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  • イギリス政府はどのようにデジタルサービスを展開したか(2010/2011年)チーム立ち上げ、アルファからベータへ

    イギリス政府はどのようにデジタルサービスを展開したか(2010/2011年)チーム立ち上げ、アルファからベータへ

    ざっくり言うと

    • 偉い人のエアカバー大事。GOV.UKの場合は当時の内閣府大臣のフランシス・モード(Francis Maude)。GDSがかなり自由にやれたのはこの人のおかげ。ここには書いていないけど、当時のイギリス政府の課題の一つは増え続けるコスト。フランシス・モードはこのプロジェクトを通じて実はかなりコスト削減をしている。つまり、GDSをサポートする動機がフランシス・モードにはちゃんとあった。
    • 最初は16人のアルファチームでスモールスタート。このあとイノベーションラボ方式でスケールする。外からチームを招集して内製化。
    • アルファから一般公開。フィードバックを初期からとる。ユーザーリサーチ大事。一貫した行動を取るための原則がはっきりとあったのがGDSの強み。だからデザイン原則はかなり早い時期から形になっていた。
    • 8週間で最初のサービスをローンチ。すっごくアジャイル

    原文:”A GDS Story 2010” and “A GDS Story 2011

    2010/2011年|2012年2013年2014年|2015年

    イントロダクション

    GDSに訪れる訪問者に最もよく聞かれる質問は以下の三つ。

    • どうやってはじまったんですか?
    • どうやってここまで来たんですか?
    • どうやったら私たちの政府/チーム/組織は同じことができますか?

     これはこれらの質問に答えようとする試みです。これは慎重に組織の記憶をくみ出すことでもあります。わたしたちは常に自分たちのデザイン原則を信じています。そのひとつに「オープンにして、改善する」があります。これは私たちのスタート地点とこれまでの道のりについてのオープンな物語です。

    一つだけ注意点

     このストーリーは網羅的ではありません。物語のすべてではありません。そのためタイトルは “a story”であり “the story”ではないのです。間違いや抜け漏れなどいろいろと問題もあるでしょう。なにか不具合を見つけたら私たちに連絡してください。

    2010年

    2011年のDirectgovホームページ

     「英国デジタルチャンピオン」に任命されたMartha Lane Foxは当時の主要政府のウェブサイトであるDirectgovのレビューを行うよう依頼を受けました。彼女はTom Loosemoreを含むチームを招集しました。また、すでに独自の調査を行っていたコンサルティング会社のTransformも参加しました。

     Directgovに取り組んでいるチームは何百ものウェブサイトを閉鎖する野心的なプロジェクトにすでに取り組んでいました。数年後、Sarah Ricards(後にGOV.UKのコンテンツデザイン担当ヘッドになる)は次のように書いています

    私と素敵なチームがすべてのルールを守れば、決して何もなしえなかったでしょう。私たちは個人的な関係を使い一丸となって働き、上から跨いだり下を潜ったりしました。やれることすべて。ピカピカに光ったものができた?いいえ。素晴らしいものができた?いいえ。前よりいいものができた?はい。DirectgovがなかったらGOV.UKをローンチできなかったでしょう。

    10月14日

     Martha Lane Foxは当時の内閣官僚だったFrancis Maude宛てに手紙を書きました。その手紙で「進化ではなく革命を」と要請しました。

    私はDirectgovだけを切り出してレビューしません。政府がインターネットを活用して国民との会話ややりとりを改善すること。インターネットへシフトすることにより大幅に効率性を改善する一環と捉えています。

    この手紙がきっかけとなりGDSが設立されることとなりました。

    11月

     Martha Lane FoxsのFrancis Maude宛の手紙と彼の返信Transformによるサマリーとともに公開されました。

     官僚のChris Chantが責任者としてこの新しい組織の責任者に任命され、GOV.UKアルファ計画を立てました(この時点では、プロジェクトは「alphagov」と呼ばれていました)。 Chantの任命は翌年の2月まで正式には発表されませんでした。Tom Loosemoreはチームづくりを任されました。Chantは彼に「キミが必要とする人材を集めよう」と言いました。そして、アルファを構築するチームを探しはじめました。 早い段階で、David MannNeil Williams(後にGDSでGOV.UKのヘッドになる)に声をかけました。

    12月

    GOV.UKナビゲーションバーの初期ワイヤーフレーム

    GOV.UKにある10 Downing Streetページの初期ワイヤーフレーム

     クリスマスの直前、ホワイトホール向かいのデジタル人間達が仕事の後にランバート・ノースのパブに集まり、実際にMarthaのビジョンをどのように実装するかを議論しました。そのうちの2人、Neil WilliamsとWill Callaghanはワイヤーフレームのモックアップで考えを図案に落とし込んでいきました。

    2011年

    1月

     最初のアルファチームがウォータールー駅の近くの政府ビルHercules Houseに集められました。Tom Loosemore、Richard PopeDavid MannJamie Arnoldです。

    2月

     2月からさらに多くのメンバーが参加しました。James StewartJames WeinerPaul AnnettRelly Annett-BakerLisa ScottBen GriffithsMatt PattersonJoshua MarshallHelen LippellRussell GarnerPeter Jordanです。

    March

     アルファチームの仕事がはじまりました。Tom Loosemoreがブリーフィングをしました。「閣僚達に”この中のどれかが欲しい”と言わせるものを作る」

    初期のGOV.UKアルファのマインドマップ

     チームは壁にプロジェクトのマインドマップを描きました。

    Richard Popeによる初期スケッチ

     Richard Popeによるこの初期のスケッチはチームのアイデアが後期のものとどれほど違っているのかを表しています。そしてDirectgovとも大きく異なっていました。このスケッチでは、ページの上部にバナー広告風のCTAスペースがあると想定されていました。ページの多くのスペースは中央の検索窓が確保し「あなたのしたいことはなんですか?」という大きな見出しがありました。初期段階の名前は”ukgov.gov.uk”でした。

     リチャードはFlickrに数百点のスケッチをポストしました

    ユーザーニーズを書いた付箋紙を壁に貼り整理する Photo: Richard Pope

     数週間のアイデア出しとプロトタイプの後、チームは野心的でありすぎることを認識しはじめました。最初のアプローチはあまり適切ではなかった。Richard Popeは「もっと適切な方法を取らないといけない」と主張しました。ユーザーのニーズを優先しないといけない。そこでアルファのスコープを100人のユーザーのニーズに絞り込むことにしました。100人のユーザーニーズを付箋紙に書き、壁に分類しました。

    3月15日

     Government Digital Serviceについての公での初めての小さな告知。「Directgovとそのほかの小さなチームを統合した新組織」

    3月29日

     alphagovプロジェクトが公式に発表された。Tom Loosemoreが責任者(Foreign and Commonwealth OfficeにおけるHead of DigitalのJimmy Leachの助けを借りて)。 ブログで率直な宣言がなされました:

    通常「アルファ」は公開されません。そのあとの「ベータ」ではじめてドアが開けられます。今回はユーザーからの実際のフィードバックを得るためにとても急進的なアプローチをとります。

    4月

     5回目のスプリントに入りアルファチームは作業量と人手不足に苦しんでいました。 アルファが公開された後にJamie Arnoldはこの問題について書きました

    私たち(あるいはむしろ私)はすべてを正しくできていなかった。スプリント5が終わる頃にExcelを閉じて英国王立動物虐待防止協会に逃げ込む準備ができていました。

     チームが完全に集まってからメンバーリストを発表しました。

    4月7日

    アルファのプロトタイプ。パスポート紛失のときの報告ページ。

     これが最初に公開されたアルファの画面。The Daily Telegraphで報じられる

    4月28日

    アルファチームのオフィスに貼られたデザインルール

     Richard Popeは「少ない労力で」「すぐにやれることを見つける」「統一性ではなく一貫性」など、最初のデザインルールに関するブログ記事を書きました。これらは後にデザイン原則の基礎となりました。

    5月9日

     アルファチームのメンバーであるDavid Mannが政府横断のデジタルプロジェクトについて書きました。そしてそれはGDSがはじめての試みでないことも指摘しました

    私たちのプロジェクトは官公庁の広い支持者とともに進める文化的ムーブメントです。よりアジャイルで反復検証するユーザーのニーズに基づくデジタルプロダクトの開発を追求します。

    5月11日

    ローンチ時のGOV.UKアルファページ

     アルファのローンチ(予定より1日遅れ)

     オリンピックスタジアムの写真がのちに追加されました。「西海岸な感じ」を出すようにと言われていました。ゴールは当時の他の政府系のウェブサイトとは根本的に違ったものを作り出すこと。

     反応は概ね好意的でした。しかしいくつか批評もありました。Leisa Reichelt(後にHead of User ReserchとしてGDSに参加)はユーザーエクスペリエンスのリーダーを雇っていないと批判しました(他にもありましたが)。

    ユーザーエクスペリエンスの実践者として、残念ながらうんざりとした気持ちです。エンドユーザーを中心におくとか、政府のニーズや要望よりもユーザーニーズを優先させるとされてきましたが、口だけで実行されていません。他のプロジェクトが参考にすべき点はあまりありません。

     数週間後、Tom Loosemoreはブログで彼の考えについて書きました

     プロトタイプは12週間で261,000ポンド(約4000万円)で開発されました…従来の枠を外した実験的プロトタイプ(またはMVP: Minimum Viable Product)です。社内のチームがオープンかつアジャイルな方法で作業し、ユーザーのニーズを設計のコア プロセス。 これは新しいアプローチではありませんが、まだ政府全体では非常に斬新なアプローチです。

    初期GOV.UKアルファの財務省ホームページ

     もう一つのアルファページ。これは財務省のホームページ。 部門別のニュースはTwitterフィード風になっています。

     Paul Annet(アルファチームのデザインリード)はブログで当時考えていたビジュアル言語について説明しました。また奥付リストツールを作りました。

     アルファはその目標(プロダクトとしての完成ではなく)としていたポイントを達成しつつありました。その点で成功と言えました。数週間で次の段階がはじまります:ベータ。

    5月20日

    Mike Bracken

     内閣府のExecutive Director for DigitalとしてMike Bracken公式に発表されました

    この役割は責任範囲はDirectgovの最高責任者、政府期間をまたがるデジタル改革のリード、デジタルエンゲージメントと透明性のためのディレクターの仕事の一部が含まれます。彼は政府の最高執行責任者(COO)であるIan Watmoreを上長とし、内閣府でGovernment Digital Service(GDS)の100人以上のスタッフを統括します。

     その舞台裏ではGDSが形を作りはじめていました。ベータのスコープの定義をはじめました。

    GOV.UKベータのマインドマップ

     前回のアルファと同様に壁にマインドマップを描くことからはじめました。

    7月

    Hercules Houseの床に敷き詰められたユーザーニーズ Photo: Jamie Arnold

     GOV.UKベータはDirectgovと並行しての作業でした。それを置き換えるまでは。(GOV.UKをDirectgovと置き換えることはJames StewartとEtienne Pollardによってコーヒーを飲みながら2012年の早い時期に決められました。この日は第二候補でした。第一候補の日は政党会議のシーズンだったのです)

     すべてのユーザーのニーズをインデックスカードに書き出して床一面に広げました。それ以外にこれほど多くのニーズを広げてカテゴリー分けと優先順位付けの作業をする広さがある場所はありませんでした。

     Sarah Rishardsはコンテンツデザイナーがどうして必要で、どうやってその役割を作ったかを2016年のブログで説明しています

    デジタルコンテンツは単なる文字ではないことが私にとって熱意となりました。コンテンツが人々が許可されている以上に多くのことができることを政府は理解する必要がありました。ターゲットとするユーザーが情報として消費できることがコンテンツを絞り込むベストの方法です。そのコンテンツとはツール、電卓、カレンダーやビデオかもしれません。コンテンツは文字ではなく意味を持つコンテンツです。そして私たちは英国政府のために「コンテンツデザイナー」という役割を作ることを決めました。

    7月4日

    「オープンなコーディング」アプローチの最初の兆候が現れました。それは後にJames Stewartのブログ記事で説明されています

    7月29日

    e-Petitionsの2011年のオリジナルイメージ

     GDSは最初のプロダクトをローンチしました:オンライン嘆願サービス。これはアジャイル手法で8週間で開発されました。ちょとした使い切りのプロジェクトで自分たちの力を示すいい機会でした。この請願サービスは2015年にGDSと議会チームの協力の元にアップデート、再構築しました。

     同じ日にMike Brackenは最初のブログを書きました。それはGOV.UK Verify(認証サービス)となる仕事を示唆するものでした:

    これまでの学びの二つ目は政府のサービス全体に利用できる認証の重要性です。市民としてユーザーとしてデジタルサービスについて地方政府のものなのか国としてのものなのかはわかっていますが、その責任部門はあまり意識されません。政府をまたがるデジタルサービスの準備するにあたりこのユーザー行動を原理とすることを3週間に渡り繰り返し考え続けました。

    8月

     Mike Beavenが夏にチームに加わりました。彼の最初の仕事は再編成です。新しくなったGDSで人と役割をマッピング。ほとんどのスタッフは新しいチーム内の仕事に再就職しなければなりませんでした。

    GOV.UK初期ベータ

    GOV.UKベータ。これはStatutory Sick Pay (SSP)のページ

     8月に参加したもう一人はChris Thorpe。戦略的思考を行い閣僚への説明を担当しました。”Trust, users, delivery”というタグラインは彼によるものです。

    8月10日

     David Rennieは後にGOV.UK Verifyとなる身分証明プロジェクトを紹介しました

    デジタル時代に信頼関係を築くためのより良い方法が必要です。長いユーザーリストや映画の名前よりいいセキュリティー確保の方法が必要です。GDS身分証明プログラムを通じてこれらの問題に取り組みます。

    8月11日

    GOV.UKのベータが正式にブログで発表されました

    alpha.gov.ukからの学びに基づいて開発し、さらに積み残された多くのギャップも埋めていくつもりです。これまでになかった最も使いやすくアクセスしやすい公共のウェブサイトを作りたいと考えています。単に「アクセス可能」というボックスをチェックするだけでは不十分です。誰にとっても使いやすく、実際に使われるものではければいけません。

    ベータには3つの目標がありました:

    • 市民に対するコンテンツ配信としてのパブリックベータ(内部的に「メインストリーム」と呼ばれる)
    • 新しいパブリッシングプラットフォームとしてのプライベートベータ(各政府機関のスタッフがGOV.UKのページを追加したり管理したりする)
    • GOV.UKのビジュアルアイデンティティと明確なユーザーエクスペリエンスを提供する「グローバルなエクスペリエンス言語」を開発する

    9月19日

    Needotronは内部で使われているユーザーニーズのトラッキングツール。この画面ではタイトル、更新日、名前と優先順位を表示している。

     Richard PopeがNeedotronについて書きました。これは何百ものユーザーニーズと、それを満たすであろうページとページの形式を追跡する内部ツールです。

    10月

    Chris ChantPhoto: Paul Clarke

     Mike Brackenの任命前にGDSの暫定責任者だったChris Chantは今では有名となった「容認できない」演説を政府研究所で発表したしました。これが、その現状の公共におけるITを批判したスピーチの一部です。

    私は12ヶ月以上契約を締結するのは今の時点では全く受け入れられないと考えます。このITの世界において2年前にiPadが出ることを予測できませんでした。それでいて2年、3年、5年、7年さらに10年後まで予測できると考えているのです。まったくのナンセンスです。まったく容認できません。どのようなシステムを所有し、どれくらいコストがかかり、そもそも使うかどうかもわからないのに。

     そしてGDSのブログにこの問題をどう直していくのかを書きました

    11月

    Aviation HouseでのGDSチーム Photo: Jamie Arnold

     GDSはHolbornのAviation Houseの6階にある新しいオフィスに移りました。

     Ben TerrettとRussell Daviesがチームに加わりました。Benは小規模なデザインチームを率いて、それを拡大していきました。彼はガーター勲章を訪れ、GOV.UKで王冠を使用する許可を求めました。そして許可されました。

    11月4日

     当社は身分証明プログラム(Identity Assurance Programme)のために1,000万ポンド(約15億円)の資金を発表しました(これは後にGOV.UK Verifyとなります)

    11月10日

     Chris Chantは中小企業(SME)を招いて政府との対談の場を設けましたGDSと協力してすべてのITサプライヤーが広く競争力を高める方法について話しました。これは後にデジタルマーケットプレイスの一部となりました。

    12月1日

     Emer ColemanがDeputy Director of Digital EngagementとしてGDSに参加しました。

    12月8日

     すでに1年間ほど作業しているのですが、GDSの正式な組織としての「オープン」がこのブログで発表されました

     GDSはオープニングイベントを主催し、プレスを招待しました(イベントの写真)。記事は非常にポジティブでした:

    この記事はイギリス政府のGovernment Digital Service(略称:GDS)が自らの組織とGOV.UKの成り立ちをブログ記事にした”A GDS Story“の翻訳です。

    GDSの取り組みはこれまでいくつか取り上げてきました。日本でGOV.UKみたいなことできないよなあ……なんて思わず考えてしまうすごい取り組みの数々。でも、当然ながら一日でできることではないですよね。最初は小さな一歩でした。それを積み上げていって今があるんですよね。

    プロジェクトはここから加速的に大きくなっていきます。官公庁や政府機関のWebサイトを合わせると膨大な量のコンテンツとなります。それを彼らはどうやって変革していくのでしょうか。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • 米国証券取引委員会の暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する声明

    米国証券取引委員会の暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する声明

    米国証券取引委員会の見解のポイント

    • ICOにおけるトークンは「通貨」ではなく「証券」
    • 暗号化通貨/トークンが「証券」なのか使い方に依存する
    • SECはICOに反対しているわけではなく、その将来的な価値は認めている

    原文:”Statement on Cryptocurrencies and Initial Coin Offerings” by EC Chairman Jay Clayton, December 11, 2017

     世界のソーシャルメディアや金融市場は暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)について騒いでいます。富を築いた話や夢が実現した話があります。私たちは「今回こそ違う」という聞き慣れたフレーズを聞きます。

     暗号化通貨とICOマーケットは急速に成長しています。マーケットは地域的で、国家的で、国際的でこれまでにないプロダクトや参加者を巻き込んでいます。また投資家やその他の参加者に多くの疑問を投げかけています。新しい疑問、古い疑問、新しい形をした古い疑問です。

    • このプロダクトは合法なのでしょうか?投資家を守るルールのような規制の対象になるのでしょうか?このプロダクトはそのようなルールに則っているのでしょうか?
    • このような提供方法は合法なのでしょうか?プロダクトを提供するライセンスは必要ないのでしょうか?
    • このマーケットは公正なのでしょうか?価格は操られてないのでしょうか?売りたいときに売れるのでしょうか?
    • ハッキングなどで盗まれたり無くなったりする潜在的なリスクはあるのでしょうか?

     これらを含む重要な質問に答えるには深い分析が必要です。そして、答えは様々な要因によって変わってきます。この声明は主に二つのグループを対象に暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)についての一般的な見解を提供します。

    • 「メインストリート」の投資家
    • 「メインストリート」にインパクトを与えるブローカー、投資アドバイザー、取引所、弁護士や会計士などマーケットの専門家

    解説

    メインストリートはウォール・ストリートに対する言葉。ウォール・ストリートにいるプロの投資家や機関投資家、対してメインストリートは年金基金を含め投資をする一般的な人の集まり。ICOに関わる人たちは主にメインストリートなんでしょうね、こうやって最初に出てくるということは。そういう意味では弱者保護の観点でこの声明が出されていると言えなくもない。

    メインストリート投資家の考慮する点

     暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関して少なからぬ懸念が上がっています。現在の運用において私たちの伝統的な株式市場と比べて投資家に対する保護があまりなく、詐欺や操作の可能性も低くありません。

     投資家は現時点においてICOが証券取引委員会(SEC)に一つも登録されていないことを理解すべきです。同様にSECも現時点において証券取引できる暗号化通貨や暗号化通貨と関連するアセットを含む商品(ETFなど)を登録、許可をしていません。もしそうではないという人がいたら、用心深くあるべきです。

     私たちは投資家に暗号化通貨とICOに関する警告、速報、声明を送りました。中には有名人がマーケティングに関わっている件を含め。どうか、それらに目を通してください。もし投資をするのであれば、質問をして明確な答えを求めてください。役に立つ質問リストを添付します。

     どのような投資であろうと、売り手がリターンを保証したり、あまりにもうますぎる話だったり、すぐに行動を起こすように焦らせたりする場合、特に注意してください。投資したお金が消えてしまうリスクがあります。

     また、このマーケットは国境をこえ国をまたがり多くの取引はアメリカの外にあるシステムで行われていることもあります。あなたの投資は知らないうちに国外に渡っていることもあります。その結果としてリスクは増大します。例えばその国のSECのような組織が効果的に悪徳業者を取り締まることも、ファンドを回復することも難しいでしょう。

     このマーケットについて詳しく知りたい方は、下の「暗号化通貨、ICOと証券規制に関する追加議論」のセクションをよく読んでください。

    マーケット専門家の考慮する点

     私はICOは(それが証券であるかに関わらず)起業家にとってイノベーションプロジェクトなどを含み効果的に資金調達する手段だと考えます。 しかし、証券を含むそのような行為は私たちの証券に関わる法律が要求する情報公開、プロセス、投資家保護が伴わなければいけません。証券の形が変わるからといって、証券が取引される際の基本的なポイントが変わるわけではありません。したがって、法律に準拠する必要があります。別の言い方をすれば、中央で記録された伝統的な企業の利子台帳とブロックチェーンで記録された分散台帳は取引の形を変えますが、本質を変えるわけではないということです。

     私は証券取引を専門とする弁護士、会計士、コンサルタントなどマーケット専門家達に私達のレポート (21(a) Report)とそれに伴う強制措置を精査するよう強く求めます。この21(a) Reportにおいて委員会は歴史ある証券に関わる法律の原則に基づき特定のトークンは投資契約であり証券に該当するため、連邦の証券に関わる法律が適応されるとしています。特にトークンの提供は一般的な企業に対する金銭による投資とみなされ、企業的、運営的な努力によって利益が得られることが期待されます。

     21(a) Reportの発表後、自分たちが関わるICOにおいてトークンまたはコインが「証券」 ではなく「利用料」として色合いが強いと主張するマーケット専門家が現れました。多くの主張は経済的実質ではなく形式を重視するものです。トークンを「ユーティリティトークン」とよんだり、利用料としても使えるようにしても証券であることに変わりはありません。企業努力による潜在的な利益が強調されているトークンとその提供は引き続きアメリカ合衆国の法律の下においては証券としての顕著な特徴を持っています。これらの件について専門知識の適応や判断が求められるとき、私は証券関連の弁護士、会計士などの専門家がゲートキーパーとしてその職務に専念することを期待します。私は投資家保護(特にメインストリートの投資家保護)のために法、プロセス、情報開示義務にといった原則に従うことを強く希望します。

     また、私はマーケットの専門家に売り出す前にコインの販売が証券に関わる法律に該当するかどうかを確認するよう忠告します。証券を売るにはライセンス必要です。取引量の少ない商品や揮発性の高い商品の過度な売り込みは売り逃げや風説の流布など情報操作や詐欺のサインです。同様にこれらの商品を運用するシステムやプラットフォームについても1934年証券取引所法に違反する登録のされていない交換所やブローカーでないか確認するよう注意を促します。

     暗号化通貨について私は2つのポイントを強調します。ひとつ目は暗号化通貨は証券だということです。「通貨」と呼ばれたり、「通貨ベースの商品」と呼ばれていてもです。暗号化通貨や複数の暗号化通貨を組み合わせた商品を売る場合、提供者はその暗号化通貨が証券ではないことを証明するか、証券に関わる法律に準拠しなければいけません。ふたつ目に、顧客への暗号化通貨の販売で利益を得たり証券としての取引を仲介するブローカーなどの市場への参加者はこれらの取引が反マネーロンダリング規制や身元確認(KYC)義務に違反していないか注意をする必要があります。 先に述べたとおり、私はマーケットの参加者にあたかも現金のように暗号化通貨での支払いや取引されるように扱うべきです。

    暗号化通貨、ICOと証券規制に関する追加議論

    暗号化通貨

     暗号化通貨は大まかにいって固有の価値を有するアイテム(例えば現金やゴールドのように)で、支払い、販売などファイナンシャルな取引ができるようにデザインされています。アメリカドル、ユーロ、日本円など長きにわたり確立された通貨のように機能することを意識していますが、政府や中央銀行などの後ろ盾がありません。暗号化通貨のデザインと管理は異なりますが、暗号化通貨の支持者はその潜在的な可能性と将来性について主張しています。(1) 仲介者なく国境をこえて取引ができる能力 (2) 決済のファイナリティー (3) それ以外と比べて低い取引コスト (4) パブリックに取引を確認する能力です。そのほかに個人の匿名性と政府の規制や監視のない点が暗号化通貨の機能としてよく宣伝されています。暗号化通貨に批判的な人たちはそのような機能が不正な貿易や金融取引に使われる可能性や言われているようなメリットが実際には享受できない可能性を指摘しています。

     暗号化通貨は証券ではなく、その提供と販売はSECの範疇にはないと言われています。その通説が正しいかどうかは暗号化通貨と呼ばれる特定のデジタルアセットの特徴と使用方法に依存します。いずれにしても、SECはアメリカドル、ユーロ、日本円での証券取引の影響にフォーカスしているため、同じ興味と責任を暗号化通貨にも有することは明白です。これは暗号化通貨での支払い、投資、クレジット利用を可能にする証券会社やその他の市場参加者にも適用されます。

    ICO

     暗号化通貨の大きな成長とともに、企業や個人はICOによって資金調達を行うケースが増えています。通常は個人投資家がアメリカドルのような通貨と引き換えに「コイン」または「トークン」といわれるデジタルアセットと交換によって提供されます。

     これには様々な提供形態があり、その保持者の権利と利子は大きく異なるといわれています。ICO市場に参加する人にとっての重要な質問は「このコインやトークンは証券ですか?」です。証券に関する法律家がよく知るように、答えは事実によって異なります。例えば、ブッククラブの参加を意味するトークンは証券に関わる法律の範疇外でしょうし、ブッククラブの運営者がそのファンドを使って本を購入してトークンを持つブッククラブのメンバーに提供することができるでしょう。対照的に多くのトークン提供はこのような範疇を超えて作者、本、流通ネットワークを兼ね揃えた出版社を作ることに似ています。トークンの販売者が第二のマーケットでのトークンの取引の可能性を示唆している場合は特に問題です。購入者はトークンの持つ価値が上昇する可能性を売り込まれ、その価値が上昇したトークンを第二のマーケットで売却することで利益を確定したりすることです。これは証券と証券提供の顕著な特徴です。

     全般的に見てICOのストラクチャーは証券の提供と販売とみなすことができ、証券に関わる法律に従い証券規制の必要条件を満たし投資家保護を行わなければいけません。一般的にこれらの法律は投資家に何に対して投資し、どのようなリスクがあるのかを明らかにします。

     私は証券取引委員会の法律施行局に引き続きこの分野の監視をし、証券に関する法律に反するICOを厳しく取り締まるよう伝えました。

    結論

     私たち米国証券取引委員会は資本形成の促進にコミットしています。暗号化技術やICOがベースとしている技術は破壊的であり、変革的であり、効率化を促進することが証明される可能性があります。私はフィンテックの成長が資本形成を助け、機関投資家もメインストリート投資家も同様に投資機会を提供するものだと考えます。

     私はメインストリートの投資家にその機会にオープンであることを推奨します。しかし、よい質問をして明確な答えを求めましょう。そして常識と照らし合わせて見ましょう。クライアントにアドバイスをするとき、金融商品をデザインするとき、取引に関わるとき、マーケットの専門家とそのアドバイザーは法律、規制、ガイダンスを注意して検討しましょう。証券の法律のフレームワークとなる原則は80年にもわたり新しいものに対応してきました。私はマーケットの参加者とアドバイザーに証券取引委員会のスタッフと積極的に関わり彼らの証券に関わる法律の分析に協力することを推奨します。SECのスタッフは FinTech [at] sec.gov宛てにメールをください。

    解説

    アメリカの証券取引委員会はICOに関してはかなり規制を強めています。この声明の少し前にICOを行なっていたPlexCorpsにICOを停止する緊急命令・資産凍結を発表しました。そして、この声明の同日にSECによってMuncheeもICOを阻止されました。一方でこの声明の中にあるブッククラブの例にもあるように、全てのトークン提供が証券に当たるわけではないようなので、ガイドラインの整備が急がれますね。

    なお、この翻訳は「善きサマリア人」として提供している参考訳です。なるべく正しい訳を心がけていますが、ビジネスや投資などでこの参考訳を利用することはオススメしません。本当に知りたい人は専門家に相談してくださいね。以上ディスクレイマーでした!

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  • ブロックチェーン上の最初の住民登録がクリプトバレーで行われる

    ブロックチェーン上の最初の住民登録がクリプトバレーで行われる

    原文:”First official registration of a Zug citizen on Ethereum

     2017年11月15日にプレスが見守るなか、スイスのツーク市*1にてブロックチェーン上で最初のデジタルIDによる住民登録が行われました。ツーク市はクリプトバレーとしても知られています。

     この夏にツーク市とパートナーシップを結んでからブロックチェーンに住民IDを登録するパイロットプログラムを開始しました。これにより投票や住民登録など公共サービスのデジタル化が大きく前進します。

     2017年6月からuPortプラットフォームを改善し、スイスのパートナーであるti&mとこの公式なローンチに向けて作業をしてきました。政府がブロックチェーンを使うことで市民に対してデジタル認証を提供できることを実証するとても大きな第一歩となります。

     デジタル市民は市民と政府機関との間の信頼を高めるだけでなく、公共サービスを大幅に改善する機会となります。ツーク市では2018年の春に電子投票を提供する予定です。非常にエキサイティングな時期です。

     では実際にツーク市での最初の公式な電子認証がどのように行われたかを見ていきましょう。

    ステップ1:ツーク市民はuPortアプリをダウンロードし、uPort IDをイーサリアムのブロックチェーンに登録します。この世界的にユニークな識別子はパブリックアドレスになります。パブリックアクセスはuPort Proxy Contractと呼ばれるスマートコントラクトです。

    イーサリアムブロックチェーンにIDを入力した後のuPort IDホームスクリーン

    ステップ2:QRコードをスキャンすることで新しく登録したuPort IDを使ってツークデジタルIDのウェブポータルにログインします。

    QRコードをスキャン

    ログインリクエスト

    ステップ3:ツークデジタルIDでログインした後に個人情報と既存のツークID番号を入力します。個人情報はまだ未確認のuPort IDから登録されているため、ツーク市役所での対面による個人確認が必要になります。

     

    完了ステップ

    ステップ4:登録した人は14日以内にツーク市役所のレコードオフィスで公式なIDを持参して登録を確定します。

    完了画面

    ステップ5:レコードオフィスではツーク市の職員がuPort IDを使用して管理ポータルにサインインします。承認されればuPort IDに市民としてのデジタル証明が発行されます。このデジタル証明はツーク市により公式に認められ、ツーク市の市民であることが公式な証明となります。こちらがそのプロセスをまとめたビデオです。

    vimeo.com

     これはイーサリアムコミュニティーにとっても重要なイベントです。ここ2年間に力を入れてきたことが実現しはじめています。uPortで技術的知識に関係なくすべての人がブロックチェーンIDを利用できるようにするために使いやすさの向上に努めてきました。

     ツーク市とのパートナーシップは自己管理ができる真にグローバルなIDシステムの実現に向けた大きな第一歩です。そして、その最初の日を迎えられたことにとても興奮しています。

    解説

    インターネットはデータのネットワーク。ブロックチェーンは価値のネットワークです。ブロックチェーンを中心とした新しい波をWeb3.0と呼ぶのはこの大きな違いのためです。

    価値をネットワークでやり取りするわけですから、送る先が本当に本人なのかという認証はすごく大事なんです。ただでさえ「振り込め詐欺」みたいなことがあるわけですから。企業だけでできることではなく、行政や金融機関などを巻き込んでいかなければいけません。DIFのような標準化団体もできてきています。

    uPortはそんなブロックチェーンの個人認証でも最先端を走っている企業の一つです。クリプトバレーと言われるスイスのツーク市で最初のブロックチェーン上の住民登録を実現したのはさすがとしか言いようがありません。この記事は具体的な方法を説明したブログ記事”First official registration of a Zug citizen on Ethereum“の翻訳です。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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    *1:スイスのツーク州の基礎自治体。税率が低いために多くの多国籍企業が本部を置いている。最近はクリプトバレーとして 知られている。

  • 書評|シェアリング経済以降の新しい地図「WTF」Tim O’Reilly

    Tim O'Reilly (3)

    “WTF”の著者、Tim O’Reilly氏

     インターネットで世の中が大きく変わり、変わり続けています。時代が変わると地図も変わります。コンピューターの時代はIBMがエコシステムの中心でした。パソコンの時代はマイクロソフトがエコシステムの中心でした。さらにオープンソースが地図を書き換え、GoogleやFacebookがさらにその地図を書き換えました。そして、今また地図が書き換えられようとしています。その地図はどんなものなのか。それがティム・オライリーの最新著書”WTF“の主題です。

     ティム・オライリーはソフトウェア開発者ならおそらく誰でも一冊は持っている本の出版会社O’Reilly Mediaの創業者で、Web 2.0という言葉を広めた人です。そう、Web 2.0もその当時の地図でした。WTFは英語で”What the fuck”の略ですが、この本では色々な意味で取れます。”What’s the future”もその一つ。WTFという時は驚きとともに色々な感情が込められます。日本語だと「なんてこった」に近いかもしれません。すごい発明を見た時に発せられる「なんてこった」とか。すごく悪いことが起きた時に発する「なんてこった」とか。

     新しい技術はいいことばかりではない。フェイクニュースや人工知能(AI)についての不安感。WTFはどちらにでもなるし、それを選ぶのは私たち自身ですよというのがこの本の言いたいことかな。

    昔の地図

     この本は昔の地図からはじまります。パターンは繰り返されるので、昔の地図の変遷を見ることでそのパターンを読み取ることができるからです。ボク自身はマイクロソフトに勤めていたので、IBMからマイクロソフトへのパソコンの主役の移り変わりやそのあとのオープンソースの流れも理解しているつもりです。

     それでもフリーソフトウェアからオープンソースへの流れって曖昧でした。Linux FoundationはLinuxだけでなく様々なオープンソースプロジェクトの支援をしていますが、その成り立ちもあまり理解していませんでした。

     この辺はあまり物語として日本で語られていない部分なんじゃないかという気がします。ジェダイとシスの戦いは面白いけど、シスが滅びて平和になった世界の話はあまり面白くない。この本ではそんな新しい希望と可能性の世界地図がどのようにできたかの物語として伝えようとしています。そこからパターンを探る。「フォースを感じるのだ」みたい。見た目もちょっとオビ=ワン・ケノービっぽい。

    新しい地図

     この本の面白いところはインターネットの技術的な話にとどまらないところです。シェアリング経済やIoTはネットと実社会の垣根を限りなく無くした。それがどういうことを意味するのか。ボクたちはどのように今の地図を読み解けばいいのか。それをティム・オライリーと一緒に考えるような形になっています。

     その範囲はかなり広く、政府や公共サービスのあり方、メディアのあり方、組織のあり方まで広がっています。特にCode for Americaとの関わりから始まる公共サービスに関しての章は非常にエキサイティングでした。少し中だるみする部分もあるのですが、全般的にわくわく感を維持しています。

    この本はおススメか?

     テクノロジー分野やインターネットに興味がある人にはおススメです。あと政府関係や自治体の人たちも読んだほうがいいかも。これから起業しようとする人、新規事業に取り組もうという会社員もここで描かれる新しい地図は参考になるでしょう。翻訳が待たれるところです。まあ、ティム・オライリーの本なんでどこかの出版社が日本語版を出してくれるでしょう。

    WTF?: What's the Future and Why It's Up to Us

    WTF?: What’s the Future and Why It’s Up to Us

     

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  • アメリカ政府の視点:オープンソースのソフトウェアは実際どれだけ再利用ができるのか?

    アメリカ政府の視点:オープンソースのソフトウェアは実際どれだけ再利用ができるのか?

    原文:”How reusable is open source software?” by Laura Gerhardt, Innovation Specialist at 18F, October 23, 2017

     ここTechnology Transformation Services(TTS)に所属する私たちはオープンソースソフトウェアの大ファンです。オープンソースは納税者に透明性とコスト効率を提供する重要な方法の1つです。ホワイトハウスのオープンソースポリシーはオープンソースソフトウェアを「誰でもアクセス、使用、変更、共有できるソフトウェア」と定義しています。TTSは開発したすべてのコードをパブリックドメインとして誰でも複製または再利用できるオンラインリポジトリにリリースしています。このソフトウェアを構築する際には既存のオープンソースコードライブラリを組み込んでコードライセンス管理の必要性を最小限に抑えます。

     オープンソースソフトウェアにより政府、ベンダーや外部の貢献者が協力して作業することも可能になります。これにより柔軟な使用とカスタマイズが可能になり、政府はソフトウェアライセンスを節約することができます。セキュリティー上の恩恵もあります。監査能力を向上させ、開発者にセキュリティーに対する強い姿勢を最初から持たせることができます。コードはパブリックドメインであるため、誰でもコードを再利用または再配布することができます。18Fのオープンソースポリシーでは「オープンソースライセンスではない限定的なライセンスのプロジェクトにも統合することができる”としています。

     この記事は政府のカスタムソフトウェア開発プロジェクトにおけるオープンソースコードの使用に関するいくつかの誤解を明らかにし、特定の問題を明確にすることを目指しています。

    再利用の限界

     オープンソースのコードが再利用可能であるというだけで、すぐに利用できるというわけではありません。

     すべての政府サービスのなり立ちには長い歴史があります。当時利用可能だった技術、複雑に絡み合った法的要件や関わった人たちなどです。

     その影響は多岐に渡ります。特定の免責事項を含む必要性、特定の形式の電子署名でサインすること、特定のフォームフィールドを更新すること、または独自の承認プロセスを持つなどです。

     このようなユニークな状況では政府サービスが望む厳密な形ですぐに使えるソフトウェアソリューションがない可能性が高いです。オープンソースかどうかに関わらず。ITチームが既存のコードベースをそのままインポートしようとすれば、ユーザーが絶対的に必要とする機能が不足している可能性があり、エンドユーザはそのサービスに満足できないでしょう。追加のメンテナンス費用を必要とする使用しない様々なものが含まれている可能性もあります。プロプライエタリなソフトウェアの場合、ワークフローとユーザーの構成によってシステムの制限がある可能性があります。

     ユーザーのニーズを満たすためには、ほとんどの場合カスタム開発が必要になります。オープンソースの柔軟性は必要なモジュールを組み込み、それらのユーザーニーズを満たす助けとなります。さらにプロプライエタリなソフトウェアに対する高価なライセンス料を払う必要もありません。Ruby on RailsやDjango(Python用)のようないくつかの既存のフレームワークによりユーザーと関係機関のニーズを満たすツールの開発に開発者がすぐに取りかかることができます。

     例えば、私たち18FはC2という米連邦政府一般調達局の公共建築物サービス(PBS)の購入カード承認アプリケーション構築の支援をしました。私たちの開発者はRuby on Railsを活用して承認ワークフローを構築しました。これにより承認者が必要とする情報を組み込むことができ、PBSの既存の独自のビジネスプロセスと同じ個別の購入ごとのレビューレベルを実装することができました。

     今後、他のチームがこの購入カード承認アプリケーションを使用する可能性があります。しかし、アプリケーションを大幅に変更することなく使用するのは困難でしょう。内部の承認プロセスが異なるからです。しかし、C2はオープンソースソフトウェアであるため外部の開発者はC2のコードをその目的に合わせて変えたり、少なくとも開発者がどのように問題対してアプローチを取ったか確認することができます。

    オープンソースは自分で作るときに最高

     デジタルサービスの場合、オープンソースコードを再利用しやすいケースは二つあります。パッケージが同じビジネスプロセスをサポートしている場合とビジネスプロセスに関係なく同じソフトウェア問題を解決する場合です。オープンソースコードでは、開発者やデザイナーが既存のコードを自由に必要に応じて採用し、ユーザーのニーズを満たす開発作業に集中することができるからです。

     たとえばDigital Analytics Programのためにに開発されたソフトウェアは都市によって15回以上再利用されています。再利用されたオープンソースプロジェクトとしての成功の要因の一つは多くの政府機関がGoogle Analyticsを使ってトラフィックを監視していたからです。それによりソフトウェアのデータソースは常に同じ場所から同じ形式で提供されます。使用法とデータパイプラインが同じであれば、開発者は政府のブランドを組み入れるか、既存の機能の上に開発することができます。Digital Analytics Programソフトウェアは共通かつ限定的なビジネスケースをサポートすることによりオープンソースの再利用性を高めています。

     同様にU.S. Web Design Standardsは開発者にとって使いやすいユーザーインタラクションライブラリを提供しています。これによりパブリックかプライベートの開発者は自らが関わるプロジェクトのビジネス課題に集中してソフトウェアを開発することができます。アプリケーション設計者達によると、すべてのプロジェクトでボタンサイズのような設計上の意思決定を行う必要がないため開発期間が短縮できたそうです。U.S. Web Design Standardはオープンソースなので開発者は政府機関のスタイルガイドを満たし、元のコードに含まれていない追加のデザイン資産も自由に追加できます。

     展開プロセスはオープンソースソフトウェアを組織に組み込むもう1つの良い方法です。開発プロセスはビジネスプロセスとは異なることが多くあります。継続的デプロイメント(CI)などは他の組織が開発したオープンソースのソフトウェアを追加する方が容易な場合があります。これらのツールはプロジェクトへの頻繁で小さなコード更新がコードの他の部分を壊さないようにするのに役立ちます。展開のパイプラインの標準化をサポートし、インフラストラクチャと環境の構築とプロビジョニングに費やす時間を削減することができます。これにより開発者は何がユーザーと顧客にとって本当に必要なのかを探ることに時間を使うことができます。

     政府がオープンソースソフトウェアへのIT投資の効果を最大限に高めることを考えている場合、ビジネスプロセス特有のコードを分けておくとわかりやすいです。例えば、データやワークフロー、インタラクションコンポーネントやデータベース、ホスティングリソースなどです。これらビジネスプロセス特有の要件はほぼ確実にカスタマイズする必要があります。しかし、コンポーネントと開発者のリソースを相互に活用することは共同投資と再利用の恩恵をもたらします。

     再利用可能な18Fプロジェクトは以前のブログ記事を参照してください。詳細を知りたい場合は、公開Slackチャンネル#opensource-publicに参加して、GitHubプロフィールをチェックしてください。

    解説

    この記事は米連邦政府一般調達局、テクノロジー・トランスフォーメーション・サービス(TTS)の一部門である18Fに所属するイノベーションスペシャリストのLaura Gerhardt氏によるブログ記事”How reusable is open source software?“の翻訳です。

    前回『大規模デザインシステムを作る:いかにしてアメリカ連邦政府のデザインシステムを作り上げたか』はデザイン標準の話でしたが、今回はオープンソースを使った開発の取り組み方に関してです。デザインチームと開発チームが18Fという一つの部署にいるのは大きな強みですよね。

    SlackとかGithubとかバリバリ使ってるのが単純にかっこいいなあ。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • アメリカのデジタル公共サービスの夜明け – オバマケア立ち上げ失敗、18F誕生の前日譚とCode for America

    アメリカのデジタル公共サービスの夜明け – オバマケア立ち上げ失敗、18F誕生の前日譚とCode for America

    Mangrum and Otter Building 1235 Mission Street

    1235 Mission Streetにあるサンフランシスコのフードスタンプオフィス(通称:1235)

    原文:”“People, Not Data – On disdain and empathy in Civic Tech” by Jake Solomon, Jan 6, 2014

     ここはサンフランシスコの大きなフードスタンプオフィスです(フードスタンプは低所得者に配給される金券。スーパーマーケットなどで食料品を買うことができる)。通称1235。1235 Mission Streetにあるから。私がはじめてここを訪れたのは2013年2月7日木曜日でした。コンクリート柱を通り抜け、二人の警備員が立っている金属探知機を通過。書類が散らかったテーブルの横を通り、ようやく待合室にたどり着きました。とても騒がしかった。天井のスピーカーの声がリノリウムの床に反響して響き渡る。サービスカウンターBと呼ばれる大きなカウンタートップに大勢が並んでいました。

     背の高い黒人男性が列の先頭にいます。彼は前かがみになって手をカウンターにおきました。厚くて曇った防弾ガラスシートが彼とワーカー(福祉サービスのソーシャルワーカーのこと)を分け隔てていました。彼らはガラスに取り付けられたひょろ長い会議用のマイクを通じて会話をしていました。彼はワーカーとのマイク越しの会話が聞き取りづらくて困っているようでした。マイクをつかんで上に向けようとしましたが、それより近づくことができません。さらに腰を曲げて頭の位置を下げ、耳をガラスにつけました。さらに膝を地に下ろし、マイクを顔に近づけ、腕をカウンターにもたれかけました。そしてひざまずいたまま会話は終わりました。

     私がいる場所。サンフランシスコ。私たちの国で最も繁栄している都市のひとつ。そこで私が見た風景。防弾ガラス越しに会話を聞き取るためにひざまずき、連邦政府からのフードスタンプを受けようとしている男性。

    何かがとてつもなく間違っている

     これが私のCode for Americaのフェローシップのはじまりでした。2013年2月の後半にサンフランシスコの4つのシェルター予約サイトの1つであるミッション・ネイバーフッド・リソースセンターを訪問しました。シェルターで一晩のベッドを予約するのに12時間以上かかることがあり、シェルターよりストリートで寝ることを選ぶ人もいます。また次の日のベッドのために朝4時にシェルターをでて列を作る人たちもいます。ベットが欲しければ早く起きなければいけません。

     私のチームメイトもフードスタンプに登録しました。メールが送られてくるようになりました。しかもたくさん。それらはこのように威圧的だったり:

    なんでこんなに叫ぶような大文字ばかり?

    文字だらけで混乱していたり:

    長〜いレター

    あるいは全く意味をなさなかったり:

    $200から$200に変更?

     7ヶ月の加入期間中、20のメールを受け取り、3回ほど打ち切られそうになりました。下のタイムラインをみてください。

    フードスタンプタイムライン

    サービスはユーザーを見下している

     これが私たちと政府とのやり取りです。私たちはひざまずき、シェルターでベットを確保すために並び、郵便で攻撃的なレターを受け取ります。本来なら困っている人に手を差しのべるサービスが助けるべき人たちを見下しています(disdain)。

    dis·dain(見下す/軽視する)

    動詞:その人を考慮する価値がないとすること

     このユーザー軽視は人生を変えるほど巨大で物議をかもす形で現れます。退役軍人が障害手当を受け取るのに260日かかります。私たちは家族が暮らす部屋を用意するためにひと月3,000ドルを費やしますが、その家族が必要なのは一人当たり900ドルの現金です。

     そして、このユーザー軽視は小さく静かに誰も気づかない形で現れます。サンフランシスコで無料の学校給食をオンラインで申請をするとウェルカム画面でこの警告が強調表示されます:

    オンラインでできるのは一つの申請だけです。何らかのエラーが発生した場合は紙で申請する必要があります。

     またはCalWinのiPhoneアプリをダウンロードしてみてください。カリフォルニアの7億5000万ドルのクライアント福祉データシステムのアプリです。そこで目にするのは:

    はい、ホームスクリーンでは文字が切れて読めません。

     このようなユーザー軽視は上から下まで徹底しています。例えばhealthcare.govで起きた問題は政府のITがいかに壊れているかという長い議論(と周辺に巻き起こる批評)をもたらしました。しかしエズラ・クラインが何が壊れているのかの本質を言い表しています。

    …一部の被保険者と裕福な人が持つ特権は貧しい人たちが日々晒されている低品質な公共サービスに対して言い訳をすることです。報道機関は大抵は見て見ぬフリをするか、全く本当に何も知らないかです。貧しい人たちが政府の官僚主義に日々どれほど打ちのめされているのか。そうして放置することで官僚主義はさらに悪くなっていきます。エズラ・クライン

     問題はWebサイトではありません。問題は1235でひざまずいている男性であり、ユーザーを軽視するマシンのような官僚主義がひざまずく彼を助けないことです。

    共感からサービスを作ろう

     だから私たちはここにいます。ユーザー軽視のマシンと格闘しています。誰もそんなことは望んでいない。ソーシャルワーカーもユーザーがひざまずくことを望んでいたりはしない。CalWinの開発者も自ら開発したアプリがiPhoneのホームスクリーンで恥をさらすことを望んでいない。誰もホームレスの人々が徹夜で並ばなければいけないことを望んでいない。それはすでに政治の域を超えています。

     できるならば、これを勇ましい言葉で終わらせられたらと思います。「私と一緒に行動を起こしませんか?私たちの壊れた政府を直しませんか?ここをクリックしていますぐ寄付を!」しかし、私にはそれはできません。私はCode for Americaのフェローシップ期間中に解決策よりも多くの問題をみてしまいました。そこで私は一つの疑問を提起したいと思います。どうしたら共感力のある公共サービスを作れるのでしょうか?

     兎にも角にもまずはユーザーのニーズ。共感力のあるサービスはリアルな人々のリアルなニーズに根ざしています。必要なのはイノベーションではありません。ビッグデータ、government-as-a-platform、透明性、クラウドファンディング、オープンデータ、Civic Techなどではないのです。大事なのは人です。人々とそのニーズを優先することを学ぶこと時間をかけて学ぶべきです。このような変化はすぐには起こりません。一人づつ、ゆっくりと。でも私たちははじめなければいけません。

     私たちは非常に多くの創造性、ツール、そして非常に多くの素晴らしい事例があります。ユーザーのニーズを特定し、文書化し、説明し、ニーズに答えるのに役に立つ様々なリソースが。それを活用していないだけです。私はSF映画に出てくる宇宙船400台全ての相対的なサイズを知っています。しかし恥ずかしい話ですが、ホームレスのシェルターや刑務所がどのように機能するかはほとんど知りません。

     healthcare.govの侮辱と怒りを感じている最中、ティム・オライリーが大きな機会を気づかせてくれました。

    healthcare.govの問題に嘆いたり、誤りや政治的な優位性をくまなく探すよりいいことがある。すべての人たちにとってシンプルで効果的で使いやすい公共サービスを創造する絶好のチャンスがいまなんだ。ティム・オライリー

     だから、穏やかにしかし根気強く意識をユーザーニーズに戻し、ひざまずく人を探して手を差し伸べられる共感力のある仕組みを作りましょう。

    追記 (2014年1月22日)

     私が2013年2月にどっぷりと浸った日々は人生で最も有意義な職業経験でした。だからこそ私はそれについて書きました。世界の人々と共有するために。これにより問題の解決に関する議論をより広範なコミュニティに広がることを期待していました。そして、それは成功しましたし、それを誇りに思います。しかし、私のいくつかの疑問やいくつかの批判もありました。ですから、私は一歩立ち返って、地方自治体、公共サービス、特にサンフランシスコのヒューマンサービスエージェンシー(HSA)で働くことになった背景をもう少し詳しく説明したいと思います。

     地方自治体は非常に制約されていると知ったのは今年の大きな学びでした。自治体は地方の政治、州法、および連邦法の複雑な絡み合いに制約されています。制約は責任を伴い下まで行き渡っています。メールの内容を変更したり、SMSを送ったりするにも州と連邦の関係者との協力が必要です。このすべてがフラストレーションとなりえます。しかし、それこそ私がCode for Americaに最初に参加した理由です。本当のの問題を解決するために必要なことを学ぶこと。

     HSAは制約を理解し、それを解決をするのに何が必要なのか学ぶのに最適な場所でした。以下は私が在籍した時に解決を間近にみたことです:

    • HSAはユーザーの対面体験を改善するためにMedi-Calのロビーをデザインし直しました。さらに1235のフードスタンプオフィスもデザインし直しました(今は防弾ガラスとマイクは撤去されています)。
    • HSAはAffordable Care Act(通称:オバマケア)をはじめとする数百の新しい規制改善を実施しました。Medi-Calを数千の新しいサンフランシスコ住民にまで拡張しました。夜間と週末にもコールセンターにアクセスできるようになりました。何百ものスタッフに新しいプログラム要件のトレーニングを提供しました。これによりサービスが「間違ったドアなし “No Wrong Door”*1」に一歩近づきました。
    • HSAはフードスタンプのための報告義務を四半期から半期に削減しました。
    • HSAはフードスタンプの再認定のための対面式インタビューを廃止し、ユーザーが電話でインタビューできるようにしました。
    • HSAはフードスタンプのユーザーを支援するために特別に作られた最初の栄養ウェブサイトであるEatFresh.orgを提案、資金提供、構築、ローンチしました。
    • 最後にTrent Rhorerのユーザーのためにリスクを取る無限の意欲に感謝します。HSAはユーザーのためのSMSシステムを構築して実装した最初のヒューマンサービス機関となりました。

     HSAは2013年にこれをすべて実施しました。これこそがユーザーを第一とするサービスに必要なことです。HSAと2,000人以上のスタッフがそのために日々働いています。サンフランシスコの暮らしと生活を豊かにする助けをしてくれている彼らに感謝します。

     AlanとCrisのメスカルを飲みながらのフィードバックに感謝します。ドラフトを読んでくれたMarcとZavainに感謝します。そして、私たちをパートナーとして共に歩み、大事なことを実行し、実行し続けてくれているサンフランシスコのHSAに感謝します。

    解説

    この記事は2013年にCode for Americaのプロジェクトに参加して実際にサンフランシスコのヘルスケアシステムの改善に参加したJake Solomon氏のブログ記事”“People, Not Data – On disdain and empathy in Civic Tech“の翻訳です。

    背景には2010年に発表され2013年にローンチしたオバマケアの一部であるhealthcare.govの不具合があります。ほとんど機能せず、大きなニュースとなりました。「問題はWebサイトではありません」という言葉が胸に突き刺さるいい記事です。

    以前にアメリカの大規模デザインシステムに関する記事を翻訳しましたが、それを実施した18Fの最初のプロジェクトがhealthcare.govの改善でした。18Fの設立が発表されたのが2014年3月のことでした。この記事はその前日譚とも言えます。さらにその前日譚はティム・オライリーの最新著書の”WTF“で紹介されています。

    アメリカ政府がhealthcare.govの失敗を乗り越えて、デジタル公共サービスへ本格的に踏み切ったのはCode for AmericaのようなNPOと地方行政の取り組みも影響があったはず。日本にもCode for Japanがあるので同じことが起きるかもしれませんよ!

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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    *1:サービス側がユーザーが受けられるサービスを定義するのではなく、ユーザーが受けたいサービスを受けられる状態

  • エストニアの仮想住民と税金の仕組みを解説

    エストニアの仮想住民と税金の仕組みを解説

    原文:”How Do e-Residents Pay Taxes” by Evelyn Liivamägi, Head of the Tax Department at the Estonian Tax and Customs Board (ETCB), October, 2017

     現在、エストニアは国際租税競争力指数(International Tax Competitiveness Index)のトップに立っていて、起業家たちに完全オンラインで簡単な税金支払い方法を提供しています。

     しかし、これは現状に満足する理由にはなりません。

     エストニアの税金と関税についての委員会(Estonian Tax and Customs Board)は、国民、住民、その他の税金納付者のために変革を続けなければいけません。そして外国にいるエストニアの仮想住民(e-residents)の起業家コミュニティーに奉仕しなければいけません。

     e-Residency(外国人が簡単にオンラインでエストニアの仮想住民になる仕組み)のメリットは起業家に幅広いオンラインサービスの選択肢を提供していることです。このプログラムの成功は最高品質の公共電子サービスとオンラインビジネス環境を提供できるかどうかにかかっています。

     今後、さらに多くの国がe-Residencyのような仮想住民の仕組みを提供し、世界的に行政の仕組みが改善されることでしょう。しかし私たちはそれを待たずに先に進んでいきます。

     私はエストニア税務局長としてエストニアの仮想住民である皆様方(そしてエストニアで税金を払っているすべての人たち)のために、どのようにサービス改善のため投資をし続けているのか説明します。また、仮想住民の税金に関する仕組みについてより明確に説明したいと思います。これは仮想住民の中で最も頻繁に議論されている問題の1つです。

    仮想住民は課税対象ではありません

     エストニア仮想住民はこのプログラムから得られる機会を活用してエストニアに貢献しています。

     一部は財務的な貢献で税金として直接納められています。実際に仮想住民の所得税納税額はe-Residencyに対する税金投資金額を超えています。

     しかし、e-Residencyで登録した仮想住民は課税住民ではないことを強調したいと思います(市民権、エストニアやEUに物理的に居住する権利もありません)

     すべての仮想住民がエストニアに納税しているわけではありません。納税義務はe-Residencyが仮想住民を可能にしたこと(国際的なルールのもとに企業を設立できること)に基づいています。仮想住民だから課税義務が発生するわけではありません。

     また、e-Residencyは税金逃れをする仕組みでもありません。e-Residencyは世界中の起業家が信頼できる企業として成功する機会を提供します。幸いなこと実際そのように認識され運用されています。

    私たちが税金の仕組みで改善しようとしていること

     最近まで国際税務の複雑さに対処しなければならなかったのは世界各国に事務所や工場を持つ大企業だけでした。

     しかし、e-Residencyやその他のデジタル技術の進歩により、だれでも国をまたがるグローバル企業を作ることができます。たとえその従業員があなた一人だとしても。

     これは明らかに良いことですが国際課税の複雑さがだれにでも身近な問題となることでもあります。

     e-Residencyの恩恵を受けている設立された新しい企業はこのような複雑な納税義務を理解するための大企業のように大きな会計部門もリソースもありません。しかし、その必要もありません。

     私たちはすべての人にとってシンプルで公正であるべきだと信じています。そうすることにより起業家は書類作成ではなく情熱を傾けるべきことに集中することができます。

     幸いにもエストニアはすでに起業家の成長を支えるようにデザインされた納税の仕組みをもっています。例えば、エストニアで納税義務のある法人は利益分配後に定率で課税されます。そのため再投資をした金額を除いた利益にのみ課税義務が発生します。

     起業家にとって魅力的なのは税制だけではありません。税金を支払うこと自体も容易です。私たちはEstonian Tax and Customs Boardが提供するソリューションに大変な誇りを持っています。すべてオンラインで行うことができ、国民、住民や仮想住民に提供されている安全なデジタルIDによって完全に統合されているからです。オフィスがウレミステにある私たちの事務所の隣であろうと、地球の反対側にあるビーチカフェにあろうと、どこからでも利用することができます。

     しかし、現在のシステムは数年前にオフラインサービスのオンライン版としてデザインされました。政府の多くのレガシーシステムと同様に(当時としては当然ながら)役人のニーズを重視して設計されたものです。

     新技術は会計士、中小企業や大企業のようなユーザーを中心にデザインし、もっと革新的なシステムの構築を可能にします。たとえば私たちはより多くの言語を追加し、レスポンシブでモバイルフレンドリーなデザインを使用し、すべてのプロセスが可能な限り論理的でわかりやすくなるように心がけています。

     私たちの目的は快適なセルフサービスの納税環境をすべての納税者のために構築することです。またデータの収集と分析を改善し、起業家に貴重な経済情報をリアルタイムで提供できるようにします。

     新しいe-TaxおよびCustoms Boardポータルの開発は2020年末までに完了する予定です。そして、今年から私たちはすでに新しいサービスの段階的な導入を開始し、フィードバックを求めています。

     私たちは自国の税金の仕組みを改善するだけではありません。私たちの国は欧州連合理事会の議長を務めています。その中でデジタル経済の発展を考慮し、誰にとってもより中立的、公正かつ透明になるようにヨーロッパ全体の税制を洗練させる一助となるように努めています。

     私たちはまた国をまたがる税金を自動的に分けるような国際税制を模索する初期段階にあり、課税対象の住民でなくとも私たちの税務サービスを利用できるようになるのではないかと期待しています。これにより世界の起業家への手間がさらに軽減されると同時に各国が公正な税収入を得られることができます。私たちはこのアプローチのパイロットに関心のある他の国の税務当局と常に話したいと思っています。

     最後に、仮想住民の方々が実際に住む国によって異なる納税義務を簡単に理解できるような支援を含むe-Residencyプログラムも同時に開発しています。

     このように私たちはエストニアの税務サービスをできるだけ多くの仮想住民の方々に活用していただけるよう支援していきたいと考えていますが、皆さんの税金義務は国際税規則に基づいています。次にその概要を説明します。

    納税義務を理解する

     あなたとあなたの会社が一つの国に籍を置き、その国で価値を明確に生み出していれば、あなたの税務上の居住地は簡単です。

     しかし、特定の場所に依存しないデジタル遊牧民のような起業家である場合、国際納税義務を決定することは大変です。

     この問題は居住地に関わらず国境を越えてビジネスを行うすべての人に影響を及ぼします。e-Residencyは企業がどのように運営されているかをより透明にし、負担している税金を簡単に支払うことで、このようなグローバルな課題への解決策となる可能性があります。

    個人税

     最初に個人に対する税金について説明します。国際課税に関するオンラインでの議論されていますが、個人の税金と法人に対する税金について混同されていることが大き見受けられます。

     あなたの個人の税務居住地とあなたの会社の税務居住地は違うことがあります。税務居住地を決める基準が個人と法人では異なります。あなたの個人の状況とあなたの会社の状況も異なるでしょう。

     個人として納めている税金は個人が在籍する税務居住地での幅広いサービス(医療福祉や年金など)のために納められています。このようなサービスは私たちのようなデジタルな国家から提供される可能性もありますが、それはまだ遠い将来の話です。

     それぞれ国によって個人の税務居住地を決める方法がありますが、通常は1年のうち6ヶ月以上住んでいることが条件です。 エストニアでは12ヶ月以上連続して183日以上住んでいると税務居住者となります。税務居住者となる場合は居住者としてデジタルIDを持つことになるので、e-Residencyで仮想住民として登録する必要はないでしょう。

     デジタル遊牧民のような起業家はこの基準を満たすに十分の期間をどこか一つの国で過ごすことがないケースがあります。その場合は税務居住地は、通常その人の「母国」とみなされます。

     デジタル遊牧民は自らを特定の地域に縛られないと考えていますが、多くの人たちは実際には「母国」に籍を持つので、考慮しなければいけないことは多いにもかかわらず個人所得の税務居住地を決定することはそれほど難しいことではありません。

     税務上は「国にいない」のと「国に住んでいない」のは一般的に同じこととみなされます。たとえば休暇で海外に出かけても個人の税務居住地に影響を与えません。それがどれだけ長期間旅行に行く場合でも、特に帰国できる住所がある場合は、同じです。

     移動し続けることで特定の場所で税務居住者とならないことは技術的に可能ですが、それは思っているよりも達成するのが難しく、その労力に見合うものではありません。また、社会保障、信用格付、現在と将来の公共サービスを受ける権利など多くの利益をあきらめなければいけません。更に訪れた国すべてのルールを確認しなければいけません。

     まれにではありますが、二か国で税務居住者とみなされることもあります。しかし、個人も法人と同様に二重課税を回避する条約によって保護されています。

     企業が個人に賃金を支払うとき、個人に対する税金は税務上居住地の規則に沿って、その収入に対して納められます。会計士はこのプロセスがスムースに進むことをお手伝いします。e-Residencyのウェブサイトはビジネスサービスプロバイダのリストを掲載しており、仮想住民に特化した会計サービスを探すことができます。

    法人税

     法人税はその会社の税務居住地で納められます。

     国際税法は国際ルールに基づいていて、国際的に運営されている企業に一般的なアドバイスを提供することを難しくしています。その会社がどこで登記されていようと、創業者である起業家が個人的にどこに住んでいようと、税金がどの国に納められるべきかは一国で決められるものではありません。

     法人の納税居住地はその企業固有の状況に依存しているため、納税義務(税務居住地のみか恒常的な拠点を持つ他の地域を含むのかなど) 将来どの税務当局にも問題が発生しないように納税する必要があります。

     納税義務について疑問がある場合は、資格を持つ税務アドバイザーに相談すべきです。また、いつでも私たちにコンタクトしてください。

     まず第一にエストニアのe-Residencyを通じて設立された企業は、自動的にエストニアが税務居住地となります。 また課税所得の源泉があれば、法律に従って他の国でも納税義務が発生します。

     幸いにもエストニアはすでにすべてのEU加盟国とほとんどのOECD加盟国、仮想住民が急速に増えているウクライナやトルコを含む57カ国と二重課税の回避のための条約に署名しています。全リストはこちらから入手できます。

     個人の税務居住地と同様に法人の場合も居住地を決定するための基準が国によって異なりますしかし、一般的なルールとして、ほとんどの税制は価値が生まれた国で税金を支払うという原則に基づいています。 例えば恒久的施設(PE)という用語は国との経済的なつながりを決定し、税務上のしきい値として使われます。

     あなたの会社がある国で強い存在感がある場合、法人としての税務居住地は簡単に決めることができます。しかし、あなたの会社が複数の国にまたがって運営されている場合、あなたの会社が置かれている独特な状況を見ることができる資格のある税務アドバイザーから助けが必要になるでしょう。これは小さな会社や創業者一人の会社も影響を受けます。旅行と出張を同時にしたり、国境を越えて協力している可能性もあるためです。

     あなたの会社の状況(そして納税義務)は時間とともに変化する可能性があることも忘れないでください。

     e-Residencyのウェブサイトではビジネス・サービス・プロバイダーのリストを掲載しています。このリストは他の仮想住民から推薦されており、 起業家の約90%はこのようなサービスを利用しています。

     あなたのエストニアの会計士はあなたの税務居留地として異議申し立てをしそうな国の税務専門家とも話すようにアドバイスをするでしょう。長期的に2カ国で2人の会計士が必要になるわけではありません。しかし、一度訪問は賢明な投資である可能性があります。また、あなたはいつでも私たちのチームに話すことができますし、それは無料です。

     次に、実際に国際課税がどのように機能するかいくつかの例をあげて見てみましょう。

    • Jaakoはフィンランドのヘルシンキに住み、Venlaはエストニアのタリンに住んでいます。彼らは一緒にeコマースを設立。世界のどこからでも顧客に製品を販売したいと考えています。会社とVenlaの税務居住地はエストニアです。そしてJaakoはフィンランドが税務居住地で、エストニア企業の外国従業員として個人所得税をフィンランドで納めています。Jaakoは税務アドバイザーとフィンランドの税務署と相談して、エストニアにある彼が共同創始者の会社に法人として課税義務があるかどうかを確認しました。フィンランドのエストニアとの租税条約により二重課税のリスクはありませんでした。
    • Katerynaはウクライナのキエフに住んでいて、キエフで起業しました。彼女はPayPalビジネスアカウントを開設するためにe-Residencyで彼女のスタートアップを運営しています。それによりEU市場にアクセスし、ユーロで取引し、世界中の顧客とより簡単にビジネスを行うことができます。同社はウクライナですべての価値を生み出しているため、税金はウクライナに納められていました。しかし、Katerynaはビジネス機会がEU内にあること発見し、彼女はエストニアのスタートアップビザプログラムに応募。審査に通り彼女のスタートアップをタリンに移転し、自らもエストニアに移り住みました。そうすることによりKaterynaは現在の居住地であるエストニアで法人税と個人の所得税を納めることになります。1年後にKaterynaは彼女の最初の物理的なオフィスを開設し、最初の従業員を雇うことができるほどに会社を成長させることができました。人材プール、コスト、地元の知識など鑑みて将来の成長を考えるとキエフがよさそうです。そして、ウクライナに恒久的施設(PE)を持ち、再びウクライナで税金を納めることになりました。エストニアとウクライナの両方が彼女のスタートアップの成功に重要な貢献を果たしていますが、両国間の租税条約により二つの国から同時に課税されることはありません。
    • Steveは英国のマーケティングコンサルタントです。彼は色々な国を旅をしながら、彼自身が唯一の従業員である彼の会社で「デジタル遊牧民」として働いています。彼はe-Residencyを通じて彼の会社を設立しました。それにより、どこにでもオンラインで会社を運営することができる真の意味でのロケーションフリーな企業となります。また、英国で登記するより運営コストがやすくなりました。彼は有名なエストニアのスタートアップシーンである#estonianmafiaを含む世界中の他のフリーランサーとともに働いています。 スティーブの個人としての税務居住地はまだ英国にあり、彼はそこで彼の医療と年金に貢献し続けることができます。一方で彼の会社はエストニアで設立され、エストニアが税務居住地となります。他の国には税金の納め先に関する異議申し立てもありません。Steveは外国人従業員としての給料に対してイギリスで所得税を納め、彼の会社は配当金からエストニアの法人税を納めています。

    解説

    この記事エストニアの税金と関税についての委員会(Estonian Tax and Customs Board)のEvelyn Liivamägiさんが自らエストニアの仮想住民に関する税金の問題を解説した”How Do e-Residents Pay Taxes“の翻訳記事となります。

    ボク自身、シンガポールとオランダで法人を設立して事業をしていたので、外国での会社の登記や銀行口座の開設の大変さは身をもって理解しています。それがオンラインで全てできてしまう仮想住民の仕組みは単純に「スゲエ」と思います。

    仮想住民はビザや居住地の必要がなく、法人の登記や銀行口座の開設をオンラインで行うことができる仕組みです。例えば外国人が日本で株式会社をオンラインで作ってすぐにビジネスをオンラインではじめられるとしたら?エストニアはそれをすでにやってます。お金が関わる話なので当然ながら税金がどうなるかが気になりますよね。それを解説してくれる貴重な記事です。

    カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    免責事項:ボク自身は税金の専門家じゃないので、詳しくは専門家にちゃんと聞いてね!

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  • イギリス政府がUX改善のために行った大規模コンテンツ監査

    イギリス政府がUX改善のために行った大規模コンテンツ監査

    原文:”Transforming transport content: the journey so far” by John Turnbull, Government Digital Service (GDS), October 12, 2017

     この記事は英国政府の政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)がコンテンツ監査やタクソノミー(分類)によって運輸コンテンツをどのようにユーザー中心に再構成したかの事例を自ら解説した“Transforming transport content: the journey so far”の翻訳記事となります。

     前回紹介した大きな戦略も、こうした地道な実行によって支えられているんですね。有言実行とはまさにこのことですね。

     コンテンツ監査やタクソノミーづくりは地味な作業ですがUXでは非常に重要な基盤です。GOV.UKが大きな成果を出し続けているのにはこのような地味な作業の積み重ねがあるのですね。日本での大規模コンテンツ監査でもとても参考になると思います。

     どうぞ、お楽しみください!

    カタパルト式スープレックスなかむらかずや

     私たちはユーザーがGOV.UKで必要なコンテンツを簡単に見つけられるようにしたいと考えています。 私たちはそのために:

    • すべてのGOV.UKコンテンツを主題ごとのカテゴリにグループ分けする(仕分けグループ “タクソノミー” の作成)
    • タクソノミー(分類)されたコンテンツを改善する – どのようにうまく仕分けをしても、タイトルのつけ方が分かりづらかったり、重複していたり、間違ったフォーマットで作成されていなければ探すことが難しいからです

     私たちはサイトを教育、交通、訪英(ビザや移民)といった三つの大きな主題に分けました。 これらの「テーマ」はナビゲーションのトップレベルのカテゴリーというわけではありません。私たちが取り組みやすいようにサイトを小さなカタマリに分けただけです。

     私たちはすでに教育コンテンツを変革しました。そして今年の4月には輸送テーマに取り組み始めました。

    さあ旅に出よう

     このような取り組みは私たち政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)だけでできるものではありません。実際にGOV.UKでコンテンツを所有する省庁やその関連機関と緊密に連携する必要があります。

     今回の輸送テーマは英国運輸省(DfT)およびその関連機関と連携を意味します。

     英国運輸省はこのプロジェクトに熱心にかかわり、その関連機関も人と時間をプロジェクトに費やすと確信しました。私たちは英国運輸省のコンテンツとデジタルの責任者であるSioned Jamesと、デジタルにおける編集と出版のマネージャーであるGavin Dispainと今回のプロジェクトに対するアプローチについて合意しました。覚書に署名され、作業を開始しました。

    私たちの旅行計画

     私たちは今回の輸送コンテンツ変革プロジェクトをいくつかの段階に分けました。

    1. 輸送に関するコンテンツの在庫リストを作成する
    2. コンテンツ監査を行う(ニュースのようなさかのぼって変更できないコンテンツは除く)
    3. コンテンツを改善する(必要な場合)
    4. コンテンツを新しいタクソノミーに応じてタグ付け再公開する

     私たちは更にコンテンツを分類するタクソノミーを以下の四つのステップで作成しました。

    1. コンテンツを形成する用語集を作成
    2. それらの用語を大まかなタクソノミーに分類
    3. ユーザーリサーチで運輸関連情報のユーザーがどのように考えているか調べ(完了するためにどのような作業が必要か、彼らの仕事を説明するためにどのような言葉を使うのかなど)、その調査結果から得た学びをタクソノミー作成に反映する
    4. ユーザーにたいして作成したタクソノミーをテストして反復検証する

    旅のはじまり

     私たちは「発見」セッションからはじめました。GavinがGDSのオフィスで私たちと一緒に仕事をしてくれたことにより、私たちは以下のことを実行できました。

    • 輸送に関するコンテンツ在庫の確認
    • コンテンツ監査の範囲とするコンテンツタイプについて同意(主にガイダンス)
    • コンテンツ監視で浮上した疑問点のレビュー
    • コンテンツの一部を監査して、どれほど早く監査できるか確認する

     私たちはまずサブテーマ(今回は鉄道)を監査しました。監査は予想よりも早く、1週間以内に終了することができました。それにより航空コンテンツの監査も完了することができました。

     次に「ユーザー識別ワークショップ」を開催しました。運輸省関連機関も参加したためにキックオフミーティングの二倍の規模となりました。私たちからはコンテンツデザイナーとそのほか専門家が参加しました。

     プロジェクトの概要をのプレゼン後、輸送分野におけるユーザーのグループ分けを行いました。これはユーザーリサーチを計画するのに必要です。

     運輸省とその関連機関がコンテンツの監査を開始する準備が整いました。私たちは一日トレーニングのシリーズからコンテンツデザイナーに参加してもらいました。

     監査が開始されGDSは進捗状況と監査のスポットチェックで各関連機関のアプローチに一貫性が保たれていることを確認しました。私たちは内部で「コンテンツクリニック」を実施して、関連機関にとって難しい課題に関して議論やアドバイスをしました。

    タクソノミーがほしい

     監査と並行して運輸関連コンテンツのタクソノミーの作成作業をはじめました。

     私たちは何千もの輸送関連のコンテンツをすべてを見直して、それを記述するための用語を抽出するようなことはしたくありませんでした。そのようなやり方はあまりに多くの時間を費やします(そして、私たちは正気を失うでしょう)。

     そのような方法にではなく、私たちの開発者がさまざまな運輸関連の主題に含まれる950項目の輸送コンテンツリストを作成する方法を見つけてくれ、類似したコンテンツアイテムの重複を最小限に抑えることができました。これにより、コンテンツをすべて読むことなく納得できる包括的な運輸コンテンツを作成する際に必要な用語リストを生成することができました。

     その結果「運転免許」「バス規制」「海事訓練」など650のユニークな用語がわかりました。

     次に生成された用語をグループ化しました。それぞれの用語をカードに印刷し、それらを大きなテーブルに置き、類似した用語をグループにまとめました。結果をスプレッドシートに転記し、非常にラフでフラットなタクソノミーのドラフトを作りました。このタクソノミーのドラフトは3か月の間に実際のユーザーに対してテストします。

     また、「ユーザー識別ワークショップ」を通じて運輸省が抽出したユーザーグループの一部(ドライビングインストラクター、MOTテスター、パイロットなど)とのインタビューを行います。ユーザーのニーズ、よく使う言葉、どんな作業を行うかを理解する必要があります

    私たちは現時点でどこまでこれたのか

     今年4月から6月の目標は2つの輸送サブテーマを監査することでした。運輸省とその関連機関のコンテンツデザイナーの莫大な努力のおかげで、10のすべてのサブテーマの完了に近づきました。実際に7月の終わりには7,396のアイテムを含むすべての監査を完了することができました。

     私たちのもう1つの目標は、ユーザーテストのためのタクソノミーのドラフトを作成し、ユーザー調査でユーザーのニーズを理解することでした。そして、その目的地に到着することができました。タクソノミーをユーザーテストで磨き上げ運輸省と関連機関はこれからコンテンツのタグ付けを開始します。

    これからの旅程

     監査が完了し、これから更にハードな仕事が待ち受けています。監査期間に特定されたコンテンツの改善をします。運輸省と関連機関はこの作業を段階的に進めて、コンテンツを見つけ出すために最も重要なもの(タイトル、サマリー、正しいコンテンツタイプ)から改善をしていきます。

    次のステップ

     運輸省と関連機関はこの変革テーマをやり遂げました。また、英国のビザ入国管理局(UK Visas and Immigration )と協力して「訪英」テーマについても大きな進歩を遂げました。

     私たちは大規模なコンテンツ改善やタクソノミーの作成について多くのことを学びました。10月から12月にかけて、ここで得られた学習を活用して新しいプロダクトに取り組みます:官公庁や関連機関が自分たちで同じ作業ができるように標準化されたツール、ガイダンス、トレーニングを開発します。どうぞお楽しみに!

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

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  • エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    原文:“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”

     エストニアでは人工知能(AI)に関するパブリックな公開議論がはじまっています。

     その背景として昨年11月に召集されたクルマの自動運転のプロジェクトチームがあります。プロジェクトチームの主な目的の1つは自動運転のクルマが路上で走行した時の法的枠組みを定義することでした。

     召集されたチームの専門家たちは道路交通法だけを取り扱うのは不適切であると認識しています。なぜなら自動運転で使われる人工知能(AI)の問題ははるかに広く、取り扱うはべき範囲は道路交通法だけにとどまらないからです。クルマの自動運転はAIの問題を社会に問いかけるのにちょうどいいテーマです

     AIはとても複雑で幅広い問題提起をしています。例えば、証券取引所で取引をする金融ボット、食料品を自動的に買うスマートな冷蔵庫、クルマの自動運転やバケーションの飛行機チケットをiPhoneのSiriに買ってもらうなどです。

     この規制の主な目的はAIに関わる責任の所在をユーザーにやさしい形で定義することです。そうすれば一般的な市民は、例えば事故が起きた場合でも、正確に責任の所在を理解することができるようになります。

     「責任の所在」は単に「この事故は誰が悪いのか」ということより複雑な問題です。多くの場合、AIは人にとってその意思決定プロセスが直感的に理解できる方法で構築されています。そのアルゴリズムの開発者でさえ開発したアルゴリズムが特定のポイントでその特定の決定をした理由がわからないので「この事故は誰が悪いのか」と法的な観点から言いにくいのです。だから、このタイプのブラックボックスアルゴリズムは法的観点からはかなり複雑ですし、このように広くオープンに責任の定義について議論をすることはとても大事なことです。なぜなら、このようなアルゴリズムは日々の生活にいろんな角度から入り込んでくるからです。どの種類のコンテンツを表示するかを選択するFacebookアルゴリズムから、より使いやすい方法でサービスを使用できるようにするさまざまなスマートフォンデバイスまでです。しかし、アルゴリズムには一定の偏り(バイアス)があり、彼らはあなたから収集されたデータに基づき様々な決定をします。偏りが存在するAIを人々が理解できる方法で法律を書くことが重要です。

    エストニアの公共部門におけるAIソリューションの実装に関する現在の議論の状態について教えてください

     エストニアにおいて私たちはマシンラーニングとディープラーニングについて詳しく研究しています。私たちはAI技術によっていくつかのシステムをより効率的にすると認識しています。例えば小さなケースですと警察の事務業務などです。他にも多くの法的業務も自動化することができるでしょう。裁判所で最も簡単な判決は自動的に行うことができるようになるかもしれません。しかしまだまだゆっくりとアイデアを孵化させている状態で、私たちはまだ実際にそのようなシステムを構築していませんが、とても大きな可能性があると考えています。エストニアでの電子政府の経験が示しているように、効率的なシステムを安価に構築する大きな可能性があります。

     AIはeガバナンスの次のステップであり、私たちはそれを利用できる可能性を調査していますが、限界はありません。エストニアはすでに積極的なサービスに取り組んでいます。つまり、市民が政府とやりとりなくサービスを受けることができます。これらのアルゴリズムが役立つ分野はたくさんあり、eガバナンスに新しい道を示しています。

    AIが実際に市民の生活を向上させることができる3つの可能な例を教えてください

     市民の日々の生活のために私たちが検討している枠組みは法律にたずさわる人たちがロボットに対応できるようにすることです。例えばあなたはiPhoneのSiriにあなたのためにサービスを売買するよう委任することができます。また、スマート冷蔵庫に食料品を買うことを委任することができます。クルマの自動運転では、あなたが働いている間に空いているクルマを買い物に送ったり、Uberのようなサービスに活用したりできます。このように多くの可能性があるのですが、エストニアは法的観点からパブリックな公開討論を開始した最初の国であることを理解することも重要です。私たちは実験を通じてこのフレームワークが実際にどのように機能するかを検証し、AIの合法化に関する重要なコンテンツを提供することでグローバルな議論に貢献をしようとしています。

     問題は差し迫っていると思います。多くの人は気がついていないかもしれませんが、日常生活の中にこのようなテクノロジーはすでに存在しています。単に厳しい規制を課すしてAIとの境界を作るだけではなく、AIを規制するためのケーススタディシナリオを持つこと。それによって市民や企業が恩恵を受けることができる多くの新しい可能性が開かれていると思います。

     たとえばこのAIとe-Residency(外国人が簡単にオンラインでエストニアの仮想住民になる仕組み)のアイデアを組み合わせると可能性は無限に広がります。エストニアの法的枠組みで動く金融ボットであれば、グローバルに金融取引を行いつつ、投資家がこのエストニアの法の元で法律的に信用することができます。

    エストニアはAIを規定するような「ロボット法」を検討していますか?

     私たちは三つのシナリオを提示できます:

    • 最も急進的なシナリオはAIに対して法的人格を与えることです。現在、法的人格は個人と法人という2つです。私たちは三つめの法的人格をAIに与える提案していますが、これは楽観的すぎるかもしれません。
    • もう一つの提案はロボットに対して別の条例で範囲やルールを規定することです。
    • 私たちの三つめの提案は「意志」の法的意味合いを根本的に変えて、同時にロボットに関して別の条項を作ることです。エストニアの法律において「意思」は何かを答えるのは非常に単純です。「私は水を飲みたい」とか。AIの場合、この単刀直入な疑問は幅広いです。例えば、私が冷蔵庫に何か食べ物を買うことを委任したとしましょう。私はミルク、おむつ、ドッグフード、チーズなど具体的な定義をしていません。私が欲しいと思っている製品はアルゴリズムによって決められます。このような場合「意思とは何か」と「私は何を望んでいるか」の差はとても広く、「意思」は非常に抽象的です。

     私たちは何が正しいのかまだわかっていませんが、私たちは公開議論をはじめて社会全体が参加していくことになるでしょう。全ての人が認識する必要があります。なぜならこの法的フレームワークの変化は非常に急進的で大きなものとなり、全ての市民の日々の生活に影響を与えるからです。

     技術的観点からの責任問題は簡単です。製造者の責任であろうと人間の間違いであろうと、誰の責任か決めることは可能だし、保険制度を確立したり、国家責任をシステム内に確立することも可能です。このような「決めの問題」はいま行われている公開議論で形作られていくでしょう。しかし責任問題の最も難しい部分は感情面です。クルマの自動運転を例としましょう。もし私の子供が自動運転のクルマにひかれて死んだとしましょう。私は誰に責任があるのか、誰が刑務所に行くのかを知りたい。社会が議論しなければならない最も困難なことは、このような場合には、ときには誰も責任がないということです。これを認めなければなりません。最近ホットな話題であれば列車の事故です。誰かが線路上を歩いている場合、列車は速度と慣性を持っているので止めることができません。自動運転のクルマの場合、やはりスピードと慣性があり、森林から速いスピードで走っているトナカイと衝突事故となる可能性があります。私たちは感情的にこの議論をやり通し、誰もがこのような場合に起こることを理解する必要があります。

    私たちは将来、すでにデータの中に存在する偏り(バイアス)にどのように対処することができますか?

     この法的提案の範囲を理解することは重要です。私たちは人を越えるようなスーパー知能の考え方に取り組んでいません。私たちはより範囲を絞った一般的なAIに取り組んでいます。これらのAI問題を取り巻く現在の問題は、アルゴリズムにはいくつかの偏り(バイアス)が組み込まれていることです。 ドナルド・トランプ大統領が選出されたアメリカ大統領選やイギリスEU離脱のBrexitのキャンペーンでは、Facebookアルゴリズムはさまざまなイデオロギーのバブルを作り出しました。これは問題です。これは現在のAIの最大の問題です。どのようにバイアスを減らすのかは非常に難しい課題です。私はこれが完全に可能ではないと思います。AIを作る人たちの法的枠組みや文化の背景には偏り(バイアス)があるのです。しかし、私たちのゴールはこの偏り(バイアス)を可能な限り最小化し、包括的な成長と繁栄を最大化することです。


    e-Talks | A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence

    解説

    この記事はエストニア政府のAdvisor of Digital AffairのMarten Kaevats氏のAIに関してのインタビュー記事“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”の翻訳です。

    エストニアはeガバメントの先進的な取り組みで知られています。1997年のeガバナンスを皮切りにe-Taxi-Votinge-Regidencyなど矢継ぎ早にデジタルサービスを展開していきました。このe-Regidencyがすごいのは外国人がオンラインで簡単にオンライン上の仮想エストニア国民になれることです。オンラインだけで会社を作って銀行口座を開設することができます。2025年までにこの仮想住民を2,000万人にするのがエストニア政府の目標だそうです。

    このインタビューでも出てくるようにe-Regidencyによる仮想エストニア住民とAIの組み合わせはとてもパワフルで大きな可能性がある気がします。「国民」とは何だろう、さらに「意思」って何だろうという非常に深みのある示唆に満ちていますね。

    この記事の元になったであろうYouTubeのインタビューは若干異なる部分があります。この翻訳では記事にはないけどYouTubeのインタビューに含まれていることを追加しています。その方がわかりやすい部分があったので。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • 世界で最も進んでいるイギリス政府のデジタル変革全容:2017年度版 “Government Transformation Strategy”

    世界で最も進んでいるイギリス政府のデジタル変革全容:2017年度版 “Government Transformation Strategy”

    原文:Government Transformation Strategy

    The Government Transformation Strategy 2017 to 2020

    大臣による序文

     治めることは奉仕することです。私たちの目的は国家の安全保障、安全と繁栄を維持し、私たちを選挙で選んでくださった国民の皆様に約束したものを提供することです。

     しかし、国民が国家の都合で生活をさせられていると感じるケースがあることも事実です。政府は国民に奉仕するのではなく、君主として国民を統治していると。奉仕するように投票してくださった人々ではなく、統治する人々のために国が働くという見方です。このように選挙時に約束した誓約の実行能力に対する疑念からか、毎日人々に感じているフラストレーション(電話で話をするために申込用紙に記入しなければいけないなど)からか、政府は人々が望むことをますますできていないように見られることもあります。

     このような幻滅は見えやすいものです。ここイギリスやその他の民主的国家のどこかで、人々は投票箱を通じてもっと対応できる政府を期待し求めています。それは時の政府に対する国民からの呼びかけです。 現代民主主義の繁栄を望むのであれば、私たちはその要求に応える義務があります。

     これは簡単な作業ではありません。 政府はこれまで以上に複雑で広範囲に及んでいます。現代政府のように無数のサービスと機能を調整し、数百万の人たちにサービスを提供している企業はこの地球上に存在しません、たとえ世界最大の多国籍企業であろうと。 同様に、私たちの義務は、能力、年齢、性別、意見、または彼らが住むことを選んだ場所にかかわらず、すべての人に奉仕することです。これらの理由や、また官僚組織自体が独占的なサービス提供者であるため、政府はビジネスのやり方を変えるため可能性があるデジタル技術の活用に遅れてきました。つまり大きくて、遅いという二つの短所を持ち合わせています。人々が政府が公共サービスを効果的かつ迅速に提供することを正当に期待している世界では、それはまだ難しい課題です。

     変わることが至上命題です。しかもスピードとスケールをもって。これは変革です。それは本質的には仕事、文化、気質における変革、すなわちデジタル技術によって可能になった変革です。デジタル技術自体は変わりません。デジタル技術は変化を革新的にし変革とします。

     そのデジタル変革をどのように実行していくのか、それがこのドキュメントの主題です。 ここではすでに行っているデジタル変革の進捗状況を説明しています。 それは国民と国家との間の小さなやりとりを簡素化することから、世界規模の大きな変革プログラムまで含まれます。しかし、これははじまりにすぎません。この戦略は政府が行おうとしているの幅広いデジタル変革の方向性を示しています。つまり、働く仕組み、組織運営方法、国民に対して奉仕する仕組みです。これは、すでにデジタル変革をどこの国よりも多く実行して実績を出しているイギリスによる、デジタル変革を実行する他のどの国よりも野心的なプログラムです。

     私はこの国の優れたイギリス官公庁職員とこれまで以上に優れた政府サービスを提供するという課題に一貫して対応する彼らの姿勢を賞賛します。彼らは日々の仕事の中で感動的で価値ある公共サービスの精神が生きていること、そして現代のイギリスで力強く生きていることを証明しています。しかし、公共サービスにおけるデジタル変革のための野心を達成するためには、彼らイギリス官公庁職員たちによる意識と日々の意思と実行力が必要となります。ビジネスとは違って、私たちは競争によって変化を余儀なくされることはありません。変化を行うのはそれは正しいことだからです。純粋に私たちが奉仕する国民、選んでくださった国民にとっての公共サービスに変わるためです。もし私たちのこのデジタル変革が成功すれば、私たちは民主主義が国民にとって本来あるべき姿に回復する大きな貢献を果たすことになるでしょう。

    The Rt Hon Ben Gummer MP

    Minister for the Cabinet Office and Paymaster General(内閣府担当大臣/主計長官)

    イントロダクション

     政府はデジタルをより自在に活用してサービスを提供することにより、国民と国家の関係を変革することができます。2012年のGovernment Digital Strategyを発表して以来、大規模な処理を要求する公共サービスの変革”digital by default(デジタルを基本とする)”を通じて、デジタル変革が実行可能であることを証明してきました。現在、新しいデジタル関連職が各官公庁全体で確立されています。政府における各官公庁はプラットフォーム、コンポーネント、コード、パターン、ベストプラクティスを共有することにさらに長けてきました。これは非常に強力な基盤です。

     英国政府は世界で最もデジタル的に進んだ政府の1つです。私たちは2016年の国連におけるE-GovernmentとE-Participationの調査結果でトップにたちました。世界的に有名で数々の受賞歴のあるGOV.UKを開発し、オープンにしました。そしてそれは世界各国の政府によって再利用され活用されました。政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)は、政府のデジタル化をリードし国際的にコピーされているモデルです。

     多くの官公庁が公共サービスの提供方法を変革しはじめています。これにより、かなりの数のサービスにおいてユーザー体験が向上しています。しかし、多くの場合、官公庁や政府機関の実運営方法自体は変わっていません。これは人との直接的な対面サービスを持たない組織は依然としてデジタル変革の焦点から外れ、その利益を享受していないことを意味しています。

     次のデジタルを活用した変革は三つの大きなコンポーネントから成り立っていて、この三つがデジタル変革の範囲を形づくっています。

    • 国民との対面サービスの全面的な変革 – 国民、企業、公共サービスを提供する職員ユーザーのユーザー体験の向上を継続して行う
    • 完全な部門変革 – 柔軟な方法で政策目標を実現するために政府機関の組織に影響を与え、公共サービスを提供する全てのチャネルを改善し、効率性を高める
    • 政府の内部からの変革。これは直接的に政策成果や国民との対面サービスを変えることはないが、政府がより良いコラボレーションを行い、デジタル変革を効果的に実行するためには不可欠となる

     各官公庁はますます従来の組織の壁を越えて協力する必要があります。 欧州連合(EU)を離脱する国民投票は、変化する環境に敏感に適応できる必要性を高めています。政府の異なる組織を通じて継ぎ目なく実行される公共サービスを構築するためには、次のステップに進む必要があります。私たちはデジタルを更に強化します。ユーザーニーズを満たし、適切な安全基準を満たしている場合、政府間でデータを共有しやすくし、安全に管理されるようにします。

     私たちのデジタル変革へのコミットメントは、デジタル時代のリスクを考慮して実行する必要があります。 National Cyber Security Strategyでも記載されているように、サイバー攻撃はより頻繁に、洗練されてきており、サイバー攻撃の成功はより深刻な被害となります。したがって、私たちは犯罪行為を抑止し、個人のプライバシーへのコミットメントを維持する方法で前進する必要があります。

    ビジョンと目的

    ビジョン

     私たちは国民と国家との関係を変革します。国民により多くの力を与え、国民のニーズにより素早く対応します。

     インターネット時代のツール、技術やアプローチはこれまで以上に政府を助ける力となり機会を創出します。

    • 国民が必要とするものをよりよく理解する
    • より迅速かつ低コストでサービスを組み立てる
    • データと根拠をに基づいて、継続的にサービスを改善する

     私たちは公共サービスを変革し、また政府自体をデジタル組織にすることにより:

    • 国民、企業、その他のユーザーは公共サービスを通じてより一貫性のある体験を得られることができる − ユーザーは一般的なサービスを日々利用しており、公共サービスへ満足する期待値はより高まっている
    • 選挙で選ばれた政府は更に直近のインパクトを与え、情報とサービスをより迅速に提供することにより政策ゴールをユーザーの期待に合うように提供できる – そして政策が変更した場合も速やかに変えることができる
    • 政府が構築、変更、運営するコストと時間が削減され、公的資金が節約され、政府は社会経済的および政治的変化に迅速に対応できるようになる
    • 国民に個人情報が安全であり、期待されるように活用されるという自信を国民に与えると同時に、個人情報を含まない公共データも適切な場合は再利用できるように公開し透明性を更に高めることにより国民と国家の信頼を高める
    • 根源的に安全なシステム”secure by default”を基本としてシステムを作ることによりデジタル変革のあらゆるステージを通じてサイバー犯罪から守ることを確実にする

    目的

     国民と国家の関係を変革するため2020年までの間に政府は:

    • 世界トップレベルのデジタルサービスを引き続き提供し、モダンで効率的な方法でフロントエンドからバックオフィスまで政府の運営方法を変える
    • 組織内の職員からリーダーまで適切な技術と文化を醸造し、国民が得られる結果に焦点を当てて政策とその実行をまとめ、サービスを反復して実証ことにより学習が可能な環境にする
    • 公共に奉仕する人間としてより良い仕事より良い職場のツールやプロセスを構築する – 調達、管理、IT、ビジネスケース、人事プロセス、官公庁全体にわたる共通技術、官公庁職員のためのより良いデジタルツール
    • データをより有効に活用する – 透明性だけでなく、公共と民間を通じて変革を可能にするために
    • 共有パターン、コンポーネント、確立されたオープンスタンダードを含む共有プラットフォーム、再利用可能なビジネス機能を構築、運用、反復、組み込むことにより変革を加速する

     この戦略は上記の5つの目的のために構成されています。 それぞれの目的について、私たちは2020年までに何を達成するかを明確にしています。

     私たちは次のことに基づいて実行します:

    • 私たちはデザイン原則デジタルサービス標準技術の行為準則に基づき引き続きユーザーのニーズからはじめる
    • ユーザーは公共サービスを通じて、政府の決定に影響を受けず、日々の優先事項を提供する一貫した経験を必要とする
    • 官公庁職員、仲介者および企業もユーザーであり、成功するためには、彼らのニーズも理解しなければならない
    • 全ては – 特に機密情報または個人情報 – 適切なレベルのセキュリティー基準に基づきデザインされ、管理される
    • 各官公庁は調達方法にかかわらずリスクに対する責任をもつ
    • 私たちはセキュリティのために設計し、適切なサイバーとプライバシーの保護手段をデジタル変革に組み込みます

    ビジネス変革

     私たちはここ数年で大幅な進歩を遂げてきましたが、依然として改善が必要な既存サービスはまだまだたくさんあります。「あまりにも素晴らしいオンラインサービスだからみんなそれを好んで使う」という2012年度のGovernment Digital Strategyの野心的な目標を達成するにはまだまだやることがあります。

     これまで私たちが学んだことに基づいて、サービス変革の範囲を広げなければいけないという各官公庁間の共通認識があります。その必要性とは:

    • 政策の策定とサービスデザインを緊密にする
    • ユーザーに提供するサービスとそれを提供する作業の双方をカバーする
    • ユーザーの定義を広げる – 例えば政府が提供るAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)を利用する第三者サービスを通じて一部のユーザーが政府とやりとりする場合など
    • 政府はさまざまなチャネル(オンライン、電話、対面など)を通じてサービスを提供していることを認識する
    • 国民と対面するオンラインサービスを持たない公共部門もカバーする
    • 政府がコンテンツとサービスを提供し、組織の壁を越えてプロジェクトを実行できるようにする
    • 柔軟に対応する

    2020年までに何をするか:

    政府は本議会のために以下を優先分野としている:

    • 統合されたエンドツーエンドサービスのデザインと提供
    • 主要な変革プログラムを提供
    • 変革への全政府的アプローチを確立し、官公庁全体のより広範な変革のための基礎を構築する

    実現するために:

    • 各官公庁と政府機関はデジタルサービス標準に基づいたデジタルサービスを構築することで公共サービスのユーザー体験を大幅に継続的に向上させていく
    • 各官公庁は政府主要プロジェクトポートフォリオ – Government Major Projects Portfolio(GMPP)- および2015年の支出レビューにおいてコミットに基づき変革プログラムを完了し、すべての人がアクセスできるマルチチャネル・サービスを提供する
    • 各官公庁はそれぞれに変革のための実験アプローチを探し、何が効果的で何が効果がないかを学ぶ
    • 私たちは共通言語、ツール、テクニックを構築し、官公庁をまたがる大きな変革へのアプローチ方法や民間部門からの学びなど知識と経験を共有するために各省庁をまたがる仕組みを確立する
    • 私たちは各省庁をまたがり変革を実現する最良の方法を提供するフレームワークを構築する
    • 政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)は古い技術を置き換える戦略的アプローチを支援するために、技術の行為準則およびその他の適用可能なスタンダードをサポートする指針を更新する

    人材、技術、文化を育てる

     2012年のGovernment Transformation Strategy以降、より多くのデジタル、データ、技術の専門家が政府全体で採用され、政府の技術能力が大幅に向上しています。現在の課題は競争の激しい市場でこれらのデジタル技術の専門家を継続的に惹きつけ、採用し、留まってもらうことです。私たちは次のように文化を発展させたいと考えています:

    • 政府全体にデジタル技術を組み込む
    • デジタル専門家が政府を理解できるようにする
    • 官公庁やそのほかの職員がデジタルを理解できるようにする
    • アジャイルとプログラム管理におけるリーダーのスキルを強化する
    • アジャイルのアプローチを活用して短期間で反復し、政策開発とサービス提供を並行できる優れた方法を確立する

    2020年までに何をするか:

     私たちの野心は世界で最も多くの熟練したデジタルスキルを有する官公庁職員が集まり、素晴らしい公共サービス(A Brilliant Civil Service)となるための公共サービスビジョン(Civil Service vision)を実現することです。

    実現するために:

    • 各省庁がデジタル、データ、テクノロジーを最適に整理できる原則を確立する
    • 政府のデジタル、データ、テクノロジー(DDaT)職を増やし、その職種の一貫したキャリアパスと報酬モデルを確立する
    • デジタルアカデミー(Digital Academy)を通じてDDaTプロフェッショナルにとって可能な限り最高の学習と開発の機会を創造する
    • データサイエンスキャンパス(Data Science Campus)データサイエンスアクセラレータプログラム(Data Science Accelerator training programme)を通じて政府のデータサイエンス能力を高める
    • イギリス政府をデジタル、データ、技術の多様な人材を惹きつけるリーダーにする
    • 人事部門であるCivil Service HRおよび各官公庁と協力して、デジタルツールとテクニックが他の職種にも組み入れられるようにする
    • デジタル専門家ではない職員にデジタルを活用した新しい働き方の可能性を理解する支援をする
    • 各省庁向けのトレーニング機関であるCivil Service Learningと協力して、現在および将来のリーダーに適切なトレーニングを実施、デジタルプロジェクトを効果的に管理し、アジャイルなやり方で働き、デジタル時代の組織を管理する経験を提供する
    • ユーザーリサーチに基づく政策策定とサービスデザインコミュニティとの協力した反復検証を可能にする

    官公庁職員向けのより良いツール、プロセス、管理を作る

     デジタル政府はユーザーに優れた公共サービスを提供するだけではありません。適切なデジタルツール、官公庁内のIT技術、管理およびプロセスによって世界トップレベルの公共サービスのための適切な環境を作り出します。今日では、政府組織全体で以下のような幅広い多様性があります:

    • 官公庁職員によって日々使用されるテクノロジー
    • プログラムが管理されてる方法
    • 内部プロセスとコントロールが迅速な政策策定を支援するかどうか
    • 契約業務(購買と調達の両方)
    • 保証(品質管理、サービス保証、金銭的価値を含む)

    2020年までに何をするか:

     私たちは以下によって官公庁職員の力が発揮できる環境を整備します:

    • 職員が働く政府の建物には共通で相互運用可能な技術があり、文化としてはオープンでデジタルで実現可能な政策策定とサービス提供ができるようにする
    • 官公庁職員が仕事をする場所に依存しない正しいツールを提供する
    • 官公庁職員が使うデジタルサービスのケースを政府全体を見渡し標準的な政府機能のための共通するデジタルツールなど探ることにより調査する

     私たちは政府のすべての部門が、部門をまたがるサービスを含む、迅速なサービスを管理、発見、効果的に運用ができるようにします。

     デジタルマーケットプレイスのアプローチをベースに、私たちはユーザー中心、デザイン主導、データ駆動型のオープンなアプローチを2020年までに政府全体の調達と契約に組み入れます。

    さらなるデータ活用

     データはより効率的で効果的な政府および公共サービスを可能にし、国民のニーズに応えるための重要なリソースです。データはそれ以外全てを支える基盤です。

     私たちは国民からの信頼を獲得し、さらにそれを維持し、適切なガバナンスの枠組みの中で、個人的かつ機密性の高いデータが安全かつ確実に倫理的に扱われることを保証する必要があります。

     政府のデータは収集した組織内でのみ保持され、使用されることが多く、古いレガシーシステムは情報を共有することを困難にします。政府が保有するデータセットには数多くの重複や矛盾があります。私たちは国民が安心できるやり方で政府機関をまたがったデータ共有を改善する必要があります。

    2020年までに何をするか:

    本議会では、以下の優先事項に焦点を当てます。

    • 公共サービス(特に組織の壁を越えるサービス)のため、イネーブラーとしてのデータ活用を改善する
    • 適切な場合には政府データをオープンにし、APIを通じて政府サービスを組織内外に提供し続ける
    • デジタル経済法案(Data Economy Bill)が議会で可決されれば、そのデータ共有条項を通じ、政府のすべてにおけるデータ利用への障壁を取り除く
    • 新しく政府のデータ管理責任者(Chief Data Officer)を任命し、データ活用をリードする
    • 新たにデータ諮問委員会(Data Advisory Board)を設置し、組織の壁を越えるデータ活用のために数多くのデータ活用の事例や加速できる分野を見ることにより協力体制を支援する
    • 意思決定を改善するためのデータ活用の推進。データ分析者やそれ以外の職種を含めデータサイエンスと分析の能力を政府機関をまたがり構築拡大する
    • 公共部門の労働者が – 安全かつ適切にデータを管理し使用し、公共部門で働く人たちがデータを共有する際に必要な倫理を理解する
    • 登録者(政府全体で取得する正式なリスト)の国家的データ基盤を構築し、適切に保存する
    • 政府内外のユーザーのためのデータ検索ツールの改善する
    • 政府の主要なデータリポジトリを格納および管理する方法を改善する

    共通プラットフォーム、コンポーネント、再利用可能なビジネス機能の構築

     2010年以来、私たちはより根本的にデジタル政府に移行するための強力な第一歩を踏み出しました。私たちはコード、パターン、プラットフォーム、コンポーネントを共有します。私たちは政府全体に適応できる技術的、サービスデザイン上の問題解決に役立つベストプラクティスを共有します。 政府全体の共通プラットフォームと共通サービスが目指すべき未来です。

     私たちはビジネス機能(ビジネスの結果を出すために必要なテクノロジー、プロセスおよび人材の組み合わせ)、共通コンポーネントをプラットフォーム上に組み立てます。

     GOV.UKは政府の単一ドメインであり、オンライン取引が開始される場所です。私たちは部門をまたがるサービス(または地方行政やアウトソースを含む可能性のある第三者によって提供されるサービス)のためのGOV.UKのより良い利用方法を確立します。

    2020年までに何をするか:

     素早く、安価で簡単にデジタルサービスを構築し、すべての政府サービスのユーザーに一貫したユーザー体験を提供するために、再利用可能な共有コンポーネントとプラットフォームを構築します。

     私たちがすでに実行したことを踏まえ、2020年までの政府の優先事項は次のとおりです:

    • 大規模な単一サプライヤと複数年のIT契約を終了
    • 新たに共有コンポーネントとプラットフォームを構築、また、すでに構築完了のものを拡張してより多くのサービスを乗せる
    • 公共部門の再利用を容易にするために、コンポーネント、プラットフォーム、および機能の標準と実装ガイドラインの開発と公開
    • コンポーネント、プラットフォームおよび機能の再利用への障壁を取り除き、中央政府を超えた再利用の検討
    • 政府デジタルサービス(Government Digital Service、GDS)および各官公庁がすでにシングルドメインのGOV.UK上に構築したサービスとコンポーネントを運営の高い信頼性、セキュリティ、パフォーマンスの標準をさらに改善してユーザーのニーズを満たし続ける
    • GOV.UK Verify(GOV.UKの認証システム)をより有効に活用し、2020年までに到達する2,500万人のユーザーに向けて企業や仲介業者のための認証システムのオプションを検討する
    • 政府内外の利用可能なAPIの数を増やすことで「卸売り」を行う(会計士がクライアントの許可を得て自動的に納税申告書を提出できるようにするなど)
    • 私たちが構築したものを海外にも共有、海外でのベストプラクティスを学び自らのサービスをさらに改善する
    • 2020年までに政府のレガシーコンテンツと老朽化したパブリッシュ慣行を全面的にオーバーホールし、公共サービスをクリアかつ管理の行き届いた探しやすいものにする

    2020年以降のビジョン

     現在の主要な変革プロジェクトの大半は2021年までに完了する予定です。

     しかし変革は継続的なプロセスです。これらの主要なプログラムを提供する一方で、2020年以降の計画を立てる必要があります。変化に適応し続けることで、進化し続けるテクノロジーに対応することができます。そして、政府を変革する勢いを維持できるようになります。

     政府の柔軟性を高めるため、2020年以降のデジタル変革のための明確な計画を立てます。デジタル時代に適合させるために政府がさらに必要とする変革を理解するために必要な調査と準備作業を行います。それは以下を含みます:

    • 将来どのように政府の構造が変わる必要があるか
    • 政策はどのように作られるか(例えばプロトタイプを作成し、証拠とフィードバックに基づいて素早く反復するなど)
    • 私たちのビジョンを実現するために必要なその他の変更

     これらのことを達成すれば、私たちは政府の形を変えることとなります。私たちは国民を第一におき、モダンで効率的な方法で国民のニーズを満たします。国のニーズを満たすために迅速に適応し変化する政府です。

    解説

    この記事は英国政府のデジタル変革の基本方針を説明しているGovernment Transformation Strategyの現時点での最新版の翻訳です。アジャイル、サービスデザイン、デザイン思考など文脈にモダンなアプローチを感じることができる素晴らしい戦略です。

    イギリス政府は2012年にはGOV.UKを立ち上げて10省庁1700サイトの41000ページをひとつのウェブサイトに統合し、さらにGitHubにソースコードを公開しました。海外の多くの政府機関がこのイギリス政府のをお手本としているため、このような取り組みは今ではそれほど珍しくないかもしれません。そういう結果もあり、この文章は結果に基づく自信に満ち溢れています。自分たちが一番と言い切ってるし!

    しかし、残念ながらイギリス政府のデジタル変革の事例を日本で紹介する記事をあまり見る機会がありません。その結果(だけではないでしょうが)、日本の公共サービスはこの大きなデジタル変革の流れに乗り遅れている気がします。全てを一度に紹介することはできないものの、基本方針を説明しているこの最新のドキュメントを日本語化することで、日本の人たちにも海外の政府がどのようにデジタル変革に向き合っているのか知るきっかけになればと考えています。

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