トーキング・ヘッズは良くも悪くもフロントマンであるデヴィッド・バーンのバンドだったと思います。『ストップ・メイキング・センス』もそれを反映してズートスーツを着込んだデヴィッド・バーンだけが目立っていた。良くも悪くもです。2000年以降のデヴィッド・バーンは多くの人とコラボレーションをしてトーキング・ヘッズにとらわれない活動をしてきました。ファット・ボーイ・スリムと組んだ『Here Lies Love』やセイント・ヴィンセントと組んだ『Love This Giant』なんて近年の代表作ですね。コンピレーションアルバムの『Dark Was the Night』でダーティー・プロジェクターズと組んだ『Knotty Pine』とか最高でしたよね。
80年代が青春のボクが好きだったコンピレーションアルバムはハル・ウィルナーの”Stay Awake“とかNMEが出した”Sgt Pepper Knew My Father“とか。ディズニーやビートルズといったはっきりしたテーマをベテランに混じって新進気鋭のアーティストが料理するものが多かったです。最近だと(それでも10年前だけど)Red Hot Organizationの”Dark Was the Night“ですね。ダーティー・プロジェクターズはこれで知りました。コンピレーションアルバムで新しいアーティストと出会う時代は確実にありました。
そして、ウィーザーの80年代回帰はこれでは終わりませんでした。最新の”Teal Album“では全てカバー曲で攻めてきました。A-haの”Take On Me”なんてビデオまでしっかりリスペクトな感じで仕上げています。他にもティアーズ・フォー・フィアーズとかマイケル・ジャクソンとか。いやいや、それどこに需要があるのよ?と思っていたら意外とヒットしちゃいました。世の中わからないものです。
で、トレヴァー・ホーンの新しいアルバム。何と言っても白眉はブルース・スプリングスティーンのカバー”Dancing in the Dark”ですよ。この曲のボーカルをとっているのが”Power of Love“のガブリエル・アプリンなんですが、彼女の落ち着いたヴォーカルとストリングスがブルース・スプリングスティーンの世界にあってるんですよ。ブルース・スプリングスティーンってノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランと同じくらいリスペクトされている詩人でもあるのですが、その深みのあるリリカルな部分がうまく出ている。火を灯すには火花が必要なんだよ。