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  • はじめての中国Fintech:暗号化通貨とブロックチェーン【金盤】

    はじめての中国Fintech:暗号化通貨とブロックチェーン【金盤】

    はじめての中国Fintechはモバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】の二回にわたってお届けしました。しかし、全くブロックチェーンやビットコインなど暗号化通貨に触れていないのに違和感を持った方もいるのではないでしょうか。ビットコインなど中国で盛んにマイニングが行われていて、中国のプレーヤーはビットコインをはじめとした多くの暗号化通貨に影響力を持っています。それなのになぜ?

    今回は中国に限らずFintechと暗号化通貨の関係をなるべくわかりやすく解説していきたいと思います。

    人民元とビットコインの違い(管理マニアと完全自由主義者)

    モバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】で紹介した中国のFintechは中国の法定通貨である人民元を基本としています。法定通貨は中央銀行から発行され、中央管理されています。既存の中国Fintechはこの法定通貨である人民元が前提となっています。

    ビットコインに代表されるブロックチェーンを基盤とした暗号化通貨は中央銀行によって中央集権的に管理されていません。分散管理が基本です。ブロックチェーンとサイファーパンクの特集でも見てきたように、暗号化通貨の本質は完全自由主義者です。政府の干渉は必要ないと考える人たちによって作られました。管理マニアの中国政府と折り合いが悪いですよね。

    中国政府にとっての人民元の重要性

    中国の人民元は長い間固定レートでした。通貨制度改革によって変動性に変わったのは2005年のことです。それでも完全な市場による変動ではなく通貨バスケットというブラックボックスを使った管理相場制なんですけどね。中国は管理が好きなんです。

    一方で世界的に通用する通貨があります。米ドル、欧ユーロ、日本円などが国際決済通貨として広く認識されています。中国としては人民元でそこに割って入りたい。何と言っても世界で2番目に大きな経済の法定通貨です。人民元を国際化したい。でも、世界的には市場ではなく中国政府によって管理されている人民元を基軸通貨にするのはなかなか抵抗があります。

    そこで、特別引出権(SDR)というIMFの通貨バスケット(米ドル、欧ユーロ、英ポンド、日本円)に人民元を入れるよう働きかけます。それが功を奏して2016年からSDRの通貨バスケットに中国の人民元が加わりました。

    中国政府としては人民元の国際化に頑張ってきたわけです。そんな流れの中で「政府に干渉されない自由なビットコインを中国で普及しよう!」と頑張ったところで中国政府としてそんなこと許せるわけがありません。

    これは中国に限ったことではありません。中国以外の国でも法定通貨と暗号化通貨の兼ね合いは大きな課題です。例えば、エストニアはICOプラットフォームのために「エストコイン」の発行を検討していますが、EUの法定通貨であるユーロとの兼ね合いを慎重に検討しなければいけません。エストニアはEUのメンバーなので法定通貨のユーロとどのように整合性を持たせるかが重要となるのです。

    スウェーデンはEUの参加国ではなく、独自の法定通貨であるクローナを持っています。スウェーデンでもデジタル通貨「eクローナ」の発行を検討していますが、「eクローナ」はブロックチェーンベースの暗号化通貨ではないことが中央銀行からすでに示唆されています。可能性を全く否定しているわけではありませんが、検討しているデジタル通貨はブロックチェーンを基盤とした分散管理のものではありません。

    中国の金融政策における優先事項

    中国政府にとっての最優先は人民元の国際化と人民元による金融システムの安定化です。2018年7月現在で40兆ドルある不良債権問題を解決しなければいけません。また、国際的には中国国内の金融市場の自由化の圧力にどう対応するのかという問題があります。

    そんな中国政府から見た場合、ビットコインに代表されるブロックチェーンを基盤とした暗号化通貨はパラレルワールドのようなものです。政府としては法定通貨の世界が自分たちの世界、ビットコインはそれと並行して存在する全く別の世界。資金がこの二つの間を自由に行き来できたら管理できない。人民元の世界で規制しても、ビットコインの世界に逃げられてしまう。ただでさえ微妙な対応が必要なのに、暗号化通貨は中国政府にとっては不確定要素でしかありません。

    実際に中国政府はビットコインをはじめとする暗号化通貨の取引を禁止しました。ビットコインをAlipay(支付宝)から購入できるサービスに好比特币がありましたが、現在は停止しています。さらに今年からマイニングも規制されました。

    BINANCEなど香港/マカオに本社におく暗号化通貨取引所はまだ規制の対象となっていませんが、これもいつまで続くかわかりません。

    モバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】でビットコインなど暗号化通貨の金融サービスには触れず、人民元をベースとした金融サービスを紹介してきたのはこのような背景があるからです。

    それでもブロックチェーンは中国で発展する

    ただ、ブロックチェーンという技術とビットコインなどの暗号化通貨というプロダクトを同じに考えてはいけません。ブロックチェーンという技術のアプリケーションの一つが暗号化通貨です。中国政府は現時点において暗号化通貨を締め出す動きを見せていますが、ブロックチェーンは推進しています。ブロックチェーンは技術で、それを応用したプロダクトの一つが暗号化通貨だからです。中国政府は目的と手段を見誤っていないですね。

    参考文献

    人民元 – Wikipedia

    国際通貨 – Wikipedia

    淘宝宣布全面封杀虚拟币,比特币要彻底完蛋?

    China’s Central Bank Faces Policy Bind Over Debt, Growth Goals – Bloomber

     

  • はじめての中国Fintech:オンラインバンキング編【青盤】

    はじめての中国Fintech:オンラインバンキング編【青盤】

    前回はモバイルペイメントに注目して中国のFintechを紹介しましたが【赤盤】、今回は銀行を中心に中国のFintechを紹介します【青盤】。シャドーバンキングのような複雑な問題はボクの手には負えないのですが、なるべく網羅的にわかりやすく解説します。

     

    中国のFintech

    中国では2013年からFintechに対する投資が増え続けましたが、中国の中央銀行である中国人民銀行が規制を強める発表を行い2017年には投資が大きく減少しました。それでもアメリカ、イギリスに次いで3番目にFintechに対して投資が行われた市場です。規制に左右されることが多くリスクもありますが、中国での金融サービスの市場は大きいためにスタートアップなどイノベーションも活発です。

    中国のFintech投資の伸び(ソース:Fintech Global)

    以下は調査会社のiResearchのデータをもとにコンサルティング会社のマッキンゼーがまとめたチャートですが、中国におけるFintech市場の90%近くは前回【赤盤】で紹介したペイメントが占めています *1。今回【青盤】で紹介するのはそれ以外のFintech分野となります。

    2015年末の中国におけるFintech市場規模(ソース:CNNIC; iResearch; McKinsey analysis)

    Fintechの分類

    まず、大まかにFintechを分類してみましょう。Fin-はファイナンシャル・サービス。つまり金融ですね。-techは技術、特にインターネット技術です。インターネット技術を活用した金融サービスがFintechです。

    金融サービスは大きく分けて以下の四つに分けることができます。

    1. 使う
    2. 預ける
    3. 借りる
    4. 増やす

    【赤盤】で紹介したペイメントはこの中の「1. 使う」に分類されます。お金を使う手段としてインターネット技術を活用します。他にもお金を送金するのも「1. 使う」です。ペイメント以外でも銀行でいえば口座振替や口座振込も「1. 使う」に分類できます。銀行ではないFintechであればTransferwiseがこれに当たります。

    今回【青盤】で紹介するのは「2. 預ける」、「3. 借りる」と「4. 増やす」の三つの分野です。細かい抜け漏れはあると思いますが、大まかにこれでFintechを捉えることができます。なお、ビットコインなど暗号化通貨/仮想通貨は「銀行ワールドと別にあるパラレルワールド」が前提なので、ここには入っていません。暗号化通貨/仮想通貨とFintechの関係は次回の【金盤】で解説する予定です。

    預ける:中国のオンライン銀行

    多くの人は銀行口座を持っていて、そこにお金を預けていると思います。ユーザーから見れば銀行の預金口座は全ての金融サービスのハブですよね。前回の【赤盤】でも説明しましたが、銀行はユーザーから預かったお金を運用して、その利ざやで儲けます。その窓口が預金口座です。個人の口座もあれば、企業が持つ法人の口座もあります。

    中国では長年この銀行口座は国有の銀行しか提供することができませんでした。しかし、中国経済が成長するにつれて金融サービスの需要に供給が追いつかなくなってきます。このミスマッチがシャドーバンキングの拡大につながります。シャドーバンキングは中国経済のリスクとなり、対応が必要になってきました。

    そのような背景もあり、中国銀行業監督管理委員会(中国银行业监督管理委员会)は2014年7月に銀行業のライセンスを私企業に提供することを決めます。最初は3社(=3行)でしたが、2017年には17社まで増えました。テンセントが筆頭株主(30%)のWeBankとアリババが筆頭株主(30%)のMyBankがこの代表です。

    銀行とマネーリザーブファンドの違い

    モバイルペイメントの解説【赤盤】でモバイルペイメントは銀行のようなマネーリザーブファンドとセットだと説明しました。アリババの場合はAlipay(支付宝)というモバイルペイメントとユエバオ(余额宝)というマネーリザーブファンドはセットです。しかし、マネーリザーブファンドと銀行の機能は似ていますが、本質的には違います。本質的に銀行口座の役割は「2. 預ける」ですが、マネーリザーブファンドの役割は「4. 増やす」です。

    銀行:個人(または法人)が銀行に口座を開設してお金を預けます。銀行はそれを集めて運用して利ざやを稼ぎます。運用に失敗しても銀行が資産を失っても50万人民元までは返済が保証されています。利息は0.35%です。つまり、ローリスクローリターンですね。銀行カードが使え、ATMでお金を引き出す他に、デビットカードUnionPayを使って店舗で支払いもできます。

    マネーリザーブファンド:預金ではなく基金です。ファンドが運用する基金に個人が投資をする形をとります。ファンドが運用に失敗して資産を失っても返還の保証はありません。金利は3.6%です。定期預金と違い、24時間365日ファンドからお金をいつでも引き出せるため、利便性が非常に高いのが特徴です。リスクが銀行口座より若干高いものの利便性が高く利息も高い。しかし、銀行ではないので銀行カードはありませんし、ATMでお金も引き出せません。デビットカードUnionPayは使えませんが、モバイルペイメントが利用できます。銀行口座にお金を移す時に手数料がかかります。

    既存の銀行と新しいオンライン銀行の違い

    最大の違いは銀行カード(UnionPay)の発行です。中国では銀行カードを発行するには対面での申し込みが必要になります。新しいオンライン銀行は基本的には物理的な支店はなく(あっても一つに限定されている)対面による銀行カードの発行ができません。

    ユエバオ(余额宝)、WeBank(微众银行)、MyBank(网商银行)の違い(ソース:亿欧)

    また、新しいオンライン銀行とマネーリザーブファンドの本質は違うと言っても、実質的な競合であることは変わりません。新しいプレイヤーのオンライン銀行は既存の銀行だけでなくマネーリザーブファンドと差別化をしなければいけません。前述の通り、既存の銀行の金利は利息は0.35%程度ですが、オンライン銀行は余额宝と同程度(4%前後)と比べても競争力のある金利を提供しています *2テンセントのWeBankで5%、アリババのMyBankで3.8%です。

    借りる:Fintechの成長分野

    新しいオンライン銀行の差別化ポイントは「1. 預ける」ではなく「2. 借りる」です。需要と供給のギャップが大きいのもまさにここですし、銀行が儲かるのもこの分野です。このギャップはこれまでシャドーバンキングが埋めてきたのですが、オンライン銀行が埋める一翼として期待されているのだと想像します。

    「2. 借りる」といっても様々な用途や形態があります。クレジットカードでリボ払いのようなカジュアルなもの、クレジットカードでのキャッシング、車のローンや学資ローンなど様々です。スタートアップや小さなお店なら事業のための借り入れもありますよね。

    そして、この「2. 借りる」はグローバルでも現在最も投資が行われている分野でもあります。最近だとスモールビジネス向けのKabbageやP2P金融のSoFiが大きな資金調達をしましたね。

    アプリから借りる

    中国で最もカジュアルな「2. 借りる」方法はモバイルペイメントのアプリ経由です。何か買い物をしたいのであればフアベイ(花呗)ですし、キャッシングならジエベイ(借呗)です。下の図はAlipay(支付宝)のスクリーンショットですが、クレジットもキャッシングも同じアプリの中で利用できます。

    P2P金融

    アプリでの少額融資だけでなく、P2Pによるお金の貸し借り(P2P金融)も活発です。P2P金融はソーシャル金融とも言われます。借り手と貸し手を結びつけ、個人間での融資を実現する仲介サービスです。欧米ではLending ClubProsperが有名です。中国での規模は2000億ドル(約22兆円)とも言われています。アメリカでこの分野のリーダーであるLending Clubの共同創業者のソウル・フタイトもアメリカでディエンロン(点融)を創業します。すごいですよね。

    しかし、P2P金融は世界的には成長しているのですが、中国では淘汰がはじまっています。P2P金融はこれまで明確な規制が明確ではなかったのですが、徐々に規制がはじまりました。2016年にP2P金融のイーズバオ(e租宝)が「ネズミ講」と認定され、幹部が逮捕されました。2013年から破綻するP2P金融は増え続け、顧客が急いで資金を引き上げる動きを見せています。前述のディエンロン(点融)やLufax、アメリカの株式市場で上場しているイーレンダイ(宜人贷)のような大手は成長を続けるでしょうが、中小のP2P金融は淘汰されていくと考えられています。

    オンライン銀行によるファイナンス

    テンセントのWeBankやアリババのMyBankといった新しいオンライン銀行は個人や中小企業を中心とした少額融資をターゲットにしていますが、カジュアルなキャッシングはアプリ、それ以外でもP2P金融などすでに競合となるようなサービスがあります。

    まだはじまったばかりなので、評価は難しいですが、競合が多い中でもWeBankの貸付額が8700億人民元で不良債権率が0.64%、MyBankの貸付額が4468億人民元で不良債権率が1.23%となかなかいいパフォーマンスですね。先行者利益もあるのかもしれませんがテンセントのWeBankの方がアリババのMyBankよりパフォーマンスがいいのが興味深いです。

    WeBank(微众银行)とMyBank(网商银行)の2017年実績(ソース:亿欧)

    MyBankの場合は571万の小規模企業に融資をしました。平均融資額は2.8万人民元で、75万件は農村地域への融資案件でした。そして11.9%は農業関連の融資だったそうです。中国における金融ギャップは大都市ではなく、地方が大きいのですね。

    ちなみに中国の銀行の不良債権率は1.67%で日本の銀行が1.3%だそうです(2017年実績)。日本の地銀の不良債権率が1.7%なので、日本の地銀よりいいパフォーマンスですね。

    信用経済

    不良債権率はとても重要な指標です。融資は一番銀行が儲けるところですが、貸したお金は返してもらわなければいけません。中国でお金を返さない人をラオライ(老赖)といいますが、このラオライを減らさなければいけません。お金が返ってこないリスクを信用リスクといいます。この信用リスクをどれだけ最小化できるかで収益が大きく変わってきます。

    この信用リスクを低減する仕組みがクレジットスコアです。日本だとCICですね。アメリカだとFICOVantageScoreです。中国では百行征信有限公司、通称シンリエン(信联)です。

    シンリエン(信联)はアリババのセサミクレジット(芝麻信用)やテンセントのテンセンジェンシン(騰訊征信)など民間の信用情報調査会社と業界団体が設立した企業で、中国人民銀行から信用情報調査会社としての認可をはじめて受けました。これまでセサミクレジット(芝麻信用)などが個別に認可を申請してきましたが、シンリエン(信联)がその役割を担うことになりました。

    中国ではアプリを中心とした独自の信用経済が発達してきました。セサミクレジット(芝麻信用)のスコアが高ければサービスの頭金が必要なかったり、多くの特典が与えられるようになりました。最近だと、セサミクレジットが750ポイント貯まったユーザーは新しいスマホを購入前に30日間無料で試せる特典を発表しました。

    利用者もセサミクレジットの評価をよくするために正しくサービスを受けるようになります。しかし、信用情報がプラットフォームに集中することによる個人情報の悪用などの懸念が高まりました。よく金融で影響力の強い「三人のマー(三马)」と言われます。アリババのジャック・マー(马云)、テンセントのポニー・マー(马化腾)、ピンアンのマー・ミンジェ(马明哲)の三人ですが、情報の寡占が懸念されました。これはアメリカでも同じ動きですよね。シンリエン(信联)が三年の試行の末に正式に人民銀行からライセンスを受けたのはこのような背景があります。

    増やす:中国でも注目を浴びるAIを使ったロボアドバイザー

    金融ギャップは借りる側だけではなく、投資する側にもあります。増やすには銀行口座に預けるだけではなく、高利回りの期待できる金融商品を買うこともできます。ある意味、マネーリザーブファンドも金融商品の一つと言えるでしょう。

    しかし、数多くある金融商品から自分に合ったものを選ぶのはなかなか難しいものがあります。そこで注目を浴びているのがAIで最適な投資先を見つけてくれるロボアドバイザーです。このロボアドバイザーの先駆けは2008年に創業したアメリカのWealthfrontです。この他にもRobinfoodが有力なプレーヤーです。日本でもWealthNavi(ウェルスナビ)やTHEO(テオ)が有名ですよね。

    中国でも金融商品のニーズがあるため、ロボアドバイザーへの投資も盛んです。中国ではPINTEC(品钛)やトウミRA(投米RA)が有力なプレーヤーです。多くはP2P金融で地盤を築いていますね。特にPINTECは2018年7月にアメリカの証券取引所にIPOを申請して勢いに乗っている中国のFintech企業です。

    急成長するPINTEC(ソース: 新浪科技)

    PINTECの2016年の収入は5490万人民元でしたが2017年には5億6870千万人民元、936%の成長を実現しました。この原動力となっているのがサービスフィーです。

    参考文献

    What’s next for China’s booming fintech sector? | McKinsey & Company

    Panic Roils China’s Peer-to-Peer Lenders – Bloomberg

    A Guide to China’s $10 Trillion Shadow-Banking Maze – Bloomberg

    Investors left to rue losses as fraudulent Chinese P2P lenders collapse in tighter regulatory environment | South China Morning Post

    China’s Private Commercial Banks like MyBank and WeBank have a ways to go – Kapronasia

    Asia’s Richest Banker Spots a Once-in-a-Lifetime Opportunity – Bloomberg

    阿里腾讯的三年互联网银行实验-亿欧

    不良贷款率_百度百科

    蚂蚁聚宝_百度百科

    余额宝和银行存款有什么区别?

    “信联”来了!千万不要失信不还款,不然……

    国际金融报-人民网

    致老赖:“信联”成立之后 P2P的钱你不得不还 – 金评媒

    支付宝“蚂蚁借呗”发生重大变化,马云:信联时代已经来临!-新闻头条

    “信联”驾临 信用服务行业开启新时代_搜狐财经_搜狐网

    品钛将上市,重监管时代的金融科技故事该如何讲?|宜人贷|京东金融|服务费_新浪科技_新浪网

    関連記事

     

    *1:2015年の資料なので若干古いですが、割合はそれほど変わってないでしょう

    *2:上の表を参照してください。中国語だけど漢字だからわかりますよね。上がユエバオ、次がMyBankで下がWeBankです

  • なぜブロックチェーンは自由なのか|第二回:ハル・フィニーとビットコイン

    なぜブロックチェーンは自由なのか|第二回:ハル・フィニーとビットコイン

    ブロックチェーンやビットコインについては技術面やビジネス面の解説がたくさんされています。しかし、その背景にある「自由」や関わる人たちの情熱はあまり理解されていません。

    多くの人はブロックチェーンやビットコインにビジネスの可能性を感じて惹きつけられているのだと思います。それ自体は悪いことではありません。でも、コインチェックやマウントゴックスのような事件がある毎にブロックチェーンやビットコインの背後にある理想主義も理解していてほしいと思うんです。なによりも自由が欲しかった。

    開発者として、アマチュアアスリートとして、夫として

    ハル・フィニーは1956年にカリフォルニア州コーリンガで生まれます。1979年にカリフォルニア工科大学を卒業して、フィル・ジマーマンが立ち上げたPGPに入社します。そして、同じ年にフランと結婚します。

    ハルは2011年に引退するまでPGPに在籍します。アメリカでこれほど長く同じ会社に勤めるのはすごく珍しいことです、特にIT業界では。ずっと同じ場所で、同じことを続けました。フィル・ジマーマンはPGPの成功にハル・フィニーの献身は不可欠だったと振り返っています。

    ハル・フィニーは良き夫であり、アマチュアのアスリートでした。妻のフランと多くのマラソン大会に参加しました。ハルはどちらかといえば長距離走が得意で、フランは中距離が得意でした。一緒に走ってもハルが少し長く走ることになりました。しかし、フランの方が長く走ることになります。

    サイファーパンクとの出会い

    サイファーパンクのムーブメントは90年代から活発化します。ハル・フィニーは1991年にサイファーパンクに出会います。そして、ハル・フィニーは1992年のサイファーパンクのニュースレターに以下のように書いています。

    これは明らかなことだが、私たちはプライバシーの喪失の問題に直面している。薄気味悪いコンピュータ化、巨大なデータベースに中央集権。(DigiCashを開発した)チャウムは全く別の方向性を見せてくれた。その道は政府や企業ではなく、個人が自分自身の手で力を持てる。コンピューターは人々を自由にし、その自由を守るために使うことができる。人々をコントロールするためでなく—ハル・フィニー

    エリック・ヒューズの『サイファーパンク宣言』では「サイファーパンクはコードを書く」と書かれています。そして、それを実行したのはハル・フィニーでした。エリック・ヒューズとハル・フィニーは共同でプライバシーを守るためのメールシステムであるremailerをPerlとCで開発します。例えばスノーデンのような人がNSAの秘密をremailerを使ってパブリックに流しても、追跡して個人を特定することができなくなります。

    サイファーパンクにはビットコインでも使われるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を開発したニック・サボもいましたが、ハル・フィニーはそれを発展させて再利用可能なプルーフ・オブ・ワーク(RPOW)のプロトタイプを開発しています。これがビットコインのPoWの先駆けとなります。

    サトシ・ナカモトから最初のビットコインを受け取る

    2008年にサトシ・ナカモトは暗号化のメーリングリストにビットコインのアイデアとホワイトペーパーを投稿します。多くの約束が実現されなかったことでサイファーパンクの熱気は過ぎ去った時期でした。そのため、多くの人はビットコインのアイデアに懐疑的でした。

    しかし、ハル・フィニーはRPOWを開発したばかりだったので、ビットコインに興味を持ちました。サトシ・ナカモトとハル・フィニーはメールでやり取りをしながらビットコインのバグフィックスをしていきます。サトシ・ナカモトからテストでビットコインが送られてきて、ハル・フィニー自体も自分でマイニングをしてみました。

    マラソンのゴール

    ハルとフランは2009年のアナハイムで開催されたディズニーランド・ハーフマラソンに出場します。二人のタイムは1:59.27でした。そして、ハルにとってはこれが最後のレースとなります。この前月、サトシ・ナカモトから最初のビットコインを受け取ってから9ヶ月後にALSと診断されました。アイスバケツチャレンジで有名になったこの病気に現在でも有効な治療法はありません。

    私たちは30年も結婚してたんだから一緒に50周年を祝えるはずだって思ってた。ハルはきっと私より長生きすると思ってた。彼は健康だから。私がおばあちゃんになったらハルが面倒をみてくれるって思ってた—フラン・フィニー

    今でこそビットコインの価値は上がりましたが、当時はまだそれほど価値がありません。貯えももらったビットコインも治療費で消えていきます。それを支えてくれたのはビットコインのコミュニティーでした。Wiredのアンディー・グリーンバーグが寄付を呼びかけます。

     ハル・フィニーはALSと診断され、体が動かなくなってもコードを書き続けました。ハルは走れなくなりましたが、フランを応援し続けました。フランにとってはハルがたとえ走れなくても一緒にマラソンにくてくれることが大事でした。フランにとってハルは良きコーチであり、それは技術的なことではなく、精神的なことだったのです。

    参考文献

    Bitcoin and me (Hal Finney)

    Dying Outside – Less Wrong

    The cypherpunk revolution

    Meet Hal Finney, the Man Who Received the First Ever Bitcoin Transaction

    In Finney home, Fran gives care, quality of life to husband Hal — Presidio Sports

    RPOW – Reusable Proofs of Work

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  • はじめての中国Fintech:モバイルペイメント編【赤盤】

    はじめての中国Fintech:モバイルペイメント編【赤盤】

    モバイルペイメントというのはモバイルとペイメントが合わさった言葉です、あたりまえですが。つまり、モバイルとペイメントの両方の発展を見ていくことによって、より理解が深まるのですね。中国のモバイルペイメントについて様々な記事を見かけます、その時のニュースについて知ることは大事なのですが、その背景や経緯などを理解すると、さらに深い知識となります。

    まあ、よく考えてくださいよ。ある日いきなりドカンと新しいものが出てくるなんてないわけですよ。スティーブン・ジョンソンは著書『イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則』で一つのイノベーションが生まれるためには複数の要素が一定水準に達する必要があることを隣接可能性と呼んでいます。スマホだっていくつかのイノベーションが組み合わさってできている。これはモバイルペイメントも同じ。AlipayやWeChat Payが普及するまで、それが機能するための複数の要素が十分に中国で普及する必要があったわけです。

     

    モバイルペイメントの条件

    まず、モバイルペイメントを実現するためにいくつかの要素が必要になります。

    1. 金融機関の受け入れ態勢
    2. 消費者の受け入れ態勢
    3. 店舗の受け入れ態勢

    まず第一に、金融機関がペイメントを受け入れられなければそもそも支払いができません。銀行でもPayPalのような第三者決済機関でもいいのですが、決済機関は必要です。

    次に消費者が実際に買い物をするために使うモバイル端末が必要です。現金だったら必要ないですが、モバイルペイメントというから人はモバイル端末を使うわけです。それが利用されるにはメリットがないといけない。例えば、お金を持ち歩かなくてすむとモバイルペイメントでなければ買えないものがあるとか。そしてUXの問題。普通に考えればスマホを取り出して、アプリを起動してQRコードやICカードを読み取るって面倒な作業です。ステップ数的には現金やカードより多い。それなりのメリットがなければ使わないですよね。

    そして最後に買い物をする店舗側での受け入れ準備が必要です。QRコードを使うならQRコードを表示したり、読み取ったりしなければいけません。ICチップならICチップを読み取る機械が必要です。また、手数料が低いほど受け入れやすい。小売は薄利多売が多いので、利益を大きく圧迫する仕組みは受け入れられません。

    この三つの要素が十分に成熟して、銀行、消費者、店舗がWin Win Winの状態になってはじめてモバイルペイメントが実現できます。では、中国でそれぞれの要素がどのように発展していったのでしょうか。

    2002年:オフライン主体で金融インフラ構築段階

    金融機関の受け入れ:NG

    中国で一番最初のオンライン決済の仕組みはAlipay(支付宝)でもなければUnionPay(银联)でもありません。1998年にできたPayEase(首易信支付)が一番はじめです。しかし、初期のPayEaseは銀行のサイトで最終的な決済手続きをしなければならず、使い勝手が悪く普及しませんでした。

    むしろ、銀行がバラバラのシステムを使っているのが問題でした。これは日本の銀行でもそうでしたが、中国でも別の銀行のキャッシュカードを使ってお金を引き出すことができませんでした。さらに、同じ銀行でも別の地方では使えませんでした。これを解決するために生まれたのがUnionPayです。

    中国ではあまり銀行は信用されていません。少なくとも、銀行の支店は信用されていません。おそらく日本の銀行以上に事務的で官僚的でプロセスが遅い。だいたい中国人の友達と話をすると銀行の悪口が話題にのぼります。自分自身が体験したわけではないですが、話を聞くと確かにひどいなと思うことが多かったです。

    中国の銀行にはその頭文字を使ったニックネームがあります。例えば、中国工商银行(ICBC)だと「貯金は好きだけど貯金しない(爱存不存:I Cun Bu Cun)」とか中国农业银行(ABC)だと「ああ、貯金しないの?(啊?不存?:Ah, Bu Cun)」とか。香港のHSBCですら「それでも貯金しない!(还是不存!:Hai She Bu Cun)」ですからね。全ての銀行にこのようなニックネームがあります。まあ、銀行に勤めている人にとっては残念ですが、銀行はどこの国でも嫌われる運命にあるようです。

    そういう背景もあり、窓口の必要ない銀行カードの利便化は強く求められていました。

    これはペイメントにとって重要な一歩ですが、2004年まで店舗でUnionPayは使えませんでした。

    消費者の受け入れ:NG

    当時の中国では現在ほど携帯電話は普及していません。当然ながらスマホなんてありません。コミュニケーションは電話かSMSです。特にSMSは若者に人気が出ました。

    Nokia 3310(クレジット:中国网)

    ノキアはいち早く中国のピンイン(拼音)での入力をサポートしたためにモトローラから大きくシェアを奪いました。日本でもポケベルのコミュニケーションが流行りましたが、中国でもSMSによる数字のコミュニケーションが流行ります。例えば880だと「キミを抱きしめる(抱抱你:ba ba ling)」だし1314520だと「キミを一生愛する(一生一世都爱你:yi san yi si wo er ling)」といった感じです。

    余談ですが、中国では数字を数えるハンドサインも日本とは異なるので、数字を手で数える方法を覚えておくと中国で暮らすには便利ですよ。一から十まで片手で数えます。これ、本当によく使います。

    店舗の受け入れ:NG

    いろんな資料を読むとこの当時からSMSを使ったペイメントの仕組みが中国にもあったようですが、うーん、どうなんでしょう。ボクとしては今ひとつピンときません。SMSによるモバイルペイメントの成功事例といえばケニアのMペサですが、Mペサだって2007年ですからね。その5年前に中国でSMSのペイメントがあったと言われてもねえ。

    UnionPayは基本的にはデビットカードの発行が主体で、店舗にPOS端末につながるカードリーダーを貸し出し対応店舗を獲得していきます。最初のフォーカスはオンラインではなくオフラインでのペイメントでした。

    2005年:オンラインペイメントの誕生

    金融機関の受け入れ:OK

    UnionPayは今でこそ日本のヨドバシカメラでもUnionPayでの支払いを受け付けていますが、デビットカードとして機能して店舗のPOSで受け付けることができるようになったのは2004年以降です。少なくとも、金融機関側の受け入れ準備ができたのはこの年です。後は消費者と店舗の受け入れさえできればいい状態。

    この前年の2004年はアリババ(阿里巴巴)がAlipay(支付宝)をローンチした年でした。タオバオ(淘宝网)の中だけですが、中国で有力な第三者決済機関が生まれたのです。そして、2005年にはAlipayに続きPayPalが中国でビジネスを開始して、テンセントもTenPay(财付通)で追従します。

    モバイルペイメントが中国で普及する理由の一つとして「中国ではパソコンを飛ばしてモバイルが発展した」と言われることがありますが、カタパルトスープレックスではそう考えていません。スマホ普及以前に中国のオンラインコマースは急成長していましたし、それを背景に中国では第三者決済機関が生まれます。アメリカではPayPalが生まれましたが、日本を含む多くの国ではクレジットカードをつなぐペイメントゲートウェイは生まれても、第三者決済機関は生まれませんでした。

    また、「中国ではクレジットカードの利用が低いからモバイルペイメントが使われる」という説明も同様です。それだとクレジットカードの国であるアメリカからPayPalが生まれた説明ができません。たくさんある要素の一つだとは思いますが、決定的な要素ではないでしょう。

    消費者の受け入れ:NG

    この時点でも基本的な携帯電話の機能は変わりません。まだまだ電話とSMSだけです。しかし、2005年は携帯電話が普及しはじめる年でもありました。そして、中国で最も使われた携帯電話は中国国産のNingbo Bird(宁波波导)でした。スマホが普及するまで中国の携帯電話といえばこれだったのです。オンラインでのコマースはまだまだブラウザーベースのeコマースが主体でした。

    スマホ登場まで中国で人気だったNingbo Bird

    シャオミー(小米)のような中国国産スマホが受け入れられる土壌はここから生まれています。

    店舗の受け入れ:NG

    2005年の最初のオンラインペイメントブームを牽引したのはeコマースです。アリババのタオバオがeBayを中国における取引量で追い越した年でもあります。カタパルトスープレックスを隅から隅まで読んでいる人ならわかってますよね!日本の楽天や楽天ペイがどうしてそうならなかったのは不思議ですよね。

    オフラインもようやくUnionPayのデビットカードが普及しはじめました。ATMで現金の引き出しだけでなく、水道、電気、ガス等の公共料金の支払いや店舗側のPOS端末で支払いができるようになりました。セキュリティーの問題のあった磁気カードからUnionPayのバージョン2からICチップに移行しはじめたのもこの頃です。

    このようにオンラインでの第三者決済機関(Alipay)とオフラインでは銀行(UnionPay)は異なる発展をしてきました。

    2010年:モバイルペイメント元年(オンラインとオフラインの境界線がなくなる)

    金融機関の受け入れ:OK

    オフラインのペイメントではUnionPayの標準バージョン2は2004年から推進されていましたが、信頼性が高まり普及したのは2009年からです。この標準はICカードやPOSシステム、モバイルペイメントなど8の大分類からなる技術標準でした。

    オンラインのペイメントでは2010年から第三者決済機関はライセンス制度となります *1。中央銀行である中国人民銀行からライセンスを持っていないと事業ができないことになりました。海外のペイメントプラットフォームの参入が難しくなるのもこのころですね。ルールがない状態からルールを作り、徐々に実態に合わせていくことになります。2011年にはAlipayがQRコードでのペイメントを発表し、オフラインとオンラインの境界線がなくなります。そして2013年にAlipayはPayPalを抜いて世界一のペイメントプラットフォームとなりました。それだけではありません、

    Alipayは日本のペイメントプラットフォームと違い、もともとクレジットカードへの依存は高くありませんでした。それでも、中国の銀行への依存度は高い。そこで、Alipayはユアバオ(余额宝)というマネーリザーブファンドを立ち上げて、ほぼ銀行のようなことができるようになりました。つまり、この年にAlipayは銀行が集まって作ったUnionPayと直接対決できるまで力をつけます。当然ながら、テンセントもこの動きに追従してリーツァイトン(理财通)を立ち上げます。

    アリババがNFCではなくQRコードを採用したのはコストの問題もあったでしょうが、店舗のICカードリーダーはUnionPayのインフラなので、そこに乗りたくないという思惑もあったのではないかと思います。UnionPayはQuickPass(闪付)というブランドでNFCによるペイメントをオフラインで推進してきました。オフラインのインフラではUnionPayに一日の長があるので、同じ土俵では勝てません。

    消費者の受け入れ:OK

    2008年にiPhoneが中国で発売され、中国でもスマホ時代がはじまります。また、レイ・ジュンがシャオミー(小米)を起業するのが2010年です。AlipayがQRコード対応したのはこのようなスマホの普及に合わせたものです。ニーズがないのにインフラ作っても仕方ないですからね。

    小米1(クレジット:百度百科)

    Alipayが2011年、テンセントがWechatPayを2014年にリリースしたことで、インフラとして消費者が受け入れることができる体制ができました。あとはスマホがどれだけ普及するかという問題だけです。

    店舗側の受け入れ:OK

    店舗側でモバイルペイメントを受け入れるためにはコストの問題を解決しなければいけません。UnionPayが店舗側で普及した要因の一つとして手数料の安さがあります。VisaやMasterCardなどメジャーなクレジットカードの場合、1%から5%の手数料が発生します。粗利の低い小売では大きい。中国ではUnionPayのクレジットカード手数料は0.3%、デビットカード手数料は0.1%以下なので、コストが安く、店舗側に大きなメリットがあります。

    しかし、どれだけ手数料が安くてもPOSレジはコストがかかります。QRコードはこのPOSレジの必要性をなくしました。つまり、モバイルペイメントを導入する初期費用が限りなく安い。QRコードを印刷するだけですからね。

    初期費用が安くても運用費用が高ければ普及しません。特に手数料ですね。AlipayもWeChat Payも一回あたりのペイメントの手数料はかかりません。これは大きい。Alipayの場合、2万元(約33万円)を超えた分について現金化をすると0.1%の手数料がかかりますが。UnionPayのデビットカードと同じくらいですね。十分安い。しかも、アリババにはユアバオというお金を貯めておく仕組みがあります。そのため、現金として使わないのであればユアバオに貯めておく方が現実的です。そうなると手数料はゼロで銀行の口座よりも高い利息がつきます。銀行よりメリットが大きい。

    ちなみに、日本のQRコードのペイメントの先駆者であるOrigamiの場合は手数料が3.5%なのでクレジットカードなみです。楽天ペイも3.24%です。日本のペイメントの場合はクレジットカードのプラットフォームに乗ってしまってるから仕方ないのですけどね。また、日本のペイメントの場合は「決済手数料0円」となっていても、それはトランザクションフィーのことで、クレジットカードの決済手数料は必要だったり、年間100万円以下の決済まで無料などの限度があったりするのでわかりにくいです。

    中国の場合はわかりやすく、UnionPayのデビットカードより導入設置費用と運用費用がやすいため、QRコードによるモバイルペイメントの仕組みはこれまでPOSを導入できなかった小さな店舗や個人商店、露天にまで広がりました。Mobikeのような無人店舗でも使えるのでユースケースは広がります *2

    アリババの儲かる仕組み

    手数料があまりに安いとアリババが儲からない気がしますが、ちゃんと儲ける仕組みがあります。銀行が利益を出す仕組みは二つあります。一つは取扱手数料。例えばATMの手数料ですね。どこの銀行もこれはあまり大きくありません。大きいのはもう一つの利ざや収入です。アリババを含む中国の第三者決済機関は厳密には銀行ではないですが基本的に同じ仕組みです。

    銀行の場合、顧客から預金を集めて、そのお金を企業や個人に貸し出しています。預金に対して支払う利子と、融資先から徴収する利子の差額(利ざや)が銀行の最終的な利益となります。お金を集めるほど、大きなお金が運用でき、利ざやも大きくなります。AlipayやWeChat Payの場合、使ってもらったほうがお金が集まるので、手数料が安いのです。

    アリババというとQRコードのモバイルペイメントだけが注目されますが、ユアバオ(余额宝)というマネーリザーブファンド(預金機能)とマーイーフアベイ(蚂蚁花呗)という金融商品がセットとなっていると考える方がビジネス的にはしっくりくると思います。更にセサミ・クレジット(芝麻信用)というAlipayの利用状況を反映した信用情報を持っていて、貸し出しリスクを減らすことができます。これがAnt Financial(蚂蚁金服)がUberやAirbnbより大きな世界最大のユニコーン企業とされる原動力ですね。

    でも、これからも儲けられる?

    正直、わかりません。

    これはどこの国もそうですが、金融機関は強い規制のもとに運営されています。アリババのような第三者決済機関はほぼ銀行のような運営をしているので、徐々に銀行と同様の規制が強まってきています。これは日本でも同様です。日本でAlipayやWeChat Payのようなサービスをやると仮定して、SuicaやNanacoと同様に資金決算法により供託金を拠出しないといけません。供託金は運用できないんですね。利ざやを稼げない。

    日本の「供託金」は中国では「ベイフージン(备付金)」が近いと思います。日本の漢字だと備え付けるお金で「備付金」です。これは法律で決まっていて2013年に発布された「支付机构客户备付金存管办法」に基づきます。以下はアリババのユアバオの資産配分です。「ベイフージン(备付金)」と銀行に預ける預金は87.11%ですね。これが利益収入になります。

    ユアバオの2017年度2期、3期の資産配分(クレジット:蔡凯龙)

    この「ベイフージン(备付金)」に対する規制は年々高まってきています。今後は日本の供託金より厳しい規制になりそうなので、いつまで同様のビジネスモデルが通用するのかは未知数です。

    まとめ

    よく、「中国は偽札が多くて現金が信用されず、それがモバイルペイメントの普及の原因」と言われます。もちろん、それもあると思います。ATMから偽札が出てきますからね *3。しかし、スーツケースに現金を詰め込んでロールスロイスを買う人もいるんです *4

    っというわけで、何か一つの要因だけで説明できるほど単純ではありません。通説が間違いだとは言いません。それらも合わせて色んな要素があるのです。色々な複合的な発展が合わさってモバイルペイメントが普及する土台ができてきたことを理解することは重要だと思います。これを無視して「これからはQRコードが主流になる!」と息巻いて日本で同じことをやろうとしても、日本は同じ状況(法律やPOS普及率)ではないので、同じ実装(手数料ゼロとか)にはなりませんし、同じ結果にはなりません。日本には日本の最適解が見つかると思いますよ!

    参考文献

    China’s Mobile Revolution: 15 years in phones – Thatsmags.com

    中国银联_百度百科

    回顾:中国银行卡产业发展史 – 中国一卡通网

    中国3G_百度百科

    银联股权十年变迁史:一直没有控股股东_网易科技

    手机支付的发展历程

    第三方支付发展史,一路走来到底经历了什么?

    首信易支付_百度百科

    支付宝不收用户一分钱,却越做越大,那马云的支付宝是怎么盈利的?

    余额宝自废武功,马云手握1.5万亿却很委屈_腾讯财经_腾讯网

    支付宝海量沉淀备付金倒逼余额宝,蚂蚁金服2017年上市_营销案例_新闻资讯-商界招商网

    一般社団法人日本資金決済業協会|発行保証金の供託について

    UnionPay takes mobile payment services fight to Alibaba and Tencent with integrated app | South China Morning Post

    AB+F: UnionPay moves into mobile payments outside China

    関連記事

     

    *1:非金融机构决済服务管理弁法

    *2:これはNFCでもできますが

    *3:ボクのインド人部下が中国出張の時に被害にあいました

    *4:これはボクの目で実際に見ました!

  • ビットコインを使うUXプロセス(暗号化通貨の支払いシステムを開発から学ぶ)

    ビットコインを使うUXプロセス(暗号化通貨の支払いシステムを開発から学ぶ)

    原文:”Cryptocurrency payment UX process” by Samantha Shaibani

    暗号化通貨は技術コミュニティーの中でも外でもとてもアツいトピックです。興味と意識が高まる中で、暗号化通貨に多くの人が引き寄せられています。

    多くの人がウォレットをダウンロードして、ビットコインやイーサリアムなど暗号化通貨を購入しています。多くの人は投資と考えていますが、実際に暗号化通貨を使って何か買うことができるのでしょうか?結局のところ、暗号化通貨は通貨で、それを使って何か買うことをできるのでしょうか。

    この記事は以前に書いた記事”crypto wallet MVP“での私たち(Joseph Guerra, Brandon Fancher, Garren DiPasquale, Sam Shaibani) の活動の続きです。私たちはデジタル通貨のウォレットから支払いシステムにピボットして、開発することにしました。そこから学んでいきます。開発するシステムの名前はマルシェ(Marché)です。フランス語で商人という意味です。いいでしょ、ウィ(oui)?

    マルシェはWebサイトで簡単なものを買うことができます。ブロックチェーンのはじまり「ジェネシスブロック」のコーヒーマグとか。私たちの目的は使いやすくて満足のいくユーザーエクスペリエンスのデジタル通貨支払いシステムです。私たちは自分たちが経験した三つのプロセスを共有したいと思います。

    パート1:学ぶ

    私たちの仮説は「デジタル通貨をすでに持っている人はそれを使いたい」でした。すでに似たようなシステムはありますが、それがうまく活用されているのか、実際に利用しているのかがわかりませんでした。

    Earnで調査

    Joeは Earn.com を利用してデジタル通貨の利用と動機について調べました。Earnは回答者に現金またはビットコインで受け取ることができるので、私たちにとって素晴らしいツールでした。

    過半数以上の人 (93%) はデジタル通貨を投資目的で所有していました。そして、多くの人 (83%) はデジタル通貨で何か買うことに前向きでしたが、半分の人 (49%) が実際にデジタル通貨で何かを飼った経験があるだけでした。最後の質問は「どうしたらデジタル通貨を使いますか?」というオープンな質問で、詳細なフィードバックを得ました。 Joeは回答を以下のように分類しました:

    この調査では「利便性」(28%) が最も重要だとわかりました。次が割安感、価格の安定、売り手が受け付けること、暗号化通貨でしか買えないものと続きます。これらの結果からさらなる疑問が生まれました。

    どうすればモノを買いやすくなる(利便性が高まる)?スクリーンの数を少なくすればいい?QRコード?満足いくアニメーション?ステータスの可視化?

    利便性はユーザーエクスペリエンスにフォーカスすることで解決できそうな問題のようです

     手数料、税金、個人情報、最先端な感じと答える人はあまり多くなかったのには少し驚きました。おそらく、利便性に比べるとニーズとしては高くないのでしょう。暗号化通貨の特徴を強調することでデジタル通貨での買い物における使いやすさ、セキュリティー、利便性を改善することができるかもしれません。

     これらの調査の結果はマルシェの開発をするための調査を継続する正当性となりました。

     もし興味があれば、オリジナルのデータはこちらにあります。

    競合調査

     競合調査では暗号化通貨を支払い方法として採用しているeコマースサイトのチェックアウトのプロセスを研究しました。実際には Coinbase CommercePursePayBearそしてEtsyです。

     このチェックアウトプロセスのデザインの調査でEtsyのショップの一つがデジタル通貨を扱って支払いをシミュレートするのを見つけました。そこで、イーサリアムのパーカーをカートに入れ、いくつかのステップののちにチェックアウトすることができました。確認画面が表示され、メールが送られてきましたが、支払いの情報は全く入力していません。特にやることはなさそうだったので、そのまま普通に暮らしていました。

     数日後にイーサリアムのパーカーが出荷されたという出荷確認がメールで送られてきました。特に売り手から連絡はなく、私が実際に支払いしてないことを知らないのかもわかりません?わお。

     私たちは売り手はデジタル通貨を受け取るオプトインをしなければいけないことを知っていました。しかし、それは支払いを回収するのには十分な情報ではありませんでした。

     悪のデザイン反対運動の推進者として私たちは売り手にコンタクトをして状況の説明しました。予想通り、売り手は何も状況を理解していませんでした。売り手は支払いがされたかわかりませんし、無償で商品を送っているかもわかりません。ウォレットのアドレスをメッセージで送ってくれたので、BitPay を使って支払いを完了しました。

     私たちはこの得られた知識を善意と適切なデザインを議論する目的で共有しています。支払いシステムを悪用しないようお願いします。善良であってください。

    EtsyのショップオーナーにGoogle Formを使ってアンケート

     この経験をしてEtsyの他の売り手にもデジタル通貨を受け入れるエクスペリエンスのフィードバックをもらいたいと考えました。私たちは5つの質問で構成されるシンプルなアンケートをショップのオーナーに送りました。

     調査で分かったのはネイティブでデジタル通貨をサポートしていない貧弱な支払いシステムがチェックアウトで使われているということでしたが、それでも売り手は引き続きデジタル通貨を受け付けていく意向があるということでした。

     これによりマルシェの方向性を検証することができました。これこそまさに私たちが提供しようとしていたものですから。チェックアウトの間にスキャンして支払いを直接サイトに送ることです。

    売り手と会話する

     言葉を広めて支払いの受け入れについてフィードバックをもらう素早い方法として、近くのコーヒーショップやファーマーマーケットに行って売り手と直接話をしました。デジタル通貨は真のピアツーピアの支払い方法なので、ファーマーマーケットで試してみる価値はとても大きいです。人と人の取引で、中間業者がいません。

     私たちが話をしたほとんどの人は Square のPOSを使ってApple PayとGoogle Payを受け付けていました。そこで「ビットコインは扱ってないんですか?」と聞いたところ、回答は「いや」か「それってApple Payで扱ってるの?」か「ビットコインって何?」でした。そこで、デジタル通貨のことを説明して、売り手と買い手のメリットについても説明しました。

     Earnでの調査を振り返って考えると、売り手の受け入れについてどう考えればいいでしょうか?もっと見えるようにする必要があるし、市場での加速も必要そうです。改善の余地は大いにありそうです。でも、どうやってメリットについて伝えればいいでしょうか?

    パート2:開発してみる

     私たちは取引のプロセスがどのようになるのかを理解したいと考えました。そこで、機能するプロトタイプの開発をはじめました。これは自分たちで支払いシステムのプラットフォームが開発できるという技術的な仮説検証でもありました。

     これはブロックチェーンのユニコーンがチームにいることで初めて可能になることがわかりました。例えばBrandon Fancherのように。彼が機能するバージョンのマルシェを作り、ユーザーテストをすることが可能になりました。

     マルシェはReact *1ベースのWebアプリケーションでHeroku *2上のNode.js *3Express *4でホストされています。Bitcore-wallet-service *5、階層的決定性ウォレット(HD wallet:hierarchical deterministic wallet)とBIP39の暗号を解読するBIP39ニューモニック(BIP39 mnemonics)を使ってビットコインキャッシュ(BCH)での支払いを処理します。ビットコイン(BTC)は手数料が安いので選びました。そして技術スタックによってビットコインキャッシュ(BCH)に簡単に変換できるからです。

    フローチャート

     JoeとBrandonはユーザーとの接点の鍵となるユーザーとテクニカルのフローを作りました。この俯瞰的な視点はUXの改善点の発見に役立ちました。特にプロセスをもっと便利にできる部分です。これは時間が経つにつれて変わることを意識しています。

    パート3:実際の人(と猫)で試してみるニャー

     私たちはマルシェをデジタル通貨とビットコインの取引について知識がある人(と)で試してみました。

     私たちの究極的なゴールはパパやママが使えるくらい簡単なものをデザインすることだったので、(最初は)その複雑さを十分理解していてデジタル通貨のタッチポイントを理解している人からフィードバックをもらうことにしました。ハイテク好きのペルソナで私たちのMVPの最初のアーリーアダプター層です。

     これが意図的に「ジェネシスブロック」のマグカップを選んだ理由です。そうすることでクリプト信奉者を集めることができると考えました。

     この機能するプロトタイプでマルシェを試すために朝のコーヒーセッションを開催しました。完全に機能するわけではないですが、これは学びの実験で、多くの面白いことを学ぶつもりでした。

    The Workarounds

     デザイナーの観点で見るとデジタル通貨のユーザービリティテストは全く異なったものでした。理想的には単にユーザーにプロダクトを渡してそれを観察したいところでしたが、今回はもう少し手助けが必要でした。

     テストしてくれる人たちに実際のお金を使ってもらうわけにはいかないので、取引をするのに十分なビットコインキャッシュがあるBitPayウォレットが入った私のスマホを渡しました。BitPayのユーザービリティーをテストしていないので、これは完璧なシナリオとは言えませんでした。BitPayを使っていない人には、少し慣れが必要でした。

     少し歪曲された結果になることはわかっていましたが、私たちは完全な取引をするためにこのようなやり方をする必要がありました。それでも最初期にこれほど多くのことが学べたので、これはこれでいいのです。

    チェックアウトのフロー

     チェックアウトのプロセスをテストしている時、どの個人情報をマルシェが求めているのか、いないのかで混乱があることに気がつきました。

     現実の世界では送り先の住所を入力して、支払いの住所が同じか違うか確認をします。支払いの住所の確認のステップがないことに気がついたユーザーは私たちがこのステップを入れるのを忘れたのだと考えました。

     もちろん、忘れていません。暗号化通貨で支払い処理をする場合、支払い住所は必要ないのです。なぜなら、支払い住所などないのですから。ウォレットに住所はリンクされていません。

     これはユーザー教育とステップを通じての明確さがさらに必要だということです。情報がないこと、どうしてないのか。これらはユーザーのセキュリティーに関する見方を軽減します。ね、おもしろいでしょ?

    ビットコイン(BCH)からアメリカドル(USD)に

     そして、ユーザーがビットコインキャッシュの額とそれに対するアメリカドルの価値を見たときに混乱することが観察できました。マルシェはユーザーが考えるようにデザインされています。これはいい取引レートなのか?なんで二つのコストがあるのか?もっといい取引レートになるまで待ったほうがいい?Amazonのような伝統的な取引ではアメリカドルの額を見て特に考えることなく続けます。

     たとえデジタル通貨の考え方を理解した人であっても、テストセッションでは混乱しました。知らないわけではないのです。単にクレジットカードを使ういつもの慣れたやり方と違うからです。つまり、この分野に慣れた人でも使い勝手の問題に遭遇することを学ぶことができました。まだまだ改善の余地があります。

    次のステップ

     私たちはアンケートをたくさん送って、動くプロトタイプを作って、人とユーザビリティーテストをすることによって多くを学びました。これがMVPの目的であり、UXのプロセスです。

     私たちはマルシェを立ち上げ、プロモーションをして、実際のユーザーで試す計画です。そしてもちろん、オーダーしてくれた人にはマグカップを送ります!

    関連記事

     

    *1:JavaScriptのフロントエンドライブラリー

    *2:PaaS(Platform as a Service)と呼ばれるサービスで、アプリケーションを実行するためのプラットフォーム

    *3:環境非同期型のイベント駆動のJavaScript環境

    *4:Node.js向けのMVCフレームワーク

    *5:BitPayのライブラリ

  • エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    原文:”Welcome to our digital nation, Payoneer” by Kaspar Korjus

    ぺイオニア(Payoneer)はペイメントのプラットフォームで、起業家がグローバルに支払いや支払いの受け取りをローカルと同じように簡単にできることを実現します。しかも、ローカルの銀行口座なしに。

    本日、エストニアの電子国家にぺイオニアを招待し、世界中に急速に拡大するエストニアの仮想住民(e-resident)に専任のサポートを提供します。仮想住民の企業はすでに200カ国で150通貨と35言語で運営されています。

    このコラボレーションはエストニアの仮想住民に金融サービスの選択肢を広げることになります。同時にぺイオニアにとって400万人の既存顧客へのグローバルなEU企業を完全にオンラインで設立する機会が提供できることになります。私たちはぺイオニアの既存顧客にエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に理解していただき、登録していただきたいと考えています。

    多くのエストニアの仮想住民はすでにぺイオニアを利用して、そのサービスに前向きなフィードバックを私たちに伝えてくれています。そして、この協力関係はぺイオニアとエストニアの仮想住民制度(e-Residency)がさらに利用しやすくなることを促進します。

    この結果、ぺイオニアは仮想住民に向けて特別なキャンペーンを実施しています。このリンクを通じてぺイオニアアカウントを登録すると、口座登録3カ月以内に$5,000の支払いを受け取ることができます。さらに$250を受け取ることができます。エストニアの仮想住民はさらに低い手数料、より高い取引量、特別サポートなど特別な条件でサービスを受けることができます。

    ぺイオニアがエストニアの仮想住民に提供するもの

    口座は世界のどこからでも完全にオンラインで開設することができ、国境をまたいでビジネスをする世界の起業家に有益な多くの機能があります。

    ぺイオニアのグローバルペイメイントシステムを使えば仮想住民に複数の国の複数の貨幣でカードを含めた支払いを受け取ることができます。仮想住民にとって重要なのはぺイオニアの口座所有者が口座から資金を引き出し、個人の銀行口座に移せることです。これによりエストニアにある仮想住民の会社のために法人口座を作れない場合でも、伝統的な銀行口座の必要性がなくなります。

    これは仮想住民がEUの法人口座を持てるというだけではありません。アメリカ、イギリス、日本、中国、カナダやオーストラリアの現地銀行があるかのようにエストニアの会社がお金を受け取れるのです。

    必ず必要なわけではありませんが、ぺイオニアでお金の取引をするのに一番簡単な方法な、ぺイオニアのネットワーク内で取引をすることです。Amazon、Google、UpWork、Fiverr、Airbnb、ShutterstockやGettyImagesを含め、すでに多くのマーケットプレイスがぺイオニアを利用しています。フリーランス、アフィリエイトマーケティング、Amazonでの販売、アプリ開発、ストックフォトなど場所に縛られないビジネスを展開している企業にとってこれはとてもメリットがあります。

    仮想住民はぺイオニアの口座から国をまたいだ支払いもできます。サービス、サプライヤー、従業員や契約社員への支払いなどです。ぺイオニアのネットワーク内での支払いや、ペイメントカードでの支払いの他にもSEPA(Single Euro Payments Area 単一ユーロ決済圏)内であれば銀行への直接送金も可能です。

    バンキングの将来

    仮想住民の制度(e-Residency)を開始して場所に縛られない起業家にサービスを提供してから銀行へのアクセスは最大のチャレンジの一つでした。

    それでも大きな流れは明白でした。

    新しい技術は急激に世界中の人たちに起業の機会を広げています。会社の設立、会社の運営やバンキングなどのビジネスツールは完全にオンラインで低価格で少ない労力でできるようになっています。それでも、まだまだ改善する余地はあります。

    グローバルに生活し、どこからでもオンラインで仕事をするのは新しいスタンダードです。行政と金融機関はともに国境や官僚主義から生まれる障害を少なくするようなスマートなソリューションを提供する努力をすべきです。

    エストニアはぺイオニアが私たちのデジタル国家に参加することを歓迎します。なぜなら、私たちは世界中にとって選択肢が増えること、価格を低く抑えること、障害が少なくなることを歓迎するからです。

    エストニアの仮想住民制度もぺイオニアもそれぞれ世界で急激に広がりを見せています。特に東アジアなど私たちのスタート地点から離れた場所で顕著です。偶然ですが、今年には双方とも韓国に新しいオフィスを設立し、韓国の起業家支援に力を入れています。これにより力を合わせて現地の起業家支援を強化することができます。

    仮想住民は以下のリンクからさらにぺイオニアの提供するメリットについて学ぶことができます。

    ぺイオニアの顧客はエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に関してe-resident.gov.eeで学ぶことができます。また、以下のブログ記事ではどのように場所に縛られない会社を設立できるのかを学ぶことができます。

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  • コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    ソース:”20VC: MOST DOWNLOADED FOUNDER EPISODE OF 2017: BRIAN ARMSTRONG, FOUNDER & CEO @ COINBASE” by The Twenty Minute VC

    ざっくり言うと

    • なんでAirbnbを辞めて起業した?
    • ビットコインとイーサリアムの違いは?
    • ICOについてどう思う?VCをディスラプトする?

     The Twenty Minute VCのポッドキャストでコインベースの創業者でCEOのBrian Armstrongのインタビューをやっていました。コインベースは世界で最も成功している仮想通貨関連スタートアップで、仮想通貨関連で初めてユニコーンとなりました。コインベースを起業する前はAirbnbでソフトウェアエンジニアとして働いていました。

     

    なんでAirbnbを辞めて起業したんですか?

    • 2010年にAirbnbでソフトウェアエンジニアをやっている時。Hacker Newsを見ていた時にサトシ・ナカモトの論文が出てきた。クリスマスの夜にそれを読んだ。すごく興奮した。
    • 夜や週末を使ってミートアップをやったりコードを書いたりした。まだその時は起業しようなんて考えていなかった。周りの意見を聞いても自分に自信を持てなかった。
    • 実際に起業をしようと思ったのは2012年の夏にY Combinatorに参加してから。もらえるのは150K(1600万円くらい)だけど、このアイデアを信じてくれて投資してくれる人がいるという事実が自信につながった。お金をもらったことよりも自信をもらったことが重要だった。

    参考:コインベースの初期のピッチデッキ

    ビットコインとイーサリアムの違いは?

    • コインベース自体は特定の暗号化通貨に偏ることはない。これからも新しい暗号化通貨が出てくると思う。それを踏まえながらビットコインとイーサリアムの違いは三つ。
    1. スケーラビリティの違い(イーサリアムの方がスケールできる)。ビットコインは1秒で3から7の処理しかできないが、イーサリアムは1秒で17から25の処理ができるし、シャーディングなどでさらに処理速度を速める計画がある。ビットコインはコミュニティーが一枚岩でなく、スケーラビリティに関して意見が分かれている。
    2. 使われている言語の違い(イーサリアムの方が複雑なことができる)。ビットコインでは四則計算くらいしかできないが、イーサリアムは完全なプログラミング言語が備わっている。安全性の問題など色々と懸念されているが、開発者にとっては強力なのがイーサリアム。
    3. 関わっているチームの違い。ビットコインもイーサリアムもスマートな人たちの集まりだが、文化の違いがある。ビットコインは初期から参加している人たちが多い。理想的な動機を持っている。イーサリアムは技術集団で何ができるか可能性を探るのが好き。

    ICOについてどう思う?

    • ICOはイーサリアムブロックチェーンの上にトークンを発行してそれを売ることで資金調達をすること。ICOはIPOを想起させるからあまり好きな言葉じゃない。トークンセールとも言われるけど、そっちの方が個人的にはしっくりくる
    • 長期的には色々な可能性があるが、短期的には試行錯誤が続くと思う。ガートナーのハイプ・サイクルをたどる。

    ICOはベンチャーキャピタルをディスラプトする?

    • 現在のベンチャーキャピタルは資金調達と付加価値サービス(アドバイスやコネクション)がバンドルされている。両方価値があるものだけど、バンドルされる必要があるかは疑問はある。
    • 将来的に(クラウドファンディングやICOなどを使って)アーリーアダプターから資金調達をして、アドバイザーには株式を与えるなどすることは可能かもしれない。

    スケーラビリティの問題についてどう思う?

    • スケーラビリティは技術的な問題より政治的な問題が大きい。これは分散化の特徴でもあるのだけれど、いまのビットコインの状況は分散化のために生産性が損なわれているように見える。
    • 技術的に見ればTwitterやYouTubeをスケールさせる方がブロックチェーンをスケールさせるよりずっと難しい。技術的にはクレジットカードのトランザクションに追いつくのは十分可能だと思うし、摩擦を減らすことでユーザービリティに関してはクレジットカードをはるかに超えることができる。

    Airbnbで学んでコインベースで応用していることは?

    • Airbnbでは多くのことを学んだ。多くの経験をコインベースで活かしていて、その一つは人の採用。求める人材の基準を高く持つこと。企業が大切にしている価値を基準とすることなど。
    • ミッション・ドリブン(create an open financial system for the world)な企業というのもAirbnbとコインベースの共通点。それを全体会議や様々なコミュニケーションチャネルで伝えるようにしている。

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  • 10年たっても誰もブロックチェーンの使い道がわからない(ブロックチェーンは時の試練に耐えられるのか?)

    10年たっても誰もブロックチェーンの使い道がわからない(ブロックチェーンは時の試練に耐えられるのか?)

    ざっくり言うと

    • 期待されている分野でいまだに使われていないのはそれなりに理由があるのでは?と問題提起
    • マウントゴックスやThe DAOなど様々な失敗を繰り返してそれを改善する価値がそもそもあるのだろうか(最近だとコインチェックもこれに加わったわけですが)
    • 盲目的に批判しているわけでなく、過去の事例とデータに基づくそれなりの知識とロジックで批評しているので、読む価値がある

    追記:はてなブックマークで誤訳をご指摘いただき直しました(憶測→投機)。ありがとうございます😊

    原文:”Ten years in, nobody has come up with a use for blockchain” by Kai Stinchcombe

     ブロックチェーン(ビットコインなど暗号化通貨を支える技術)が世界を変えると誰もが言っています。それにしても、何年もの必死の努力と数百万ドルの投資にも関わらず、誰もブロックチェーンの有効な使い道を見つけ出していません。通貨の投機と違法取引を除いては。

     それぞれ主張されているユースケース(決済から法的文書、エスクローから投票システムまで)は誰も必要としない分散化、暗号化した匿名台帳の使い道をひねり出したものでしかありません。もしも分散台帳が実際になんの使い道がなかったとしたら?もし、開発された10年後になって、分散台帳を誰も利用しないのは誰も望んでいないからだったとしたら?

    決済と銀行

     ブロックチェーンの元々の意図した使い方はビットコインのような通貨に力を与えることでした。そのほかの通貨と同じように価値を貯めたり交換できる。ビザと マスターカードは絶滅寸前の恐竜だと主張しています。中抜きする仲介人が必要なく無料で簡単に価値を交換できる仕組みがあるのだからと。銀行の革命ははじまったばかり。政府の命令でもう通貨は発行されなくなる。一般市民が自由にどの国にも属さずに取引ができるのだから。

    キラー機能:実際の商品と違った場合、お金が戻ってくる

     その夢から覚めるのにそれほど時間はかかりませんでした。一つには、仲介を必要としない価値の交換手段がすでにたくさんある:それは現金。ビットコインは米国ドルの代替ですが、ビザやマスターカードはドルベースの銀行取引システムに基づいていて、不正取引の紛争仲介や売方買方の身元確認など付加価値サービスを提供しています。プロダクトを購入した人にとって、新しい決済システム(例えば初期のPayPal)の特徴はプロダクトが実際のものと違った場合、お金が返ってくると確信できることでした。そして、プロダクトを売る側にとっては顧客がそれを利用することが価値となります。さらにクレジットラインを使えたり、飛行機のチェックイン枠を増やせたり。誰もビットコインで支払いたいと思わない。それがビットコインが実際には普及していない理由です。

    ビザをブロックチェーン上で機能させるには5,000基の原子炉が必要となる

     さらに、それほどいい決済システムでもありません。ビザは1秒で6万トランザクションを処理できるのに、ビットコインは1秒で7しか数えられません。ビットコインを改善するための技術的な改良は続いていますが、スタート地点としても現在機能しているシステムの0.01%の能力しかない。加えて、たった7つの処理を行うためにビザの35倍のエネルギーが消費されます。もしビザと同じトランザクション量を処理するならビットコインは全世界全て合わせたエネルギー量が必要になります

    政府の干渉なく取引が自由にできる

     多くの国で(そして自分の国で)権威から離れて自由にできることが多くなれば世界を変えることができるでしょう。キューバやベネズエラのような国では米ドルで取引をすることが好まれるし、ビットコインは理論上は同じ役割を果たせるはず。それでもビットコインが万能薬とならない理由が二つあります。それは個人にとって政府が持つ優位性と、社会にとって政府が持つ優位性です。

    マウントゴックスは顧客のお金を全て失った

     政府から支えられている銀行システムはFDICの保証、ACHの可逆性、身元確認、監査標準、何かが起きた時の捜査システムなどがあります。その反面、ビットコインはそのデザインからそのような保証はありません。私はメールシステムがハッキングされたことでパスワードが盗まれ、その結果として全てのビットコイン口座が空っぽになった人を知っています。何も頼れるものがないことに立ち尽くすしかありませんでした。そしてそれは個人に収まることはありませんでした。2014年に当時は最大だったビットコインの取引所のマウントゴックスが400万ドルの価値のビットコインを失いました。その次に最大となったビットフィネックスは顧客の資産を失った後に一時閉鎖しました。銀行から資産がもっと盗まれる世界を想像してください。ビットコインは中世の銀行のようです。「ここがリバタリアンの楽園です、よい日を!」

    解説

    • FDICとは米連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation)のこと。預金を保護する米国政府の独立機関。
    • ACH(Automated Clearing House)とは米国連邦準備銀行(FRB)による小口決済システムを使った銀行間取引の仕組み

    ビットフィネックスも顧客のお金を全て失った

    モンゴルの銀行はロシアの制裁によって400%の取引増加を経験した。新しいスローガンは「ビットコイン:モンゴルの警察より少ない」

     第二に政府の政策はテロリストや組織犯罪の資金調達を防止するようデザインされ、盗難されたクレジットカード番号や児童ポルノなど違法な取引を防止します。メインストリームののぞみは取引をプライベートで行い、令状の元でもそれがわからないこと。「政府がお金のやり取りをしている人のリストを持つべき?」と聞けば、ほとんどの人は「ノー」と答えます。しかし、「政府は令状の元で児童ポルノのコレクターとお金の取引をしている人のリストを持つべき?」と聞かれれば、ほとんどの人は「イエス」と答えるでしょう。誰も政府が違法だという状態で現在の100倍のビットコインの取引を望んでいません。ビットコインの熱烈な信奉者がいうように「現金がいま発明されたのら、それも違法となっていただろう」

    マイクロペイメントと銀行間取引

     ブロックチェーンを基盤とした通貨のユースケースとして二つ期待されているユースケースを取り上げる価値があります。それはマイクロペイメントと銀行間取引。マイクロペイメントに関しては無料で素早いこと。実際の処理には8分かかって、お金も4セントかかるのですが。人々はマイクロペイメントにビットコインが使えるといいます。例えば曲を聴くたびに2セントをミュージシャンに支払うとか、新聞記事を読むたびに4セントを支払うとか。それを実現するインフラ(例えば新聞記事を読むために8分も待たずに済む高度なファンドの認証)自体がビットコインの必要性をなくすでしょう。もし新聞記事を読むために4セント支払ったり、曲を聴くごとに2セント支払う気があるのであれば、月々の支払いを銀行で設定するだけでいい。そもそもマイクロペイメントよりサブスクリプションの方が好まれているのだから。

    登場から三年経過したRippleとSWIFTを比較するのは爪楊枝とアメリカのGDPを比較するのと同じ

     銀行間取引に関していえば、Rippleが有望視されています。過去30日間で2億ドルの銀行間と個人間の取引を処理しましたが、それはSWIFTにとっては40秒間の取引量と同じです。3年間も90%の取引がある貨幣を取り扱っているにも関わらず。これはアメリカのGDPと爪楊枝の売り上げの比率と同じくらい。なぜ銀行はこの新しい技術を使わないのでしょうか?それはRippleのゲートウェイを設定するのは既存のシステムとさほど変わらないから。パスワードやセキュリティートークンの紛失はさらに大きな被害がもっと早いスピードで広がるというだけ。みなさんが覚えているように、ビットコインの取引所で起きてしあった数より、避けようとしている数の方が多いこと。エンドユーザーにとって魅力的なシステムは銀行にとっても魅力的なシステムとなる。彼らはすでに台帳があり、分散化や匿名化が必要なければ可逆性を犠牲にする必要もありません。

    「スマート」コントラクト

    「スマート」コントラクトは法的文書ではなくソフトウェアとして書かれたものです。ブロックチェーンに直接組み込めるため、暗号に書き込まれた価値の移管において関わる人々との合意形成をすることができる。別の言い方をすれば自動実行をすることができる。理論的に言えばソフトウェアに書き込まれた契約書は読み込むコストが安い。なぜなら文字通り数学的で自動だから。複数の解釈はありえないし、高価な法廷での戦いも必要ありません。

    The DAOはすべての顧客のお金を失った

     しかし実世界の例ではこれが問題なことを示しています。最も特筆すべき現時点で最大のスマートコントラクトはthe Distributed Autonomous Organization (DAO)という投資メカニズムです。メンバーはプライベートな暗号鍵を使って何に投資するのかを投票できます。弁護士もマネージメント費も大理石の役員室もなく、the DAOは「ディレクターやファンドマネージャーが持つ誤まって投資家の資産を無駄にする能力を排除」しました。

     しかしながらソフトウェアのバグによりthe DAOはメンバーの資産の1/3である5000万ドルを「投資」することに「投票」しました。その投資先はバランスのアップデートの際の再帰問題を知り尽くした賢い開発者グループが作り上げた機構でした。これが意図された動きをしたわけでないので、ハックや脆弱性の悪用と言うものもいます。別のものはハックではないと言います。

     ソフトウェアは自律的に意思決定をし、複数の解釈ができません。ソフトウェアがどのように動くのか理解できないのであれば、そもそも参加すべきではない。最終的には全員が集まり、ソフトウェアのコントラクトを遡って変更し(ハードフォークして) 、お金を元の持ち主に戻すことに決めました

     そこからの学びは?たとえ最も熱狂的なブロックチェーン信奉者でもコントラクトの意図について人間が集まって議論をしたがると言うこと。ソフトウェアに委ねるのではなく。おそらく「バカな」やり方のほうがスマートだと言うことでしょうか。

    暗号化の熱心な信奉者でもコントラクトの意味を議論したがる

     The DAOは色々な示唆に富む実験でした。しかし、企業の単純な取引は?スマートコントラクト分野のスタートアップや投資家はブロックチェーンは超高速の実行と決済を提供すると約束しています。たとえばヘルスケアの申し込み。90から180日かかる清算のプロセスや長い時間電話でやり取りしなければいけない今のやり方に変わり、理論的にはその場で完了するはず。しかし、それはどのようなソフトウェアベースの購買システムで同じこと。私の会社が利用しているAWSのサービスはトラフィックに応じて自動的にスケールして、それに応じた請求します。スマートコントラクトがそれを変えると言うのは誤まった考えではないでしょうか。法的アレンジメントがソフトウェアによって実行されるのか、法的契約がソフトウェア自体に組み込まれるのかがごちゃ混ぜになっています。AWSのサービス条項はスマートコントラクトではないが、それを実行する清算システムは自動化されています。健康保険の請求書は自動化されていない。問題は現在のソフトウェアが請求を処理できるほど「スマート」で電子的に支払いができないことではありません。単に保険会社の動きが遅く、偶然または意図的に人によるレビューを好むからです

    ビットコインはこれをさらに早くできる?

     ブロックチェーンの信奉者であろうと健康保険業者であろうとと人間の言葉でビジネスの関係を議論したいし、変化によって解釈していきたい。フルフィルメントとペイメントのソフトウェアに関してはすでに存在します。現状と何も変わりません。

    分散ストレージ、コンピューティング、メッセージング

     ブロックチェーンを分散ストレージとして活用するアイデアもありえそうにありません。一見いいアイデアに思えます。ドキュメントをブロックに分けて暗号化して分散台帳に載せる。複数の場所でバックアップされ、安全で、何が起きたかトラッキングできる。

     しかしすでにドキュメントを分割して、暗号化して、複数のストレージに複製するやり方はたくさんあります。すでに安価な分散型のDropboxを名乗る企業があり、暗号化したファイルを複数のユーザーのハードディスクに保管できる。利用させてもらっているスペースのために少額のフィーを払うだけでいい。ブロックチェーンはそれを非効率的にあまり安全でないやり方でやろうとしているだけ。

    ブロックチェーンにこれできる?(訳者注:いや、これ要らないだろ!)

     ブロックチェーンを基盤としたストレージには更に4つの問題があります。

     最初に暗号化のポイントが一つ(自分自身のプライベートキー)しかなく、他の洗練されたニ段階認証、侵入探知、取引量制限、ファイヤーウォール、リモートIP追跡や緊急時のシステム切り離しなどの機能がない。

     第二に価格のトレードオフがまったくない。10億ドルに相当する電力を消費してできることが私が払っているDropboxの毎月のサブスクリプション費10ドルの1/6の価値を処理するだけです。

     次に長期的にみればどこでどれくらいのデータを複製するかシステム的に選べるのは利点です。ブロックチェーンのデータ複製のやり方は単純にスマートではありません。

     最後にDropbox、Box.com、Google、Microsoft 、AppleやAmazonがすでに提供している機能と価値を一から作るのは大変です。

     ビザのたとえと同じですが、データの保存は問題ではありません。アクセス権の管理、以前共有したデータの暗号化解除、履歴の簡単な閲覧、複数のデバイスでの共有などです。

     同じことが分散コンピューティングやセキュアメッセージアプリにも言えます。暗号化して永遠に保存して全体のネットワークに複製するというのは実現しようとすることと比べてオーバーヘッドが大きすぎます。他にもブロックチェーンより優れた暗号化や複製が可能なコンピューティング、メッセージング、ストレージのソリューションはあるし、それ以外の機能もついてきます

    株式発行

     NASDAQがインターナルでブロックチェーを基盤としたプライベートの証券取引を立ち上げた時は大々的に発表されました。しかし(間違っていたら教えてください)、NASDAQやDTCCのような取引システムは自身の台帳を持っているのではないでしょうか?彼らはブロックチェーンがなければ台帳が機能しなくなると心配してるのでしょうか?その他の取引追跡プログラムと同様にNASDAQの台帳とブロックチェーンの違いは分散化しているかどうか。信頼できる中間業者の欠落。それでも企業自体、名義書換代理人、手形交換所や取引所はすべて中間業者だし、付加価値サービスを提供しています。

     NASDAQがブロックチェーンが適している理由は彼らが証券取引における法令遵守とセキュリティの専門家だからです。NASDAQを含む中間業者と政府を排除することで法律手続、法令準拠、追跡といったメインストリームの市場では常識を回避しようとする限定された企業を選択することになります。非上場株を取引している人に言わせれば、これはお金を盗まれる条件を満たしているということです。

    なぜ証券を発行するときに多くの書類が必要となるのか

     そして私たちはすでにそれを目撃しています。新しい企業がブロックチェーンを活用して株式に変換できる「コイン」を発行、ICOとして市場で販売しています。ICOは伝統的なIPOと比べて安価な資金調達方法です。この狂騒がいつまで続くのかを注目しています。SECは他の株式提供方法と同様にICOもあつかうでしょう。そうなれば、これらの「コイン」が単に安全でない証券なのか、または規制や法律の回避手段なのかわかるでしょう。

    身分証明書

     もう一つのブロックチェーンの利用シナリオがパブリックで改変不可能、変更ができない署名です。ブロックチェーン上に発行することができます。分散台帳を売買方法ではなく日誌のようにとらえます。理論的には投票の集計、ダイヤモンドやブラウザ品のオリジナルや身分証明、ドメインの所有権、エスクローのアイテム保存、公証文書などに使えます。

    一人一票。ビットコインのウォレットを数えるのは大変!

     それぞれのユースケースを詳しく見るまでもなく、破綻を予見することができるでしょう。現在の投票は投票箱に投票用紙を入れるのが現在の仕組みです。記者や立会人が両脇から投票箱を監視します。投票の非常に難しい問題は投票の匿名性を確保しつつ、一人一票の原則を守ることです。紙は現時点ではブロックチェーンより上手く扱うことができています。

     あなたが持つ運転免許証の確認はパスワードやプライベートキーが盗まれたものではないということです。しかしパスワードやプライベートキーが十分であるならば、PGP鍵でも十分ということになります。

     ブランドの真偽やダイヤモンドが倫理的に発掘されたものかを確認するのに分散台帳を使うことで付加価値は生まれません。ブランドはオンラインで確認できる証明書を発行するだけで済んでしまいます、これまで同様に。

     エスクローに関していえば第三者の確認なしにスマートコントラクトで自動的に商品に対する支払いを行い、商品を取っておくことができるようになるでしょう。しかし、それでもその商品が宣伝されていたものと同じであること、きちんと配達されるものであることを信頼できる業者に確認してもらう必要があります。

    現代社会で何かを知っているという証明

     最後に反駁にたいする証明をしたい場合。たとえば「自分が情報が一般に公開される前にXを知っていた」という証明。暗号化してGmailやHotmailを使って自分自身にメールしてもいいしBitbucketに入れてもいいでしょう。印刷して公証人に認証してもらってもいい。自分自身に郵送して消印をつけてもいい。MD5でハッシュしてツイートしてもいい。しかし、それを求める産業はどれくらい大きいのでしょうか?このようなサービスを提供する大きな企業が存在しますか?

     ドメインの名前解決(特定のURLを入力すると、Webサイトが表示される仕組み)は全てがデジタルレコードとなったスマートコントラクトによって支払いが台帳に登録されることでドメインの名前解決が行われ、ドメインのエスクローサービスの必要性をなくすと言われています。

     しかし、the DAOの事例でも分かる通り、価値の高いドメインが盗難やセキュリティーの問題で台帳を書き換えなければいけないことが起きたらどうでしょうか、例えば裁判所の命令で。政府が保証している、法律が保証している銀行口座、本当の企業はセキュリティーの問題により誰かが永遠に不可逆的にbankofamerica.comやdisney.comやsony.comのようなドメインを保持することを望んでいません。ブロックチェーンを採用することで盗難や艤装の可能性は高まります。

     仮説的に聞こえるかもしれませんが、実際に多くのビットコイン取引所がハッキングされています。それがドメイン名のプロバイダーで起きない可能性はあるのでしょうか?

    で、何が残る?

    未来の洗濯機は自分たちの洗剤を自動でオーダーできる

     それぞれ些細なことに見えるかもしれません。そう、ブランドのハンドバックは証明書やオンラインでチェックできるID番号が既にあります。それぞれのユースケースで既に数億の開発費用をかけてそれだけを専門にやっている会社があるのです。

     もっと難しい分野に行くこともできるでしょう。例えばブロックチェーン上のSecond Lifeやブロックチェーン上の洗濯機がスマートコントラクトで自動的に洗剤を補充するとか、スポーツチームで監督の指示がブロックチェーン上に記載されるとか、(これほんと!)

     最終的に、クレジットカードの身元確認といった取引に関わる現在の人とソフトウェアの優位性はブロックチェーンを上回ります。また不可逆性や自動実行の隠れたコストもあります。ブロックチェーンの信奉者はAからBにお金を写すことが難しいことだと主張しているように見えますが、実際にお金を移してそれを記録するのは複雑なシステムの中でも簡単な部類です。

    間違った取引をレポートして取り消す権利を失うことを引き換えに飛行機のフリークエントフライヤープログラムをクレジットカードとともに無くしてしまいたいかなんて実際のところ誰も調査したことなどない。

     そしてブロックチェーンの用途は最初の話に戻ります。通貨の投機と違法取引、そして学び。

     ビットコインの信奉者や投資家、コンサルタントと話をしていると、彼らは現在どのように何かが動いているかの知識に欠けていることがあります。そして、現在のシステムがどのような価値をユーザーに提供しているのか。もしくは、興味がないのかもしれません。

     ビットコインのPOSレジを開発する上で、間違った取引をレポートして取り消す権利を失うことを引き換えに飛行機のフリークエントフライヤープログラムをクレジットカードとともに無くしてしまいたいかなんて実際のところ誰も調査しません。

     推測するにIPOがこれほどコストかかる理由、ベンチャーキャピタルの書類作業がこれほど煩わしい理由は高給取りの弁護士や会計士が無駄な紙の作業をしているからだと考えているのかもしれません。20代のスマートだけど業界経験のないエンジニアたちは数百ドルのベンチャーキャピタルと数ヶ月の作業で自動的に何かを成し遂げることができるのだろうと。

     しかし、実際はそんなことないようです。

    兄弟、オレとスマートコントラクトしないほうがいいぜ!

    解説

     未来はまだ確定していない。ブロックチェーンが次のプラットフォームになるかもしれないし、ならないかもしれない。ブロックチェーンの未来を信じるのも自由、信じないのも自由。メディアを名乗るのであればいろんな角度から情報提供をするべきだと思うんですよね。

     自分の意見と違うから耳をふさぐのはよくない(と言うか勿体無い)と思います。ちゃんと調べてなければここまで書けないですからね。だからこそ、普段とはちょっと違ってブロックチェーンに批判的な記事を翻訳してみました。これを読むとエストニアの「エストコイン」に関する提案は理にかなっていることがわかります。

     ブロックチェーンは未来のプラットフォームだとボク個人は信じています。コインチェックやテザーなどの疑惑がブロックチェーンによるイノベーションを遅らせるのだとしたら、それはとても残念なことです。それでもイノベーションの道を切り開くのが起業家であり開発者であり、デザイナーなんだと思います。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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  • 中国アリペイが2017年のデータを発表:中国の最新モバイル決済最新事情

    中国アリペイが2017年のデータを発表:中国の最新モバイル決済最新事情

    ざっくり言うと

    • 微信支付(ウィチャットペイ|WeChat Pay)に一時期追い上げられて50%までシェアを落とした支付宝(アリペイ|Alipay)が徐々に勢いを取り戻した。
    • 交通系(日本で言うところのモバイルSUICAみたいな)のモバイル決済が躍進の原動力。
    • 使えば使うほど信用がつくことも重要なポイント。芝麻信用(セサミクレジット|Sesami Credit)とう信用ポイントがつくことでクレジットも利用できるようになる。
    • ここでは書いてないけど、微信のミニプログラムに対抗するためにも支付宝もミニプログラムを立ち上げた。そこでもこの芝麻信用がすごく重要な役割を果たしている。
    • 以前に紹介したアメリカのフィンテックの状況と中国のフィンテックの状況は明らかに違う。

    原文:「支付宝发布全民账单:芝麻信用累计为4150万用户免押金超过400亿」by 史艺敏(猎云网)

     アント・ファイナンシャルグループ(蚂蚁金服|マーイージンフ)傘下のアリペイ(支付宝|ジーフーバオ)は2017年のデータ「全民账单」を発表しました。データによると2017年においてアリペイプラットフォームの移動体通信におけるシェアは82%。これと同時に、データはコマースプラットフォーム上で「ウォレット」が検索の数がはじめて下降したことを示しています。支付宝(ジーフーバオ)が「支払いコード(收钱码|シュオチェンマー)」を立ち上げ、「乗車コード(乘车码|チゥェンチャーマー)」を普及させ、シェアバイクをサポートしました。私たちはただスマホを持って外出して、コードをスキャン。コードのスキャンは中国人の日常になりました。今年は中国の「コードの年」と呼ばれるでしょう。

     モバイル決済は単に財布を持たない便利さだけではなく、社会の潜在能力を大きく活性化する可能性があります。モバイル決済では信用を蓄積することができるため、多くのユーザーがクレジットが使えるようになり、保険などさらに多くの金融サービスを利用できるためにギャップを減らしています。

    10の支付宝利用のうち、8がスマホから

     今回発表されたデータによると、2017年に5.2億ユーザーが利用した支付宝(ジーフーバオ)のモバイル決済のシェアは82%:贵州省山西省が92%で一番利用されています。全て新記録です。前回は1省でしたが、今回は11省でモバイルペイメントのシェアが90%を超えました。モバイル決済がほぼ全ての側面をカバーするにつれて、より多くの人が財布を持たずに外出ができるようになります。

    「アリデータ(阿里数据|アリシュジュ)」で発表されたデータはある傾向を示しています。過去3年、「荷物」カテゴリーの検索ボリュームは増えているにも関わらず、「ウォレット」の検索が2017年から減少しはじめています。

     モバイル決済の飛躍的普及の原因の一つは支付宝の「收钱码|シュオチェンマー)」の普及です。この一年で中国の隅々に渡る4000万以上のスモールビジネスが支付宝のQRコードを利用してキャッシュレスで売上データ化の実現をしました。現在、レストランの支払いだけでなく、ショッピングやUFOキャッチャーに焼き芋屋の屋台、ストリートパフォーマンスまで全てモバイル決済をサポートしています。

     モバイル決済の中国における普及は伝統的な業種にも影響を与えています。2017年3月に二名の男性が飛行機で杭州に向かい、コンビニ三軒で強盗を行いましたが現金2000中国元(約3万5000円)しか手に入れることはできませんでした。これでは旅費にすらなりません。

    交通機関と公共サービスがモバイル決済をサポート

     公共交通機関は都市では最も重要な移動手段です。しかし、長い間、シグナルと時間的な要求をクリアすることができず、モバイル決済の最も困難な壁の一つでした。国内外における慣習は小銭か交通カードの利用でした。そして、技術進化によって2017年には30都市を超える交通機関と地下鉄で支付宝(ジーフーバオ)がサポートされました。これにより「財布を持たなければいけない最後の理由がなくなった」と多くのネット民が感じました。

     更に市民は出かけることなく家で各地の公共サービス部門が設置した支付宝の「窓口」経由で支払いをすることができ、万事それで済んでしまいます。2017年に2億人以上の市民が社会保障、交通、行政など12カテゴリーの100以上のサービスの支払いに支付宝を利用しました。

     支払い、買い物、外出において財布を持たずに出かけられ、多くの国にも広がっています。2017年、支付宝は中国の歩みと歩調を合わせて加速しました。累計で36過酷の数十万の商店でサービスを受けられ、支払い件数は2016年と比べて306%伸びました。このような生活は世界中に広まっています。

    モバイル決済はグローバルに

     財布を持たずに外出することは中国人にとっては日常となっています。多くの外国の要人がこのエクスペリエンスに賞賛を送っています。シンガポールのリー・シェンロン首相は演説の中であるエピソードについて語りました。シンガポール政府職員が中国の街角でスマホを取り出し栗を買うのを見て非常に驚いたそうです。リー・シェンロン首相は中国のモバイル決済技術をシンガポールで取り入れることを表明し、最大のタクシー会社が支付宝(ジーフーバオ)をサポートすることとなりました。

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     事実上、調査会社ForresterとiResearchによると中国のモバイル決済市場規模はアメリカの90倍で、世界をリードしています。北京外国語大学のシルクロード研究員が行なった「一带一路における20国青年調査」で高速鉄道、ネットショッピング、シェアバイクと並んで支付宝(ジーフーバオ)を中国の「新四大発明」と位置付けています。

    モバイル決済が信用貸付サービスを促進

     モバイル決済は連鎖反応も引き起こします。モバイル決済では信用の蓄積ができるため、より多くの人が信用貸付や保険など多くの金融サービスが利用できるようになります。たとえ焼き餅や野菜の屋台でも「支払いコード(收钱码|シュオチェンマー)」を通じてクレジットでお金を借りることができます。

     モバイル決済は更に貧困地区にも多くの機会をもたらします。832の貧困郡と特貧郡においてアント・ファイナンシャルグループ(蚂蚁金服|マーイージンフ)は795地域でサービスを提供し、便利な支払いとクレジットサービスを提供しています。2017年にこれらの地域でのモバイル決済の割合は90%です。

     モバイル決済による信用の増加は社会資源の活性化をもたらします。たとえば無担保の信用貸付。2017年末までに「セサミクレジット」(芝麻信用|ジーマーシンヨン)は累積で4150万ユーザーとなり無担保ローンは400億中国元(約6900億円)となりました。無担保ローンによりユーザーは重要な場面で利用することができ、社会創造の価値を増大させることができます。

    支付宝(ジーフーバオ)は毎年データを公表していて、2017年のデータも2018年1月2日に公表されました。それに伴って中国ではこの件に関する記事がたくさん書かれています。一時期WeChat Payに追い上げられて50%近くまでシェアを落としましたが、だいぶ盛り返した感じですね。公共サービス系の支払いができるのがすごいなと。

    中国語は英語に比べるとあまり得意ではないのですが、日本に帰ってきてからあまり使う機会がなく錆びついてきてはいけないと感じて一念発起しました。間違ってたら優しくTwitterで教えてください。

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  • フィンテック革命が失敗した理由

    フィンテック革命が失敗した理由

    Verizon、AT&TとT-Mobileが2010年に共同で立ち上げたモバイルペイメント。その名も『ISIS』…いや、マジで。その後、こっそり『Softcard』と名前を変えて2015に終了。

    原文:”Fintech, a Failure?” by Jake Fuentes

    ソフトウェアは世界を飲み込む」という宣言がされた2010年にはモバイルとクラウドの波がすべて変えてしまうのではないかと思えた。交通やホテルやその他多くの産業をテクノロジーが混乱に落とし込み、シリコンバレーは次の獲物を探していた。ノロマな60兆円の王冠をかぶった怪物。それが銀行業界だった。

     この獲物は十分に熟れて食べごろに見えた。サービスが普及しているにもかかわらずユーザーから非難されている徹底的に老朽化した固定費の高い産業。 更にリーマンショックから回復したばかり。銀行の過ちが大きく経済を後退させたのをみんなが目撃したばかり。時は来た。シリコンバレーは動きはじめ、VCはテクノロジーを使ってファイナンスを変革するスタートアップを追い求めた。そしてフィンテックが生まれた。

     その7年後の現在。SquareStripeがペイメントでブームを巻き起こし、WealthfrontBettermentが投資管理に挑戦し、テクノロジー業界はBitcoinに夢中になっている。しかし、アメリカのリテールバンクの領域はそのまま手付かず。むしろ、もともと強力だった伝統的な金融機関はより強力になった。一時期もてはやされたLending ClubProsperは苦戦している。勝者は確かに存在するが、テクノロジーは本当の意味において銀行に革命を起こさせていない。フィンテックは既存の銀行をぶち壊すのではなくパートナーとなることを選び、VCの投資もより有望な分野に移りつつある。

     ひょっとしたら成功すべきスタートアップは現れてないだけなのかもしれない。それにしても、当時に描かれた夢の2017年と現実の2017年はかなり違う。当時の神託は実現されていない。モバイルペイメント、オール・デジタル・バンキング、新しいクレジット・モデル、真に包括的な金融システムが実現されるだろうと。そのビジョンが完全に荒れ果てているわけではないものの、なぜ期待されたディスラプションを(まだ)起こせないのか考察する価値はある。

    預金口座とパーソナルファイナンス:サプリ問題

    評価: F (もちろん主観的なもの)

     まず自分の会社からはじめよう:Level Moneyは予算管理アプリとしてはじまった。ユーザーが自分のお金を「大人のおこづかい」として簡単に管理できる。Level Moneyは銀行の新しいフロントエンドとして使用できると考えた。シンプルなUIを維持しながら、金融商品をアプリケーションに組み込んでいった。そして次世代の銀行を作る上で「これはサプリなのか?クスリなのか?」という根幹的な問題にぶち当たった。自分たちは病気を治すクスリを作ってるんだと納得させようとしたが、実際に作っていたのはサプリだった。サプリは毎日のめば長期的なメリットがあるけど、クスリみたいに病気のときにすぐに必要なものじゃない。

     銀行はたしかに好かれてなかった。それでもSimpleMovenDigit、Check、Level Moneyといったのアプリはサプリ問題に繰り返し繰り返しぶち当たった。ユーザーは銀行を変えたいという潜在的な願望を持っているかもしれない。でも、それを明日に延ばしても死ぬわけじゃない。ファイナンスの透明性を望んでいるかもしれないけど、現状を維持することが最大の抵抗だったりもする。解決策を売り込むために問題があるんだと説得しなければいけないなら、それはすでに負け戦と言える。

     いまのところ、この分野で成功したスタートアップはまだない。数多くのスタートアップだけでなくPayPalですら挑戦したにもかかわらず。

    ローン:ファストワールドのスローマネー

    評価:C

     銀行はどっちにしても口座でお金を稼ぐわけではない。ローンのために口座であえて損をしている。ローンは銀行の儲けの源泉であり、新しいデータソースを使った貸出には大きな改善が期待できそうだった。そこでLending ClubProsperSoFiAffirmなど多くのスタートアップが参入した。

     私たちが後に学んだように、この分野のスタートアップが直面する基本的な課題は時間。新しいプレイヤーにとって競争上の優位性は悪い貸付と良い貸付を見分けられること。それは貸したお金が数年後にちゃんと返済されないと証明できない。そして、モデルが証明されるまでは、急速に成長しないように注意しなければならない。これは爆発的成長とそれに伴う利益に慣れたVCやスタートアップ業界にとってイライラすることだ。

     さらに、信用はマクロ経済の信用サイクルに大きく依存する。私たちは何年もの間、信用の高い環境にいて、この分野にとってそれはいいことだった。でも、市場が変われば、それはまったく別の話。

    ペイメント:ぶっちゃけカードで困ってない

    評価:B-

     ペイメント領域には特筆すべきいくつかの明るいスポットがある:Square、Stripe、Venmoは大きな波を作った。業界はSquareのモバイルでのカード支払いを、VenmoのP2Pを慌てて滑稽な形で真似をした。

     しかし、祝福をする前にペイメント領域がそもそも抱いていた野心を思い出そう。金融サービスのすべての分野のうち、モバイルデバイスがペイメントを支配はずだった。モバイルペイメントは(それが涙で終わるまでは)明るい未来だった。数え切れないほどのスタートアップがハイプに乗っかって激しくクラッシュした(Clinkleを覚えている?)。 Googleウォレットが何回も再起動して、そのたびに失敗した。アップル – あの全能のアップル! – ですらモバイルペイメントの広がりを加速させていない。ペイメントには多くの進歩があったけど、フィンテック時代の神託を実現するには至っていない。

     大小にかかわらず多くの企業がモバイルペイメントに挑戦したが、イライラするほど変化がなかった。理由はシンプルで、やっぱりサプリ問題。電子決済は現金よりも優れている。ただモバイルデバイスでの決済はカードをスワイプするよりも大きく優れているわけではない。SquareとStripeはお店がカードを受け入れやすくした。Venmoは人から人への支払いでも同じことをした。でも、Googleウォレット使ってTargetで5%安く買い物ができる程度では染み付いた習慣を変えることはできない。人は技術が新しいとか、洒落ているとか、哲学的に優れているから新しい技術を使わない。あとから考えてみれば当たり前なんだけど、いつもそれを忘れてしまう。

    投資管理:ロボアドバイザーの時代

    評価:B+

     フィンテックの中でも目立つ動きがあるのが投資管理。Wealthfrontが2008年に設立され、投資領域は根本的に違って見えるようになった。ロボ・アドバイザーは高い報酬の割にパフォーマンスの低いファンドマネジャーに宣戦布告をして、上場投資信託が支配していたパッシブ・マネジメントに波を起こした。同時に、Robinhoodは取引手数料に攻撃を仕掛けた。Robinfoodは300万人のユーザーを獲得している(E*Tradeは360万人)。

     それでも、ロボ・アドバイザーは米国で182億ドルの資産を管理しているに過ぎない。大きな額であるものの、20兆ドルの個人投資家の総資産からするとまだ少ない。 変化には常に時間がかかる。ファイナンスの世界はさらに足が遅い。たとえロボ・アドバイザーが市場を拡大しても、底辺への競争の価格体系は長期的な収益性の問題となるかもしれない。しかし、少なくとも部分的には強力なテクノロジーからの挑戦で伝統的な業界に本当の変化が起きていることは確か。

     テクノロジーは金融サービスを諦めたわけではない。ただFintechに対するVCの投資は冷え込んでいる。確立されたCredit Karmaのような企業は新しい分野に進出しており、AspirationUpstartErninのような新しい企業にも期待は持てそうだ。ただ、これからの足が重くなるであろうこともこれからの経験から学ばないといけない。本当にローンのような分野に一撃を与えたいならVCドルは苦手なことをしなければいけない:待つこと。市場はモデルを証明するのに十分に長い時間をかけて重い足取りを進む起業家を支援する必要がある(ローンに関してはMax Levchinがその人だろう)。

     世界がクリプトカレンシーやその他の技術に注目するにつれ、初期のフィンテックから学ばなければいけない。いいカナヅチを持っていると全てがクギに見えてくる。わずか数年前、そのカナヅチはクラウドコンピューティングとモバイルデバイスだった。そしてそれは一巡した。みんな次の獲物を探している。次の波を見逃したくないから、シリコンバレーは「こいつは全てを変えちまう」という物語に乗っかってしまいがち。でも、時自分たちは間違っていることが多いということを忘れてはいけない。現状を変えるために必要があるのか製品の良さを割り引いて考えないといけない。素晴らしい成功を祝うだけでなく、なんで間違ってしまったのか。次のハイプに乗る前に。

    解説

    前に”Bank 3.0“という本を読んだ。Movenの創業者のBrett Kingが来たるべき銀行の新しい姿を描いた本。その前にアフリカでMペサがあって。うわ、すげーっ!て思って。ああ、フィンテックってちょっと前まではこういうのだったよなあ。そうだ思い出した。フィンテックは銀行を飲み込むはずだったんだ。そうか、あれがフィンテック1.0だったのか。この記事を読んでそんなことを考えていました。

    この記事はLevel Moneyの元共同創設者でCEOだったJake Fuentes氏が自らのスタートアップを含めたフィンテック1.0の失敗について書いた”Fintech, a Failure?“の翻訳です。ここで描かれるアメリカのフィンテック事情は日本とちょっと似てる。まあ、日本がアメリカのスタートアップを追っかけてるってことでもあるんですが。Squareを追っかけてるCoinyとかWealthfrontやBettermentを追っかけてるWealthNaviTheoとか!

    いまはクリプトカレンシーに注目が集まるフィンテック2.0なのかもしれません。ここにはないけど送金サービスのTransferwizeなんてめっちゃ成功してるし。日本は日本で後追いしてるだけでなく、独自の動きとかもあります。Cashなんていい例ですよね。中国やスウェーデンではペイメントを中心に独自な発展がありますし。また盛り上がりそうなフィンテック。だからこそ、立ち止まって振り返ることも大事。彼が共有してくれている失敗から多くを学ぶことができると思います。成功より失敗から学ぶことの方が多いのですから。

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