タグ: リドリー・スコット

  • 映画評|『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』リドリー・スコット監督作品(2024年)

    映画評|『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』リドリー・スコット監督作品(2024年)

    リドリー・スコット監督作品『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』の映画評です。前作は観ていないのですが、特に問題なく楽しめました。リドリー・スコット監督といえば前年の『ナポレオン』(2023年)がコケて、今年に制作に回った『エイリアン:ロムルス』がスマッシュヒットして面目躍如。さてさて、監督作品としてはどうですか?という感じの本作です。

    舞台は引き続き帝政ローマ時代。戦いで捕らえられ、奴隷の身分で剣闘士として戦うルシアス(ポール・メスカル)。ルシアスの正体はだれなのか?自由を勝ち取ることはできるのか?という話です。典型的な英雄譚です。普通に英雄譚なのでテーマもありきたりです。むしろ古臭い。古臭さがいい方向に作用すればいいのだけれど、今回は単に古臭いだけ。ネタバレしたくないので、具体的にどう古臭いのかは言えないのですが。リドリー・スコットも衰えたなあ……という印象です。


    www.youtube.com

    キャラクター造形は役者頼み。『アフターサン』(2022年)でめきめきと頭角を現してきたポール・メスカルを主役に据える。どこか陰のある演技が得意な印象だったけど、マッチョな役も演じることができるのねと。その対象として描かれるのが富豪で剣闘士のスポンサーでもあるマクリヌス(デンゼル・ワシントン)。ローマ時代に黒人の富豪がいたのかかなり疑問だけど、デンゼル・ワシントンは『マクベス』(2021年)でスコットランドの将軍マクベスも演じているからまあいいか。この二人がキャラクター造形の中心に据えられ、対立構造で話は進む。確かに個性的な俳優ではあるのだけれど、「仏作って魂入れず」の印象がぬぐえない。なぜなら二人があまりにも典型的なキャラクターだから。

    エンターテイメントとしてはそれなりに楽しめたけれど、わざわざ劇場に足を運ぶまではなかった。

     

  • 映画評|『エイリアン』リドリー・スコット監督(1979年)

    映画評|『エイリアン』リドリー・スコット監督(1979年)

    言わずもがなのリドリー・スコット監督のライフワーク的な「エイリアン」シリーズの第一作目。

    宇宙船ノストロモ号は、ほかの宇宙船からの救難信号を受けて、未知の惑星に降り立つ。そこには異星人の宇宙船「ジャガーノート」があり、異星人の遺体のようなもの(スペースジョッキー)がコックピットに座っていた。船内には卵のような謎の物体があり、船員たちはそれを持ち帰るのだが……という話です。

    久しぶりに観ましたが、シリーズ中一番の美的センスですね。一番古い作品なのに。人間のテクノロジーは『2001年宇宙の旅』(1968年)の影響が色濃いのだけれど、エイリアン側のH・R・ギーガーの独特すぎる様式美が素晴らしい。ゼノモーフはもちろんのこと、フェイスハガーにチェストバスター。そしてジャガーノートにスペースジョッキー。ここまで消費されても経年劣化しない。いまだに通用するアイコンですよね。

    ストーリーはいわゆる「エイリアン展開」です。中身を書くとネタバレになってしまうので書きませんが、わかる人にはわかりますよね。何回観てもドキドキする。「志村後ろ!」とどっちが先なんだろ。

    エイリアン (字幕版)

    エイリアン (字幕版)

    • シガーニー・ウィーバー

    Amazon

     

  • 映画評|『ナポレオン』リドリー・スコット監督(2023年)

    映画評|『ナポレオン』リドリー・スコット監督(2023年)

    リドリー・スコット監督による皇帝ナポレオン・ボナパルトと皇妃ジョセフィーヌの関係性を題材とした歴史ドラマです。IMAXで鑑賞。

    18世紀末、若き軍人ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命される。ナポレオンは快進撃を続け、クーデターを成功させて第一統領に就任、そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。一方で妻ジョセフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)とは歪な関係が続くのだが……という話です。

    タイトルは『ナポレオン』なのですが、実際は『ナポレオンとジョセフィーヌ』と言ってもいいくらい、二人の関係性に焦点を当てた作品だと思いました。歪な愛情を持つ二人の不器用な愛が本作の中心にあります。ナポレオンの場合はジョセフィーヌと同じくらいフランスと陸軍を愛している。

    ジョセフィーヌはもうちょっと複雑でナポレオンが与えてくれる物を通じてナポレオンを愛している。そしてナポレオンはSなフリしたドMで、ジョセフィーヌはSなんだけどSになりたいナポレオンに合わせてMをやってる。まあ、歪なんです。キャラクター造形は二人に焦点が絞られているので、とても明確なキャラクターが浮かび上がってきます。

    ストーリーはナポレオンの戦争がメインとなっています。そのため戦場のシーンが非常に多い。当時は陣形とかなくてお互いに隊列を作って正面からぶつかりあう戦いでした。この戦い方はゲリラ戦に弱くて、その辺もちゃんと描かれていました。しかしなんといっても戦闘シーンは圧巻です。IMAXで観てよかった。予算が10倍以上違うから比べるのも酷なのだけど、『首』よりもずっと迫力がありました。ただ、予算だけじゃなくてカットと編集もこちらの方が上だったとも思いますけどね。

    本国アメリカでは興行的にはコケてしまいましたが、それも分からなくはないです。なぜならナポレオンの生涯としてはとてもあっさりダイジェスト的だからです。大河ドラマ的なのを期待していたら物足りないでしょうね。でも、ナポレオンとジョセフィーヌの関係性を通じた人間ドラマだと思えばとても面白かったですよ。

    ナポレオン

    ナポレオン

    • Joaquin Phoenix

    Amazon