといってデジタルが苦手なわけでもないですから。

    なかむらかずや