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  • イギリス政府がUX改善のために行った大規模コンテンツ監査

    イギリス政府がUX改善のために行った大規模コンテンツ監査

    原文:”Transforming transport content: the journey so far” by John Turnbull, Government Digital Service (GDS), October 12, 2017

     この記事は英国政府の政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)がコンテンツ監査やタクソノミー(分類)によって運輸コンテンツをどのようにユーザー中心に再構成したかの事例を自ら解説した“Transforming transport content: the journey so far”の翻訳記事となります。

     前回紹介した大きな戦略も、こうした地道な実行によって支えられているんですね。有言実行とはまさにこのことですね。

     コンテンツ監査やタクソノミーづくりは地味な作業ですがUXでは非常に重要な基盤です。GOV.UKが大きな成果を出し続けているのにはこのような地味な作業の積み重ねがあるのですね。日本での大規模コンテンツ監査でもとても参考になると思います。

     どうぞ、お楽しみください!

    カタパルト式スープレックスなかむらかずや

     私たちはユーザーがGOV.UKで必要なコンテンツを簡単に見つけられるようにしたいと考えています。 私たちはそのために:

    • すべてのGOV.UKコンテンツを主題ごとのカテゴリにグループ分けする(仕分けグループ “タクソノミー” の作成)
    • タクソノミー(分類)されたコンテンツを改善する – どのようにうまく仕分けをしても、タイトルのつけ方が分かりづらかったり、重複していたり、間違ったフォーマットで作成されていなければ探すことが難しいからです

     私たちはサイトを教育、交通、訪英(ビザや移民)といった三つの大きな主題に分けました。 これらの「テーマ」はナビゲーションのトップレベルのカテゴリーというわけではありません。私たちが取り組みやすいようにサイトを小さなカタマリに分けただけです。

     私たちはすでに教育コンテンツを変革しました。そして今年の4月には輸送テーマに取り組み始めました。

    さあ旅に出よう

     このような取り組みは私たち政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)だけでできるものではありません。実際にGOV.UKでコンテンツを所有する省庁やその関連機関と緊密に連携する必要があります。

     今回の輸送テーマは英国運輸省(DfT)およびその関連機関と連携を意味します。

     英国運輸省はこのプロジェクトに熱心にかかわり、その関連機関も人と時間をプロジェクトに費やすと確信しました。私たちは英国運輸省のコンテンツとデジタルの責任者であるSioned Jamesと、デジタルにおける編集と出版のマネージャーであるGavin Dispainと今回のプロジェクトに対するアプローチについて合意しました。覚書に署名され、作業を開始しました。

    私たちの旅行計画

     私たちは今回の輸送コンテンツ変革プロジェクトをいくつかの段階に分けました。

    1. 輸送に関するコンテンツの在庫リストを作成する
    2. コンテンツ監査を行う(ニュースのようなさかのぼって変更できないコンテンツは除く)
    3. コンテンツを改善する(必要な場合)
    4. コンテンツを新しいタクソノミーに応じてタグ付け再公開する

     私たちは更にコンテンツを分類するタクソノミーを以下の四つのステップで作成しました。

    1. コンテンツを形成する用語集を作成
    2. それらの用語を大まかなタクソノミーに分類
    3. ユーザーリサーチで運輸関連情報のユーザーがどのように考えているか調べ(完了するためにどのような作業が必要か、彼らの仕事を説明するためにどのような言葉を使うのかなど)、その調査結果から得た学びをタクソノミー作成に反映する
    4. ユーザーにたいして作成したタクソノミーをテストして反復検証する

    旅のはじまり

     私たちは「発見」セッションからはじめました。GavinがGDSのオフィスで私たちと一緒に仕事をしてくれたことにより、私たちは以下のことを実行できました。

    • 輸送に関するコンテンツ在庫の確認
    • コンテンツ監査の範囲とするコンテンツタイプについて同意(主にガイダンス)
    • コンテンツ監視で浮上した疑問点のレビュー
    • コンテンツの一部を監査して、どれほど早く監査できるか確認する

     私たちはまずサブテーマ(今回は鉄道)を監査しました。監査は予想よりも早く、1週間以内に終了することができました。それにより航空コンテンツの監査も完了することができました。

     次に「ユーザー識別ワークショップ」を開催しました。運輸省関連機関も参加したためにキックオフミーティングの二倍の規模となりました。私たちからはコンテンツデザイナーとそのほか専門家が参加しました。

     プロジェクトの概要をのプレゼン後、輸送分野におけるユーザーのグループ分けを行いました。これはユーザーリサーチを計画するのに必要です。

     運輸省とその関連機関がコンテンツの監査を開始する準備が整いました。私たちは一日トレーニングのシリーズからコンテンツデザイナーに参加してもらいました。

     監査が開始されGDSは進捗状況と監査のスポットチェックで各関連機関のアプローチに一貫性が保たれていることを確認しました。私たちは内部で「コンテンツクリニック」を実施して、関連機関にとって難しい課題に関して議論やアドバイスをしました。

    タクソノミーがほしい

     監査と並行して運輸関連コンテンツのタクソノミーの作成作業をはじめました。

     私たちは何千もの輸送関連のコンテンツをすべてを見直して、それを記述するための用語を抽出するようなことはしたくありませんでした。そのようなやり方はあまりに多くの時間を費やします(そして、私たちは正気を失うでしょう)。

     そのような方法にではなく、私たちの開発者がさまざまな運輸関連の主題に含まれる950項目の輸送コンテンツリストを作成する方法を見つけてくれ、類似したコンテンツアイテムの重複を最小限に抑えることができました。これにより、コンテンツをすべて読むことなく納得できる包括的な運輸コンテンツを作成する際に必要な用語リストを生成することができました。

     その結果「運転免許」「バス規制」「海事訓練」など650のユニークな用語がわかりました。

     次に生成された用語をグループ化しました。それぞれの用語をカードに印刷し、それらを大きなテーブルに置き、類似した用語をグループにまとめました。結果をスプレッドシートに転記し、非常にラフでフラットなタクソノミーのドラフトを作りました。このタクソノミーのドラフトは3か月の間に実際のユーザーに対してテストします。

     また、「ユーザー識別ワークショップ」を通じて運輸省が抽出したユーザーグループの一部(ドライビングインストラクター、MOTテスター、パイロットなど)とのインタビューを行います。ユーザーのニーズ、よく使う言葉、どんな作業を行うかを理解する必要があります

    私たちは現時点でどこまでこれたのか

     今年4月から6月の目標は2つの輸送サブテーマを監査することでした。運輸省とその関連機関のコンテンツデザイナーの莫大な努力のおかげで、10のすべてのサブテーマの完了に近づきました。実際に7月の終わりには7,396のアイテムを含むすべての監査を完了することができました。

     私たちのもう1つの目標は、ユーザーテストのためのタクソノミーのドラフトを作成し、ユーザー調査でユーザーのニーズを理解することでした。そして、その目的地に到着することができました。タクソノミーをユーザーテストで磨き上げ運輸省と関連機関はこれからコンテンツのタグ付けを開始します。

    これからの旅程

     監査が完了し、これから更にハードな仕事が待ち受けています。監査期間に特定されたコンテンツの改善をします。運輸省と関連機関はこの作業を段階的に進めて、コンテンツを見つけ出すために最も重要なもの(タイトル、サマリー、正しいコンテンツタイプ)から改善をしていきます。

    次のステップ

     運輸省と関連機関はこの変革テーマをやり遂げました。また、英国のビザ入国管理局(UK Visas and Immigration )と協力して「訪英」テーマについても大きな進歩を遂げました。

     私たちは大規模なコンテンツ改善やタクソノミーの作成について多くのことを学びました。10月から12月にかけて、ここで得られた学習を活用して新しいプロダクトに取り組みます:官公庁や関連機関が自分たちで同じ作業ができるように標準化されたツール、ガイダンス、トレーニングを開発します。どうぞお楽しみに!

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

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  • ルイス・フォン・アンが語るEdTech、人工知能、CEOとしての成長

    2LuisVonAhn MGB

     ルイス・フォン・アンはCAPCHAの開発者であり、20代の時に二つのスタートアップを立ち上げGoogleに売却しています。いまは外国語を学ぶプラットフォームのDuolingoの創立者でCEOです。Duolingoも成功していて、すでに世界中で約1億2000万人が登録していて、100億円の資金調達を行いました。すげーな、マジで。

     そんな彼のとてもよいインタビューがTwenty Minute VCのポッドキャストで上げられてましたので、要点だけまとめてご紹介します。

    Duolingの誕生話

    • 自分自身は外国語は得意じゃない。
    • Googleに二つ目の会社を売却してカーネギーメロン大学で教授をしていたころ、EdTechで何かやりたいと考えていた。その時のPhDの生徒とそんな話をしていた。そして教育の中のいくつかの分野をそれぞれ考えた。
    • なんで言語教育にたどり着いたかと言えば、英語圏では外国語教育ってそれほど大きくないが、非英語圏では大きい。人口で1.2億人くらい。年間で80億ドルが外国語を習うために使われている。特に英語を学ぶことが。
    • ほとんどの人は貧困から抜け出すのために英語を学ぶが、英語を学ぶためのソフトウェアは非常に高価だった。貧困から抜け出すために高価なソフトが必要というのは皮肉な話だった。だから無料のDuolingoを作った。

    EdTechは難しいのか?

    • EdTechは大きく分けて二つある。教育するツール(教育ツール)と教育することを支援するツール(教育支援ツール)。Blackboardは教育支援ツールの代表。教育支援ツールはメインにはなれない。
    • 教育ツールはコンテンツの問題がいつも付きまとう。UGCのように簡単ではない。学びたい人と教えたい人を単につなげるみたいな単純なものでもない。
    • 更に教育は規制されている。予算も地区レベルに細かく分かれていて、州レベルに大きな予算があるわけではない。そして各地域ごとに教え方も異なる。当然ながら国ごとにも異なる。
    • 特に経済先進国では教育は無料でそのクオリティーは高い。教育ツールはその10倍よくなければいけない。
    • 単純に言えばEdTechは確かに難しい。

    人工知能がEdTechで果たす役割は?

    • Duolingoを1対1の先生と同じぐらい効果的にしたい。教育や教育心理学の世界では多くの研究がされている。もっとも有名なのはブルームの2σ問題。1対1の教育と1対nのクラスルーム教育を比べた場合、1対1の教育の方が圧倒的(2標準偏差)に成績がいいという調査結果。これはずいぶん前から分かっていて、最もいいのはすべての人に1対1の教育を実施すること。
    • 当然ながらこれではスケールしない。しかし、AIを活用すれば1対1の先生くらい効果的な教育をできるようになる可能性があると思う。そのためにDuolingoでもAIに大きな投資をしている。
    • 最近立ち上げたチャットボットもその過程的なプロダクト。チャットボットは言語教育においては革新をもたらすと思う。それは言語教育が会話の上に成り立つから。数学などは会話的でないのでチャットボットは合わないかもしれない。チャットボットでピザを注文するよりは自然。
    • 言語習得で一番困難なのは続けること。モチベーションを高く持ち続けること。学校教育は社会がモチベーションとなる。学校に行かなくなると社会と断絶してしまう。しかし個人学習ではそのような力が作用しないので、さらに困難。実際にEdTechの教育ツールでの継続率やプログラム完了率は非常に低い。1%とか2%とかそういうレベル。ゲーミフィケーションはモチベーション維持に役立つ。
    • Duolingoの継続率は非常に高い。人気のゲームと同じくらい。ユーザー登録をした55%の人は次の日も使う。普通の教育ツールは10%から15%くらい。登録して7日後の継続率(D7)は30%の後半。Duolingoの競合はゲームアプリだと考えている。人気ゲームの場合登録してから一年後の継続率(D365)は20%と言われている。Duolingoもそれくらい熱中できるものでなくてはいけない。
    • 50%までいかないまでも、かなり大きな割合のユーザーは「単に時間を浪費したくない」という理由でDuolingoを使う。『キャンディークラッシュ』で遊ぶより罪悪感がない。最初の予想は「いい仕事に就きたい」とか「海外旅行に行きたい」だったのだが。

    会社とともにCEOとして成長すること

    • これまではGoogleにすぐに売却してしまったので、ここまで会社が大きくなったのは初めての経験。
    • 最初に学んだのはマイクロマネージをしないこと。自分でやるのではなくて、チームにやる気を起こさせるのが仕事だということに気が付いた。
    • 会社をスケールするのに伴う困難のひとつは人を解雇すること。Duolingoではそれほど解雇する機会はないが、それでも解雇しなければいけない時がある。「素早く採用、素早く解雇(Hire Fast, Fire Fast)」はいいと思っていない。いま従業員は100名くらいだが、これだけ資金調達をしたのだから雇える余力はもっとずっと多い。それでも採用にはとても時間をかけている。
    • 自分の発言がほかの社員にどれくらい重いのか理解しなければいけない。規模が小さいときはみんな友達みたいなものだった。いまは何気ない一言が組織に大きな影響を与えてしまうことがある。

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    soundcloud.com

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  • エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    原文:“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”

     エストニアでは人工知能(AI)に関するパブリックな公開議論がはじまっています。

     その背景として昨年11月に召集されたクルマの自動運転のプロジェクトチームがあります。プロジェクトチームの主な目的の1つは自動運転のクルマが路上で走行した時の法的枠組みを定義することでした。

     召集されたチームの専門家たちは道路交通法だけを取り扱うのは不適切であると認識しています。なぜなら自動運転で使われる人工知能(AI)の問題ははるかに広く、取り扱うはべき範囲は道路交通法だけにとどまらないからです。クルマの自動運転はAIの問題を社会に問いかけるのにちょうどいいテーマです

     AIはとても複雑で幅広い問題提起をしています。例えば、証券取引所で取引をする金融ボット、食料品を自動的に買うスマートな冷蔵庫、クルマの自動運転やバケーションの飛行機チケットをiPhoneのSiriに買ってもらうなどです。

     この規制の主な目的はAIに関わる責任の所在をユーザーにやさしい形で定義することです。そうすれば一般的な市民は、例えば事故が起きた場合でも、正確に責任の所在を理解することができるようになります。

     「責任の所在」は単に「この事故は誰が悪いのか」ということより複雑な問題です。多くの場合、AIは人にとってその意思決定プロセスが直感的に理解できる方法で構築されています。そのアルゴリズムの開発者でさえ開発したアルゴリズムが特定のポイントでその特定の決定をした理由がわからないので「この事故は誰が悪いのか」と法的な観点から言いにくいのです。だから、このタイプのブラックボックスアルゴリズムは法的観点からはかなり複雑ですし、このように広くオープンに責任の定義について議論をすることはとても大事なことです。なぜなら、このようなアルゴリズムは日々の生活にいろんな角度から入り込んでくるからです。どの種類のコンテンツを表示するかを選択するFacebookアルゴリズムから、より使いやすい方法でサービスを使用できるようにするさまざまなスマートフォンデバイスまでです。しかし、アルゴリズムには一定の偏り(バイアス)があり、彼らはあなたから収集されたデータに基づき様々な決定をします。偏りが存在するAIを人々が理解できる方法で法律を書くことが重要です。

    エストニアの公共部門におけるAIソリューションの実装に関する現在の議論の状態について教えてください

     エストニアにおいて私たちはマシンラーニングとディープラーニングについて詳しく研究しています。私たちはAI技術によっていくつかのシステムをより効率的にすると認識しています。例えば小さなケースですと警察の事務業務などです。他にも多くの法的業務も自動化することができるでしょう。裁判所で最も簡単な判決は自動的に行うことができるようになるかもしれません。しかしまだまだゆっくりとアイデアを孵化させている状態で、私たちはまだ実際にそのようなシステムを構築していませんが、とても大きな可能性があると考えています。エストニアでの電子政府の経験が示しているように、効率的なシステムを安価に構築する大きな可能性があります。

     AIはeガバナンスの次のステップであり、私たちはそれを利用できる可能性を調査していますが、限界はありません。エストニアはすでに積極的なサービスに取り組んでいます。つまり、市民が政府とやりとりなくサービスを受けることができます。これらのアルゴリズムが役立つ分野はたくさんあり、eガバナンスに新しい道を示しています。

    AIが実際に市民の生活を向上させることができる3つの可能な例を教えてください

     市民の日々の生活のために私たちが検討している枠組みは法律にたずさわる人たちがロボットに対応できるようにすることです。例えばあなたはiPhoneのSiriにあなたのためにサービスを売買するよう委任することができます。また、スマート冷蔵庫に食料品を買うことを委任することができます。クルマの自動運転では、あなたが働いている間に空いているクルマを買い物に送ったり、Uberのようなサービスに活用したりできます。このように多くの可能性があるのですが、エストニアは法的観点からパブリックな公開討論を開始した最初の国であることを理解することも重要です。私たちは実験を通じてこのフレームワークが実際にどのように機能するかを検証し、AIの合法化に関する重要なコンテンツを提供することでグローバルな議論に貢献をしようとしています。

     問題は差し迫っていると思います。多くの人は気がついていないかもしれませんが、日常生活の中にこのようなテクノロジーはすでに存在しています。単に厳しい規制を課すしてAIとの境界を作るだけではなく、AIを規制するためのケーススタディシナリオを持つこと。それによって市民や企業が恩恵を受けることができる多くの新しい可能性が開かれていると思います。

     たとえばこのAIとe-Residency(外国人が簡単にオンラインでエストニアの仮想住民になる仕組み)のアイデアを組み合わせると可能性は無限に広がります。エストニアの法的枠組みで動く金融ボットであれば、グローバルに金融取引を行いつつ、投資家がこのエストニアの法の元で法律的に信用することができます。

    エストニアはAIを規定するような「ロボット法」を検討していますか?

     私たちは三つのシナリオを提示できます:

    • 最も急進的なシナリオはAIに対して法的人格を与えることです。現在、法的人格は個人と法人という2つです。私たちは三つめの法的人格をAIに与える提案していますが、これは楽観的すぎるかもしれません。
    • もう一つの提案はロボットに対して別の条例で範囲やルールを規定することです。
    • 私たちの三つめの提案は「意志」の法的意味合いを根本的に変えて、同時にロボットに関して別の条項を作ることです。エストニアの法律において「意思」は何かを答えるのは非常に単純です。「私は水を飲みたい」とか。AIの場合、この単刀直入な疑問は幅広いです。例えば、私が冷蔵庫に何か食べ物を買うことを委任したとしましょう。私はミルク、おむつ、ドッグフード、チーズなど具体的な定義をしていません。私が欲しいと思っている製品はアルゴリズムによって決められます。このような場合「意思とは何か」と「私は何を望んでいるか」の差はとても広く、「意思」は非常に抽象的です。

     私たちは何が正しいのかまだわかっていませんが、私たちは公開議論をはじめて社会全体が参加していくことになるでしょう。全ての人が認識する必要があります。なぜならこの法的フレームワークの変化は非常に急進的で大きなものとなり、全ての市民の日々の生活に影響を与えるからです。

     技術的観点からの責任問題は簡単です。製造者の責任であろうと人間の間違いであろうと、誰の責任か決めることは可能だし、保険制度を確立したり、国家責任をシステム内に確立することも可能です。このような「決めの問題」はいま行われている公開議論で形作られていくでしょう。しかし責任問題の最も難しい部分は感情面です。クルマの自動運転を例としましょう。もし私の子供が自動運転のクルマにひかれて死んだとしましょう。私は誰に責任があるのか、誰が刑務所に行くのかを知りたい。社会が議論しなければならない最も困難なことは、このような場合には、ときには誰も責任がないということです。これを認めなければなりません。最近ホットな話題であれば列車の事故です。誰かが線路上を歩いている場合、列車は速度と慣性を持っているので止めることができません。自動運転のクルマの場合、やはりスピードと慣性があり、森林から速いスピードで走っているトナカイと衝突事故となる可能性があります。私たちは感情的にこの議論をやり通し、誰もがこのような場合に起こることを理解する必要があります。

    私たちは将来、すでにデータの中に存在する偏り(バイアス)にどのように対処することができますか?

     この法的提案の範囲を理解することは重要です。私たちは人を越えるようなスーパー知能の考え方に取り組んでいません。私たちはより範囲を絞った一般的なAIに取り組んでいます。これらのAI問題を取り巻く現在の問題は、アルゴリズムにはいくつかの偏り(バイアス)が組み込まれていることです。 ドナルド・トランプ大統領が選出されたアメリカ大統領選やイギリスEU離脱のBrexitのキャンペーンでは、Facebookアルゴリズムはさまざまなイデオロギーのバブルを作り出しました。これは問題です。これは現在のAIの最大の問題です。どのようにバイアスを減らすのかは非常に難しい課題です。私はこれが完全に可能ではないと思います。AIを作る人たちの法的枠組みや文化の背景には偏り(バイアス)があるのです。しかし、私たちのゴールはこの偏り(バイアス)を可能な限り最小化し、包括的な成長と繁栄を最大化することです。


    e-Talks | A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence

    解説

    この記事はエストニア政府のAdvisor of Digital AffairのMarten Kaevats氏のAIに関してのインタビュー記事“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”の翻訳です。

    エストニアはeガバメントの先進的な取り組みで知られています。1997年のeガバナンスを皮切りにe-Taxi-Votinge-Regidencyなど矢継ぎ早にデジタルサービスを展開していきました。このe-Regidencyがすごいのは外国人がオンラインで簡単にオンライン上の仮想エストニア国民になれることです。オンラインだけで会社を作って銀行口座を開設することができます。2025年までにこの仮想住民を2,000万人にするのがエストニア政府の目標だそうです。

    このインタビューでも出てくるようにe-Regidencyによる仮想エストニア住民とAIの組み合わせはとてもパワフルで大きな可能性がある気がします。「国民」とは何だろう、さらに「意思」って何だろうという非常に深みのある示唆に満ちていますね。

    この記事の元になったであろうYouTubeのインタビューは若干異なる部分があります。この翻訳では記事にはないけどYouTubeのインタビューに含まれていることを追加しています。その方がわかりやすい部分があったので。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • ティム・オライリーが語るプラットフォームの未来

    Tim O'Reilly (3)

     ティム・オライリーは技術系の人なら必ず一冊は持っているオライリーメディアの創始者で、現在でもその発言は大きな影響力を持っています。彼が新しい本『WTF!』を発売するのに合わせてa16z*1のポッドキャストでベネディクト・エヴァンスと対談をしていました。

     非常に示唆にともよい対談でしたので、要点だけ書き起こしました。英語の聞き取りに自信がある人は実際のポッドキャストを聞いてみてください。

    • プラットフォームはうまく行くこともあれば、いかないこともある。ビジネスモデルも同じ。既存のタクシー会社はアプリを使っただけでUberやLyftとの競合に勝つことはできない。アプリはビジネスモデルの構成要素の一つでしかない。基本的なビジネスモデルとそのプラットフォームを変えなければ勝てない。
    • アルゴリズムエコシステムは現在のプラットフォームの中心。アルゴリズムは何かを最適化する。Googleなら関連性を最適化するし、Facebookならエンゲージメントを最適化する。そしてフェイクニュースの論争を見てもわかるようにアルゴリズムは間違った方向に行くこともある。
    • エコシステムがどこで間違ったかといえば、IBMやマイクロソフトの独禁法違反が思い浮かぶ。両方ともテクノロジーエコシステムの企業だがいつのまにかエコシステム自体と競合するようになった。
    • 利益の最大化のために動くのが企業のロジックだが、偉大な企業が必ずしもそれがそのロジックで大きくなったわけではない。例えば初期の広告に対するGoogleの姿勢。自分たちの利益とエコシステムのための利益が相反することがあり、多くの場合はエコシステムの利益を優先した方が中長期的に結果が出る。
    • その企業にとって本当のビジネスモデルとはなんなのか。Googleの競合も移り変わっている。その結果としてエコシステムからでなくGoogle独自のコンテンツを提供するようになってきている。それによりむしろFacebookに対して持っていた優位性(関連性の最適化)を失いかけている。Google自体が目的地にしようとしている。本来の戦略的な強みは目的地にたどり着くための強力な中継地点であったのに。
    • ソフトウェアで儲ける仕組みは二つしかなく(バンドリングとアンバンドリング)、その意味においてモバイルは2000年のPCの位置付けにある。エコシステムは成熟して、次を探している。しかしスマートフォンではUberやLyftのような新しいホワイトスペースが常に発見されている。モバイルバンキングは前から言われてたが、モバイルタクシーを予見する人はいなかった。
    • ノースクリーンの可能性。これまでのインターフェースより摩擦が少ない。Amazon Echoや一部の成功しているスマートウォッチの成功要因の一つはスクリーンがないことを前提に開発されていること。これから複数のデバイスをまたがる水平プラットフォームが出てくるか興味深い。そのための標準化もあるだろうが、必要最低限になるのではないか。
    • フェイクニュースやスパムなどプラットフォーム自体に問題を抱えていて、いまはそれをデバッグするときに来ていると考えている。経済はハードサイエンスというよりもゲームデザインに似ている。ゲームのルールをもう一度見直す大きな機会がある。
    • 自由経済は実験の基盤。2つの実験を一つの大企業でやるよりも数百の実験を数百の小さな企業で行うのがシリコンバレー。昔はスタートアップを立ち上げる目的はビジネスを立ち上げることだった。いまはエグジットすることが前提となっている。彼らのプロダクトはむしろ金融商品に見える。

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    soundcloud.com

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    *1:ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ – Andreessen Horowitzの最初のAと最後のZの間に16のアルファベットがあるのでa16zと表記している。技術でよく使う表記法。例えばローカライゼーションならi10nだし、インターナショナリゼーションならi18nとなる。

  • 世界で最も進んでいるイギリス政府のデジタル変革全容:2017年度版 “Government Transformation Strategy”

    世界で最も進んでいるイギリス政府のデジタル変革全容:2017年度版 “Government Transformation Strategy”

    原文:Government Transformation Strategy

    The Government Transformation Strategy 2017 to 2020

    大臣による序文

     治めることは奉仕することです。私たちの目的は国家の安全保障、安全と繁栄を維持し、私たちを選挙で選んでくださった国民の皆様に約束したものを提供することです。

     しかし、国民が国家の都合で生活をさせられていると感じるケースがあることも事実です。政府は国民に奉仕するのではなく、君主として国民を統治していると。奉仕するように投票してくださった人々ではなく、統治する人々のために国が働くという見方です。このように選挙時に約束した誓約の実行能力に対する疑念からか、毎日人々に感じているフラストレーション(電話で話をするために申込用紙に記入しなければいけないなど)からか、政府は人々が望むことをますますできていないように見られることもあります。

     このような幻滅は見えやすいものです。ここイギリスやその他の民主的国家のどこかで、人々は投票箱を通じてもっと対応できる政府を期待し求めています。それは時の政府に対する国民からの呼びかけです。 現代民主主義の繁栄を望むのであれば、私たちはその要求に応える義務があります。

     これは簡単な作業ではありません。 政府はこれまで以上に複雑で広範囲に及んでいます。現代政府のように無数のサービスと機能を調整し、数百万の人たちにサービスを提供している企業はこの地球上に存在しません、たとえ世界最大の多国籍企業であろうと。 同様に、私たちの義務は、能力、年齢、性別、意見、または彼らが住むことを選んだ場所にかかわらず、すべての人に奉仕することです。これらの理由や、また官僚組織自体が独占的なサービス提供者であるため、政府はビジネスのやり方を変えるため可能性があるデジタル技術の活用に遅れてきました。つまり大きくて、遅いという二つの短所を持ち合わせています。人々が政府が公共サービスを効果的かつ迅速に提供することを正当に期待している世界では、それはまだ難しい課題です。

     変わることが至上命題です。しかもスピードとスケールをもって。これは変革です。それは本質的には仕事、文化、気質における変革、すなわちデジタル技術によって可能になった変革です。デジタル技術自体は変わりません。デジタル技術は変化を革新的にし変革とします。

     そのデジタル変革をどのように実行していくのか、それがこのドキュメントの主題です。 ここではすでに行っているデジタル変革の進捗状況を説明しています。 それは国民と国家との間の小さなやりとりを簡素化することから、世界規模の大きな変革プログラムまで含まれます。しかし、これははじまりにすぎません。この戦略は政府が行おうとしているの幅広いデジタル変革の方向性を示しています。つまり、働く仕組み、組織運営方法、国民に対して奉仕する仕組みです。これは、すでにデジタル変革をどこの国よりも多く実行して実績を出しているイギリスによる、デジタル変革を実行する他のどの国よりも野心的なプログラムです。

     私はこの国の優れたイギリス官公庁職員とこれまで以上に優れた政府サービスを提供するという課題に一貫して対応する彼らの姿勢を賞賛します。彼らは日々の仕事の中で感動的で価値ある公共サービスの精神が生きていること、そして現代のイギリスで力強く生きていることを証明しています。しかし、公共サービスにおけるデジタル変革のための野心を達成するためには、彼らイギリス官公庁職員たちによる意識と日々の意思と実行力が必要となります。ビジネスとは違って、私たちは競争によって変化を余儀なくされることはありません。変化を行うのはそれは正しいことだからです。純粋に私たちが奉仕する国民、選んでくださった国民にとっての公共サービスに変わるためです。もし私たちのこのデジタル変革が成功すれば、私たちは民主主義が国民にとって本来あるべき姿に回復する大きな貢献を果たすことになるでしょう。

    The Rt Hon Ben Gummer MP

    Minister for the Cabinet Office and Paymaster General(内閣府担当大臣/主計長官)

    イントロダクション

     政府はデジタルをより自在に活用してサービスを提供することにより、国民と国家の関係を変革することができます。2012年のGovernment Digital Strategyを発表して以来、大規模な処理を要求する公共サービスの変革”digital by default(デジタルを基本とする)”を通じて、デジタル変革が実行可能であることを証明してきました。現在、新しいデジタル関連職が各官公庁全体で確立されています。政府における各官公庁はプラットフォーム、コンポーネント、コード、パターン、ベストプラクティスを共有することにさらに長けてきました。これは非常に強力な基盤です。

     英国政府は世界で最もデジタル的に進んだ政府の1つです。私たちは2016年の国連におけるE-GovernmentとE-Participationの調査結果でトップにたちました。世界的に有名で数々の受賞歴のあるGOV.UKを開発し、オープンにしました。そしてそれは世界各国の政府によって再利用され活用されました。政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)は、政府のデジタル化をリードし国際的にコピーされているモデルです。

     多くの官公庁が公共サービスの提供方法を変革しはじめています。これにより、かなりの数のサービスにおいてユーザー体験が向上しています。しかし、多くの場合、官公庁や政府機関の実運営方法自体は変わっていません。これは人との直接的な対面サービスを持たない組織は依然としてデジタル変革の焦点から外れ、その利益を享受していないことを意味しています。

     次のデジタルを活用した変革は三つの大きなコンポーネントから成り立っていて、この三つがデジタル変革の範囲を形づくっています。

    • 国民との対面サービスの全面的な変革 – 国民、企業、公共サービスを提供する職員ユーザーのユーザー体験の向上を継続して行う
    • 完全な部門変革 – 柔軟な方法で政策目標を実現するために政府機関の組織に影響を与え、公共サービスを提供する全てのチャネルを改善し、効率性を高める
    • 政府の内部からの変革。これは直接的に政策成果や国民との対面サービスを変えることはないが、政府がより良いコラボレーションを行い、デジタル変革を効果的に実行するためには不可欠となる

     各官公庁はますます従来の組織の壁を越えて協力する必要があります。 欧州連合(EU)を離脱する国民投票は、変化する環境に敏感に適応できる必要性を高めています。政府の異なる組織を通じて継ぎ目なく実行される公共サービスを構築するためには、次のステップに進む必要があります。私たちはデジタルを更に強化します。ユーザーニーズを満たし、適切な安全基準を満たしている場合、政府間でデータを共有しやすくし、安全に管理されるようにします。

     私たちのデジタル変革へのコミットメントは、デジタル時代のリスクを考慮して実行する必要があります。 National Cyber Security Strategyでも記載されているように、サイバー攻撃はより頻繁に、洗練されてきており、サイバー攻撃の成功はより深刻な被害となります。したがって、私たちは犯罪行為を抑止し、個人のプライバシーへのコミットメントを維持する方法で前進する必要があります。

    ビジョンと目的

    ビジョン

     私たちは国民と国家との関係を変革します。国民により多くの力を与え、国民のニーズにより素早く対応します。

     インターネット時代のツール、技術やアプローチはこれまで以上に政府を助ける力となり機会を創出します。

    • 国民が必要とするものをよりよく理解する
    • より迅速かつ低コストでサービスを組み立てる
    • データと根拠をに基づいて、継続的にサービスを改善する

     私たちは公共サービスを変革し、また政府自体をデジタル組織にすることにより:

    • 国民、企業、その他のユーザーは公共サービスを通じてより一貫性のある体験を得られることができる − ユーザーは一般的なサービスを日々利用しており、公共サービスへ満足する期待値はより高まっている
    • 選挙で選ばれた政府は更に直近のインパクトを与え、情報とサービスをより迅速に提供することにより政策ゴールをユーザーの期待に合うように提供できる – そして政策が変更した場合も速やかに変えることができる
    • 政府が構築、変更、運営するコストと時間が削減され、公的資金が節約され、政府は社会経済的および政治的変化に迅速に対応できるようになる
    • 国民に個人情報が安全であり、期待されるように活用されるという自信を国民に与えると同時に、個人情報を含まない公共データも適切な場合は再利用できるように公開し透明性を更に高めることにより国民と国家の信頼を高める
    • 根源的に安全なシステム”secure by default”を基本としてシステムを作ることによりデジタル変革のあらゆるステージを通じてサイバー犯罪から守ることを確実にする

    目的

     国民と国家の関係を変革するため2020年までの間に政府は:

    • 世界トップレベルのデジタルサービスを引き続き提供し、モダンで効率的な方法でフロントエンドからバックオフィスまで政府の運営方法を変える
    • 組織内の職員からリーダーまで適切な技術と文化を醸造し、国民が得られる結果に焦点を当てて政策とその実行をまとめ、サービスを反復して実証ことにより学習が可能な環境にする
    • 公共に奉仕する人間としてより良い仕事より良い職場のツールやプロセスを構築する – 調達、管理、IT、ビジネスケース、人事プロセス、官公庁全体にわたる共通技術、官公庁職員のためのより良いデジタルツール
    • データをより有効に活用する – 透明性だけでなく、公共と民間を通じて変革を可能にするために
    • 共有パターン、コンポーネント、確立されたオープンスタンダードを含む共有プラットフォーム、再利用可能なビジネス機能を構築、運用、反復、組み込むことにより変革を加速する

     この戦略は上記の5つの目的のために構成されています。 それぞれの目的について、私たちは2020年までに何を達成するかを明確にしています。

     私たちは次のことに基づいて実行します:

    • 私たちはデザイン原則デジタルサービス標準技術の行為準則に基づき引き続きユーザーのニーズからはじめる
    • ユーザーは公共サービスを通じて、政府の決定に影響を受けず、日々の優先事項を提供する一貫した経験を必要とする
    • 官公庁職員、仲介者および企業もユーザーであり、成功するためには、彼らのニーズも理解しなければならない
    • 全ては – 特に機密情報または個人情報 – 適切なレベルのセキュリティー基準に基づきデザインされ、管理される
    • 各官公庁は調達方法にかかわらずリスクに対する責任をもつ
    • 私たちはセキュリティのために設計し、適切なサイバーとプライバシーの保護手段をデジタル変革に組み込みます

    ビジネス変革

     私たちはここ数年で大幅な進歩を遂げてきましたが、依然として改善が必要な既存サービスはまだまだたくさんあります。「あまりにも素晴らしいオンラインサービスだからみんなそれを好んで使う」という2012年度のGovernment Digital Strategyの野心的な目標を達成するにはまだまだやることがあります。

     これまで私たちが学んだことに基づいて、サービス変革の範囲を広げなければいけないという各官公庁間の共通認識があります。その必要性とは:

    • 政策の策定とサービスデザインを緊密にする
    • ユーザーに提供するサービスとそれを提供する作業の双方をカバーする
    • ユーザーの定義を広げる – 例えば政府が提供るAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)を利用する第三者サービスを通じて一部のユーザーが政府とやりとりする場合など
    • 政府はさまざまなチャネル(オンライン、電話、対面など)を通じてサービスを提供していることを認識する
    • 国民と対面するオンラインサービスを持たない公共部門もカバーする
    • 政府がコンテンツとサービスを提供し、組織の壁を越えてプロジェクトを実行できるようにする
    • 柔軟に対応する

    2020年までに何をするか:

    政府は本議会のために以下を優先分野としている:

    • 統合されたエンドツーエンドサービスのデザインと提供
    • 主要な変革プログラムを提供
    • 変革への全政府的アプローチを確立し、官公庁全体のより広範な変革のための基礎を構築する

    実現するために:

    • 各官公庁と政府機関はデジタルサービス標準に基づいたデジタルサービスを構築することで公共サービスのユーザー体験を大幅に継続的に向上させていく
    • 各官公庁は政府主要プロジェクトポートフォリオ – Government Major Projects Portfolio(GMPP)- および2015年の支出レビューにおいてコミットに基づき変革プログラムを完了し、すべての人がアクセスできるマルチチャネル・サービスを提供する
    • 各官公庁はそれぞれに変革のための実験アプローチを探し、何が効果的で何が効果がないかを学ぶ
    • 私たちは共通言語、ツール、テクニックを構築し、官公庁をまたがる大きな変革へのアプローチ方法や民間部門からの学びなど知識と経験を共有するために各省庁をまたがる仕組みを確立する
    • 私たちは各省庁をまたがり変革を実現する最良の方法を提供するフレームワークを構築する
    • 政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)は古い技術を置き換える戦略的アプローチを支援するために、技術の行為準則およびその他の適用可能なスタンダードをサポートする指針を更新する

    人材、技術、文化を育てる

     2012年のGovernment Transformation Strategy以降、より多くのデジタル、データ、技術の専門家が政府全体で採用され、政府の技術能力が大幅に向上しています。現在の課題は競争の激しい市場でこれらのデジタル技術の専門家を継続的に惹きつけ、採用し、留まってもらうことです。私たちは次のように文化を発展させたいと考えています:

    • 政府全体にデジタル技術を組み込む
    • デジタル専門家が政府を理解できるようにする
    • 官公庁やそのほかの職員がデジタルを理解できるようにする
    • アジャイルとプログラム管理におけるリーダーのスキルを強化する
    • アジャイルのアプローチを活用して短期間で反復し、政策開発とサービス提供を並行できる優れた方法を確立する

    2020年までに何をするか:

     私たちの野心は世界で最も多くの熟練したデジタルスキルを有する官公庁職員が集まり、素晴らしい公共サービス(A Brilliant Civil Service)となるための公共サービスビジョン(Civil Service vision)を実現することです。

    実現するために:

    • 各省庁がデジタル、データ、テクノロジーを最適に整理できる原則を確立する
    • 政府のデジタル、データ、テクノロジー(DDaT)職を増やし、その職種の一貫したキャリアパスと報酬モデルを確立する
    • デジタルアカデミー(Digital Academy)を通じてDDaTプロフェッショナルにとって可能な限り最高の学習と開発の機会を創造する
    • データサイエンスキャンパス(Data Science Campus)データサイエンスアクセラレータプログラム(Data Science Accelerator training programme)を通じて政府のデータサイエンス能力を高める
    • イギリス政府をデジタル、データ、技術の多様な人材を惹きつけるリーダーにする
    • 人事部門であるCivil Service HRおよび各官公庁と協力して、デジタルツールとテクニックが他の職種にも組み入れられるようにする
    • デジタル専門家ではない職員にデジタルを活用した新しい働き方の可能性を理解する支援をする
    • 各省庁向けのトレーニング機関であるCivil Service Learningと協力して、現在および将来のリーダーに適切なトレーニングを実施、デジタルプロジェクトを効果的に管理し、アジャイルなやり方で働き、デジタル時代の組織を管理する経験を提供する
    • ユーザーリサーチに基づく政策策定とサービスデザインコミュニティとの協力した反復検証を可能にする

    官公庁職員向けのより良いツール、プロセス、管理を作る

     デジタル政府はユーザーに優れた公共サービスを提供するだけではありません。適切なデジタルツール、官公庁内のIT技術、管理およびプロセスによって世界トップレベルの公共サービスのための適切な環境を作り出します。今日では、政府組織全体で以下のような幅広い多様性があります:

    • 官公庁職員によって日々使用されるテクノロジー
    • プログラムが管理されてる方法
    • 内部プロセスとコントロールが迅速な政策策定を支援するかどうか
    • 契約業務(購買と調達の両方)
    • 保証(品質管理、サービス保証、金銭的価値を含む)

    2020年までに何をするか:

     私たちは以下によって官公庁職員の力が発揮できる環境を整備します:

    • 職員が働く政府の建物には共通で相互運用可能な技術があり、文化としてはオープンでデジタルで実現可能な政策策定とサービス提供ができるようにする
    • 官公庁職員が仕事をする場所に依存しない正しいツールを提供する
    • 官公庁職員が使うデジタルサービスのケースを政府全体を見渡し標準的な政府機能のための共通するデジタルツールなど探ることにより調査する

     私たちは政府のすべての部門が、部門をまたがるサービスを含む、迅速なサービスを管理、発見、効果的に運用ができるようにします。

     デジタルマーケットプレイスのアプローチをベースに、私たちはユーザー中心、デザイン主導、データ駆動型のオープンなアプローチを2020年までに政府全体の調達と契約に組み入れます。

    さらなるデータ活用

     データはより効率的で効果的な政府および公共サービスを可能にし、国民のニーズに応えるための重要なリソースです。データはそれ以外全てを支える基盤です。

     私たちは国民からの信頼を獲得し、さらにそれを維持し、適切なガバナンスの枠組みの中で、個人的かつ機密性の高いデータが安全かつ確実に倫理的に扱われることを保証する必要があります。

     政府のデータは収集した組織内でのみ保持され、使用されることが多く、古いレガシーシステムは情報を共有することを困難にします。政府が保有するデータセットには数多くの重複や矛盾があります。私たちは国民が安心できるやり方で政府機関をまたがったデータ共有を改善する必要があります。

    2020年までに何をするか:

    本議会では、以下の優先事項に焦点を当てます。

    • 公共サービス(特に組織の壁を越えるサービス)のため、イネーブラーとしてのデータ活用を改善する
    • 適切な場合には政府データをオープンにし、APIを通じて政府サービスを組織内外に提供し続ける
    • デジタル経済法案(Data Economy Bill)が議会で可決されれば、そのデータ共有条項を通じ、政府のすべてにおけるデータ利用への障壁を取り除く
    • 新しく政府のデータ管理責任者(Chief Data Officer)を任命し、データ活用をリードする
    • 新たにデータ諮問委員会(Data Advisory Board)を設置し、組織の壁を越えるデータ活用のために数多くのデータ活用の事例や加速できる分野を見ることにより協力体制を支援する
    • 意思決定を改善するためのデータ活用の推進。データ分析者やそれ以外の職種を含めデータサイエンスと分析の能力を政府機関をまたがり構築拡大する
    • 公共部門の労働者が – 安全かつ適切にデータを管理し使用し、公共部門で働く人たちがデータを共有する際に必要な倫理を理解する
    • 登録者(政府全体で取得する正式なリスト)の国家的データ基盤を構築し、適切に保存する
    • 政府内外のユーザーのためのデータ検索ツールの改善する
    • 政府の主要なデータリポジトリを格納および管理する方法を改善する

    共通プラットフォーム、コンポーネント、再利用可能なビジネス機能の構築

     2010年以来、私たちはより根本的にデジタル政府に移行するための強力な第一歩を踏み出しました。私たちはコード、パターン、プラットフォーム、コンポーネントを共有します。私たちは政府全体に適応できる技術的、サービスデザイン上の問題解決に役立つベストプラクティスを共有します。 政府全体の共通プラットフォームと共通サービスが目指すべき未来です。

     私たちはビジネス機能(ビジネスの結果を出すために必要なテクノロジー、プロセスおよび人材の組み合わせ)、共通コンポーネントをプラットフォーム上に組み立てます。

     GOV.UKは政府の単一ドメインであり、オンライン取引が開始される場所です。私たちは部門をまたがるサービス(または地方行政やアウトソースを含む可能性のある第三者によって提供されるサービス)のためのGOV.UKのより良い利用方法を確立します。

    2020年までに何をするか:

     素早く、安価で簡単にデジタルサービスを構築し、すべての政府サービスのユーザーに一貫したユーザー体験を提供するために、再利用可能な共有コンポーネントとプラットフォームを構築します。

     私たちがすでに実行したことを踏まえ、2020年までの政府の優先事項は次のとおりです:

    • 大規模な単一サプライヤと複数年のIT契約を終了
    • 新たに共有コンポーネントとプラットフォームを構築、また、すでに構築完了のものを拡張してより多くのサービスを乗せる
    • 公共部門の再利用を容易にするために、コンポーネント、プラットフォーム、および機能の標準と実装ガイドラインの開発と公開
    • コンポーネント、プラットフォームおよび機能の再利用への障壁を取り除き、中央政府を超えた再利用の検討
    • 政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)および各官公庁がすでにシングルドメインのGOV.UK上に構築したサービスとコンポーネントを運営の高い信頼性、セキュリティ、パフォーマンスの標準をさらに改善してユーザーのニーズを満たし続ける
    • GOV.UK Verify(GOV.UKの認証システム)をより有効に活用し、2020年までに到達する2,500万人のユーザーに向けて企業や仲介業者のための認証システムのオプションを検討する
    • 政府内外の利用可能なAPIの数を増やすことで「卸売り」を行う(会計士がクライアントの許可を得て自動的に納税申告書を提出できるようにするなど)
    • 私たちが構築したものを海外にも共有、海外でのベストプラクティスを学び自らのサービスをさらに改善する
    • 2020年までに政府のレガシーコンテンツと老朽化したパブリッシュ慣行を全面的にオーバーホールし、公共サービスをクリアかつ管理の行き届いた探しやすいものにする

    2020年以降のビジョン

     現在の主要な変革プロジェクトの大半は2021年までに完了する予定です。

     しかし変革は継続的なプロセスです。これらの主要なプログラムを提供する一方で、2020年以降の計画を立てる必要があります。変化に適応し続けることで、進化し続けるテクノロジーに対応することができます。そして、政府を変革する勢いを維持できるようになります。

     政府の柔軟性を高めるため、2020年以降のデジタル変革のための明確な計画を立てます。デジタル時代に適合させるために政府がさらに必要とする変革を理解するために必要な調査と準備作業を行います。それは以下を含みます:

    • 将来どのように政府の構造が変わる必要があるか
    • 政策はどのように作られるか(例えばプロトタイプを作成し、証拠とフィードバックに基づいて素早く反復するなど)
    • 私たちのビジョンを実現するために必要なその他の変更

     これらのことを達成すれば、私たちは政府の形を変えることとなります。私たちは国民を第一におき、モダンで効率的な方法で国民のニーズを満たします。国のニーズを満たすために迅速に適応し変化する政府です。

    解説

    この記事は英国政府のデジタル変革の基本方針を説明しているGovernment Transformation Strategyの現時点での最新版の翻訳です。アジャイル、サービスデザイン、デザイン思考など文脈にモダンなアプローチを感じることができる素晴らしい戦略です。

    イギリス政府は2012年にはGOV.UKを立ち上げて10省庁1700サイトの41000ページをひとつのウェブサイトに統合し、さらにGitHubにソースコードを公開しました。海外の多くの政府機関がこのイギリス政府のをお手本としているため、このような取り組みは今ではそれほど珍しくないかもしれません。そういう結果もあり、この文章は結果に基づく自信に満ち溢れています。自分たちが一番と言い切ってるし!

    しかし、残念ながらイギリス政府のデジタル変革の事例を日本で紹介する記事をあまり見る機会がありません。その結果(だけではないでしょうが)、日本の公共サービスはこの大きなデジタル変革の流れに乗り遅れている気がします。全てを一度に紹介することはできないものの、基本方針を説明しているこの最新のドキュメントを日本語化することで、日本の人たちにも海外の政府がどのようにデジタル変革に向き合っているのか知るきっかけになればと考えています。

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  • 大規模デザインシステムを作る:いかにしてアメリカ連邦政府のデザインシステムを作り上げたか

    大規模デザインシステムを作る:いかにしてアメリカ連邦政府のデザインシステムを作り上げたか

    原文:“Building a large-scale design system: How we created a design system for the U.S. government” by Maya Benari, October 3, 2017

     現在、ほぼ30,000の米国連邦政府のウェブサイトがありますが、それらウェブサイトの間に一貫性はほとんどありません。テクノロジーの分野で働く数十万人の政府機関の職員がいますが、彼らの携わるウェブサイトの構築や管理方法に共通点はありません。

     その結果、政府はユーザーが十分に満足できないサービスに多くのリソースを費やしています。連邦政府のウェブサイトは行政が提供するサービスの正面玄関です。アメリカ政府と何らかの接触をはかるときユーザーが最初に出会う場所です。米連邦政府一般調達局のFederal Front Doorイニシアチブの調査からウェブサイトなど行政サービス接点がよくないと、その行政サービスに対する国民の信頼も低下することがわかっています。

     私は多数のルールからなる複雑なシステムを統一し、全米のユーザーにサービスを提供するデザイナーと開発者のチームの一員でした。このプロジェクト通じて得られた知見 − 業界標準のベストプラクティスを活用し再利用可能なコンポーネントからなるデザインシステムをいかに作り上げたか − 共有したいと思います。また、このデザインシステムによって連邦政府機関のプロジェクトに携わる政府機関チームがシンプルで効率的で一貫性のある体験を迅速かつ低コストで作り上げられるようになったか紹介します。

    課題:政府系ウェブサイトにおける一貫性のないユーザー体験

    政府系ウェブサイトにおける一貫性のないユーザー体験

     アメリカ国民が行政サービスを受けるために政府系のウェブサイトに訪れるとまず目にするのは分かりづらいメニュー、たくさんの視覚要素、一貫性のない操作性です。 これらのウェブサイトは人々が行政サービスについての情報を得てサービスを受ける手助けをするために作られています。例えば若い退役軍人が大学に戻るための情報やサービス。しかし、これらのウェブサイトはさまざまな機関や組織によってバラバラに分かれているため、使いやすいものではありません。

     例えば、若い退役軍人が大学に通うために政府が提供する学資ローンに申し込むとします。この若い退役軍人を仮に「ジョアンヌ」としましょう。ジョアンヌは大学に通うための学資ローンを複数の代理店のウェブサイトから探そうとしました。そしてジョアンは混乱しました。学資ローンを受けるためのウェブサイトの使いにくさに途方にくれました。サービスを受ける資格があるのにその機会を逃してしまう。不満を感じ、孤立していると感じました。本来彼女を助けるはずのシステムが彼女の前に立ちはだかっている。これらのシステム間の一貫性を持たせることで(ジョアンヌのような)人々が必要とするサービスをもっと効果的に受けられるようにし、政府への信頼を高めるのに役立ちます。

    複数のウェブサイトを訪れるVA(Veteran Affairs)ユーザー

    原因:政府系ウェブサイトで一貫性のあるユーザー体験を実現するためのハードル

     デジタルツールを作る連邦政府職員は誰にとっても役立つツールを作りたいと考えています。 迅速にプロトタイプやサイトを開発したい。そのためすぐに立ち上げて実行できる最小限の文書のリソースを選択します。

     一方、スポットのプロジェクトで政府機関のデザイナーやフロントエンドの開発者も正しいことをしようとしています。しかし時間や支援は限られています。彼らは設計と開発の時間を短縮するためのツールと、ベストプラクティスを上層部に提唱する方法を必要としています。

     私たちの目の前に突きつけられた質問は:

    私たちは一貫性があり、効果的で使いやすい政府のウェブサイトを提供するための共通のツールセットを作れるか?

     そして私たの答えは「YES」でした。

    チーム

     2015年の夏に、18FとU. S. Digital Servicesによるチームがこの共同ツールセットに取り掛かることになりました。私たちは自分自身に問いかけました:どのように何千もの公共のウェブサイトを共通のデザイン言語にまとめるか?

    政府のデザイナーと開発者がワシントンD.C.に集まり、パターンライブラリーに取り組むためのワークショップに参加

     この問いかけに答えるために、政府のデジタルサービスに取り組んでいる20人のデザイナーと開発者がワシントンD.C.に集まりました。

     参加したのは教育省米国帰化・移民サービスのビジュアルデザイナー、消費者金融保護局農務省の開発者、USA.govのプログラムマネージャー、さらに遠隔地からリモートで数人のビジュアルデザイナーたちが参加しました。私たちが関わってきたウェブサイトは全く違っていました。私たちは「そもそも何か共通点ってあるの?」と思わずにいられませんでした。

     私たちがまず自分たち自身に問いかけたのは「パターンライブラリに必要なコンポーネントとパターンはなんだろう?パターンのライブラリーやスタイルのシステムを作り上げる要素はなんだろう?」でした。そして、ウェブサイトを構成するすべてのパーツとシステムに欲しいことを書き出しました。書き出したアイデアを壁に貼り付け、それらをグループ化して共通項を見いだすことにしました。次に、その中からパターンを探しました。何が共通するのかもメモしました。その中で最も単純で繰り返し出てくるのは色、タイポグラフィ、グリッド、とボタンでした。

    政府機関に所属するデザイナーたちがデザインコンポーネントを付箋に書き出し、グループ化する

     ミーティングの期間中に他のコンポーネントを挙げるチームもありました。たとえば、データ視覚化やカレンダーウィジェットなどのユニークなコンポーネントなど。しかし、コンポーネントを基本的なビルディングブロックに限定することで、デザイナーや開発者ができる範囲内でなるべく早く何が有効で何が有効ではないのか見極めることにしました。

     一貫性を生み出すためのデザインライブラリーは泥遊びよりもレゴブロックで遊ぶのに似ています。 何人かに泥を使って家を建てるように言うと、出来上がった家は多少違うように見えるでしょう。少し不恰好でベチャとした感じで。同じ人々に5種類のレゴ・レンガであれば100万の全く違った家を作ることができます。そしてそれぞれの家は一貫性があります、しかも画一的ではなく。

    システムを作り上げる

     私たちは操作性、ユーザー体験、ウェブサイトの反応にどのように一貫性を持たせることができるのか探ることをはじめました。「ジョアンヌ」は彼女が政府のサイトにいることを理解したい。彼女はそのウェブサイトが親しみやすく直感的で、何をすれば彼女がやりたいことができるのかすぐわかることを望んでいます。共通デザインによる一貫性のあるみためや操作性は人々に親しみやすく、信頼感、安心感のある気持ちを抱かせます。そして共通化されたなパレットやデザインのために「ジョアンヌ」は政府のウェブサイトをより簡単に使いこなすことができます。

    若い退役軍人は大学に行くための学資ローンに申し込むために複数の政府系ウェブサイトを行き来しないといけない

    インターフェースの在庫調査

     私たちはanalytics.usa.govを使って最も訪問者の多い.govドメインの中から一般的な色とコンポーネントスタイルを調査しました。その結果は「32種類の青色が必要?」と考えさせるものでした。私たちは政府系ウェブサイトで使われている異なるボタンスタイルの数に驚きました。本当に64種類のボタンが必要ですか?政府系ウェブサイトで使われているコンポーネント浮かび上がらせ、分類することにより一貫性のなさを確認すると同時に共通するコンポーネントも見えてきました。

    政府系ウェブサイトで使われていたインターフェースの在庫

     使われていたインタフェースの在庫調査とワークショップの結果は政府のデザイナーの助けを借りながら優先順位付けされました。 まずコンポーネントの一覧からはじめました。ユーザー調査員は調査に取りかかり、ワイヤフレームの作成、ウェブサイトのデザインとコンポーネントのユーザーテストを行いました。

     UXチームのメンバーは調査し、ワイヤフレームを作成し、このサインインフォームのようなコンポーネントをテストしました。ビジュアルデザイナーは、後にワイヤーフレームに基づいてハイフィディリティのデザインを作り、そして最終的にはコードに落とし込まれて開発されました。

    ムード・ボーディング

     私たちのビジュアルデザイナーは「どのように見えるのか」と「どのように感じられるのか」を探りました。 私たちは、シンプルでモダンで使いやすく、親しみやすく、信頼できるシステムを求めていました。 彼らは3つのムードボードを作成し、様々なタイポグラフィーやカラーサンプル、インスピレーションを感じさせるデザインイメージを作り上げました。

    私たちが求めていた三つのスタイルは:

    1. クリーンでクラシック
    2. インスピレーションと力を与えてくれる
    3. モダン・アメリカン

    三つのムードボードにより見た目とユーザーに与える感じ方を探りシステムの方向性を見出す

     私たちのチームのデザイナーたちは他の政府機関に所属するビジュアルデザイナーたちに声をかけて各ムードボードについて好きなものに投票をしてもらい、その何が好ましいのかを浮かび上がれせました。これらの3つの方向性をGitHubに入れることで、政府のデジタルサービスに関わる職員たちからのフィードバックを求め、方向を微調整することができました。結果として、現代アメリカの大胆な、モダン・アメリカンらしい彩度の高い色合いと、サンセリフのフォントとセリフの書体を組み込んだクリーンとクラシックのタイポグラフィが好まれることがわかりました。

    タイポグラフィー

     スタイルが定義されるとビジュアルデザイナーは適切なフォントを探しはじめました。 わかりやすく、信頼と信頼性を伝え、オープンソースのフォントを見つける必要がありました。 有料フォントはライセンスに関する追加の負担を発生させていたため、政府のデザイナーが使いやすいフリーでオープンソースのフォントを見つける必要がありました。

     読みやすさを高めるために、x-heightの値が大きく、open counters、太さの範囲が広いフォントを検討しました。 政府のデザイナーに最大限の柔軟性を提供するために、我々はクリーンでモダンで読みやすいサンセリフフォントを見つけ出したいと考えていました。文字の密度が高いコンテンツや見出しの間にコントラストを与える伝統的な見た目からくる読みやすさ。

     私たちのビジュアルデザイナーは実際の政府のウェブサイトで適切なフォントを探すタイポグラフィの組み合わせをテストしました。タイプフェイスの名前を見ないことでデザイナーはフォントの種類に左右されず、その「読みやすさ」に焦点を当てることができました。 さらにこれらのフォントを政府のデザイナーと共にテストしていきました。どれが最も見やすく、私たちが望む美しさをもつフォントなのか。 最終的に私たちが選んだフォントはSource Sans ProとMerriweatherでした。

    タイプフェースのテストを実際の政府機関のウェブサイトでテスト

     Source Sans Proは、UIデザインの読みやすさを求めて作られたオープンソースのサンセリフ体です。 Source Sans Proはすべてのサイズと太さで簡単に読み取ることができ、明確なヘッダーと読みやすい本文を作ることができます。 20世紀のアメリカのゴシック様式の書体のデザインからインスパイアされた、細身のオープンなレターはクリーンで親しみやすいシンプルさを提供します。

     Merriweatherはコンピューターの画面で読まれることを前提に設計されたオープンソースのセリフ体です。このフォントは文字が多いデザインに理想的です。x-heightの値が大きいにもかかわらず、比較的小さくて横幅を広げずに見やすく表示することができます。スリムで厚いウェイトを組み合わせることで、スタイルの幅を広げながら、クラシックかつモダンなシンプルさの理想的な組み合わせを実現します。Merriweatherは、大小両方のフォントサイズで暖かさと信頼性を伝えることができます。

    MerriweatherとSource Sans Proの二つのオープンソースフォントがthe U.S. Web Design Standardsに選ばれた

     技術的な観点からは、私たちが提供するフォントがユーザーに素早く表示される保証をする必要がありました。私たちのビジュアルデザイナーは複数の太さを使いたがりましたが、開発者はそれにより複数のフォントを読み込む必要があり、ユーザーの利便性が損なわれる可能性があることを伝える必要がありました。妥協点を見出すために異なるフォントペアを作成しました。フォントの太さの多いリッチなバージョンと読み込み時間を短縮するトリミングされたバージョンです。 これにより政府のデザイナーたちはデザインと性能のニーズを秤にかけてそれぞれのオプションを評価することができるようになります。

    Merriweather headingsとSource Sans ProのBody要素のフォントペアリング

     政府のウェブサイトのインターフェイス在庫調査で見つかった繰り返し使用される頻度の高い色からカラーパレットを導き出しました。クールなブルーとグレーからなるシンプルでミニマルなパレットによる自然な背景と明るい赤と青の影のコントラスト。クリーンで魅力的なパレットにより、ユーザーは自分のやりたいことができるという安心感を得ることができます。色は一次色、二次色、背景、および三次色に分解することができます。

     一次色は青、灰色、白色です。青は、ボタン、リンク、見出しに使われ、静かさ、信頼感、そして誠実さをインターフェースを通じてもたらします。きれいな白いコンテンツ領域では、タイポグラフィをページに浮かび上がらせます。

    一次色のパレット

     二次色はアクセントカラーとして使われる明るい青と赤で、明るさとモダンな感性を付加するために特別な要素として控えめに使います。これらは、CTAのようなページ上の重要な機能や、イラストのような視覚的なデザイン要素を強調するために使用できます。

    二次色のパレット

     背景色は大きなコンテンツ領域の背景ブロックに使用されるグレーの陰影です。

    背景色のパレット

     三次色は警告やイラストといったコンテンツ特有のニーズのために控えめに使用されます。

    三次色のパレット

     パレット内の色の範囲はさまざまな異なるビジュアルスタイルをサポートするために柔軟に適用できます。たとえば一次や二次などの色名を抽象化することで、パレットを独自のブランドのニーズに適合させる必要がある政府機関をサポートすることができます。色値の変更はボタン、アクセント、見出しなどシステム全体に広がります。

     政府機関のサイトは障害者の誰もがアクセスすることができる必要があり、セクション508に準拠して、標準でテキストと背景色の間に十分なコントラストがなければいけません。WCAG 2.0のガイドラインに従って、標準でテキストと背景のコントラストが4.5対1以上である必要があります。

    アクセシビリティーの高い色の組み合わせ

     ほのかで彩度の高い青と赤に洗練された深みのある青とグレーを使用することで、暖かさと信頼性を伝え、さまざまな視覚スタイルをサポートしながらアクセシビリティの標準と色のコントラスト要件を満たすことができます。

    空白

     デザインシステムを構成する最後のビルディングブロックはそれぞれの要素がスペースをどのように流れて、構造として提供されるかです。見出し要素と段落テキストの上下に適切なマージンを置くことで、システム全体にバランスのとれた空白を提供します。 emまたは相対単位を使用することにより、空白はフォントサイズに比例し、システム全体で正しい比率が自動的に分配されます。政府機関がフォントサイズを変更する必要がある場合は空白が自動的に調整されます。

    見出しと本文の間の余白はフォントサイズに合わせて変更される

    グリッド

     私たちはコンテンツのレイアウトを構造化するため、Neatを活用して12列のグリッドシステムを提供しています。Neatはthinkbotによる柔軟で軽量なSassグリッドです。 私たちはコンテンツを格納するグリッドコンテナからなる使いやすいグリッドシステムを提供しています。グリッドコンテナはページ内や1/2、1/3、1/4、1/6、および1/12のセクションによってレイアウトをすることができます。開発者はusa-gridやusa-width-one-halfのようなシンプルなクラスによってページレイアウトのモックアップをすばやく作成できます。 私たちは3つのブレークポイントを提供しています。これによりグリッドはより小さなサイズでリフローすることができ、人々はいつもブレークポイントを内容に合わせて微調整することができます。 柔軟なグリッドシステムにより、訪問者はページをすばやく読み取ることができます。

    12カラムグリッド

    複雑なタスクと野心的なゴール

     The U.S. Web Design Standardsは2015年9月にビジュアルスタイルガイドとUIコンポーネントライブラリとして立ち上がり、アメリカ政府のウェブサイトに共通するデザイン言語をすべて1つの屋根の下に収めるという目標を掲げました。米国政府のすべてのウェブサイトのデザインを統一するこのプロジェクトに携わり2年がたち、100以上の政府プロジェクトがこのスタンダードを採用し、それを進化させ、再構築し、想像できないように進歩を遂げました。退役軍人省農務省など行政チームが集まり、連邦政府のウェブサイトに対して新しい高い目標を設定しました。この短期間で政府のウェブサイト全体での一貫性とユーザーエクスペリエンスの向上が見られました。目標は連邦政府のデザイン言語を統一することでしたが、そのユニークな表現は多面的で無限でした。レゴブロックから家を建てるのと同じように、モジュラーデザインシステムの意味のある制約内での表現は一貫性を持たせつつも画一的ではない様々な製品を作り上げることができます。

    Vote.gov、退役軍人省、農務省がユーザー体験向上のためにスタンダードを取り入れた

     デザイナーや開発者が最高品質の政府のウェブサイトをアメリカ国民に提供するための使いやすいツールを提供することで、デザインシステムは異なる役割をつなぎ、共に前進することを手助けをしています。政府のデザイナーや開発者をUXリサーチ、人間中心デザイン、 ビジュアルデザイン、フロントエンド、およびアクセシビリティのベストプラクティスを一つに。

    プロジェクトを通じた学び:組織の中でスタンダードを作り上げる

     あなたが中小企業であるか、世界最大の政府であるかにかかわらず、自分たちのユニークな課題を解決するために自分たちのスタンダードを作ることができます。すべてのパターンライブラリは異なります。なぜならそれらを作成するグループの特定のニーズに対応する必要があるためです。

    対話をする:あなたはどこに問題があるのか。そして、その問題がデザインパターンによって解決できるかどうかを知る必要があります。グループ全体で共通のニーズがあるかどうかを探しましょう。あなたが仕事をするために必要なものは何ですか?

    重複を探す:何か繰り返し繰り返しやってることはありませんか?あなたはどこで時間を無駄にしていますか? ウェブサイトを構築するときに最も長くかかっている、または困難に感じることはなんですか? 摩擦はどこで起こるのですか?

    あなたにとっての価値:あなたのデザインシステムがどのように見えるかは、あなたにとって重要なものによって決まります。 あなたの価値は何ですか?あなたはどんな原則に従ってものを作りますか?

    チームを信じて任せる:スタンダードを作り上げるには専任のグループと上司からのサポートが必要です。他のプロジェクトと同様に重要であるはずです。チームにはUXリサーチとデザイン、ビジュアルデザイン、およびフロントエンド開発といった多岐にわたる専門家からなるチームが必要です。適切な目標に向けてプロジェクトを進めるためにプロジェクトマネージャーとプロダクトオーナーの役割を果たす人が必要です。

    小さくはじめて反復する:あなたの中核となるニーズを把握し、それらを構築し、テストし、人々が求めているものができたか確認する。そうして欠けているものを見つけ出していきます。限られた数のコンポーネントからはじめることで時間を節約することができます。また、ユーザーに使ってテストしてもらうことにより正しい答えを素早く見つけることができます。

    孤立しない:あなたは多くの人の同意形成が必要で、人々が何を必要としているのかを理解しなければいけません。またウェブサイトをどのように構築するかどのように使われているのかを学ぶ必要があるのでユーザーを探し出さなければいけません。最初の立ち上げは孤独な作業かもしれませんが、外に出てテストし学ばなければいけません。実際のユーザーでテストことによって、改善し続けるために必要な情報を得ることができます。

    再利用と独自性:他の人がどのように問題を解決したかを見て、可能な限り再利用することは素晴らしいことです。しかし、他の人の解決方法は彼ら独自のニーズに合わせたものだと理解しなければいけません。 あなたの問題にはユニークなアプローチが必要かもしれません。他の誰かがそれをやっているという理由だけで「パターンライブラリーはこのようでなければいけない」という罠に陥ってはいけません。

    システムを宣伝する:人々をあなたのプロジェクトに熱狂させましょう。このフリーのシステムからどのような価値を得られることができるのか。一貫性のある、美しい、使いやすいデザインがいかに時間とお金を削減することができるか。

    柔軟的に対応する:人々は強制されるものが好きではありません。彼らにそれについて学び、質問をする機会を与えてください。彼らにそれを自分のものにする機会を与えましょう。

    結論

     大規模なデザインシステムを構築する場合、どこからはじめるのかとっかかりを探すのが難しいかもしれません。コアスタイル、コーディング規則、デザイン原則といった基本的な部分にフォーカスすることで、チームのさまざまな要素に取り組むための強力な基盤を作り出すことができます。これらのビルディングブロックは多様なニーズとユースケースをサポートするためにさまざまな方法で積み重ねることができます。システムに柔軟性を組み込むことで、ユーザーはパターンやデザインを容易に適応させて、デジタルサービスの多様な範囲とニーズをサポートすることができます。カスタマイズできるようにすることは、人々がシステムに参加し、それを自分たちのものにする手助けになります。人々がシステムに参加意識をを持っているときだけ、彼らの努力に投資がされ、報いられたと感じます。その結果システムは強固で長い間活用されるものにまります。

     このような大規模なデザインシステムを構築するには、多くの時間とリソースが必要ですが、「ジョアンヌ」のような利用者をペルソナとして念頭に置いておくことが重要です。 あなたのデザインしたシステムの向こう側で画面をスクロールしてボタンをクリックし、必要なクリティカルなサービスにアクセスできるようにフォームを記入している人々。しっかりとした使用可能なデザインシステムは、「ジョアンヌ」のような人々にとって大きな価値を生みます。

    この記事は米連邦政府一般調達局の18Fのブログ記事”Building a large-scale design system: How we created a design system for the U.S. government“の翻訳記事となります。オリジナルの記事を書いたMaya Benariさんは18Fのデザイナー/フロントエンド開発者です。

    翻訳:カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • デザインツールのFramerにインタラクションデザインについて聞いてきたよ!

    デザインツールのFramerにインタラクションデザインについて聞いてきたよ!

     ボク自身がアプリのデザインをしている関係上、いろんなデザインツールを使います。例えばUIデザインにはSketchやIllustrator、Photoshopを使っているし、Zeplinのようなスタイルガイドを支援してくれるツールも使ってる。

     プロトタイプを作るツールもたくさんあって、InVisionBalsamiqなんて有名ですよね。最近ではAdobe Experience Design (XD) がいい感じなんでとても期待しています!

     ただ、既存のプロトタイピングツールは画面遷移は表現できても、もっと細かいアニメーションやニュアンス、音を含めた総合的なプロトタイプはできないです。それにIoTやウェアラブルのようなUXはサポートしていないですよね。そこで出てくるのがFramerですよ!

     すでに世界中でたくさんのユーザーがいて、FacebookやInstagramなど大手企業のデザイナーもコミュニティーに参加しています。日本でももっと盛り上がって欲しいという期待を込めてインタビューしてきました!

     −−東京でのミートアップはいかがでしたか?

    「おかげさまでFramerはアジアでも人気なんだ。アジアの中では韓国が一番多いんだけど、日本はこれからかな。これは特に大きなプロモーションをしたわけではなくて、自然に増えていったんだ。だからジョーンやボクはアジアに行くのがいつも楽しみなんだ。

     ソウルではGoogle、KakaoやNaverと話をして、東京ではGoodpatchと話をしたよ。幅広いスキルを持った才能豊かな人たちがたくさんいる。そしてクールな会社がたくさんあるね!

     Framerの背景やこれから実装される新機能のデモをするのはすごく楽しかったよ。ただ一番エキサイティングなのはこうした離れた国のクリエイターたちがすごい仕事をしていて、そうした人たちと話ができることだよね」

    −−まず、Framerについて教えて下さい

    「Framerはインタラクションデザインツールだよ。アプリやウェブサイトのインタラクティブなプロトタイプを簡単に作ることができるんだ。FramerはMacアプリでSketchのようなデザインツールとシームレスに連携して静的なイメージを動かすことができるんだよ。実際のイメージはギャラリーで見れますよ。

     そしてライブプレビューができるネイティブアプリも提供していて、自分のデザインを実際にスマホで確認出来る。そして1万5千人以上のデザイナーや起業家が参加している活発なコミュニティーが特徴だね!」

    −−Framerはどんな問題を解決することができるんですか?

    「デザインって単に見た目だけじゃないんだよね。どう感じるかってことなんだ。そしてユーザーが感じることってアニメーションやタッチジェスチャー、3Dや音声とかいろんな要素に依存してる。そういう全ての要素をSketchやPhotoshopだけで作り上げることは難しいんだけど、Framerを使えばそれができる。

     Framerはハイフィデリティ*1のプロトタイプを作ることができる。デザイナーや起業家は自分たちのアイデアを検証することができるし、チームで話し合ったり実際のエンドユーザーに試してもらうこともできるんだ」

    −−今のインタラクションデザインのトレンドは?

    「ものすごい勢いで変わっているよね。Framerはデザイナーが全てのインタラクションをデザインできるように作られている。単に静止画像じゃなくてね。デザイナーはいろいろなことが求められるようになってきている。コーディングやアニメーション、サウンドデザインに3Dデザインもデザインの範疇になってきている。Framerはそういう新しいタイプのデザイナーが使って便利なツールなんだ。

     VRやIA、それにIoTのような新しいプラットフォーム技術に対応するためにデザイナーはもっと広範囲なスキルセットを求められてくる。だから変化はこれからもっと速くなってくると思うよ」

    −−FramerもSketchもオランダの会社ですが、コラボも多いんですか?

    Bohemian Codingの人たちは以前から知っていて、すごい仕事をしているよね。SketchとFramerがちゃんと連携できるようにいつも話をしているし、これからのデザインがどうなっていくのかアイデアも共有しているよ。

     オランダのデザインを取り巻く環境はすごくクールなんだ。ミートアップに行けばすごくクオリティーの高いデザインツールを作った人と直接話ができたりする」

    その他のインタビューシリーズ

    *1:開発を始める前の完成系に近いプロトタイプ。通常は紙などのロウフィデリティのプロトタイプでアイデアを確認して、その後にハイフィデリティなプロトタイプを作り始める。Popとか紙のプロトタイプをデジタルにできるツールもあります

  • オランダの🍺クラフトビールの老舗ブロウワレイ・アイに30年間😎クールでい続ける秘訣を聞いたよ!

    オランダの🍺クラフトビールの老舗ブロウワレイ・アイに30年間😎クールでい続ける秘訣を聞いたよ!

     ブロウワレイ・アイ(Brouwerij ‘t Ij)は間違いなくオランダを代表するクラフトビールです。もちろん世界的に出荷量の一番多いオランダビールはハイネケンですし、他にもフロース(Grolsch)とかアムステル(Amstel)とか伝統的なピルスナーを作っているビール会社はたくさんあります。

     こうした大手ビール会社やさらにはクラフトビールの流行に乗った新興ビールスタートアップがひしめくオランダでブロウワレイ・アイは「ハイネケンじゃないクールなビール」の代表として愛され続けています。

     これってスゴくね?商業的に成功した後でもどうしてクールでい続けられるの?ということをストレートに聞いてきましたよ!インタビューに応えてくれたのはディレクターのPatrick Hendrikseさんです!

    −−ブロウワレイ・アイはオランダのクラフトビールの世界ではすでに老舗の存在ですよね

    「創業は1985年。もう30年以上だよ。創業者のカスパー・ピーターソンは作曲家だったんだ。バンドとツアーをしている時にベルギースタイルのビアに惚れ込んで自分で作りはじめたんだ」

    −−80年代にオランダでは16くらいの醸造所が生まれて、そのほとんどは生き残っていません。どうしてブロウワレイ・アイだけが生き残ったんでしょうか?

    「当時はしっかりと味の乗ったビールってなかったんだ。ピルスナーばっかりだった。俺たちが作ったのは味がたっぷり乗ったビールだった。それが受け入れられたんだろうね。

    (ちょっと考えて)正確にはもう一つすごく小さな醸造所がひとつだけ残ってる。俺たちは彼らに比べるとアムステルダムを拠点にしていたというのはある。そういう意味ではラッキーだった」

    −−30年もそれで生き続けるってすごいことですよね

    「いいものを作りたいというのが芯にあるんだよ。そしてそれをやり続ける。例えばZatteが俺たちの最初のビールだけど、80年代に飲んだZatteと今のZatte(下の写真)は全く何も変わらないよ。昔に飲んだ時もクールでうまいビールだったし、今飲んでもクールでうまいビールなんだ。宣伝もほとんどやらないんだ。ここまで広まったのは俺たちのビールを気に入ってくれた人たちの口コミのおかげだよ。

     あと流行を追わない。流行に合わせて味を変えたりしない。ライトなビールが流行ってるからライトにしたりしない。マーケティングとかやらないんだ。ターゲットオーディエンスがどうこう外部のマーケターがアドバイスしてくれるんだけど、あまり気にしたことないね。うまいビールを作り続けるだけさ」

    −−商業的に成功して30年生き続けるだけで十分にすごいんですが、30年間クールでい続けるというのはさらにすごいんですよね。

    「俺たちはクラフトビールを作るクラフトマンなんだ。マーケターじゃない。成功して大きな会社みたいになった醸造所もあるけど、彼らは最初からそれを目的ではじめたんだと思うよ。彼らは彼らの目的がある。根っこの部分から違うんだ。

     クールでい続けるというのはうまいビールを作り続けるクラフトマンであり続けるということなんだろうな」

    −−最近はクラフトビールがブームで新しい醸造所がオランダだけで今年に入って60以上できたそうです

    「業界が盛り上がるというのはいいことだよ。ただ、その中で本当に自分たちで醸造しているところがどれだけあるのかってことだよね。ビールからパッケージングまでアウトソースをするのはよくあるパターンなんだよ。

     うちでは定番が8種類あって、他にシーズン物や一度だけ作る限定版がある。シーズン物や限定版で色々と試すんだ。一回作った限定版がすごく評判が良くても飲める期間がすごく短くて管理が難しかったり。俺たちのビールは加熱殺菌しないし、ろ過もしない。すべての味がボトルに詰まっていて、ボトルの中で熟成し続ける。出荷する前に何ヶ月か寝かせて出すとかね。

     うまいビールを作るのって本当に大変なんだ。俺たちは今でもこういった試行錯誤をやって新しいビールを出し続けてるよ」

    −−30年間で何か変わったことはありますか?

    「需要に追いつくために醸造所を大きくしたよ。まだこれから大きくなるよ。

     あと、毎日品質管理をしてるんだ。ビールって生き物だからちゃんとチェックしないといけない。今まではテイスティングだけで”いい”とか”あれ?ちょっとおかしいかな?”とかやってたんだ。でも、今はちゃんとラボでも科学的にチェックしてるよ!

     生産量が増えると自分たちの舌だけではチェックしきれないんだよ。品質を一定にしなければいけない。そのチェックをするラボの導入は変わったことの一つだね」

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  • モノの貸し借りプラットフォームのピアビーにシェア経済やクラウドファンディングについて聞いてきた!

    モノの貸し借りプラットフォームのピアビーにシェア経済やクラウドファンディングについて聞いてきた!

     人と人とのもののやり取りをするサービスをマーケットプレイスと言います。インターネットで老舗はeBayですし、日本のメルカリも勢いがありますよね!オランダでもMarktplaatsというサイトがあり、オランダスタートアップのサクセスストーリーとしてよく知られています。フリーマーケットは昔からあって、インターネットがそれを加速。UberやAirbnbに代表されるように世の中も所有から共有へというのが大きな流れになっていると思います。

     今回紹介するのは共有の流れをさらに強く押し出したモノの貸し借りプラットフォームのピアビー(Peerby)です。他にもオランダでは最大の株式によるクラウドファンディングの成功事例だったり、IoTを使った実験をしていたりとなかなか面白いスタートアップなんですよ!

     インタビューを受けてくれたのはピアビーのHugo van der Spekさんです!

     −−ピアビーはどういうサービスですか?

    「買うまでじゃないんだけどちょっと使いたいものとかありますよね。BBQセットとかテントとか。ちょっと壁に穴をあけるドリルが欲しいとか。ピアビーはそういうニーズに応えるため近所でモノを無償や有償で貸し借りできるプラットフォームです。そういう意味ではピアビーはご近所さんプラットフォームとも言えます。

     また、ピアビー・ゴー(Peerby Go)とい新しいサービスをはじめました。こちらは有償サービスで必要なものを家までお届けします。

     ピアビーはシェア経済の新しい形でもあるんです。モノのUberやAirbnbですね。必要なものは買うのではなく近所で共有する。そうすることによって不必要なモノが少なくなり生産や消費の無駄が少なくなります」

    −−どのようにしてピアビーのアイデアは生まれたのですか?

    「創業者のDaan Weddepohl の家が火災で燃えてしまったんですよ。火事で全てが焼けてしまった後、所有していたモノがすべてなくなってしまった。そしてモノから住む場所まで全て近所の人たちの助けを借りなければいけなかった。この経験からモノの所有から人とのつながりへ価値観が大きく変わったことがきっかけだそうです。この近所のコミュニティーをつなげることができたらと」

    −−オランダ以外だとどこでサービス提供しているんですか?

    「アムステルダムからはじまり現在ではロンドンやベルリンなどヨーロッパ12の都市でに正式にサービス展開しています。また、ニューヨークやサンフランシスコなどアメリカ10都市でテスト展開しているところです。

     ピアビーはユーザーが登録されればその地域でのコミュニティー作りが始まるので、日本で登録があれば日本でもピアビーのコミュニティーは作れるんですよ」

    −−ピアビーはオランダで最も大きなクラウドファンディングの成功事例としても知られています

    「ピアビーは週末だけで220万ドル(約2億2千万円)をクラウドファンディングプラットフォームのワン・プラネット・クラウド(OnePlanetCrowd)で資金調達しました。大きさにおいても達成したスピードにおいてもオランダで最高の記録です。

     1051人のサポーターから資金調達したのですが、この70%はピアビーのユーザーだったんです。つまり私たちのコミュニティーから支援してもらっていたんですね。

     ワン・プラネット・クラウドは持続可能な社会を目指すことに役立てるためのクラウドファンディングプラットフォームなんです。そこがピアビーととてもマッチしました。

    −−ザ・シングス・ネットワークのIoTネットワークも利用しているんですよね?

    「はい。IoTネットワークで貸し借りされたモノの追跡ができるようになります。また、修理が必要になったモノを特定することにも役立てます。UberはGPSでタクシーと乗客をマッチングさせる。IoTを使えばモノのシェア経済でも同じことができます。

     私たちは現在 “Shared Drill” (みんなの電動ドリル?)というコンセプトを試験運用しています。Shared Drillは個人で共有するためでなく、多くの人で共有されるために作られたモノを指します。必要な人が使い、使うたびに料金を払うというモデルです。私たちは「モノのSpotify」と呼んでいます。

    その他のスタートアップインタビュー記事


  • フェアなスマホ、フェアフォンについて考えてみたよ!フェアなスマホって何だ?!

    フェアなスマホ、フェアフォンについて考えてみたよ!フェアなスマホって何だ?!

     ヨーロッパの人たちは「フェア」という考え方をとても大事にしています。フェアって平等とちょっと違う。騎士道というかノブレス・オブリージュに考え方としては近いような。格差はある。格差があるということを認めつつ、それが搾取につながらないように気をつける。もちろん、アメリカにもそういう考えの人はいるんですが、もっと上昇志向が強くて他人を蹴り落としてでも上に登ろうという人が目立つ気はします。

     例えばオランダではフェアトレードの商品が普通にスーパーマーケットで売っている。オランダ自体がフェアトレードでは重要な役割を果たしてきたので、特にフェアトレードが浸透しているのかもしれないです。

     そこでオランダ発のフェアフォン(Fairphone)です。フェアトレードで作られた、フェアなスマホ。いつものノリだと、フェアフォンにフェアトレードについて聞いてみよう!とインタビュー取材をするのですが、今回はインタビューしていません。その理由は最後に書いてあります。フェアフォンってすごいんですよ!

     フェアフォンって何?

     そもそも、このフェアフォンは発想が違う。高機能!とかキレイな画面!とか便利な機能!とかそういうのを目指していない。目指しているのはスマホのフェアに関する問題点をあぶり出して広く議論となるような刺激になること。もちろん、ユニークでデザインも悪くない。欲しくなるようなスマホに出来上がってますよ。ただ、そこが目的ではない。おそらくフェアフォンを買う人もそこを求めて買っているわけじゃない。スペックだけ見たらかなり凡庸ですから。

     なるべくフェアなスマホを作ろうとしていて、そのプロセスやデータをすべて公開している。彼らは「これは問題だ!なんとかしろ!」と他人事のようにアップルやサムソンを批判したりはしない。自分たちが当事者となってどうしたらフェアなスマホを作れるのか試行錯誤しながら実践している。スマホを実際に作って事業にしている。そこがすごいと思います。

    ボクたちが持っているスマホのいったい何がフェアじゃないのか?

    働く環境

     じゃあ、いったい何がフェアじゃないのかというのが気になりますよね。フェアフォンは何を理解してどう変えようとしているんでしょうか?これはスマホだけじゃないのですが、モノを作る過程で過酷な労働を強いられたり、危険にさらされたりする人たちがいるんです。フェアフォンはスマホを作るためにそういう搾取がないように作っている。

    紛争鉱物

     スマホを作るにはいろいろな鉱物を使う必要があるのですが、その原材料の中には紛争鉱物というものが含まれている。

    vimeo.com

     例えばスマホのコネクターに使われている金やスズ、タングステン。コンゴでたくさんとれるのですが、コンゴは世界で最も貧しい国の一つで紛争でたくさんの人が死んでいます。金やスズなどの紛争鉱物が武装勢力の資金源になっているんです。

     フェアフォンは紛争の資金源となっていないルワンダの炭鉱で原材料を仕入れています。

     アップルがリサイクルプログラムで金の再利用を始めましたが、これは資源を大切にするだけでなく紛争鉱物をめぐる悪循環を止める効果もあります。アップルやサムソンなど大手メーカーがこのような活動を開始したのもフェアフォンによる啓蒙活動の効果のひとつじゃんかないかと思います。

    再利用

     スマホは使い終わったらゴミになりますよね。これが電子廃棄物(ewaste)という問題になっています。

     昨年新しく発表されたフェアフォン2は世界初のコンポーネント型スマホとしてモジュラーデザインが話題になりました。古くなったり壊れたりしたコンポーネントを簡単に取り替えられます。

     やはりオランダのフォンブロック(Phoneblok)もコンポーネント型のスマホを作っています。なんというか、こういうのってやっぱりオランダなんですかね?グーグルもProject Araで頑張ろうとしていますがまだ出せていません。[アップデート] グーグルはProject Araを正式にキャンセルしましたね。

    これだけフェアフォンが情報を出していて、ボクはこれ以上何を聞いたらいい?

     フェアフォンの情報公開は非常に徹底しているので、インタビューしなくてもここまで書けてしまうんですよ。わざわざインタビューのために時間を取ってもらうまでもない。実はフェアフォンの人と少し話をしたことがあります。ビールを飲みながらですが!いろいろな課題があるそうです。フェアなスマホを作るにはどうしたらいいのかという問題と日々戦っているわけですからそりゃ当然ですよね。

     例えばフェアフォンのスペックは最新のフェアフォン2でもマーケット的には一昔前のアッパーミッドレンジくらいです。例えばクアルコムのスナップドラゴンの最新版を使いたくても彼らくらいの規模だとボリュームが出ないので仕入れ値がどうしても高くなってしまう。これって愚痴になってしまうので、彼らのホームページにはそういうことは書いてないですね。でも、これくらいかなあ。

     いつものインタビューシリーズとはちょっと違いますが、こういう情報は日本ではなかなか注目されないと思うので、ボクも微力ながら日本語の記事にして貢献しようかなと思った次第です!

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