Aqua Voiceで何ができる?会議AIとの違いと6つのユースケース

OS標準の音声入力でも、自動句読点や基本的な修正に対応する環境があります。それでも仕事では、長い話を短くする、メールやSlack向けに整える、ChatGPTへ伝わる指示に組み立てるといった作業が残ります。

Aqua Voiceは、こうした「文字にした後」の負担まで減らすことを狙ったAI音声入力です。

一方、Teams、Zoom、Google Meetの会議AIは、複数人の会話を記録し、要約や次の作業として共有することが中心です。製品によっては、会議要約を使ったメールの下書きにも対応します。

両者の違いは、文章を作れるかどうかではありません。扱う音声と、主に使う場面が異なります。

会議AIが「会議全体を記録し、共有できる形へ整理する」ためのAIなら、Aqua Voiceは「自分が次に使う文章や指示を作る」ためのAIです。

この記事では、OS標準音声入力や会議AIとの違いを整理しながら、Aqua Voiceを仕事で使う6つの場面を紹介します。

※本図は2026年時点の公開情報をもとに、Aqua Voiceの代表的な機能、利用場面、事例を整理したものです。機能、料金、提供条件は変更される場合があります。公式が示す性能や効果は、独立検証ではなく提供元の説明を含みます。

Aqua Voiceは何をする製品か

Aqua Voiceは、メール、チャット、文書、AIチャット、開発ツールなど、多くの入力欄で使うAI音声入力です。

2026年7月時点では、macOS、Windows 10/11、iPhoneに対応しています。iPhone版はiOS 17以降が必要です。12

代表的な機能には、音声入力、デスクトップ版で使われる名称のAI Edit、iPhone版で下書きや選択中の文章を修正するVoice Edit、固有名詞を登録するCustom Dictionary、文体や整形ルールを指定するCustom Instructions、過去の入力を確認するHistoryがあります。34

Aqua Voiceの価値は、文字起こしの精度だけではありません。入力先と目的に合わせて、そのまま使いやすい形へ整えるところにあります。

ただし、音声認識はクラウドで処理されます。オフラインモードはなく、利用にはインターネット接続が必要です。5

Aqua Voice、OS標準音声入力、会議AIはどう違うか

三者は一部の機能が重なっています。どれか一つが常に優れているのではなく、何を入力したいかで使い分けます。

比較項目OS標準音声入力Aqua VoiceTeams・Zoom・Google Meetの会議AI
主な目的OS内で音声から文章を入力する音声入力を仕事用の文章や指示へ整える複数人の会議を記録・要約・共有する
主な音声一人の入力一人の入力会議参加者全員
使うタイミング入力中入力・編集時会議中と会議後
主な成果物入力テキスト。環境によって句読点、修正、基本的な整文にも対応入力先に合わせたメール、投稿、文書、プロンプトなど文字起こし、会議要約、決定事項、共有用記録
強み無料またはOSに内蔵され、すぐ使える辞書、継続的な文体指定、音声編集、複数アプリでの共通利用会議全体の記録と組織内共有
注意点機能はOS、端末、言語によって異なるクラウド処理と、有料プランが前提になる機能があるプラン、管理者設定、保存・共有条件が製品ごとに異なる

Windowsの音声入力は自動句読点や修正に対応し、Voice Accessでは文章の選択や削除もできます。Appleでも句読点や改行を指定できます。短い文章なら、OS標準機能で十分なこともあります。6

固有名詞を辞書へ登録したい、同じ文体や整形ルールを複数の入力先で使いたい、話した内容をメールやプロンプトへまとめたい場面で、Aqua Voiceの意味が大きくなります。

会議の正式記録にはTeams、Zoom、Google Meetが向きます。Aqua Voiceは、会議前後の文章作成や日常入力を補います。

Aqua Voiceを理解する5つの視点

1. 特定のアプリに閉じず、多くの入力欄で使う

Gmail、Google Docs、Notion、Slack、ChatGPT、Claude、Gemini、VS Code、Cursorなど、普段使っている入力先で利用する発想です。

すべてのアプリで同じ動作が保証されるわけではないため、実際の入力欄で確認します。

2. 音声を文字にするだけでなく、整える

話した内容を下書きにするだけでなく、短くする、要点を抜き出す、トーンを変える、翻訳するといった加工を行います。

3. 入力先の文脈に合わせる

同じ内容でも、顧客メール、Slackの投稿、提案書、ChatGPTへの指示では、必要な長さと文体が異なります。Custom Instructionsを使えば、好みの書き方を継続して反映できます。

画面上の情報を参照するDeep Contextは初期状態では無効です。利用者が有効にした場合に画面の情報を参照するため、会社で使う場合は、どの画面を読ませてよいかも確認します。1

4. 開発者以外にも使える

開発者向け事例だけでなく、メール返信、社内連絡、文書の下書き、調査整理、移動中のメモにも使えます。

5. 会議AIやOS標準音声入力を置き換えるのではなく補う

会議AI、OS標準音声入力、Aqua Voiceのどれか一つに統一する必要はありません。

短い入力はOS標準機能、会議の記録は会議AI、複数の入力先で文章や指示を整える作業はAqua Voice、という使い分けができます。

Aqua VoiceでAIを活用する6つのユースケース

1. メールやSlackの返信を、話しながら下書きする

分類:文章作成・編集|始め方:最も試しやすい

伝えたい要点を声で説明し、メールやSlackに合う長さと文体へ整えます。

たとえば、「相手の提案には賛成だが、納期だけ一週間延ばしたい」「会議のお礼と、次回までに確認してほしい二点を送りたい」と話します。最初から完成文を読み上げる必要はありません。

下書きした後に、「半分の長さにして」「最後の一文を柔らかくして」「箇条書きにして」と話し、文章をさらに直すこともできます。最初の音声入力で完成させるのではなく、話しながら下書きと修正を重ねる使い方です。

顧客メール、進捗共有、会議後のお礼、依頼文に使えます。人名、数字、期限、約束した内容は送信前に確認します。

2. 長いメモや調査内容を整理する

分類:要約・整理|始め方:長文を扱う人向け

考えたことを一度まとめて話し、要点、論点、次に行う作業へ整理します。

会議後の自分用メモ、調査結果の整理、企画の論点出し、次のアクションの抽出などに向いています。

ここで作るのは、参加者全員の正式な会議記録ではありません。自分が次の仕事へ進むためのメモです。会議全体を残したい場合は、会議システム側の文字起こしや要約を使います。

3. ChatGPTやClaudeへの指示を音声で組み立てる

分類:AIチャット入力|始め方:生成AIを日常的に使う人向け

ChatGPTやClaudeへ仕事を頼む際、「何をしてほしいか」だけでなく、背景、条件、使う資料、避けたい表現まで伝える必要があります。

声なら背景や条件を多く説明しやすくなります。話した内容を、調査依頼、記事構成、壁打ちの論点、複数条件を含む作業指示へ整えます。

長く話すことより、AIが実行しやすい順番へ整っているかを確認します。

4. 開発ツールやAIエージェントへ指示を出す

分類:開発・技術作業|始め方:開発者・高度利用者向け

開発作業では、コードを読み上げるより、修正方針、エラー状況、PR説明、AIエージェントへの指示を話す使い方が中心です。

VS CodeやCursorへの指示、Claude Codeへの作業依頼、コードコメント、コード変更をレビューしてもらうための説明(PR説明)、ターミナルで使う指示の下書きなどに使えます。

AIが作ったコマンドは、処理内容と対象ファイルを確認してから実行します。

音声だけで完結するのではなく、コード周辺の説明と指示作成を速くする用途です。

5. 会議後のフォローと社内連絡を作る

分類:コミュニケーション|始め方:会議が多い人向け

Teams、Zoom、Google Meetの会議要約を確認した後、自分が送る返信、依頼、進捗共有をAqua Voiceで作ります。

会議AIにも要約の共有機能があり、製品によってはメールの下書きも作れます。Aqua Voiceの違いは、会議以外の入力先でも同じ辞書や指示を使えることです。7

決定事項の社内共有、担当者への依頼、次回会議の確認事項、欠席者への説明など、会議から次の仕事へ移る部分を補います。

6. iPhoneで、下書きから音声修正まで仕上げる

分類:モバイル・音声編集|始め方:iPhone利用者向け

iPhone版では、音声入力したメモや返信をVoice Editで短縮、言い換え、翻訳、段落分けできます。選択中の文章も音声で修正できます。3

たとえば、移動中に考えを長めに話し、立ち止まった後に「三つの箇条書きにして」「Slack向けに短くして」と直します。単に手入力を音声へ置き換えるのではなく、スマートフォン上で下書きから編集まで進める使い方です。

外出先でのメモ、移動中の短い返信、アイデアを忘れる前の記録などに向いています。キーボード操作が負担になる人にも役立つ可能性がありますが、特定の障害や支援ニーズへの適合性は、実際の端末と環境で確認します。App Store上では、開発元が対応するアクセシビリティ機能を申告していません。2

公共の場所では、機密情報や顧客情報を声に出さないようにします。運転中など、周囲への注意が必要な場面では使用しません。

まず試すなら、この5つから始める

最初は、次のうち一つの用途に絞ります。

  1. メール返信
  2. Slackの投稿下書き
  3. ChatGPTへのプロンプト
  4. 会議後のフォロー
  5. 長いメモの要約・整理

普段キーボードで作る文章を選び、30秒から1分程度で話します。生成文を、自分で書いた場合と比べます。

固有名詞の誤りはCustom Dictionaryへ登録し、長さや文体の好みはCustom Instructionsへ反映します。

意味が変わっていないか確認してから送信します。

安全に使うために確認すること

AIによる整文は、内容の正しさを保証しない

文章が読みやすくなっても、数字、人名、期限、条件、依頼内容が誤って変わる可能性があります。

顧客への送信、契約、金銭、採用、法務、医療など、影響が大きい文章は必ず元の意図と照らして確認します。

話す場所と内容を選ぶ

音声入力のプライバシーは、サービス側のデータ処理だけではありません。

オフィス、電車、カフェなどでは、周囲に聞かれて困る情報を口にしないようにします。

クラウド処理とデータ保持を確認する

Aqua Voiceの音声認識はクラウドで処理され、オフラインモードはありません。

公式FAQでは、通常設定で文字起こし結果を保持する場合があると説明しています。Privacy Modeを有効にすると保持されず、Teamでは組織全体へPrivacy Modeを適用できます。

Enterpriseでは、Zero Data Retention、SSO/SAML、SCIMなどが案内されています。1

導入時には、最新の契約、プライバシーポリシー、管理者設定を確認します。

会社の管理端末や社内ネットワークでは条件が異なる場合があるため、実際の端末と入力先で確認します。

Deep Contextの利用範囲を確認する

Deep Contextは初期状態では無効です。有効にすると画面上の情報を参照します。

会社で使う場合は、顧客情報、個人情報、機密資料など、どの画面を読ませてよいかを確認します。

速度や精度は、自分の仕事で確かめる

Aqua Voiceは、キーボード入力やOS標準音声入力との違いを公式サイトで説明しています。ただし、速度や精度は、話し方、マイク、周囲の音、言語、専門用語、入力する文章によって変わります。5

具体的な数値を紹介する場合は、独立した比較試験ではなく、Aqua Voice側の公表値であることを明記します。

会議を記録するAIではなく、仕事を進めるために話すAI

Aqua Voiceは会議AIの代替ではありません。OS標準音声入力にも句読点や修正機能があります。Aqua Voiceの違いは、辞書や継続的な指示を使い、複数の入力先で仕事用の文章やAIへの指示へ整えることです。

会議を記録し、参加者と共有したいなら会議AI。短い文章をすぐ入力したいならOS標準音声入力。入力先に合わせた文体や構成に整え、同じ使い方を複数のアプリで続けたいならAqua Voiceです。

まずは次のメールかSlack返信を、音声で下書きしてみてください。

  1. Frequently Asked Questions|Aqua Voice↩1 ↩2 ↩3
  2. Aqua Voice: AI Voice Keyboard|App Store↩1 ↩2
  3. Aqua Voice for iOS|Aqua Voice↩1 ↩2
  4. Changelog|Aqua Voice
  5. Dictation Software for Windows PCs|Aqua Voice↩1 ↩2
  6. Use voice typing to talk instead of type on your PC|Microsoft SupportEdit text with voice|Microsoft SupportDictate text on iPhone|Apple Support
  7. Recap in Microsoft Teams|Microsoft SupportUsing Meeting Summary with AI Companion|Zoom SupportTake notes for me in Google Meet|Google Meet Help