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  • イノベーションとディスラプションの違い|アメリカの有名ベンチャーキャピタリストの考えるトレンド

    イノベーションとディスラプションの違い|アメリカの有名ベンチャーキャピタリストの考えるトレンド

    アメリカには多くのベンチャーキャピタルがあり、有望なスタートアップに投資をして、IPOやM&Aなどで投資で得た株式などを売却することで多くの利益を出しています。ベンチャーキャピタル自身が大きな資金を持っているわけではなく、機関投資家などから資金を集め、それをスタートアップに投資をします。実際に株式を売却できるほど大きくなるスタートアップの数は少なく、ベンチャーキャピタルのクライアントにとってはハイリスク/ハイリターンの投資です。

    投資を回収するには有望な技術やトレンドについて常にアンテナを張り巡らせてなければいけません。ベンチャーキャピタルにとっては信頼性が大切ですし、信頼されるためには投資の回収実績を上げなければいけません。マーク・アンドリーセンとベン・ホロヴィッツによるアンドリーセン・ホロウィッツ(最初のAと最後のZの間に16のアルファベットがあるためにa16zとして知られる)は、クライアントからもスタートアップからも信頼されているベンチャーキャピタルの一つです。

    a16zは技術トレンドやスタートアップに関するポッドキャストを配信しています。ベンチャーキャピタルのユニオン・スクエア・ヴェンチャーズの共同創業者であり有名ブロガーでもあるフレッド・ウィルソン(画像の写真右)とのインタビューが興味深かったので、そのサマリーを抄訳として紹介します。インタビューの相手は暗号化通貨に強いa16zのクリス・ディクソン(画像の写真左)です。

    イノベーションとディスラプションの違い

    • 技術的なイノベーションは常に出てきているが、イノベーションがディスラプションに繋がっていない
    • 例えばモバイル前とモバイル後では人気のあるWebサイトはそれほど変わっていない。Facebookがいい例。モバイルというイノベーションはFacebookを破壊せず、モバイルを取り入れたFacebookはより強固になった。
    • ディスラプションは既存のビジネスモデルを破壊することによって起きる。Googleは広告をビジネスモデルにした。それまではライセンスで課金されていたのが、広告で無料になった。
    • ビジネスモデルが変わると全てが変わる。それまでの強みが弱みになり、新規参入がしやすくなる。
    • 暗号化通貨(クリプト)など暗号化技術はディスラプションを起こす可能性がある。それは単に技術の変革ではなく、ビジネスモデルの変革だから。これまでの広告やサブスクリプションのような既存のビジネスモデルではなく、トークンのビジネスモデルになる。

    革新的なイノベーションとディスラプションの要素

    • 革命的なことが起きるには重要な要素が揃っていることが必要。インターネットの場合はブロードバンドだった。モバイルの場合はiPhoneだった。暗号化通貨(クリプト)にはまだ重要な要素が揃っていない。
    • クリプトが本当に利用されるには本当の意味での分散化を実現しなければならないし、セキュリティーも高めないといけない。そして、ATMネットワーク程度の処理能力を持たないといけない。これはインターネットにはブロードバンドが必要だったのと同じ。
    • その理由でNFT(代替不可能なトークン)には投資しているが、DEX(分散化した取引所)にはあまり投資していない。長期的にクリプトは有望だが短期的にはクラウド(特に開発者とエンタープライズむけのSaaS)の方が投資先としては有望。

    暗号化通貨(クリプト)に期待すること

    • 暗号化通貨の世界はもっと新しい資金の市場が生まれることを期待している。もちろん、詐欺の横行など問題になってるのは理解している。それでも、これまでベンチャーキャピタルの市場の中に入れなかった普通の人たちが投資家として参加できるのは素晴らしいこと。これはスタートアップにとってもにとっても良いこと。
    • 多くの人は投資としてのクリプトと利用としてのクリプトを二つに分けているが、これには反対。投資するにはユーザーである必要がある。FacebookのユーザーがFacebookを作り、YouTubeのユーザーがYouTubeを作っているのに、投資に参加できない。これはおかしい。
    • Twitterが大きくなるときにクリプトがあったら、きっと取り入れてただろう(フレッド・ウィルソンはTwitterの初期からの投資家で『ツイッター創業物語』にも登場します)。

    • インターネットの初期の頃はインターネットで置き換えるオフラインのものに投資していた。オンラインニュースとか、オンラインショップとか。オンラインほにゃらら。これはあまり賢いやり方ではなかった。インターネットネイティブなものに投資しなければいけない。クリプトの場合はクリプトネイティブなやり方を見つけないといけない。

    クラウドはまだまだいける(特に開発者向けとエンタープライズ)

    • 開発がさらに楽になるようなSaaSは多くの余地が残されている。例えばStripeのおかげで決済を組み込むのが簡単になった。Twilioのおかげでテキストを組み込むのが簡単になった。もっとあると思う。
    • 投資が活発なのはエンタープライズSaaSの分野。FacebookやYouTubeのようなB2Cは当たれば何百倍にもなって派手だけど、その数は多くない。B2Cの場合は勝者総取りで、トップと二番手の間には10倍以上の差がある。B2Bも同じだけど、トップと二番手の差は3倍くらい。
    • AIが仕事を奪うというけど、クラウドの方がもっと奪う可能性がある。例えば、給与支払いのクラウドはこれまでの社内システムの開発者や給与に関わっていた人たちの職を奪う。すぐに目に見える形ではないけど、気づかないうちに必要なくなっている。

  • はじめての中国Fintech:暗号化通貨とブロックチェーン【金盤】

    はじめての中国Fintech:暗号化通貨とブロックチェーン【金盤】

    はじめての中国Fintechはモバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】の二回にわたってお届けしました。しかし、全くブロックチェーンやビットコインなど暗号化通貨に触れていないのに違和感を持った方もいるのではないでしょうか。ビットコインなど中国で盛んにマイニングが行われていて、中国のプレーヤーはビットコインをはじめとした多くの暗号化通貨に影響力を持っています。それなのになぜ?

    今回は中国に限らずFintechと暗号化通貨の関係をなるべくわかりやすく解説していきたいと思います。

    人民元とビットコインの違い(管理マニアと完全自由主義者)

    モバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】で紹介した中国のFintechは中国の法定通貨である人民元を基本としています。法定通貨は中央銀行から発行され、中央管理されています。既存の中国Fintechはこの法定通貨である人民元が前提となっています。

    ビットコインに代表されるブロックチェーンを基盤とした暗号化通貨は中央銀行によって中央集権的に管理されていません。分散管理が基本です。ブロックチェーンとサイファーパンクの特集でも見てきたように、暗号化通貨の本質は完全自由主義者です。政府の干渉は必要ないと考える人たちによって作られました。管理マニアの中国政府と折り合いが悪いですよね。

    中国政府にとっての人民元の重要性

    中国の人民元は長い間固定レートでした。通貨制度改革によって変動性に変わったのは2005年のことです。それでも完全な市場による変動ではなく通貨バスケットというブラックボックスを使った管理相場制なんですけどね。中国は管理が好きなんです。

    一方で世界的に通用する通貨があります。米ドル、欧ユーロ、日本円などが国際決済通貨として広く認識されています。中国としては人民元でそこに割って入りたい。何と言っても世界で2番目に大きな経済の法定通貨です。人民元を国際化したい。でも、世界的には市場ではなく中国政府によって管理されている人民元を基軸通貨にするのはなかなか抵抗があります。

    そこで、特別引出権(SDR)というIMFの通貨バスケット(米ドル、欧ユーロ、英ポンド、日本円)に人民元を入れるよう働きかけます。それが功を奏して2016年からSDRの通貨バスケットに中国の人民元が加わりました。

    中国政府としては人民元の国際化に頑張ってきたわけです。そんな流れの中で「政府に干渉されない自由なビットコインを中国で普及しよう!」と頑張ったところで中国政府としてそんなこと許せるわけがありません。

    これは中国に限ったことではありません。中国以外の国でも法定通貨と暗号化通貨の兼ね合いは大きな課題です。例えば、エストニアはICOプラットフォームのために「エストコイン」の発行を検討していますが、EUの法定通貨であるユーロとの兼ね合いを慎重に検討しなければいけません。エストニアはEUのメンバーなので法定通貨のユーロとどのように整合性を持たせるかが重要となるのです。

    スウェーデンはEUの参加国ではなく、独自の法定通貨であるクローナを持っています。スウェーデンでもデジタル通貨「eクローナ」の発行を検討していますが、「eクローナ」はブロックチェーンベースの暗号化通貨ではないことが中央銀行からすでに示唆されています。可能性を全く否定しているわけではありませんが、検討しているデジタル通貨はブロックチェーンを基盤とした分散管理のものではありません。

    中国の金融政策における優先事項

    中国政府にとっての最優先は人民元の国際化と人民元による金融システムの安定化です。2018年7月現在で40兆ドルある不良債権問題を解決しなければいけません。また、国際的には中国国内の金融市場の自由化の圧力にどう対応するのかという問題があります。

    そんな中国政府から見た場合、ビットコインに代表されるブロックチェーンを基盤とした暗号化通貨はパラレルワールドのようなものです。政府としては法定通貨の世界が自分たちの世界、ビットコインはそれと並行して存在する全く別の世界。資金がこの二つの間を自由に行き来できたら管理できない。人民元の世界で規制しても、ビットコインの世界に逃げられてしまう。ただでさえ微妙な対応が必要なのに、暗号化通貨は中国政府にとっては不確定要素でしかありません。

    実際に中国政府はビットコインをはじめとする暗号化通貨の取引を禁止しました。ビットコインをAlipay(支付宝)から購入できるサービスに好比特币がありましたが、現在は停止しています。さらに今年からマイニングも規制されました。

    BINANCEなど香港/マカオに本社におく暗号化通貨取引所はまだ規制の対象となっていませんが、これもいつまで続くかわかりません。

    モバイルペイメント編【赤盤】モバイルバンキング編【青盤】でビットコインなど暗号化通貨の金融サービスには触れず、人民元をベースとした金融サービスを紹介してきたのはこのような背景があるからです。

    それでもブロックチェーンは中国で発展する

    ただ、ブロックチェーンという技術とビットコインなどの暗号化通貨というプロダクトを同じに考えてはいけません。ブロックチェーンという技術のアプリケーションの一つが暗号化通貨です。中国政府は現時点において暗号化通貨を締め出す動きを見せていますが、ブロックチェーンは推進しています。ブロックチェーンは技術で、それを応用したプロダクトの一つが暗号化通貨だからです。中国政府は目的と手段を見誤っていないですね。

    参考文献

    人民元 – Wikipedia

    国際通貨 – Wikipedia

    淘宝宣布全面封杀虚拟币,比特币要彻底完蛋?

    China’s Central Bank Faces Policy Bind Over Debt, Growth Goals – Bloomber

     

  • コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    コインベースの創業者/CEOがAirbnbを辞めて起業した理由

    ソース:”20VC: MOST DOWNLOADED FOUNDER EPISODE OF 2017: BRIAN ARMSTRONG, FOUNDER & CEO @ COINBASE” by The Twenty Minute VC

    ざっくり言うと

    • なんでAirbnbを辞めて起業した?
    • ビットコインとイーサリアムの違いは?
    • ICOについてどう思う?VCをディスラプトする?

     The Twenty Minute VCのポッドキャストでコインベースの創業者でCEOのBrian Armstrongのインタビューをやっていました。コインベースは世界で最も成功している仮想通貨関連スタートアップで、仮想通貨関連で初めてユニコーンとなりました。コインベースを起業する前はAirbnbでソフトウェアエンジニアとして働いていました。

     

    なんでAirbnbを辞めて起業したんですか?

    • 2010年にAirbnbでソフトウェアエンジニアをやっている時。Hacker Newsを見ていた時にサトシ・ナカモトの論文が出てきた。クリスマスの夜にそれを読んだ。すごく興奮した。
    • 夜や週末を使ってミートアップをやったりコードを書いたりした。まだその時は起業しようなんて考えていなかった。周りの意見を聞いても自分に自信を持てなかった。
    • 実際に起業をしようと思ったのは2012年の夏にY Combinatorに参加してから。もらえるのは150K(1600万円くらい)だけど、このアイデアを信じてくれて投資してくれる人がいるという事実が自信につながった。お金をもらったことよりも自信をもらったことが重要だった。

    参考:コインベースの初期のピッチデッキ

    ビットコインとイーサリアムの違いは?

    • コインベース自体は特定の暗号化通貨に偏ることはない。これからも新しい暗号化通貨が出てくると思う。それを踏まえながらビットコインとイーサリアムの違いは三つ。
    1. スケーラビリティの違い(イーサリアムの方がスケールできる)。ビットコインは1秒で3から7の処理しかできないが、イーサリアムは1秒で17から25の処理ができるし、シャーディングなどでさらに処理速度を速める計画がある。ビットコインはコミュニティーが一枚岩でなく、スケーラビリティに関して意見が分かれている。
    2. 使われている言語の違い(イーサリアムの方が複雑なことができる)。ビットコインでは四則計算くらいしかできないが、イーサリアムは完全なプログラミング言語が備わっている。安全性の問題など色々と懸念されているが、開発者にとっては強力なのがイーサリアム。
    3. 関わっているチームの違い。ビットコインもイーサリアムもスマートな人たちの集まりだが、文化の違いがある。ビットコインは初期から参加している人たちが多い。理想的な動機を持っている。イーサリアムは技術集団で何ができるか可能性を探るのが好き。

    ICOについてどう思う?

    • ICOはイーサリアムブロックチェーンの上にトークンを発行してそれを売ることで資金調達をすること。ICOはIPOを想起させるからあまり好きな言葉じゃない。トークンセールとも言われるけど、そっちの方が個人的にはしっくりくる
    • 長期的には色々な可能性があるが、短期的には試行錯誤が続くと思う。ガートナーのハイプ・サイクルをたどる。

    ICOはベンチャーキャピタルをディスラプトする?

    • 現在のベンチャーキャピタルは資金調達と付加価値サービス(アドバイスやコネクション)がバンドルされている。両方価値があるものだけど、バンドルされる必要があるかは疑問はある。
    • 将来的に(クラウドファンディングやICOなどを使って)アーリーアダプターから資金調達をして、アドバイザーには株式を与えるなどすることは可能かもしれない。

    スケーラビリティの問題についてどう思う?

    • スケーラビリティは技術的な問題より政治的な問題が大きい。これは分散化の特徴でもあるのだけれど、いまのビットコインの状況は分散化のために生産性が損なわれているように見える。
    • 技術的に見ればTwitterやYouTubeをスケールさせる方がブロックチェーンをスケールさせるよりずっと難しい。技術的にはクレジットカードのトランザクションに追いつくのは十分可能だと思うし、摩擦を減らすことでユーザービリティに関してはクレジットカードをはるかに超えることができる。

    Airbnbで学んでコインベースで応用していることは?

    • Airbnbでは多くのことを学んだ。多くの経験をコインベースで活かしていて、その一つは人の採用。求める人材の基準を高く持つこと。企業が大切にしている価値を基準とすることなど。
    • ミッション・ドリブン(create an open financial system for the world)な企業というのもAirbnbとコインベースの共通点。それを全体会議や様々なコミュニケーションチャネルで伝えるようにしている。

    soundcloud.com

  • エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    クレジット:E-residentのPeter Kentieさんが寄贈してくれたイラスト

    原文:”We’re planning to launch estcoin — and that’s only the start” by Kaspar Korjus

     エストニアはe-Resideincyが世界の起業家が信頼できるICOを実施するときのベストな選択肢であることを目指しています。そして三種類の暗号化トークン「エストコイン」を検討しています。

     スタートアップの世界はICOによって大きく変わろうとしています。

     株式を提供する代わりに、ブロックチェーンをベースとした暗号コインを発行して世界各国の投資家から資金を調達しています。

     アメリカ、シンガポールとスイスがICOを実施する上で起業家が検討する国としてリードしています。一方で各国政府はどのようにICOを規制するのかを検討しています。起業家にとっても投資家にとっても不幸なことに、ICOは法律上はグレーなエリアで実行しなければいけませんし、透明性と信頼性の問題によりこのイノベーションの歯止めがかかっています。

    解説

    ICOのトークンには二つの考え方があります。一つは「利用料」としてのトークン。もう一つは「証券」としてのトークンです。資金調達をする企業は「利用料」としてのトークンと位置づけることが多いように思われます。これは「証券」としてのトークンは法整備が整っていないからですし、「証券」の発行には大きな責任が伴うからです。

     それにもかかわらず、ICOを通じた資金調達金額はベンチャーキャピタルからの資金調達を上回っています。しかし、資金調達はICOの一面に過ぎません。スタートアップが発行した暗号化トークンに投資している人たちのインセンティブは開発の支援というオンラインコミュニティーに近いものがあります。

     エストニアの仮想住民プログラムであるe-Residencyも急速に成長しているスタートアップです。政府のスタートアップであるにも関わらずです。それは仮想住民からのフィードバックにより絶え間なく改善されているからです。そして商業セクターのベストプラクティスも取り入れています。私たちは急速に成長するコミュニティーを持ち、そのコミュニティーはe-Residencyプログラムからどのように価値を最大化できるのかを常に探しています。

     そこで、2017年8月にe-Residencyブログを通じて「エストニアのようの国がICOを通じて自らの暗号化トークンを発行したらどうなるか」を聞きました。その時につけた暗号化トークンのニックネームが「エストコイン」でした。e-Residencyがプラットフォームを通じてどのように「エストコイン」をグローバルで流通させ交換させるのかを説明しました。誰でも登録できるデジタルIDがあるからです。

     この記事はすぐにバズりました。世界中のメディアで取り上げられました。世界で2億人くらいの人がこの記事を読んだと推定しています。

     多くの人がこのアイデアに熱狂して「エストコイン」のあり方について意見を書きました。そして多くの人は批判的でe-Residencyプログラムのマーケティングスタントでしかないのではないかと推測しました。

     私たちはアイデアを閉じたドアの奥で作ることができますが、e-Residencyを作り上げる上でオープンポリシーは常にベストでした。できる限り早い時期からオープンに議論をはじめる。それによりアイデアを改良することができ、どのようなサポートが必要なのかも理解できます。サポートする人も批判する人も貴重です。

     暗号化コミュニティーは政府のこのような介入に一番批判的なのではと最初は予想していました。しかし、実際は違っていました。クリプトワールドの起業家も投資家も熱狂的に興味を持ち、アイデアを受け入れているようでした。反面、伝統的な組織は一番批判的でした。欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギも懸念を表明しました。

    qz.com

    「エストコイン」に対する多くの批判はエストニアが仮想通貨を発行したくてもできないことです。エストニアの唯一の通貨はユーロであり、これは私たちが誇りとするEUのメンバーの必須条件だからです。誰もそれを変えるつもりはありません。

     ですから私たちは「エストコイン」を暗号化トークンとしています。

     政府は暗号化トークンが通貨として利用できることによる破壊的なインパクトも考慮する必要があります。暗号化トークンは世界的に価値を交換するもっと効果的な方法だからです。しかし、暗号化トークンは通貨としての利用よりもさらに大きな重要性があり、必ずしもそのカテゴリーに押しとどめるべきものではありません。

     エストニアの観点から見ると、「エストコイン」はデジタル国家を開発するための世界的資金調達をする手段を提示しています。そして、e-Residencyを通じて起業するスタートアップを増やすという目的を達成するため仮想住民のインセンティブとしてトークンをデザインしたいと考えています。

     仮想住民によるビジネスはエストニア経済に前向きなインパクトをすでにもたらしています。2017年12月に発行されたDeloitteよる独立したレポートによると最初の三年間でエストニアは1億4400万ユーロを回収し、2025年には18億ユーロになると予想しています。これは1ユーロの投資に対して100ユーロを回収することになります。私たちは仮想住民たちに価値を提供し続けることによってのみそれを達成することができます。

    「エストコイン」の目的はそれを加速することです。そしてデジタル国家の開発のため追加の投資と利息を活用します。

     それでも疑問は残ります。「エストコイン」はコインを持つ人のどのような課題を解決するのか?「課題を探すソリューション」これもよくある批判でした。提案が発表されてからオーディエンスに「エストコインを買うのに興味があるか」を聞き、答えは「イエス」でした。どうして「イエス」なのかは自分でもまだ明確ではないにも関わらず。

     驚くかもしれませんが、私たちは「エストコイン」が「課題を探すソリューション」であることを完全に認めます。そして、それは必ずしも悪いことではありません。

     e-Residencyも立ち上げ時は「課題を探すソリューション」でした。このソリューションは世界中の誰でもエストニアのデジタルIDの申請ができ、エストニアのデジタル公共サービスを受けられるというものでした。しかし、最初の仮想住民たちはそれがどのような問題を解決するのかも確かではないにも関わらずに申し込みました。

     三年後に3万人の仮想住民申請を通じて私たちはe-Residencyが解決する課題について理解を深めました。世界的な起業の民主化と地域に縛られない働き方の推進です。エストニアの仮想住人に関してはここで詳しく読めますし、どのような課題を解決してきたのかはこのビデオ広告でも紹介しています。

    「エストコイン」の提案をしてから私たちは世界中のフィードバックに慎重に耳を傾けてきました。そしてどのように構築するかだけでなく、どうして人々がそれを欲するか理解を深めてきました。

     その概要を説明する前に、「エストコイン」のビジョンを実現するためにまず何をしなければいけないのかを説明します。私たちはe-ResidencyをグローバルでICOを実施するベストのオプションとしなければなりません。

    信頼できるe-ResidencyのICO

     ブロックチェーン技術は世界を二つに分けました。一つは政府や伝統的な機関でもう一つはクリプトコミュニティー。両方とも相手には将来がないというフリをします。

     多くの場合、真実はどこか真ん中にあり、分断も元に戻ります。暗号化を取り込まなければ政府は経済成長の原動力を手放し、妥当性すら失う危険があります。公共の監視を取り込まなければ、まともなクリプト投資家も偽物投資家によって変質してしまい、トークンの価値にも疑問符がつきます。

     リスクとその複雑さに関してはアメリカ証券取引委員会が暗号化通貨とICOに関する包括的な声明が読むに値します。

     私たちはブロックチェーンが非常に強力な破壊的なソリューションになりつつあることを認識する必要があります。そして、公共機関は全ての人の利益のためにできる役割があります。伝統的な派閥と暗号化の派閥。二つに分かれた派閥は平和的な合意に達する必要があります。

     それこそがエストニアで起ころうとしていることです。「エストコイン」の提案が発表されてから私はエストニア議会内で公共機関と商業セクターの代表者、クリプト起業家、世界中のハッカーを集めたキックオフを開催しました。この会議にはe-Residencyプログラムのチームメンバーと諮問委員、エストニア財務大臣、議員、エストニア中央銀行、ICOを実施している企業とそのアドバイスをしている法律事務所が参加しました。

    エストニア議会でのキックオフ

     私は特に遠くからエストニアに足を運んでくれたTrent McConaghy、Anish MohammedとBruce Ponに感謝します。

     私たちはエストニアがどのように取り組むかを理解するための膨大な作業を始めました。どのように正当な起業家を支援してデジタル国家として成長できるのか。同時に公共の利益を守り、国家とビジネス環境に対するリスクを軽減できるのか。

     私たちは他の国々でのベストプラクティスから学ぼうとし、エストニアのユニークさを活かしてさらに先に進むための方法を探りました。これ以来、私たちは継続して一緒に働き、定期的に意見の交換をしました。

     理解できる注意深い理由でエストニアは暗号化に対して友好的な国家とは言えませんでした。しかし、驚くべきことに最初に私たちが発見したのはエストニアはすでにクリプト起業家にとって絶好のビジネス環境だということです。100%オンラインのクロスボーダーマネージメントから分配されない利益に対する0%の法人税まで。

     さらに私たちの安全なデジタルIDはKYC(Know Your Customer|顧客の身元証明)の一部として利用できます。企業は投資家と起業家の両方の身元証明のために多大なコストと時間をかけています。投資家がキーを忘れて暗号化トークンにアクセスできなくなったという話はよく聞きます。このようなことは政府が保証しているデジタルIDがウォレットと紐づいている仮想住民には起こりません。

     実際に多くの企業がe-Residencyを通じてエストニアでICOの準備をしています。また、すでにe-ResidencyをKYCのプロセスに組み込もうと模索しています。

     ICO現象が成長し続けると、ICOにとって「天国」とされる国が出てくるでしょう。しかし、私たちは現在のICOに懸念を持ち、どのようなICOでも誘致したいわけではありません。未成熟な行動や資金の行き先の不透明性ですでに多くの投資家が失意によって離れていきました。また多くのICOは実際には関わりのない有名人や組織の名前に頼っていたりもします。暗号化トークンに関するe-Residencyやエストニア自体の告知はこのブログで詳細に説明することを覚えておいてください。

     現実はほとんどのICOに私達が望むような標準はありません。

     更に暗号化トークンの価値は現在は非常に揮発性が高くビットコインを含めその他の大幅な価格上昇は近い将来急速な冷え込みも考えられます。多くのアナリストは現在の暗号化市場と90年代のドットコムバブルの類似性を指摘しています。ドットコムバブルは崩壊しましたが、損背景にある基礎的な技術(インターネット)はなくならず、多くの可能性を切り開き世界を変えました。同じことが暗号化でも起きるでしょう、たとえそのバブルが崩壊しても。

     人々が最終的に求めているのは信頼を背景とした本当の価値です。信頼はe-Residencyの価値の一つです。政府に保証された安全なデジタルIDsそれを活用したオープンで透明性の高いビジネス環境があります。これが私たちが信頼のあるICOの誘致にフォーカスする理由です。

     ではどうやって信頼あるICOをe-Residencyを通じてサポートするのか?

     最も明白なソリューションは法律を変えることです。エストニアは仮想住民の起業家を支援するためやこれから成長する産業を支援するために法律を改定する意志があります。例えば、エストニアはヨーロッパの中で配達ロボットとライドシェアを合法にした最初の国です。さらに人工知能の法律の枠組みに関しても議論をしています。

     しかし、ソリューションを探すために必ずしも法の力が必要なわけではありません。さらに、多くの複雑さがあり、その中にはEUの枠組みで取り組まなければいけないものもあります。

     これらの議論は現在進行中です。しかし、私たちが最初にやらなければいけないことははっきりしています。規制された環境下において合法的に責任のあるICOを立ち上げるための明確なガイドラインを出すことです。

     e-Residencyは積極的に責任のあるICOを支援したいと考えています。私たちは国家としてその組織のICOをバックアップすることはできませんが、e-Residencyを通じたICOでの信頼性を高めるたるのガイドラインを提供することができます。そのガイドラインには投資家により高い信頼性と透明性を確保するためのベストプラクティスが含まれます。

     私たちは現在ガイドララインを作成中です。何がガイドラインに加わるべきかフィードバックをください。例えば暗号化トークンの分類や、どのような法律に従わなければいけないのか、どのようなベストプラクティスに従わなければいけないのかなどをガイドラインに含める予定です。こうすることによって投資家は投資がどのように使われているかをトラッキングすることができます。

     最もトリッキーなICOに関わる課題はトークンの分類です。トークンは証券なのか、利用料なのか。私たちのガイドラインは両方を取り組まなければいけません。起業家が自分のニーズに合わせて正しい分類のトークンを選べるようにしなければいけません。ある責任を避けるようにICOのトークンを構成するのではなく。私たちは起業家の暗号化トークンが「証券」とラベルづけされる事に慎重なことを認識しています。しかし、これは投資家からのより高い信頼を得られる方法です。私たちは大胆に起業家が証券としてのトークンをもっと実施しやすいビジネス環境を支援していきたいと考えています。

    「エストコイン」の提案が発表されてからe-Residencyの申請が跳ね上がりました。多くはICOへの投資が目的だと理解しています。つまり、e-Residencyを通じてデジタルIDとリンクした形でICOを実施することは成長しつつある投資家のコミュニティーへのアクセスのコスト、時間と手間が軽減される事を意味しています。

     多くの仮想住民はすでに投資目的でこのプログラムを利用しています。しかし、私たちの長期的な目標は投資家と起業家のコミュニティーによる規模の経済を実現する事です。

     商業セクターも起業家と投資家を支援する重要な役割があります。例えば金融や弁護士サービスです。もしこれを読んでいて支援できるとお考えであれば私たちのチーム(e-resident [at] gov.ee)にコンタクトしてください。

     私たちの目標はエストニアが信頼あるICOの世界でのベストオプションとなる事です。それは公共と商業セクターが協力してe-Residencyや透明性の高いビジネス環境といったエストニアのユニークな特色を活用することで実現します。エストニアはエンジニアたちがSkypeを開発することによって通信の中間業者を取り除いて以来、ビジネスの技術革新の最前線にいます。私たちはブロックチェーン、暗号トークン、安全なデジタルIDによって証券の中間業者を取り除くことができる機会に直面しています。これによりe-Residencyを通じて世界規模で真に分散化されたP2Pの証券取引を実現することができます。

    エストコインはどのようなものになるのか?

     公共と商業セクターの議論の中で私たちはエストニアの暗号化トークンがどのように機能しするか世界中からのフィードバックに基づいて審議しています。

     このプロジェクトの当初のニックネームは「エストコイン」でしたが、エストコインという名前は急速にグローバルブランドとなりましたので現在でもそのまま使っています。

     私たちはデジタル国家にとって、利用者にとって有効なエストコインを一つだけではなく、三種類を特定しました。三種類全て実行可能で欧州中央銀行に警戒心を抱かせるものではありません。

     私たちは批判にも関わらずエストコインの準備を進めるのではなく、批判に感謝をして進めます。批判によってどのように推進すべきか理解できたからです。

     一つまたはそれ以上のエストコインが複数の目的を実現するために実行される可能性があります。

     以下がそれぞれのエストコインの背景です。

    1. コミュニティーエストコイン

     暗号化トークンの強みの一つは行動に対してインセンティブを与えることです。トークンの保持者はコミュニティーの成長から恩恵を受けます。

     Ehtereumの創業者であるVitalik Buterinに私たちのアイデアの概要を発表まえに共有したのですが、これはその時に特に強調されたポイントです。以下がその引用です。

    e-Residencyエコシステム内でのICOは仮想住民とファンドを同じ方向性に向かせる強いインセンティブを作り上げます。共同にできることが多いため、経済的な側面を超えたコミュニティーへの帰属意識を高めます。

     コミュニティーエストコインは世界中の人たちが仮想住民として参加することにインセンティブを与え、e-Residencyの価値を引き出すことで新しいデジタル国家の成長に寄与すると考えられます。これには投資家や起業家がe-ResidencyをICOのプラットフォームとして活用することも含みます。

     すでに多くの仮想住民が様々なやり方でデジタル国家の成長にボランティアとして貢献してくれています。彼らの経験をコンテンツとして共有したり、他の人をプログラムに紹介してくれたりしてくれています。しかし、私たちはその貢献にどのようにリワードを提供したり支援できるか分かりませんでした。

     更に仮想住民の最も価値のある活動の一つはお互いのビジネスや実際のエストニア国民とのビジネスの活性化です。つまり、e-Residencyは公共サービスへのアクセスだけでなく、成長する価値あるコミュニティーに参加することによって事業を拡大することです。

     幸いに私たちはすでにコミュニティープラットフォームがあります。そこでエストコインがプラットフォームの「利用料」として価値のあるものとして、コミュニティーの成長に貢献した参加者には自動的に発行される仕組みが考えられます。

     例えばe-ResidencyのWebサイトにトラフィックを送り、実際に新しく仮想住民が増えた場合に、その仮想住民にはエストコインが発行されるなどです。またコミュニティー内でクラウドソーシングのような仕組みを作ったりが考えられます。

     エストコインはネットワーク効果でプラットフォームの成長を可能にしますが、調達された資金はこのプラットフォームのさらなる開発やエストニアでビジネスをする企業への再投資にも活用できます。

     私たちは商業セクターからの参加も求めています。商業セクターはeResidencyエコシステムで重要な役割を担っています。会計処理やバンキング、バーチャルオフィスなどのサービスをエストコインで利用できるようにしたいと考えています。仮想住民に対して様々なサービスを提供する企業があり、エストコインの交換も奨励していきたいです。

     実際にコミュニティーエストコイン立ち上げのための国家的ICOには公共と商業セクターのパートナーシップが必要です。単一組織がトークンとファンドの分配を管理すべきではないからです。

     最初のフォーカスは「利用料」としてのエストコインですが、e-Residencyの開発によってデジタル国家の成長の恩恵をエストコイン保持者が受けることも重要です。つまりコミュニティーエストコインは最終的には伝統的/暗号の双方の交換所でオープンに取引されることを意味します。実際には投機家を抑制するためにロックアップ期間が必要となるでしょう。エストコインの保持者はデジタル国家の長期的な成長から恩恵が受けられるようになります。

     透明性は仮想住民やその企業だけでなく、プログラム自体にとっても重要です。つまりエストコインの供給量について明確にしなければいけません。どのような法律の元でどのような利用ができるのか。ブロックチェーンのフェデレーションがエストニア政府と独立組織のネットワークのリーダーシップを提供するために必要となるでしょう。

     このような暗号化トークンの利用は多くの人たちが自律して全ての人たちのために協力しながら働く役に立つでしょう。私たちはすでに仮想住民がお互いにつながりビジネスをともに加速していきたいということを理解しています。またここ数ヶ月の間、エストコインを得たい人が増えていることも理解しています。

     e-Residencyプログラムはデジタルスタートアップとして国全体をオンラインでスケールアップするというこれまで誰もなし得なかったことを行っています。これは仮想住民へのメリットが高まるにつれて加速的に進行しています。コミュニティーエストコインはこれをさらに加速するメカニズムとなります。コミュニティーに参加する価値を高め、成長を助ける人たちにリワードを提供することにより全体のサービスを劇的に改善することになります。

    2. IDエストコイン

     エストニアのデジタル国家の中心(そしてe-Residencyプログラムの中心)は政府が提供する安全なデジタルIDです。

     これはデジタルIDでも世界をリードするイニシアティブです。しかし最先端でい続けるためにはそれを支える技術を継続的に改善していく必要があります。エストニアはすでにいろんな意味でブロックチェーン国家と言えます。ではブロックチェーンを活用してIDをトークン化してみてはどうでしょうか。

     このモデルにおいてエストコインはデジタル社会の中で利用されるブロックチェーンベースのトークンとなります。例えばデジタル署名、サービス利用のためのログイン、スマートコントラクトの実行などです。

     エストニア国民と仮想住民はデジタルIDに紐づく一定量のトークンを得ることができ、必要な時にはその量を増やすことができます。たとえこのIDトークンが購入されたとしてもエストニアの売り上げとはなりません。ネットワークの維持に利用されます。実際にこの提案によって全ての人はコストを抑えることができるようになります。

     このIDエストコインとコミュニティーエストコインの大きな違いはここです。IDエストコインは身分証明の一部なので取引したり売ることはできません。実際にe-Residencyプログラムが成長して人の数が増えればIDエストコインの価値は下がります。これは時間とともに取引コストが下がることを意味し、規模の経済に寄与します。

     すべの人が望むものではないかもしれませんが、この仕組みは私たちのビジネス環境にさらなる透明性をもたらします。しかしこの透明性は多くの人が仮想住民になることを選ぶ理由の一つです。透明性は仮想住民がグローバルでビジネス展開をするための信頼の源泉となります。実際にこのIDエストコインモデルはエストニア警察や国境警備隊がある状況下において法律違反を犯した仮想住民からトークンを取り上げることにも利用できます。

     なぜエストニア国民や仮想住民はこのIDエストコインを推進したいのでしょうか?

     IDエストコインにより現在デジタル国家を運営するために使われている技術をなくすことができ、そのコストも削減することが出来ます。

     エストニア国民と仮想住民はこの低コストの恩恵を受けるだけでなく、デジタルIDを利用してさらに簡単にサービスを受けることが出来ます。

     例えば、私たちは最近デジタルIDカードの証明書に関する問題があり、停止する必要がありました。実際にハッキングされた形跡はなく、新しい証明書もすぐにダウンロードできるようになりました。しかし、スムーズなプロセスとは言えませんでした。このケースを通じてデジタル国家はIDサービスがスムーズに機能し統合するために商業セクターに大きく依存していることがわかりました。

     対照的にIDエストコインはどのようなデバイスでも機能し、アップデートは必要ありません。

     エストニアにとってこれはデジタルインフラの信頼性、安全性、透明性の劇的な向上につながります。そして国をもっと効果的にスケールアップすることを可能にします。エストニア政府の様々な部門はe-Residencyの利益のためにハードに働いています。国境警備隊がIDカードを発行し、各国の大使館に届けます。そしてIDカードを手渡すために対面の面談をします。

     しかし、もし私たちが改善して遠隔地からのデジタルIDの認証を合法化したら仮想住民はオンラインですぐにデジタル国家に参加することができるようになります。カードが承認され配達され、自ら取りに行く必要は無くなります。

     IDエストコインの実現は私たちのデジタル国家が未来に備えることとなり、技術と法律が進化に対応することができるようになります。

    3. ユーロエストコイン

     ここまで価値が上がったり下がったりするエストコインのモデルを見てきましたが、単純にユーロと紐づいたエストコインを発行したとしたらどうでしょうか?これがユーロエストコインです。

     私たちはユーロの代替通貨を発行することはありません。しかし、e-Residencyコミュニティー内だけで使える暗号化の分散化の利点と安定して信頼ある認可された通貨の組み合わせの可能性はあります。

     ユーロエストコインと実際の金銭の交換には銀行が必要となります。しかし取引は独立してブロックチェーン上で行われます。つまりグローバルにある無料のコミュニティーベースの交換所で交換がされることになります。必要なのはデジタルウォレットと政府がユーロエスタコインを1ユーロで買い戻すという政府のコミットメントです。

     もしe-Residencyのプログラムチームが15人の小さなコミュニティーだとします。そして誕生日でどのようにユーロエストコインが機能するのかみましょう。メンバーの誕生日に私たちは一人につき10ユーロを使います。つまり一回につき13回の支払いが発生します*1。支払いには銀行で40ユーロセントかかります*2。つまり隠れた支払いコストは5ユーロ以上になりますし、プロセスにも時間がかかります。しかし、この価値は私たちの間で回るだけです。デジタルで処理したいからというだけで銀行の関与が必要あるでしょうか?普段の生活は銀行のネットワークなしで動いた方が早く効率的です。

     では次に日々国境をまたがり交流を続けている仮想住民コミュニティーの複雑さをみてみましょう。仮想住民は世界の住民で、世界中どこでもビジネスができるのが成長の要因の一つです。仮想住民コミュニティー内のユーロエストコインはグローバルの価値交換を可能にし、仮想住民とエストニア国民の間のビジネスを活性化します。

     e-Residencyコミュニティー内のユーロエストコインの運用はビデオゲームなどのオンライン世界でのトークンの運用と似ています。仮想住民はユーロエストコインを購入してそのほかの仮想住民と価値交換をすることができ、必要であれば銀行取引と納税義務に準拠して現金化することもできます。大きな違いは仮想住民はゲームのためにトークンを利用しないということです。仮想住民が得られるのは他の仮想住民との簡単なグローバル取引です。

    新しいデジタル国家に参加しましょう

     私たちはブロックチェーンを通じたトークン国家は今後の地球にとって重要だと認識しています。さらにICOはスタートアップの成長のあり方を大きく変えようとしています。しかし、信頼と合法性の問題は解決されないといけません。私たちは同時に提案されたエストコインに需要があり、エストコインは仮想住民コミュニティーを大きく成長する可能性があることを理解しています。

     私たちは引き続きこの提案をエストニアの公共と商業の両セクター、暗号化起業家、投資家、世界のパートナーとなる可能性のある組織とともに改善していきます。

     以前にe-Residencyのビジョンに書いたとおり、私たちは人類の歴史の中で非常に短い地政学の境界線に閉じ込められた機会の中で生きています。今は国家は生まれた場所で私たちに割り当てられ、多くの場合はそのままです。このランダムな人口の割り当てが何よりも大きく私たちの機会の大きさを握っています。

     しかし、変化は近づいています。暗号トークン化は私たちが行動するかどうかに関わらず世界の性質を変えます。だから私たちがリードする必要があり、それはすでにエストニアで起きています。私たちは新しいデジタル国家の構築と世界中の起業の民主化という全体の目標にフォーカスし続けます。

    私たちのe-Residencyのビジョンはこちらから。

    medium.com

     エストコインの提案に考えや、応援や、批判をくださった方々に感謝します。全ての人が改善に貢献し、私たちを前に進めています。新しい年にさらにアップデートをすることを楽しみにしています。

     e-Residencyから申請することで私たちのデジタル国家に参加することができます。もしプログラムを利用してEU圏内でEUの企業を立ち上げに興味があればこちらで詳しく説明しています。

    medium.com

    解説

    前回に紹介したアメリカ証券取引委員会とはうって変わって前のめりな姿勢のエストニアです。アメリカや日本のように歴史(レガシー)がないのがエストニアの強みですね。ソ連から離脱して国連に加盟したのが1991年、NATOとEUに参加したのが2004年ですから。

    アメリカやエストニアではICOで発行されるトークンを「証券」としてみなす方向に進んでいます。現時点でエストニアは最もICOに関して最も積極的に取り組んでいる政府と言えるでしょう。エストニアが中央管理の世界と分散管理の世界と二つに分かれた世界を調和させることができるのか、世界が見守っています。

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    関連記事

    www.catapultsuplex.com

    *1:14回の気がするのですがオリジナルは13回と書いてあるので…

    *2:ヨーロッパではデビットカードの利用が多いのでその利用料なのでしょう

  • 米国証券取引委員会の暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する声明

    米国証券取引委員会の暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する声明

    米国証券取引委員会の見解のポイント

    • ICOにおけるトークンは「通貨」ではなく「証券」
    • 暗号化通貨/トークンが「証券」なのか使い方に依存する
    • SECはICOに反対しているわけではなく、その将来的な価値は認めている

    原文:”Statement on Cryptocurrencies and Initial Coin Offerings” by EC Chairman Jay Clayton, December 11, 2017

     世界のソーシャルメディアや金融市場は暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)について騒いでいます。富を築いた話や夢が実現した話があります。私たちは「今回こそ違う」という聞き慣れたフレーズを聞きます。

     暗号化通貨とICOマーケットは急速に成長しています。マーケットは地域的で、国家的で、国際的でこれまでにないプロダクトや参加者を巻き込んでいます。また投資家やその他の参加者に多くの疑問を投げかけています。新しい疑問、古い疑問、新しい形をした古い疑問です。

    • このプロダクトは合法なのでしょうか?投資家を守るルールのような規制の対象になるのでしょうか?このプロダクトはそのようなルールに則っているのでしょうか?
    • このような提供方法は合法なのでしょうか?プロダクトを提供するライセンスは必要ないのでしょうか?
    • このマーケットは公正なのでしょうか?価格は操られてないのでしょうか?売りたいときに売れるのでしょうか?
    • ハッキングなどで盗まれたり無くなったりする潜在的なリスクはあるのでしょうか?

     これらを含む重要な質問に答えるには深い分析が必要です。そして、答えは様々な要因によって変わってきます。この声明は主に二つのグループを対象に暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)についての一般的な見解を提供します。

    • 「メインストリート」の投資家
    • 「メインストリート」にインパクトを与えるブローカー、投資アドバイザー、取引所、弁護士や会計士などマーケットの専門家

    解説

    メインストリートはウォール・ストリートに対する言葉。ウォール・ストリートにいるプロの投資家や機関投資家、対してメインストリートは年金基金を含め投資をする一般的な人の集まり。ICOに関わる人たちは主にメインストリートなんでしょうね、こうやって最初に出てくるということは。そういう意味では弱者保護の観点でこの声明が出されていると言えなくもない。

    メインストリート投資家の考慮する点

     暗号化通貨とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関して少なからぬ懸念が上がっています。現在の運用において私たちの伝統的な株式市場と比べて投資家に対する保護があまりなく、詐欺や操作の可能性も低くありません。

     投資家は現時点においてICOが証券取引委員会(SEC)に一つも登録されていないことを理解すべきです。同様にSECも現時点において証券取引できる暗号化通貨や暗号化通貨と関連するアセットを含む商品(ETFなど)を登録、許可をしていません。もしそうではないという人がいたら、用心深くあるべきです。

     私たちは投資家に暗号化通貨とICOに関する警告、速報、声明を送りました。中には有名人がマーケティングに関わっている件を含め。どうか、それらに目を通してください。もし投資をするのであれば、質問をして明確な答えを求めてください。役に立つ質問リストを添付します。

     どのような投資であろうと、売り手がリターンを保証したり、あまりにもうますぎる話だったり、すぐに行動を起こすように焦らせたりする場合、特に注意してください。投資したお金が消えてしまうリスクがあります。

     また、このマーケットは国境をこえ国をまたがり多くの取引はアメリカの外にあるシステムで行われていることもあります。あなたの投資は知らないうちに国外に渡っていることもあります。その結果としてリスクは増大します。例えばその国のSECのような組織が効果的に悪徳業者を取り締まることも、ファンドを回復することも難しいでしょう。

     このマーケットについて詳しく知りたい方は、下の「暗号化通貨、ICOと証券規制に関する追加議論」のセクションをよく読んでください。

    マーケット専門家の考慮する点

     私はICOは(それが証券であるかに関わらず)起業家にとってイノベーションプロジェクトなどを含み効果的に資金調達する手段だと考えます。 しかし、証券を含むそのような行為は私たちの証券に関わる法律が要求する情報公開、プロセス、投資家保護が伴わなければいけません。証券の形が変わるからといって、証券が取引される際の基本的なポイントが変わるわけではありません。したがって、法律に準拠する必要があります。別の言い方をすれば、中央で記録された伝統的な企業の利子台帳とブロックチェーンで記録された分散台帳は取引の形を変えますが、本質を変えるわけではないということです。

     私は証券取引を専門とする弁護士、会計士、コンサルタントなどマーケット専門家達に私達のレポート (21(a) Report)とそれに伴う強制措置を精査するよう強く求めます。この21(a) Reportにおいて委員会は歴史ある証券に関わる法律の原則に基づき特定のトークンは投資契約であり証券に該当するため、連邦の証券に関わる法律が適応されるとしています。特にトークンの提供は一般的な企業に対する金銭による投資とみなされ、企業的、運営的な努力によって利益が得られることが期待されます。

     21(a) Reportの発表後、自分たちが関わるICOにおいてトークンまたはコインが「証券」 ではなく「利用料」として色合いが強いと主張するマーケット専門家が現れました。多くの主張は経済的実質ではなく形式を重視するものです。トークンを「ユーティリティトークン」とよんだり、利用料としても使えるようにしても証券であることに変わりはありません。企業努力による潜在的な利益が強調されているトークンとその提供は引き続きアメリカ合衆国の法律の下においては証券としての顕著な特徴を持っています。これらの件について専門知識の適応や判断が求められるとき、私は証券関連の弁護士、会計士などの専門家がゲートキーパーとしてその職務に専念することを期待します。私は投資家保護(特にメインストリートの投資家保護)のために法、プロセス、情報開示義務にといった原則に従うことを強く希望します。

     また、私はマーケットの専門家に売り出す前にコインの販売が証券に関わる法律に該当するかどうかを確認するよう忠告します。証券を売るにはライセンス必要です。取引量の少ない商品や揮発性の高い商品の過度な売り込みは売り逃げや風説の流布など情報操作や詐欺のサインです。同様にこれらの商品を運用するシステムやプラットフォームについても1934年証券取引所法に違反する登録のされていない交換所やブローカーでないか確認するよう注意を促します。

     暗号化通貨について私は2つのポイントを強調します。ひとつ目は暗号化通貨は証券だということです。「通貨」と呼ばれたり、「通貨ベースの商品」と呼ばれていてもです。暗号化通貨や複数の暗号化通貨を組み合わせた商品を売る場合、提供者はその暗号化通貨が証券ではないことを証明するか、証券に関わる法律に準拠しなければいけません。ふたつ目に、顧客への暗号化通貨の販売で利益を得たり証券としての取引を仲介するブローカーなどの市場への参加者はこれらの取引が反マネーロンダリング規制や身元確認(KYC)義務に違反していないか注意をする必要があります。 先に述べたとおり、私はマーケットの参加者にあたかも現金のように暗号化通貨での支払いや取引されるように扱うべきです。

    暗号化通貨、ICOと証券規制に関する追加議論

    暗号化通貨

     暗号化通貨は大まかにいって固有の価値を有するアイテム(例えば現金やゴールドのように)で、支払い、販売などファイナンシャルな取引ができるようにデザインされています。アメリカドル、ユーロ、日本円など長きにわたり確立された通貨のように機能することを意識していますが、政府や中央銀行などの後ろ盾がありません。暗号化通貨のデザインと管理は異なりますが、暗号化通貨の支持者はその潜在的な可能性と将来性について主張しています。(1) 仲介者なく国境をこえて取引ができる能力 (2) 決済のファイナリティー (3) それ以外と比べて低い取引コスト (4) パブリックに取引を確認する能力です。そのほかに個人の匿名性と政府の規制や監視のない点が暗号化通貨の機能としてよく宣伝されています。暗号化通貨に批判的な人たちはそのような機能が不正な貿易や金融取引に使われる可能性や言われているようなメリットが実際には享受できない可能性を指摘しています。

     暗号化通貨は証券ではなく、その提供と販売はSECの範疇にはないと言われています。その通説が正しいかどうかは暗号化通貨と呼ばれる特定のデジタルアセットの特徴と使用方法に依存します。いずれにしても、SECはアメリカドル、ユーロ、日本円での証券取引の影響にフォーカスしているため、同じ興味と責任を暗号化通貨にも有することは明白です。これは暗号化通貨での支払い、投資、クレジット利用を可能にする証券会社やその他の市場参加者にも適用されます。

    ICO

     暗号化通貨の大きな成長とともに、企業や個人はICOによって資金調達を行うケースが増えています。通常は個人投資家がアメリカドルのような通貨と引き換えに「コイン」または「トークン」といわれるデジタルアセットと交換によって提供されます。

     これには様々な提供形態があり、その保持者の権利と利子は大きく異なるといわれています。ICO市場に参加する人にとっての重要な質問は「このコインやトークンは証券ですか?」です。証券に関する法律家がよく知るように、答えは事実によって異なります。例えば、ブッククラブの参加を意味するトークンは証券に関わる法律の範疇外でしょうし、ブッククラブの運営者がそのファンドを使って本を購入してトークンを持つブッククラブのメンバーに提供することができるでしょう。対照的に多くのトークン提供はこのような範疇を超えて作者、本、流通ネットワークを兼ね揃えた出版社を作ることに似ています。トークンの販売者が第二のマーケットでのトークンの取引の可能性を示唆している場合は特に問題です。購入者はトークンの持つ価値が上昇する可能性を売り込まれ、その価値が上昇したトークンを第二のマーケットで売却することで利益を確定したりすることです。これは証券と証券提供の顕著な特徴です。

     全般的に見てICOのストラクチャーは証券の提供と販売とみなすことができ、証券に関わる法律に従い証券規制の必要条件を満たし投資家保護を行わなければいけません。一般的にこれらの法律は投資家に何に対して投資し、どのようなリスクがあるのかを明らかにします。

     私は証券取引委員会の法律施行局に引き続きこの分野の監視をし、証券に関する法律に反するICOを厳しく取り締まるよう伝えました。

    結論

     私たち米国証券取引委員会は資本形成の促進にコミットしています。暗号化技術やICOがベースとしている技術は破壊的であり、変革的であり、効率化を促進することが証明される可能性があります。私はフィンテックの成長が資本形成を助け、機関投資家もメインストリート投資家も同様に投資機会を提供するものだと考えます。

     私はメインストリートの投資家にその機会にオープンであることを推奨します。しかし、よい質問をして明確な答えを求めましょう。そして常識と照らし合わせて見ましょう。クライアントにアドバイスをするとき、金融商品をデザインするとき、取引に関わるとき、マーケットの専門家とそのアドバイザーは法律、規制、ガイダンスを注意して検討しましょう。証券の法律のフレームワークとなる原則は80年にもわたり新しいものに対応してきました。私はマーケットの参加者とアドバイザーに証券取引委員会のスタッフと積極的に関わり彼らの証券に関わる法律の分析に協力することを推奨します。SECのスタッフは FinTech [at] sec.gov宛てにメールをください。

    解説

    アメリカの証券取引委員会はICOに関してはかなり規制を強めています。この声明の少し前にICOを行なっていたPlexCorpsにICOを停止する緊急命令・資産凍結を発表しました。そして、この声明の同日にSECによってMuncheeもICOを阻止されました。一方でこの声明の中にあるブッククラブの例にもあるように、全てのトークン提供が証券に当たるわけではないようなので、ガイドラインの整備が急がれますね。

    なお、この翻訳は「善きサマリア人」として提供している参考訳です。なるべく正しい訳を心がけていますが、ビジネスや投資などでこの参考訳を利用することはオススメしません。本当に知りたい人は専門家に相談してくださいね。以上ディスクレイマーでした!

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