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  • 次世代のブロックチェーンの最有力、IOTAとTangleとは

    次世代のブロックチェーンの最有力、IOTAとTangleとは

     今回から数回にわたり、ブロックチェーンに関わる海外の人たちのインタビューをお送りします。最初はIOTAとその基盤技術のTangleを初期から追いかけているブロガーのLimoことStephen Vogtさん。IOTAもTangleもまだできたばかりの技術で英語でもあまり具体的な情報はありません。ただ、そのコンセプトは魅力的でマイクロソフトをはじめとした様々な大手企業と提携しています。今回のインタビューでもう少しIOTAについて理解できればなと。

    Limo

     今回はこのインタビューに声をかけてくれてありがとう。私の名前はStephen、またはLimoです、IOTAエコシステムの中ではLimoと名乗っています。最新情報を伝えるためにThe T▲nglerというブログと、Sunday BanterというYouTubeチャネルを運営しています。初期からのサポーターとしてIOTAとIOTA Foundationをボランティアとして支援しています。

     個人的には電気技師で経済と環境地理学を学びました。そのため地球規模の生態系や経済の問題やその解決方法に関して幅広い興味を持っています。そのような興味の中でIOTAも独学で学びました。

    カタパルト式なかむら

     ありがとうございます。まずはリモさんが関わりの深いIOTAとその基盤技術のTangleについて教えていただけますでしょうか。

    Limo

     IOTAの創始者たちはブロックチェーン特有の問題だけでなく、次の進化のステップのためにもっと良いものが必要だと考えました。世界経済フォーラムで言われている「第4次産業革命」はウェブに接続され自動化されたシステムです。これが機能するための十分なバックボーンが必要です。さらには価値とデータの取引をゼロコストで行う必要があります。マイニング、取引手数料や負のスケーラビリティのようなものは無駄です。この問題をブロックチェーンではなく有向非周期グラフで解決しようとする試みがTangleです。

    カタパルト式なかむら

     ブロックチェーンとTangleの具体的な違いは何でしょうか?

    Limo

     Tangleのエコシステムのルールはシンプルです。ノード側で無視できる量の計算能力を持つ2つの他のトランザクションを確認すること、そのための計算能力を提供すること。それだけです。取引手数料はありません。ブロックもマイニングも中国や他の安い国の巨大なマイニング設備も必要ありません。

      インターネットではウェブサイトやピアは常に接続されています。しかし、IoTの場合は必ずしもそうではない。オフラインの状態がある。Tangleはメインネットに常時接続されていない「オフラインクラスター」を作成することを可能にします。情報はネットワーク接続があるときに同期されます。IoTはメッシュのような接続で様々な接続方法があります。5G、blutooth、TCPにLoRaWanのように。これをサポートするには既存のブロックチェーン以外の技術が必要でした。マイクロトランザクション、データマート、ペイオンデマンド、ストリームオンデマンド、スマートコントラクト新しいエコシステムを構築できるソリューションです。

    カタパルト式なかむら

     Limoさんの視点から見て、IOTAとTangleはどのような問題を解決すると思いますか?多くの人はブロックチェーンはコストがかかりすぎるし、パフォーマンスが悪すぎると考えています。

    Limo

     ブロックチェーンは銀行の中央集権からの解放の必要性から生まれた素晴らしい技術です。世界中で様々なブロックチェーンが運営されています。その最大のものはビットコインであり、それに続くイーサリウムなどです。イーサリウムはスマートコントラクト、Dash、ZcashやMoneroは匿名性、データストアのMaidsafeなど革新的なアイデアがどんどん生まれています。しかし(個人的には)ブロックチェーンはすでに古いエンタープライズシステムに属していると考えています。ブロックチェーンを考え出したサトシ・ナカモトはブロックチェーンがこれほど大規模なものになると思っていなかったのではないでしょうか。ビットコインもブロックチェーンもスケールしないからです。

     ブロックチェーンはスケーラビリティーの問題を抱えていると一般的に考えられています。トランザクションのためのスペースが限られており、デジタル通貨を作成する方法は高くなり続けます。使用する人が増えればマイニングの必要が増える。サトシ・ナカモトは人々の中央集権からの開放を目的としていました(と私は考えています)が、あまりに多くの人が使いすぎるとその目的が達成できません。取引の価格などサービスが高価になるという意味でビットコインやイーサリウムは伝統的な銀行とよく似ています。それだけでなくマイニングのためにの電力は環境にあまりいい影響を与えません。

     もちろん、その解決のために多くの提案がされています。IOTAとTangleもその一つです。

    カタパルト式なかむら

     IOTAとTangleはイーサリアムとブロックチェーンのように分散アプリの基盤になるのでしょうか?

    Limo

     ベルリンのスタートアップのNakamo.toがpeak.ioという新しいプラットフォームを発表した。これによってIOTA上でのトークン化が期待できる。イーサリアム上のブロックチェーンプロジェクトの多くはERC20という規格を使ってトークン化してるけど、IOTAで近い将来それができるようになる。 IOTAの開発チームはあまり多くを明かさないけど、このほかに匿名性、外部からのデータ取得をサポートするOracle、Flash Channelsなど計画している。これらのトークン化されたシステムはカラードコインにも似ている。

    カタパルト式なかむら

     IOTAとTangleはIoTで想定されるようなデバイス同士の取引を前提にデザインされています。クルマはセンサーのカタマリみたいなものだし、家もスマートスピーカーのようなスマートデバイスがたくさん入ろうとしています。自動運転が可能になったクルマはスマートカーになるだろうし、家はスマートホームになる。IoTでいうエッジでの処理がすごく大事になってきます。

    Limo

     いまのIOTAとTangleの一般的なユースケースはご近所のシェアリングエコノミーになります。10世帯あったとして、その中の3世帯がソーラーパネルを設置する。それを残りの7世帯にIOTAトークンを通じて最も安価で公正な価格でシェアするとか。その地域のフルノードサーバーその地域世帯のエッジサーバーとなって冷蔵庫や電気自動車の充電ステーションと接続してデバイスでできない重い計算を行う。デバイスの肩代わりにプルーフオブワーク(POW)を行う*1

     将来ビジョンとしてはデバイス同士の価値の取引ができるようになること。デバイスがウォレットを持つ。フルノードで動作するためにはストレージなど機器的な要求が大きい。データ量も大きくなるから、開発者はデータの一部だけを使うSwarmノードのシステムを開発する必要がある。そういうシナリオもIOTAのロードマップにはある。

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    *1:IOTAでは参加しているノードがPOWを行う

  • クラウドの先にあるプラットフォームとしてのブロックチェーンの全体像

    クラウドの先にあるプラットフォームとしてのブロックチェーンの全体像

    原文:”Blockchain Infrastructure Landscape: A First Principles Framing” by Trent McConaghy, July 15, 2017

    分散アプリにおけるストレージ、コンピューティングおよびコミュニケーションを明らかにする

     Ethereum、IPFS/Filecoin、BigchainDBはどのように補完しあっているのでしょうか?Golem、Polkadot、Interledgerは?このような質問をよく受けます。だから、私はこれらの質問に答えてみることにしました。

    簡単な答え:魔法のようにすべてを行う「ブロックチェーン」という魔法のシステムはありません。分散化アプリケーションを効率的に開発するために組み合わせて利用できる優れたビルディングブロックならあります。Ethereumはその役割があり、BigchainDBも役割があり、それ以外にも多くの技術がビルディングブロックを形作っています。それを今から見ていきましょう。

    背景

     コンピューター処理の要素は、ストレージ、コンピューティングとコミュニケーションの三つです。メインフレーム、PC、モバイル、クラウドは共通してこれらの要素を独自の方法で実現しています。特殊なビルディングブロックがこれらの要素のトレードオフを補完する形で生まれることもあります。

     たとえば、ストレージ要素にはファイルシステムとデータベースがあります。ファイルシステムはディレクトリーとファイルの階層にmp3のようなブロブを格納するためのものです。データベースは構造化メタデータを格納するためのものでSQL*1のようなクエリインタフェースを備えています。集中型のクラウドに置き換えて考えると、ブロブストレージにAmazon S3、データベースはMongoDB Atlas、プロセッシングはAmazon EC2に相当します。

     この記事ではコンピューター処理の各要素のブロックとシステムの例を中心にブロックチェーンの視点で説明します。

    ブロックチェーンのビルディングブロック

    以下がそれぞれの要素と関連する分散化のビルディングブロックです:

    • ストレージ:トークンストレージ、データベース、ファイルシステム/ブロブ
    • ブロセッシング:ステートフル/ステートレスなビジネスロジック、ハイパフォーマンスコンピューティング
    • コミュニケーション:データ、バリュー、ステートのネットワークを繋げる

    ブロックチェーンのインフラにおけるランドスケープ

     ブロックチェーン技術は以下のようにコンピューター処理の要素にマッピングすることができます。

    コンピューティングの三要素

    ストレージ

     基本的なコンピューター処理におけるストレージ要素は次のビルディングブロックがあります。

    トークンストレージ

     トークンは価値(資産や証券など)を格納します。例えばBitcoins、飛行機のマイレージ、デジタルアートの著作権などです。トークンストレージシステムは二重支出を防ぎながらバリアントとともにトークンを発行/トランスファーします。

     BitcoinZcashはトークンにフォーカスした代表的な「ピュアプレイ」システムです。 Ethereumは世界のコンピュータとなるミッションの実現のためトークンをサービスで利用しています。これらはすべてネットワークインフラストラクチャを運用するための内部インセンティブとして使われるトークンの例です。

     その他のトークンはネットワーク自体に力を供給するための内部性を持ちません。より低いレベルのインフラストラクチャが実際にトークンを格納する上位ネットワークのインセンティブに使用します。Ethereumメインネットの上のGolem(GNT)のようなERC20トークンは一つの例です。IPDBネットワーク上で動作するEnvokeのIPライセンストークンももう一つの例です。

     最後にほとんどのブロックチェーンシステムにトークンストレージの仕組みがあることを示すために”.*“をリストしました。

    データベース:データベースは構造化されたメタデータの格納に特化しています。例えばテーブル(リレーショナルデータベース)、ドキュメントストア(JSONなど)、KVS、時系列、グラフなどです。クエリ(SQLなど)を介してデータを迅速に取得することができます。

     MongoDBCassandraのような伝統的な分散型(ただし集中化された)データベースは数百テラバイト、さらにはペタバイトのデータを毎秒100万回書き込むことができます(Netflixの事例)。

     SQLのようなクエリ言語は実装と仕様を分離しているため特定のアプリケーションに縛られません。SQLは何十年にもわたる標準です。同じデータベースシステムをさまざまな業界で使用することができるのはこのためです。

     別の言い方をすれば、アプリケーション固有のコードを使わずBitcoinを超えてブロックチェーンのアプリケーションを一般的なものにするためにチューリング完全性を徹底する必要はありません。データベースが必要なだけです。これには単純さと規模のメリットがあります。ただし、いくつかの場面でチューリング完全性を持つ大きな意味がまだあります。これについては「分散処理」のセクションでさらに解説します。

     BigchainDBは分散データベースソフトウェアです。具体的にはドキュメントストアです。MongoDB(またはRethinkDB)上に構築されているため、Mongoのクエリとスケールを継承しています。さらに分散制御、耐タンパー性、トークンサポートなどのブロックチェーン特性も備えています。IPDBはBigchainDBのガバナンス機能を持った公開ネットインスタンスです。

     また、IOTAはブロックチェーン分野における時系列データベースと考えることもできます。

    ファイルシステム/データブロブストレージ

     これらは大きなファイル(ムービー、mp3、大規模なデータセット)を格納するためのシステムで、ディレクトリとファイルの階層構造をとります。

     IPFSTahoe-LAFSは分散型のファイルシステムで、分散型/集中型のブロブストレージをラッピングします。FileCoinStorjSiaTieronは分散型ブロブストレージです。古き良きBitTorrentもそうですトークンではなくtit-for-tatスキームを使用します。 Ethereum SwarmDatSwarm-JSは基本的に両方を行います。

    データマーケットプレイス

     これらのシステムはデータ所有者(企業など)とデータ消費者(AIスタートアップなど)を仲介します。本来ならデータベースやファイルシステムよりも高いレイヤーのものですが、データを必要とする無数のアプリケーション(AIなど)がそのようなサービスに依存するため、コアインフラストラクチャにもなります。Oceanはデータマーケットプレイスを構築することができるプロトコルとネットワークの例です。アプリケーション固有のマーケットプレイスもあります:暗号市場のEnigma Catalyst、個人データ用のDatum、 IoTストリーム用のDataBroker DAO [2]などです。

    プロセッシング

     次に基本的なコンピューター処理のプロセッシング要素について説明しましょう。

    「スマートコントラクト」は分散型の処理を行うシステムにとって人気のある呼び方です*2。 実際にはステートレス(コンビネーショナル)ビジネスロジックとステートフル(シーケンシャル)ビジネスロジックの2つのサブセットがあります。ステートレスとステートフルは複雑さや検証可能性などにおいて根本的に違うものです。さらにHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)という3つ目の分散処理ブロックがあります。

    ステートレス(コンビネーショナル)ビジネスロジック

     内部的にステートを保持しない任意のロジックです。電気工学用語では組合せ論理回路と位置づけられます。ロジックは真理値表、回路図、または条件文を保持するコード(if / then、and、orを組み合わせたもの)として表現されます。ステートを持たないため、大きなステートレスなスマートコントラクトを検証するのは容易です。このため大規模な検証/安全なシステムを構築することができます。N個の入力と1個の出力を検証するためにO(2 ^ N)回の計算が必要です。

     インターレジャープロトコル(ILP)には組み合わせ回路を明確に指定する暗号条件(クリプトコンディション:CC)プロトコルを含みます。CCはIETFを通じてインターネット標準となっているため、知っておいたほうがいい技術です。またILPは集中管理と分散管理の両方のペイメントネットワーク(例:75以上の銀行がRippleを介した取引)で普及しています。CCはJavaScriptPythonJavaなどのスタンドアロン実装があります。 BigchainDBやRippleなどのシステムはCCを使用し、組み合わせビジネスロジック/スマートコントラクトをサポートします。

     BitsharesとEosはステートレスなビジネスロジックもサポートしています。

     ステートフルロジックはステートレスロジックのスーパーセットであるため、ステートフルロジックをサポートするシステムは(複雑さと検証の難しさを犠牲にして)ステートレスロジックもサポートします。

     BigchainDB、BitsharesとEosはイベントもサポートしています()。このためステートフルなビジネスロジックに近いレベルの永続性を与えます。

    ステートフル(シーケンシャル)ビジネスロジック

     内部的にステートを保持する任意のロジックです。つまりメモリーを保持します。または少なくとも1つのフィードバックループ(およびクロック)を備えた組み合わせ論理回路です。たとえばマイクロプロセッサには内部レジスタがあり、それに送られるマシンコード命令に従って更新されます。より一般的にはステートフルなビジネスロジックは、一連の入力を受け取り、一連の出力を返すチューリングマシンです。このようなシステムはチューリング完全システムと呼ばれています*3

     Ethereumはステートフルなビジネスロジック/スマートコントラクトを直接チェーン上で実行する最も有名なブロックチェーンシステムです。 LiskRChainDFINITYAeternityTezosFabricSawtoothなど多くががこれを実装しています。実行コードが「ちょうどそこに、どこかに」というのは多くのユースケースを適用することのできる強力なコンセプトです。これこそがEthereumが立ち上がった理由です。そして、そのエコシステムが成長して、それ自身がプラットフォームである理由です。このビルディングブロックに多くの強豪が参入してくる理由でもあります。

     シーケンシャルロジックは組み合わせロジックのスーパーセットであるため、これらのシステムは組み合わせロジックもサポートします。

     The DAOのハッキング事件でも示されたとおり、コードの小さな間違いは重大な結果を招く可能性があります。正式な検証はチップ業界を助けたように役立ちます。 Ethereum Foundationはこれに取り組んでいます。しかしスケールには限界があります。内部変数がすべてブール値であると仮定して、組み合わせ回路の場合可能なマッピングの数は2 ^(入力数)です。シーケンシャルの場合、内部状態の数は2 ^(内部ステート変数の数)です。たとえば、3入力の組み合わせ回路を使用している場合、²³ =8のsステートの可能性を検証する必要があります。これが32ビットレジスタを持つ順序回路であれば、²²= 42億のステートを検証する必要があることになります。このように順序回路の複雑さが制限されます(仮に信頼したい場合)。 Rchainがrho calculusで行ったように、ステートフルなスマートコントラクトを信頼するもう1つのアプローチは「Correct-by-construction」です。

     分散処理が必要な場合はより簡単なアプローチがあります。プロセッシングをJavaScriptやSwiftでブラウザやモバイルデバイスなどクライアントで行うのです。この方法ではクライアントでの処理を信頼する必要がありますが、手元のデバイスにおいてそれは許容されることが多いです。これを「ファットプロトコル」の代替としての「ファットクライアント」だと考えています。 このアーキテクチャはメインストリームのWeb開発者にとっては簡単です。多くのWebアプリケーションに必要なのはアプリケーションステートです。これを構築するにはJavaScriptとIPDB(js-bigchaindb-driverを使用)を使うだけです。また、アプリにブロブストレージとペイメントが必要な場合はJSクライアントバージョンのIPFS(ipfs.js)とEthereum(web3.js)を追加します。以下の図がその例となります。

    ファットクライアントスタック

    ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)

     レンダリング、機械学習、回路シミュレーション、天気予報、タンパク質フォールディングなど「重い」計算を行う処理です。ここでの計算ジョブはマシンのクラスタ(CPU、GPU、場合によってはTPU)で数時間から数週間かかることがあります。

     HPCの分散処理にはいくつかのアプローチがあります:

    • GolemiEx.ecは分散型スーパーコンピュータとそれに関連するアプリの組み合わせとしてとらえています。
    • Nyriadはストレージ処理としてとらえています。基本的に処理は分散ストレージ(Nyriadにも解決策があります)と隣接しています。
    • TrueBitはサードパーティが計算。その計算後のチェックを行います(可能な場合は暗黙的にチェックし、質問が発生した場合は明示的にチェックします)。
    • 一部の人々は単にVMまたはDockerコンテナで重い計算を実行し、その結果(最終的なVMステートまたは計算結果のみ)をアクセスが制限されたブロブストレージに格納します。次にトークン化された読み取り権限などを利用してコンテナへのアクセスを販売します。このアプローチはクライアントに結果検証をより多く要求しますが、今日使える技術で全てできることが利点です。これはTrueBitが成熟するにつれてTrueBitと自然に統合されます。

    コミュニケーション

     ここでは第3の基本的なコンピューティング要素のコミュニケーションについて説明します。コミュニケーションをとらえるには多くの方法があります。ここではネットワークへの接続に焦点を当てます。データ、価値、ステートの3つのレベルがあります。

    データ

     私たちは60年代にARPAnetを手に入れました。この成功はNPLCYCLADESのようないくつかの同様のネットワークを生み出しました。そして新しい問題も生まれました。異なるネットワークはお互い会話ができませんでした。CerfとKahnは70年代にTCP/IPを開発して現在インターネットと呼ばれるネットワークのネットワークを作りました。 TCP/IPは現在ネットワークを接続する事実上の標準になっています。OSIは競合するプロトコルでしたが衰退していきました。しかし、皮肉なことに、そのモデルは有用であることが証明されています。したがって、長い年月が経っているにもかかわらず、TCP/IPはデータのネットワークをつなぐための分散ビルディングブロックです。

     Torプロジェクトはユーザーのプライバシーを保護するためのTCP/IPオーバーレイと見なすことができます。しかし、アメリカ国防総省からの資金提供はいうまでもないことですが、集中化の側面があります。トークン化されたTorのようなプロジェクトが出現しはじめています。今しばらくお待ちください[2]。

    価値

     TCP/IPはネットワークをデータレベルでのみ接続します。TCP/IPではパケットを二重に使うことがあります(一度に複数の宛先に同じパケットを送ります)がそれは気にしません。しかし、ネットワークに接続して価値を送る場合はどうでしょうか?たとえばBitcoinやEthereum、あるいはSWIFT決済ネットワークからRippleのXRPネットワーク。トークンを一度に一つの宛先だけに送りたいはずです。交換機は二重支出を防ぎながらネットワークに接続する方法の一つです。しかし交換機の利用はかなり重いです。ただし暗号エスクローを使用することで、交換機の本質部分だけ抽出してスリム化し、仲介人の必要性を取り除くことができます。アリスはMalloryを介してボブに送金することができます。Malloryはファンドを送りますが、使うことはできません(そしてMalloryは永遠にファンドを留めることができないので、その場合はタイムアウトとなります)。これがインターレジャープロトコル(ILP)の本質です。双方向ペグ(サイドチェーン)とステートチャンネル(LightningRaiden)とコンセプト的には同じです。しかし、価値のネットワーク接続に100%フォーカスしています。 ILPに加えてCosmosもあります。Cosmosはより利便性を高めるために複雑さを少し増しています。

    ステート

     価値をネットワークにつなぐ先は何でしょうか? あるネットワークから別のネットワークにジャンプすることができる独自のBitcoinウォレットを備えたコンピュータウイルスを想像してみてください。またEthereumメインネット内のスマートコントラクトがその状態を別のEthereumネットうあ別の互換性のあるネットに移すことができたら?またはAI DAOを1つのネットに制限するのはなぜですか?

     Polkadotはこのためにあります。ステートをネットワークでつなぐ。Aeternityは価値のネットワークとステートのネットワークの間のどこかにあてはまります。

    ビルディングブロックを組み合わせた事例

     ここまでコンピューティングの3つの要素(ストレージ、プロセッシング、コミュニケーション)と、それぞれのビルディングブロックおよびサンプルプロジェクトを紹介してきました。

     人々は組み合わせながらシステムを構築しはじめています。二つのブロックの多くの組み合わせるプロジェクトはたくさんあります。通常はIPFSとEthereumまたはIPFSとIPDBの組み合わせです。そして三つ以上のブロックを組み合わせる事例もあります。ここでいくつかの最先端の事例を紹介します。

    Ujoの事例

    UjoではIPFS|Swarm + IPDB + Ethereumの組み合わせで分散型音楽サービスを実現しています。IPFSまたはSwarmはファイルシステムとブロブストレージとして、IPDBとBigchainDBはメタデータの格納とクエリに、Ethereumはトークンの格納とステートフルなビジネスロジックに使用されます。

    Innogyの事例

    Innogyではサプライチェーン/IoTアプリケーションにIPFS + IPDB + IOTAを使用しています。IPFSはファイルシステムとブロブストレージとして、IPDBとBigchainDBはメタデータの格納とクエリに、IOTAは時系列データに使用されます。

    そのほかのフレーミング

     ブロックチェーンコミュニティにおける他の人たちによる他のフレーミングも紹介します。それぞれの人たちとの会話を私は大いに楽しみました。

     Joel Monegroの”Fat Protocolsは各ビルディングブロックをプロトコルとして位置づけています。なかなかクールなフレーミングの方法だと思っていますが、それはビルディングブロックがネットワークプロトコルを介してのみ会話をすることとなります。別の方法もあります。ブロックは単に1つの「インポート」ステートメントまたはライブラリ呼び出しとする。

     インポートを使用する理由は(a)レイテンシを短くすること:ネットワークコールに時間がかかりユーザビリティを損なう可能性がある(b)シンプルさ:ライブラリ(または埋め込みコード)の利用はネットワークでの接続、トークンの支払いなどより簡単(c)より成熟している:プロトコルスタックが誕生してきています。私たちは数十年にわたる素晴らしいUnixライブラリを持っています。PythonとJavaScriptのブロックも15年以上経過しています。

     Fred Ehrsamの “Dapp Developer StackはWebビジネスモデルに重点を置いています。 このフレーミングも非常に有益ですが、特定のコンピューティング要素(ファイルシステムとデータベースの違いなど)のブロックをさらに区別することを目的としていません。

     BigchainDBのホワイトペーパー[PDF](2016年2月に公開)図1は、このポストのスタックの初期バージョンです。以下のチャートがそれです:

    集中化アプリと分散化アプリのスタック

     この図ではプロセッシング、ファイルシステムおよびデータベースのビルディングブロックにフォーカスしています。「コンピューティングの要素」という観点からは枠組みを構成しておらず、分散処理の種類も区別していませんでした。私がこの記事はこのホワイトペーパーを書いた一年半からの私の考えの進化とも言えます。私の考えは段階的に進化していき5月22日のConcensus 2017でのトークはこの記事と非常によく似ています。そしてこの記事を書いた理由はこのトークをきちんと形にするリクエストをたくさん受けたからです 🙂

     この図は完全集中化(左)から完全分散化(右)までのスペクトラムがあることを示しています。このような表現は既存のシステムを徐々に分権化する上で、どこが最も分散化の恩恵を受けるのか理解するのに役立ちます。

     Stephan Tualの “Web 3.0 Revisitedはこの記事と精神的な部分で近いですが、よりEthereumに重点を置いています。多くのプロジェクトを類似のビルディングブロックにグループ化することでコミュニティに役立つ貢献をしています。自分の考え方ととても似ていることに喜んで驚いていました。しかしアプリケーション(メッセージング、ストレージ、コンセンサス、ガバナンスなどのブロック)を構成するブロックに「アプリ」「What」「How」の3つの要素が混ざり合っています。私にとってはブロックは「What」でなければなりません。したがって、メッセージングは​​アプリです(アプリケーションレベル)。ストレージはより細分化する必要があります。コンセンサスは「How」の一部です。ガバナンスも「How」です。また下位のブロックとして(ネットワーク)プロトコルがあります。私はライブラリの呼び出しと同様にブロックが互いに話すことができる方法の一つだと考えています。それにもかかわらず、私はこれが優れた記事とスタックだと思います 🙂

     Alexander Ruppertの“Mapping the decentralized worldには約20のグループに整理され、x軸はインフラストラクチャ層からアプリケーション層まで4つの上位レベルのグループを表していて、ミドルウェアと流動性を中間レベルに位置づけています。これも素晴らしいやり方です。私はAlexのマップを手伝うことができてうれしいです。コアインフラストラクチャーに重点を置いておらず、より幅広いトレンドに焦点を当てています。これもコアインフラストラクチャに関する第一原則フレーミングです。

    将来

     UjoのプロジェクトではIPFSとSwarm(ブロブ)+ Ethereum(トークンとビジネスロジック)+ IPDBとBigchainDB(データベースと高速クエリ)を組み合わせて全てのメリットを享受しています。

     この傾向はビルディングブロックの関係性の理解が進むにつれて増えていくと考えます。「ブロックチェーン」という大きなモノリスにすべてを詰め込むより生産的です。

     このスタック自体も分散型エコシステムとともに絶えず進化するでしょう。AWSはブロブストレージ用のS3というたった一つのサービスからはじまりました。 それからプロセッシングのためのEC2が追加され、AWSのサービスは増え続けています。ここにAWSのリリースタイムラインがあります。現在AWSには50以上のブロックがあります。以下はすべてのAWSサービスの現在のスナップショットです。

    AWSのサービス一覧(2017年7月)

     AWSで起きたことが分散化の分野でも起きると予想しています。おそらく現在ある全てのAWSブロックは分散化されるでしょう。もちろんクラウド、モバイル、分散システムにはそれぞれ独自のブロックがあります。分散システムであればトークンストレージなどです。これからの将来はとても楽しみです。

     

     ここ数年、このスタックについて私にフィードバックをくれた無数の人々に感謝します。Carly Sheridan、Troy McConaghy、Dimi de Jongheの編集協力に感謝します。最後にビルディングブロックを改善し続け、さらに興味深いアプリケーションを開発し続けている宇宙の皆様に感謝します:)

    翻訳:カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    この記事はシステムの視点でブロックチェーンを解説した”Blockchain Infrastructure Landscape: A First Principles Framing“の翻訳です。これを書いたのはBigchainDBの共同創設者でCTOのTrent McConaghy氏です。

    ボク自身はビットコインのような仮想通貨にはあまり興味なくって、コンピューター技術としてのブロックチェーンに興味がありました。「Ethereumに興味がある」と言っても「最近値上がりしてるよね」と答えが返ってくると(Ether [ETH]でなくってEthereumなんだけどと)ガッカリしたりして。

    今はEthereumやIOTA、Polkadotなど面白い技術がたくさん出てきています。ただ、技術要素はたくさんあるのだけれど、全体的に俯瞰できるような資料があまりなかった。そんな時に出会ったのがこの記事でした。

    メインフレームからクライアントサーバー型、そしてクラウドコンピューティングに移り変わりました。そして、クラウドの先にある世界。これから起きるであろう変化は本当の意味での分散型のシステムで、ブロックチェーン(またはTangleなどその次世代の仕組み)がその中心にある可能性が高いと思います。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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    *1:[1] これらのビルディングブロックを階層化することもできます。例えばデータベースは生データ(ブロブ)ストレージが格納されるファイルシステムの上に存在します。分散データベースにはコミュニケーションが含まれます。例えば最新のデータベースのほとんどは、Ext4、XFS、GridFSなどのファイルシステムを介して、基礎となるストレージと通信します。この記事で紹介しているフレーミングはアプリケーション開発者からの視点です。

    *2:[3] 私は「スマートコントラクト」という名前は好きではありません。 AIの世界から見ればスマートコントラクトはスマートではありませんし、法的意味で「コントラクト」とは何の関係もありません。 それらに法規が含まれている場合、リカーディアン・コントラクトのようにそのように言及されています。「分散プロセス」というラベルとその中の「分散型ビジネスロジック」というラベルの方が理にかなっています。しかし、「スマートコントラクト」はすでに広まってしまった名前なので、しかたありません。ラベルの上に戦うより集中すべきことがたくさんあります😀

    *3:[4] 理論的には純粋な意味ではなく、実用的な意味で「チューリング完全」です。 つまり、マシンはインプットのビットとその現在の内部ステートの関数としてストリングのビットを返します。無限に実行されたり「いつ機械が止まるのか」という問題(停止問題)を解決するのは実用的です。

  • スウェーデン国立銀行が法定デジタル通貨「eクローナ」に関する最初の中間報告を発表

    スウェーデン国立銀行が法定デジタル通貨「eクローナ」に関する最初の中間報告を発表

    原文:“The E-krona project – First interim report”k by Riksban

     スウェーデン国立銀行(Riksbank)は法定通貨をeクローナとしてデジタルで補完することが可能かどうか調査しています。さらに、このデジタル化がスウェーデン国立銀行にとって安全かつ効率的な決済システムをもたらすことができるのかを調べています。このようなことはすでに数回経験しており、今回だけが特異ではありません。決済マーケットの変化に応じて、政府自身の役割を変える必要があります。eクローナは物理的な貨幣の使用が急速に減少している将来の決済マーケットで起きるであろういくつかの問題に対応できる可能性があります。

     eクローナにより現金の代替手段として国から保証されたデジタルな通貨が使えるようになります。そして、サプライヤーはeクローナのシステムにアクセスすることができます。現在はRIXデジタルペイメント(Riksbank’s payment system for financial transactions―中銀決済システム)の加入者のみが参加することができます。eクローナは商用銀行のシステム基盤から独立して機能することにより決済システムを非常時により堅固にすることができます。例えばカード決済システムなど。

    現金利用の低下

     スウェーデンは21世紀に入りカード支払いと同時に現金の使用が減少しました。それに取って代わりSwishでの支払いがますます一般的になっています。小売業における現金支払いの割合は2010年では40%近くでしたが、2016年には約15%にまで低下しています。消費者の3分の2は100クローナ(約1300円)以下の決済であれば現金無しで支払いができると考えています。それほど遠くない将来にスウェーデンは現金が一般に受け入れられない社会になるかもしれません。このようなスウェーデンの決済市場の発展は国際的にもユニークと言えます。

    デジタル化は好ましくない効果もある

     この発展はいくつかの要因が組み合わさっています。ひとつは社会におけるデジタル化への大きな傾向です。そして、スウェーデンにおける決済仲介は完全に民間が主体となり少数のビジネス、サービス、インフラに統合する可能性も要因の一つと言えます。長期的には、この集中は市場における競争力を抑制し、社会を脆弱にするリスクがあります。キャッシュレスに向かう社会への発展により中央銀行によるリスクの少ない貯蓄に振り分ける機会が少なくなる可能性もあります。その結果として決済システムの弾力性が低下する可能性があります。

     更に現時点においてデジタルペイメントを利用できない人たちや、現金での支払いを好む人たちがいることも認識しています。これらのデジタルペイメントを使わない、使えないグループに代替手段を提供できることも重要です。郵政局(The Swedish Post and Telecom Authority)および郡管理委員会(County Administrative Boards)は基本的な決済サービスが一般の人々のニーズにマッチすることを確実にする必要があります。

     金融危機など何かが起こると現金の需要が増加が想定されいます。そのような場合、中央銀行が最終的に準備ができるとしても、必要な機関に現金を配分するのに時間がかかります。またシステム的な問題が発生した場合、現在の現金のように自律して存在できる代替案がないリスクもあります。

    レジスターベースのeクローナをバリューベースのeクローナで補完

     仮想法定通貨「eクローナ」のモデルとしてレジスターベースとバリューベースの2つのモデルが考えられます。レジスタベースのeクローナの場合、残高は中央のデータベースの口座に保存されます。バリューベースのeクローナは現在の現金のようにアプリまたはカードにローカルに保存されます。

     現在の評価では、単純なバリューベースのモデルはレジスターベースと比べ発展性が限られていますが、より早く導入される可能性があります。レジスターベースはより複雑ですが、段階的に拡張できるため将来の需要に対応できる大きな可能性があります。このプロジェクトでは2つのモデルの組み合わせが提案されています。レジスターベースのモデルを小額決済をメインとし、なおかつオフラインでも使えるバリューベースのeクローナが補完する形です。バリューベースのソリューションにより、eクローナ口座を持つことができない、または望まないグループにもeクローナが使えるようになります。これにより特別なグループのニーズを満たす決済サービスソリューションをさらに開発することができます。

    利用する技術はさらなる検討が必要

     eクローナで使われる技術はさらにプロジェクトで検討する必要があります。新しい技術も枯れた技術も可能性がありますし、公共機関と企業などの協力体制も考えられます。

    金融政策や財務の安定性への影響は限定的

     eクローナの導入における金融政策、決済市場と財務の安定性に関して大きな障害は確認できていません。金融政策の枠組みはデジタル化の新しい現実に適応すると考えています。スウェーデン国立銀行は一般市民と市場が要求する紙幣と硬貨を供給しています。紙幣と硬貨の供給と同じ方法でeクローナの供給を決定すると想定しています。

    法令の見直しは必要

     私たちが提起する質問は非常に大きく重要なため、議会での徹底的な審議が必要であると考えています。eクローナの導入によるスウェーデン国立銀行の金融政策における責任分野は現在の立法では対応できません。しかし、調査結果ではeクローナは安全で効率的な決済システムを促進するという法定の役割を果たすことができます。スウェーデン国立銀行がデジタル決済手段を発行する場合、Sveriges Riksbank Act(中央銀行は金融政策について完全独立していることを定めた規定)を適用する必要があるとプロジェクトは考えます。eクローナ発行をスウェーデン国立銀行に委任するか、法的に入札されるべきかは立法の判断となります。

    eクローナのコンセプト

     このプロジェクトはスウェーデン国立銀行の理事会が中央銀行のデジタル通貨を一般に公開する必要があると判断した場合、次のようなeクローナのデザインを提案しています。

    • eクローナは主に消費者、企業、および当局間における小額決済を目的としています
    • eクローナはスウェーデン国立銀行が発行しスウェーデンクローナに対応します。一般市民、金融機関および企業が保有することができます。1日24時間、週7日、365日、リアルタイムでアクセスできます。
    • eクローナは利息は発生しませんが、将来的に利息が発生するようにするための機能を組み込むことが可能である必要があります
    • レジスターベースのeクローナはバリューベースのソリューションと組み合わせることにより小額のオフライン支払いを可能にし、eクローナ口座を必要としないグループへのアクセスを広げます
    • スウェーデン国立銀行はeクローナの基本機能を提供しますが、既存のデジタル基盤を使用する可能性を調査し、外部のプレーヤーからもにエンドユーザとのやりとりのデザイン提案を受け入れます

     この報告書はプロジェクトの初期の暫定的な結論です。分析と調査を継続します。プロジェクトが社会の利害関係者と対話した後に修正される可能性があります。

    関係者との議論

     決済市場の発展は社会全体に影響を及ぼします。スウェーデン国立銀行はこの報告書様々な疑問や問題についてグループとの幅広い対話の道を開くことを望んでいます。eクローナに関する調査するこのプロジェクトの次のステップは関係者からの意見と質問を集めることです。スウェーデン国立銀行はまだeクローナの発行について決断をいません。

    解説

    ビットコインと法定通貨。分散管理された通貨と中央管理された通貨。デジタルで形のない通貨と形のある通貨。この先どうなっていくのかはユーザーニーズ次第でもあり、技術の進化次第でもあります。今は過渡期でとても面白い時期ですよね。

    スウェーデンはデジタル化/キャシュレス化が進んでいて現金を使った決済は15%まで減少しています。ヨーロッパではデビットカードの普及が進んでいるので、もともと現金社会ではないのですが、それでもこれはヨーロッパでもかなり低いといえます。

    現金じゃなければ何を使っているのかといえば、Swishというスマホの決済アプリ。ここまでデジタル化/キャッシュレス化が進むと法定通貨であるクローナの考え方も変えなければいけないという議論になります。ウルグアイロシアなど法定デジタル通貨を検討している国は他にもありますが、すでに電子マネーが現金より普及しているスウェーデンは法定デジタル通貨の実際の普及は早いのではないでしょうか。

    スウェーデン国立銀行は法定通貨クローナのデジタル化の検討をはじめ、その工程表を発表しました。第一段階がデジタル通貨の理論的な裏付けについて検証した報告書を2017年11月までにまとめて発表。そしてこれがその報告書”The E-krona project – First interim report”の翻訳です。この報告書を読むかぎり、明言は避けているもののブロックチェーンベースではなさそうですね、今のところは。

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  • ドイツで開始されたブロックチェーンのIoT事例:Slock.itとShare&Charge

    ドイツで開始されたブロックチェーンのIoT事例:Slock.itとShare&Charge

    原文:”Share&Charge launches its mobile app, on-boards over 1,000 charging stations on the blockchain” by Stephan Tual, May 1, 2017

     以前にShare&Chargeについてはブログでも言及しましたが、5日間のソフトローンチの後、正式にShare&Chargeのアプリが公開されてました。数千の電気自動車用の充電ステーションをパブリックのEthereum ブロックチェーンで稼働されたことに誇りを持っています。

     これによりピアツーピア方式(P2P)での電気自動車充電がドイツで実現しました。Share&ChargeInnogy Innovation Hub*1のプロジェクトで、Slock.itは個人が自宅の充電ステーションをP2Pで貸し出し、以下のことを可能にしました:

    • オーナーが充電ステーション設置コストを回収できる
    • 電気自動車の運転手は身近なエリアで多くの充電ポイントにアクセスできる
    • 小規模な電力会社や中小企業が手頃で信頼性の高いペイメントソリューションにアクセスできる

     このアプリは2017年4月28日からiOS AppStoreGoogle Playの両方で利用可能になりました。

     現時点では充電スタンドはドイツ限定して展開されています。

    クリーンエネルギー市場へのインパクト

     現在、約1,070の充電ステーションがShare&Chargeに登録されています。二つの種類があり、一つは個人の充電ステーションのオーナーがShare&Chargeのバックエンドに接続して追加したもの。もう一つは小規模のまたはサードパーティのプロバイダによって運用されている充電ステーションです。アプリケーションが公開されたばかりなので個人所有の充電ステーションの数はまだ多くありませんが、今後注目して行きたいセグメントです。

    もし15%の充電ステーションの所有者がShare&Chargeに参加すれば、ドイツの充電ステーションのインフラは二倍になる。

     2017年1月現在、6,181台の公共充電ステーション(出典:statista)がありますが、45,150台のEV(電気自動車)所有者の92%が自宅に充電ステーションを持っています(出典:dlr.de)。

     つまり自宅に充電ステーションを設置している個人所有者の15%がShare&Chargeを通じてそれらを利用可能にした場合、ドイツの充電インフラストラクチャーは追加の設置なしで2倍になります。

    まだ道のりは長い

     しかし、これは最初のステップでしかありません。電気自動車を充電するために真に分散されたP2P経済を確立するには、多くの技術的および規制上の課題があります。

     Share&ChargeとSlock.itはより技術的なユーザーのためにアプリケーションのブロックチェーンの側面をもっと表面に出していこうとしています。例えば、最終的に別々に生成された秘密鍵をアプリケーション内にロードすることができるようになると期待しています。

     もうひとつは、充電ステーションに直接組み込まれたハードウェアブロックチェーンノードです。Kirchbergで同様な取り組みをしましたが、これを継続していきます。ハードウェアをブロックチェーンノードとして組み込むことにより充電ステーションレベルでブロックチェーン駆動のアクセス制御が可能になります。現在はアクセス制御はアプリ内で行われ、会計処理はオンチェーンで行われています。

    Kirchberg Electro-blitzの充電ステーションに組み込まれた物理的イーサリアムノード

    更新可能なスマートコントラクト

     Share&Chargeアプリは公開されていましたが、スマートコントラクトのコードはテクノロジーが進化するにつれて引き続き改善されていきます。これらのコントラクトは100%更新が可能で、Share&Chargeが新しい機能を追加できるだけでなく、緊急事態が発生した場合に素早く対応することができます。これはデータとロジックの明確な分離によって可能になっています。このプロジェクトの技術的側面についてさらに詳しく知りたい場合は、当社のCTOであるSimon Jentzschのブログ記事”Share&Charge Smart Contracts: the Technical Angle“を参照してください。

     スマートコントラクトのシステムが十分に検証され、バグがなくなれば、Share&Chargeは将来的にアップデート機能を削除したいと考えています。そして、将来的には電気自動車の充電のための真の分散型市場を作り出すことを願っています。その間、エキサイティングなバグハンティング(Bug Bounty)を開催し、私たちはスマートコントラクトの継続的な見直しを行なっていきます。このためクリプトコミュニティからのフィードバックは非常に貴重です。ぜひTwitterを通じてコンタクトしてください。

    隠れた秘宝:ユーロトークン

    取引は実際のユーロと1対1で対応している「暗号化ユーロ」

     様々なイノベーションをShare&Chargeで行いました。その中でも取引処理のために預託に1対1で対応した「暗号化ユーロ」を導入したことは特に誇りです。

     現時点では、このトークンは取引することはできません。Share&Chargeプロジェクトでのみ使用するために予約されています。しかし、電子マネーライセンス*2の取得をしようとしているプロジェクトの支払いプロバイダxtechのような企業は、この「暗号化ユーロ」の使い道に可能性を見出すでしょう。

    解説

    この記事はドイツのスタートアップSlock.itの創業者Stephan Tual氏によるブログ記事”Share&Charge launches its mobile app, on-boards over 1,000 charging stations on the blockchain“の翻訳です。ブロックチェーン、IoT、電気自動車にシェアリング経済とホットなキーワードがキラキラしているとても面白い事例です。ブロックチェーン上にIoTのハードウェアノードが乗っかるなんて超カッコいいですね!

    これまでイーサリアム(Ethereum)周辺の概要を取り上げてきましたが、こうやって具体的な実装を見るとかなりイメージがつかめますよね。

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    *1:Innogyはドイツ第二位の電力会社RWE AGの子会社。

    *2:電子マネーはビットコインなどと違い、中央銀行などで集中的に管理されていて、それを扱うにはライセンスが必要。Facebookもアイルランドで電子マネーのライセンスを取得して話題になりました。

  • ブロックチェーンが生み出す「ネットワーク効果」と「相乗効果」の解説

    ブロックチェーンが生み出す「ネットワーク効果」と「相乗効果」の解説

    原文:”The Synergies Gained from Building on Ethereum’s Decentralized App Ecosystem” by Preethi Kasireddy, September 7, 2017

     1870年代に最初の家庭用電話機が設置されていたとき、それらを販売していた企業には問題がありました。電話をかけることができる人が少ないと電話機はあまり役に立ちません。

     しかし、電話機のネットワークが広がり新たな顧客が電話帳に増えるごとに通信ツールとしての価値が高まり、この問題は徐々になくなっていきました。

     この「ネットワーク効果」がテクノロジーのブームを起こし、時代を新しいルネッサンス期に押しすすめました。FacebookやAppleのエコシステムのようなプラットフォームはユーザーベースを軸として大きなマーケットシェアを素早く確保しました。

     電話のように「ネットワーク効果」を内包するテクノロジー製品は最も収益性の高い持続可能なビジネスとなる傾向があります。

     強力なネットワーク効果を持つ企業は結果的に「勝者総取り」の結果をもたらし市場シェアを確保できるので収益性が高くなります。また、市場を確保するとユーザーが他のネットワークにスイッチしたり、まったくやめてしまうことが少なくなるから持続可能だと言えます。

     2017年の現在でも誰もが次のネットワーク効果を探しています。

     私はイーサリアム(Ethereum)と分散型Webシステムを開発してきました。その中でEthereum上の分散型アプリケーションはまったく新しいタイプのネットワーク効果(または「相乗効果」と言えるもの)に支えられていることに気がつきました。

     まず、いくつかの典型的な「ネットワーク効果」を詳しくみてみましょう。その上でEthereumがアプリケーション開発者にとってネットワーク効果を構築する魅力的な環境をどのように実現しているのかをみてみましょう。

    直接的なネットワーク効果

     LinkedInはネットワークエフェクトの典型的な例です。新しいビジネスパーソンのプラットフォームへの参加はネットワークの可能性を高め、結果として既存のユーザーににさらに高い価値を提供します。プラットフォームに参加するメンバーが多いほど、人材を採用する企業にとっても参加する魅力が高まります。

     採用する企業がプラットフォームに増えれば、メンバーはより多くの雇用機会を選ぶことができます。この伝染性の高いネットワークが成長するにつれて、LinkedInを真似たより小さなネットワークにスイッチする魅力が無くなります。

     この循環はべき乗則分布の法則にしたがって市場の80%を一つか二つの企業が独占する方向に導いていきます。

     YouTube、Airbnb、Uber、Facebook、WhatsApp、eBayはこのような直接的なネットワーク効果で構築されたビジネスの有力な例です。

    間接的なネットワーク効果

     一般的に「ネットワーク効果」は直接的なネットワーク効果をさします。商品やサービスの使用量の増加がその価値の直接的な増加につながる。

     しかし、「間接的なネットワーク効果」と呼ばれる別の種類のネットワーク効果があります。商品/サービスの使用が増加するとそれを補完する製品/サービスの価値が増し、その商品/サービスのエコシステムの形成します。

     Macのパソコンを例にとってみましょう。マックのパソコンにはいくつかの直接的なネットワーク効果があります。例えばMacユーザーの数が増えると、より多くの人が互換性のあるファイルを共有できるため、Macのパソコンの価値が高まります。

     しかし、Macのパソコンを使いやすくするアプリケーションから生まれる間接的なネットワーク効果はさらに重要です。Macユーザーの数が多いほど、互換性のあるMacアプリケーションへの需要が増え、Macアプリケーションを開発する開発者や開発会社の需要が増えるます。アプリケーション開発はアプリケーション単価を下げ、アプリケーションの種類を増やし、結果としてMacユーザーの利便性を向上します。

    このハードウェア/ソフトウェアの考え方は他のマーケットにも通用します:

    • iPhones(ハードウェア)とiPhoneアプリ(ソフトウェア)
    • Android(ハードウェア)とAndroidアプリ(ソフトウェア)
    • キャッシュカード(ハードウェア)と互換性のあるATM(ソフトウェア)
    • テレビ(ハードウェア)と映画などテレビ番組(ソフトウェア)
    • 電気自動車(ハードウェア)チャージステーション(ソフトウェア)

     それぞれのケースで標準的なハードウェアプラットフォームと、さまざまな補完的なソフトウェアとサービスがあります。

     同じことがWebプラットフォーム自体とWeb上に構築されたすべてのアプリケーションの関係(間接的なネットワーク効果)にも言えます。Webプラットフォーム参加するすべての新規ユーザーはWebアプリケーションの需要を増やし、それがWebアプリケーションの種類を増やし、結果としてユーザーの利益を高める。

     しかし、このような間接的なネットワーク効果はWebプラットフォーム上に構築された2つの補完的なソフトウェア製品の間にも存在する可能性はあるでしょうか?

    Webアプリのネットワーク効果を制限する要因:オープンではないAPI

     表面的には写真共有サービスとクラウドストレージサービスは間接的なネットワーク効果を生む要素がありそうです。写真共有サービスの利用増加はクラウドストレージサービスの利用を増やす。写真共有サービスはどこかに写真を保管しなければならないし、クラウドストレージサービスも多くのユーザーを必要とするからです。

     理論的にはクラウドストレージサービスに対する需要の増大は、より多様なクラウドストレージサービスを作り出し、(競争の激化により)価格低下をもたらします。最終的には写真共有サービスの価値が高まります。

     しかし、ハードウェア/ソフトウェアのパラダイムとは異なり、今日のWeb上には「写真共有サービス」や「クラウドストレージサービス」という単一のスタンダードは存在しないということです。

     インスタグラムのような集中化されたプラットフォームは「オープン性」とコア技術とデータの制御間でバランスを取らなければいけません。共有のためのテクノロジー標準は素晴らしいことですが、競合するテクノロジー企業がその研究開発で優位に立とうとしている場合はこんなんです。

     ハードウェアプラットフォームと補完的なソフトウェアで見られる間接的なネットワーク効果とは異なり、オープンではない独自規格のクラウドストレージプラットフォームと写真共有サービスとなっています。彼らはどのように相乗効果を生むことができるのか。彼らは独自のAPIを提供することでそれを実現しようとしています。

     例えばクラウドストレージサービスのAmazon S3独自のAPIを考えてみてください。 Amazon S3とインスタグラムの統合を実現するには二つが直接的につながる必要があります。インスタグラムはAmazonアカウントの作成、サービスの支払い、Amazon独自のAPIにプラグインする新しいバックエンドコードの開発が必要です。インスタグラムが別のクラウドストレージサービス(Google Cloud Platformなど)を必要としている場合も同様にアカウントの作成、サービスの支払い、Google独自のAPIにプラグインする新しいバックエンドコードの開発が必要となります。

     そうすることでアプリケーションのアーキテクチャーは以下のようになるでしょう:

     次に何をしなければいけないか不安になりませんか?さて、Ethereumのようなオープンで分散化されたプラットフォーム上に構築すると、これがどのようになるのかをみていきましょう。

    イーサリアム(Ethereum)はどのように相乗効果の問題を解決するか

     Ethereumはチューリング完全プログラミング言語とステート管理機能が組み込まれたブロックチェーンです。これによりスマートコントラクトと分散アプリケーションを簡単に開発することができます。これにより、より「分散化されたウェブ」を理論上は構築することができます。

     現在のウェブのように、プラットフォームとしてのEthereumとその上で開発されたアプリケーションの間には間接的なネットワーク効果があります。新しいユーザーがプラットフォームに増えるごとに、分散アプリケーションの需要が増えます。これは”Win – Win”です。

     さらにあります。Ethereumでアプリケーションを構築することの優位性はさらにあります。分散化され、承認が不要な性質のため、補完的なアプリケーション同士の相互接続を分け隔てなく行うことができます。

     すべてのアプリケーションが同じ仮想マシン(Ethereum Virtual Machine(EVM))に書き込まれるたため、独自でプロプライエタリなAPIは問題ありません。同じ基本言語(別名:EVMコード)、同じプリミティブ(スマートコントラクト、カウント、アドレス、 トランザクション、メッセージなど)、同じ手数料構造(別名:ガス代)、同じステート検証ロジック(例えば、プルーフ・オブ・ワーク、プルーフ・オブ・ステーク)を利用するからです。

     すべてがひとつの共有標準に基づいて構築されます。

     結果としてEthereumの上に構築された補完的な分散アプリケーションの間に間接的なネットワーク効果が生まれることがわかるでしょう。新しいアプリケーションが追加されるたびに、既存のアプリケーションとシームレスに統合されプラットフォーム上のすべてのアプリケーションの価値が上がります。

     これらのアプリケーションのいずれかに新しいユーザーが増えるごとに、そのアプリケーションの価値が高まり、プラットフォーム上の他のすべてのアプリケーションの価値が間接的に高まります(シームレスに統合され、相互に恩恵を受けるため)。

     そして、これらの相乗効果ががすべて自動的に発生することが重要な点です。

     分散型ウェブは「直接的なネットワーク効果」による偏った独占的なビジネスプラクティスからEthereum上に構築されたすべてのアプリケーション間で相乗効果が得られる「間接的なネットワーク効果」への移行を促します。これにより選択肢、柔軟性と自由の可能性が広がることを期待しています。

    イーサリアム(Ethereum)上の分散アプリの相乗効果の例

     しかしこれは本当に起こるでしょうか? それはすでに起こっています、少なくとも分散アプリの縮図の中では。

     

     まずEthereumのアプリをいくつか見て見ましょう。

    • Golem:Ethereumで構築された分散型プラットフォームであり、コンピューティングインフラストラクチャのマーケットプレイス。誰でも貢献したり購入できる「ワールドワイド・スーパーコンピュータ」
    • Oracalize:外部Web APIとEthereum上の分散アプリケーションとの間のデータキャリア。セキュリティは暗号化証明で強化される。
    • uPort:Ethereum上に構築されたデジタルIDサービス。スマートコントラクトや他のuPortアイデンティティ(ブロックチェーン上でもブロックチェーン外でも)で対話するとき、人物や組織が誰であるかを簡単かつ安全に記述できます。
    • Gnosis:Ethereumブロックチェーンで動作する分散型予測市場。このプラットフォームを使うと個人および企業は将来の出来事(例えば、予想される株式ファンダメンタルズ、価格発見など)を予測することができます。
    • Aragon:Ethereum上に構築された分散管理プラットフォーム。分散サービスとエンティティを管理するさまざまなサービスを提供します。

     それでは現実にどのように自動的な相乗効果がEthereum上で発生するか見てみましょう。

     分散型の保険アプリケーションを構築しているとします。 uPortをエコシステムに追加することで顧客確認(KYC)や電子署名を自分で行うことなくユーザーの身元を確認することができます。同様にEthereumの他のすべてのアプリケーションもuPortが提供す認証サービスから自動的に利益を得ます。uPortを使うユーザーが増えるたびにエコシステム内のアプリケーション全体がユーザー認証をこな得るために、エコシステム全体に利益をもたらします。

     さらにGolemをエコシステムに追加することで、分散型プラグアンドプレイ計算プラットフォームを使用して、保険アプリケーション内のさまざまなサービスを実行できます。同様にEthereum上にあるすべてのアプリケーションはネイティブで自動的にサービスから恩恵を受けます。Golemを使う新しいユーザー(マシン)が増えるたびに、システムにさらに多くの計算能力が向上、エコシステム全体に利益をもたらします。

     Gnosisを追加することでプラットフォーム上の借り手が債務不履行となるような市場の不確実性を予測することができます。この場合も同様にEthereum上に構築された他のすべてのアプリケーションがGnosisの市場予測の恩恵を受けます。Gnosisのユーザーが増えるごとに、予測プラットフォーム市場をよりよくし、エコシステム全体に利益をもたらします。

     Oracalizeを追加することで外部情報を取得できるようになります。この場合も同様にEthereum上に構築された他のすべてのアプリケーションが恩恵を受け、外部情報を取得できるようになりました。

     Argonは素早く安価で公正な方法で保険金請求を処理することを可能にする投票型の管理システムです。この追加によりEthereumの他のすべてのアプリケーションはArgonの管理システムをシームレスに使用できます。プラットフォーム上にArgonユーザーが増えるごとに、サービスはより改善され、エコシステム全体に利益をもたらします。

    …という感じで続いていきます。

     これらの統合はすべてバックエンド、支払いモデルやAPIなどへの独自なインテグレーションなしにシームレスに行うことができます。

     これは実際に可能なことの一部であり、小さな縮図でしかありません。これらの自動的な相乗効果には無限の可能性があります。

    Ethereumの皮肉:摩擦を排除することは独占を困難にする

     逆を言えばEthereumでは直接的なネットワーク効果をもたらす巨大なビジネスを構築することがはるかに難しくなるということです。ラディカルに合理化されたエコシステムは代替サービスへの切り替えコストを大幅に削減します。エンドユーザからみてもあるサービスから別のサービスへ切り替えるのは簡単になります。Ethereumプラットフォーム上にあり、任意のアプリケーションで機能するEthereumのアカウント/アドレスを持っているだけでいいのですから。

     この記事の冒頭で説明したLinkedInの例とは異なり、サービスの周りに「堀」を作成するのは難しくなります。独自のパズルのような規格がなくなるからです。現実世界の企業がEthereumを選ぶ際に、この「独占への抵抗」の仕組みがどのように発揮されるのかはこれから注目していきましょう。

     その結果にかかわらず、私は個人的にもアプリケーションだけでなくユーザーも摩擦がほとんどない状態で価値を生み出すことができるシステムの可能性に期待しています。

    解説

    ブロックチェーンの可能性については色々と議論されています。しかし、多くの人のイメージはビットコインを実現した技術の一つくらいの認識なのではないでしょうか?同じように「ネットワーク効果」もなんとなくしか理解できていない言葉の一つのような気がします。

    この記事はPreethi Kasireddy氏(Mercury Protocolの共同開発者兼エンジニア、元Coinbase、アンドリーセン・ホロヴィツ、ゴールドマン・サックス)がイーサリウムの分散アプリケーションによるネットワーク効果と相乗効果をわかりやすく解説した”The Synergies Gained from Building on Ethereum’s Decentralized App Ecosystem“の翻訳です。

    実を言うとブロックチェーンに関してはビジネス側の期待の方が大きく、開発者の方が「ハイプ」と感じる人が多い印象です。この記事はエンジニアの視点からブロックチェーンが具体的にどのようにネットワーク効果を生み出すのかを非常によくまとめられています。なるほど、相乗効果って間接的なネットワーク効果と考えればいいのね。

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