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  • プロダクト開発の優先順位のラディカルでシンプルな付け方

    プロダクト開発の優先順位のラディカルでシンプルな付け方

    原文:”A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization” by Richard Banfield

    「すべきことを終わらせる」ための最大の課題は「何をすべきかを知る」ことなのは皮肉なことです。私たちの本の『Product Leadership』でこのトピックにまるまる一つのセクションを費やしました。最近では、この課題を確認するためにいくつかの調査を実施しました。100人以上のプロダクトプロフェッショナルを対象としたアンケート調査で、TwitterとLinkedInで投票をしましたが、結果は同じでした。プロダクト担当者の最大のチャレンジは優先順位付け。

    Source: Twitter Poll

    なんで優先順位づけは難しいのか?

     プロダクトのクリエイターは多くの責任がありますが、そのタスクを遂行するために必要な権限はありません。役員たちはチームに多くの要求し、顧客や営業はカスタム機能やバグ修正を依頼してきます。これらを断るのは難しい。

     ほとんどのプロダクトマネージャーやリーダーは優先順位づけに必要な手法を持ち合わせていないことがわかりました。どのアイテムが重要で、どのアイテムは後回しにできるかを分別する簡単な方法。売上の圧力、偉い人の意見、組織内の合意で優先順位づけをしている場合が多すぎます。彼らには助けが必要です。

     必要なのは概念ではなく具体的な方法です。

    どのように優先順位づけをするのか?

     優先順位付けは明確なビジョンとそこに到達する道のりを明確にすることからスタートします。幸いにそのためのシンプルで洗練されたソリューションがあります。私の同僚のGeordie Kaytesと友人のRadhika DuttとNidhi Aggarwalが非常に便利なソリューションを作りました。

    「プロダクトが魅力的なビジョンから生まれることは非常にまれです。今までのキャリアを通じて私たちみんな素晴らしいプロダクトを作る努力をしてきました。しかし明確な道筋はありませんでした。私たちは自分たちの見識を比較し、ビジョンからプロダクトを作るためのプロセスを考え出しました」 – Radhika Dutt

    彼らはそれをラディカルプロダクトと呼んでいて、それは私はスゲエと感じました。

    ステップ1:プロダクトビジョンを作る

     彼らのビジョンデベロップメントワークシートを使うと簡単なステップでクリアで明瞭なビジョンに近づくことができます。あなたがスタートアップの創業者であれ、プロダクトリーダーであれ、チームと一緒にこの作業を行うことを勧めています。

     ワークシートを使うって最初のビジョンを作り、チームとともに反復作業をします。これがそのワークシート…

    ビジョンデベロップメントワークシート

     これがその穴埋め問題式のフォーム…

     現在、[カスタマーセグメント]が[行動や結果]したいとき、彼らは[現在のソリューショ ン] します。これは非常に耐えがたいことです、なぜなら [現時点でのソリューションの欠点]だからです。私たちは [課題が解決された世界]を望みます。私たちは[技術やアプローチの概要]で実現します。

    ステップ2:ビジョンとプロダクトストラテジーを結びつける

     このラディカルプロダクトモデルでは優れたプロダクトストラテジーのための4つの要素が定義されています。ペインポイント、デザイン、機能とロジスティックです。

    ペインポイントとは「誰のため?」と「彼らの痛みは何?」です。

    デザインとは「ユーザーが目にする最も重要なフィーチャーやコンポーネントは何ですか?」と「それはどのような感情をユーザーにもたらしますか?」という問いに答えるものです。

    機能とは「どのようにそのフィーチャーをユーザーに届けますか?」と「どのような技術、専門性、データ、パートナーシップや機能を開発する必要がありますか?」にあたります。

    ロジスティクスは「その製品はどのようにユーザーに届けられますか?」や「どのようにサポートしますか?」といったチャネルに関することです。

     これにより作業を明確にして優先順位をつけるためのロードマップが準備できます。

    RDCLストラテジーキャンバス

     Radical Productの作者はこのシートを定期的に見直すことを進めています。

    ステップ3:ビジョンに当てはめて優先順位を決める

     下にある2×2マトリックスを使ってどのニーズにチームがフォーカスすべきかを評価することができます。どれを無視して、どれを後回しにするか。ビジョンを基準としてフィルターすることで何が必要で何が不必要なのか優先順位を決めます。

    ビジョン/事業継続性テスト

    ビジョンのフィットと事業継続性から優先順位を決める

     資金が潤沢にあればビジョンに投資すべきです。投資家や顧客を説得できるのであれば特に。資金が足りない場合は「ビジョンの負債」を取ることもできます。しかし、「技術的負債」と同様にこの負債は将来的に返済する必要があります。

    難しいのはビジョンとフィットするけど事業継続性が低い場合や、ビジョンはフィットしないけどビジネスの心配をせずによく寝れる場合です 🙂 – Nidhi Aggarwal

    ステップ4:プロダクトビジョンを計測する

     実行は計測しなければいけません。優先順位がどのような結果を生むかを知る必要があります。計測することで改善ができます。残念ながら、ほとんどのプロダクトチームは顧客の価値や満足の結果に紐づかない自己満足の指標を使いつづけています。

     この最後のトピックはもっと詳細な説明を必要とするでしょう。このトピックに関してはNate WalkingshawのMind The ProductプレゼンテーションとDuttの製品分析と測定に関する考えを読むことを強くお勧めします。

    ここで紹介されているRDCLツールキットの日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

    この記事はFresh Tiled SoilのCEOであるRichard Banfield氏による”A Radical, And Simple, Approach To Product Prioritization“の翻訳です。

  • 正しいワークショップを行う11の秘訣

    正しいワークショップを行う11の秘訣

    Hyper Islandでのワークショップの様子 – Phil Hesketh, Thomas Anderson, Sydney Johnson, Josephine Hjort, kien, Manish KC, Renzo Vallejo

    原文:”How to do your workshop right – 11 tips & tricks” by Dan Nessler

     友達のために一度最高の料理を作ってもシェフにはなりません。毎晩同じ品質の料理を提供するには室の高い材料、技術、創造性、柔軟性、修練が必要です。レシピを心で理解しなければなりません。

     ワークショップの運営と進行も同じです。ワークショップの成功は幸運でもなければ参加者の好みでもありません。慎重な準備とエクスペリエンスのデザイン、ツールやデザイン、ルールと原則の遵守がワークショップを成功に導きます。

     ワークショップに参加して何回「なんで8時間もこんなことに無駄にしたんだ?いったい何がポイントだったんだ?」とワークショップをあとにしましたか?

     うまく実践するための技術、ルールやツールがある。いくつかは当たり前で初歩的に見える。それなのに、それを無視したり従わなかったりすることが多い。そこで、ここに11のよいワークショップの材料を改めて紹介します。

    正しいワークショップを行う11の秘訣

    1. 参加者を理解する

     プロダクトやサービスはユーザーにサービスを提供するもので、それはワークショップも同じです。エクスペリエンスとなにか使えるものを提供します。参加者はどんな人達なのか、ワークショップに関連するニーズとペインはなにか。それがワークショップで提供しなければいけないことです。

    2. 共通のビジョンとゴール

     誰かと自分の時間を浪費させることほど最悪なことはありません。だからやめましょう。なぜここに集まったのか最初に定義して合意しましょう。<>u明確なビジョンと測定できるゴール。それを参加者に提示してください。参加者とコレボレーションして合意するのもいいでしょう。これにより、ゴールに集中してワークショップの最後に結果を測定することができます。 チームキャンバスはビジョン、ゴール、価値、ルールと役割を決めることに役立ちます。

    Hinderling Volkartでのチームキャンバス

    3. しっかり構成してアジェンダを使う

     ゴールがわかっているのは素晴らしいですが、途中で迷ったり行き詰まったりしたくありません。分刻みで計画する必要はありませんが、トピックとマイルストーンは決めておきましょう。 しっかりとした構成は参加者が集中することを助け、方向性を持つことができます。以下が一般的な構成です。

    1. オンボーディング

    • あいさつとお互いの紹介 (アイスブレーク)
    • ワークショップのビジョン、ゴールとアジェンダ
    • ワークショップ中のルール

    2. ワークショップのキートピック

    • ワークショップの内容

    3. オフボーディング

    • ワークショップのまとめと達成したゴール
    • 次のステップとアクション
    • 振り返りとフィードバック

     アジェンダはワークショップ中は常に見えるようにしておきましょう(ホワイトボードに書くなど)。ポストイットを使ってアジェンダのアウトラインを表現することもできます。そうすることによって進行中でも柔軟に対応することができるようになります。終了するごとにポストイットを取り除くことで達成感を感じることもできます。

    Hinderling Volkartでのワークショップアジェンダ

     参加者とラフなアジェンダを事前に共有しておきましょう。そうすることで参加者も準備をしておくことができますし、透明性を確保することにもなります。

    4. アイスブレイクとエナジャイザー

     アイスブレークとエナジャイザーは参加者の参加を促してムードづくりをします。あまり親しみのないトピックスや参加者同士がはじめて顔を合わす場合に特に有効です。アイスブレークとエナジャイザーの方法はたくさんありますが、以下のリンクが役に立ちます:

    www.thebalance.com

    toolbox.hyperisland.com

     私が好きなアイスブレークは«phototelling»です。以下のリンクは私の好きなバージョンでコンテキストに合わせて調整してあります:

    hiteamweek.com

    Credits: Hyper Island, Teamweek, Thomas Boie Rasmussen, Anna Evans, Sydney Johnson, Letizia T Lodi

    5. ルールを決めてみんなの行動を決める

     ワークショップはグループがコラボレーションする場です。どのようにコラボレーションをするのか参加者の間で共通の理解があるようにしましょう。参加者が合意できるルールを決めるか、一緒に作りましょう。私はこれを使っています:

    ワークショップのルール(例)

     また、チームキャンバスはここでも役立ちます。

    theteamcanvas.com

    6. 振り返りとフィードバック

     ワークショップの終わりに何をして何を学んだのかをまとめることは重要です。これはワークショップの仕上げで、なぜそもそもここに集まったのかを測ることができます。コンテンツ、プロセス、個人的な観点から振り返りましょう。参加者も振り返りやフィードバックを共有してもらいましょう。参加者から学び改善することが重要です。更に、参加者に対する気遣い、個人的な関心や関わりの気持ちを伝えることになります。いくつかの素晴らし振り返りやフィードバックのやり方を以下に紹介します。

    Reflection:

    Hyper Island Toolbox

    Feedback:

    Hyper Island Toolbox

    7. 「パーキングロット」を用意する

    Hinderling Volkartの«Parking lot»

     これは私のお気に入りです。

     しっかりアジェンダを決めても細かい議論や脇道に大きく逸れてしまうことがあります。このようにゴールから大きく離れてしまいます。そんなときのために「パーキングロット」を用意しておきましょう。トピックから外れてワークショップでは話しきれない考え、質問、アイデアを書き留め、ワークショップの後でも忘れないようにするため。

    8. 休憩を取る

     休憩を随所で取ることは必要ですし、生産性も向上します。TED talksが18 – 20分で終わるのもそのためです。誰かが話をしているのに集中できるのが最大でそれくらいです。インプットのための話をする時間がワークショップではあります。話す時間はなるべく短くして、アクティビティや議論の間に細かく分けましょう。仕事でも同様です。「ワーク」ショップと言われる所以です。休憩を取りましょう。BufferがブログでPromodoroなどいろいろな休憩のとり方を紹介しています。

    open.buffer.com

    Credits: Buffer

    9. オフタイムの時間を作る

    ワークショップ中に参加者がメールに夢中でパソコンをずっと眺めてるっていう経験ありませんか?私たちはやることがたくさんあって、メールや電話などをする必要もあります。事前にオフタイムの時間を計画して、メールや電話ができるようにしましょう。この方法はGVデザインスプリントでも推奨されています。

    www.gv.com

    10. 軽食と飲み物を用意する

    ワークショップの間に「水飲みたい..」って思ったことありますよね。自分のワークショップではそのようなことをしてはいけません。参加者の水分と糖分補給に気を使いましょう。最低限、水とスナックを。ハングリーでアグリーな参加者はワークショップに必要ありません。

    11. 司会進行のための第三者を雇うことを考慮する

     ワークショップによっては第三者の進行役を検討することをオススメします。進行役の役目は時間管理をしたり、トピックから離れないようにしたり、課題を解決することでワークショップの目的を達成することです。第三者の進行役はチームがゴールに集中して結果を出すことを助けます。

    まとめ

     一つのレシピに固執しないようにしましょう。私が提示したのはレシピの一つでしかありません。このようなやり方は私には適しています。ワークショップだけでなく、レクチャーやカンファレンスでの発表でも。ここで紹介した原材料は私にとってはとてもいいベースです。自分で好きなものを選び、工夫しながら自分とオーディエンスにとって一番いい方法を見つけましょう。

    ここで紹介されている『チームキャンバス』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

    この記事はスイスのオンラインエージェンシーHinderling VolkartのUXディレクターDan Nessler氏による”How to do your workshop right – 11 tips & tricks“の翻訳です。

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  • スタンフォード大学でも使われている『共感マップ』のアップデート

    スタンフォード大学でも使われている『共感マップ』のアップデート

    原文:”Updated Empathy Map Canvas” by Dave Gray

     何年も前にXPLANEで共感マップをデザインしました。私たちがゲームストーミングと名付けた人間中心デザインツールキットの一部でした。

     共感マップは多くのチームが共感による人に対する深い理解を共有することに役立っています。顧客のエクスペリエンスを向上、社内政治の理解、より良い仕事環境など多くのプロジェクトで活用されています。

     共感マップは私たちのワイルドドリームを超えて成功しました。スタンフォード大学d.schoolのカリキュラムで採用され、ハーバードビジネスレビューでも掲載されました。IDEOの創設者であるDavid KelleyとビジネスパートナーTom Kelleyが「IDEOのリーダーからの3つの創造的チャレンジ」の一つにも選ばれました。

    なんでアップデート?

     共感マップが作られ数年経ちますが、その間に多くのバージョンが現れました。共感マップは共感を育むためのエクササイズを補完するフレームワークとして特定のアイデアを元にデザインされています。共感マップの成功はエキサイティングであり、非常に喜ばしいことですが、数年に渡る様々な解釈の中で失われたものもあります。また、Webで展開されているいくつかのバージョンはオリジナルからダウングレードされています。

     最近では、ビジネスモデル・キャンバスのデザイナーのAlex Osterwalderと協力してCulture Mapという組織文化をマッピングするための新しいツールを開発しました。その過程で私はキャンバスデザインについて多くのことを学びました。

    そこで『共感マップ』の新しいバージョンを作ることにしました。Alexから学んだことを活かしてより使いやすく、より良いエクスペリエンスと成果を目指しました。

    アップデートの内容

    1. チームが活動のコンテキストと目的を明確にするためゴールを組み入れました。このゴールはWhoDoのエクササイズでも明確にすることができます。
    2. 活動の流れをより明示的にするためにセクションに番号を加えました。 流れの説明は後ほど説明します。
    3. 「考えると感じる」のセクションを頭の中心に置きました。これのより観察できる外の現象と 観察が難しい内面を区別しやすくなります。また外側にあった「痛みとメリット」も頭の中に移動しました。
    4. チームがエクササイズに入りやすくするためのいくつかの思考準備の質問を追加しました。

    使い方

    1. ゴールからはじめましょう。「誰」が共感マップの主人公で、あなたは「何」をしてほしいのか。これは新しい観察可能な行動から形作られる必要があります。
    2. ゴールを明確にしたら、キャンバスを時計回りで作業していきましょう。「見る」「言う」「やる」「聞く」の順番です。観察可能な現象(目に見えるもの、聞くもの)に集中することによりその対象に深く共感できるようになります。彼らの経験がどのようなものか想像する機会となり、「彼らのように感じる」感覚に近づきます。
    3. 外側の要素を埋めてから、頭の中の動きにフォーカスしはじめます。多くの共感マップは頭の外側に「考えてること、感じていること」を置いて、あまり書き込む余地がないことに気づきました。真ん中の大きな頭はこのマップデザインの最も重要な側面の1つです。実際に最初の名前は「The Big Head」でした。なぜなら、もともとのコンセプトはその人が何を感じて何を考えているか知ることだからです。そして、それは今も変わりません。
    4. もしプロダクト、サービス、またはカスタマーエクスペリエンスをデザインしている立場であれば、共感マップは価値のデザインにとても良いインプットになります。価値のデザインはAlexのもうひとつのツールであるValue Proposition Canvasが使えます。

     この新しい『共感マップ』テンプレートを使用すると何が起こるかについてフィードバックを聞きたいと思っています。このようなツールは、ユーザーのフィードバックの共有からのみ改善されます。このツールを試して、どのように機能しているのか、どのように改善できるか教えてください。 コメントであなたの考えやフィードバックを共有してください。

     このアップデートされた『共感マップ』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

     カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

     『共感マップ』日本語版はXPLANE社の許可を得て配布しています。この記事はXPLANE創業者Dave Gray氏による”Updated Empathy Map Canvas“の翻訳です。

  • イギリス政府の「デザイン原則」日本語版

    イギリス政府の「デザイン原則」日本語版

    「カタパルトスープレックスデザイン」の一環としてイギリス政府の「デザイン原則 “Design Principles”」を日本語に翻訳したので、デザイン原則について。

     ボクは白洲次郎が大好きで、彼に関する本をたくさん読みました。そんな中で印象に強く残っている本が『プリンシプルのない日本』です。白洲次郎ご本人が実際にそういったかどうかは定かではないのですが、この本のおかげでプリンシプルが重要なコンセプトとしてボクの中に刷り込まれることになります。

    プリンシプルのない日本 電子増補版 デジタルならではの28篇を増補収載

    プリンシプルのない日本 電子増補版 デジタルならではの28篇を増補収載

     

     イギリスのGOV.UKの歴史を紐解くと、かなり初期段階から「デザイン原則」つまりデザインのプリンシプルができていたことが分かります。以下がアルファ版の写真です。現在のデザイン原則でもまだ残っているのが当時でもあります。例えば”Consistent not uniform”(統一性ではなく一貫性)とか”Do Less”(より少なく)なんて今でもそのまま残ってます。

    2011年のGOV.UKのデザイン原則(Design Principles)。当時はデザインルール(Design Rules)と呼ばれていた。

     デザイン原則はまさにプロダクトやサービスを作る上でのプリンシプルとなるものです。これがないとチームは何に従うべきなのかわからなくなります。いちいちマネージャーに指示を仰がないといけない、たくさんの無駄な会議もやらなければいけません。プリンシプルがなければアジャイルにはなりません。

     プリンシプルの重要性は白洲次郎の時代から変わらないどころか、現代になり更に増しています。例えば「自律型組織」には人が従うべきプリンシプルがしっかりと組織に根付いている必要があります。マネージャーという人間ではなく、その組織のプリンシプルに従うのが次世代の「自律型組織」です。人に従うのが従来の階層型組織。

     よく考えてください、GDSがよくある官僚組織だったらGOV.UKなんて一年でローンチできますか?いろんな資料を調べましたが当時のGDSがここまで自由に動けたのは内閣府の大臣だったフランシス・モードの役割は大きかったはずです。

     デザイン原則は各プロジェクトごとに作られるべきなので、GOV.UKのプリンシプルをそのままコピペできません。デザインに限らずプリンシプルとはそういうものです。それでも、GOV.UKのデザイン原則はよくできたプリンシプルなので、自分が作ったプリンシプルと比べる良いベンチマークになると思います。

    ここで紹介されている『GOV.UKデザイン原則』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    実際のデザイン原則の作り方は同じくカタパルトスープレックスデザインに収録されているアメリカ政府機関18Fが作った『18Fメソッドカード』が参考になると思います。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

  • アメリカ政府機関が使っているデザイン手法を集めた『18Fメソッドカード』日本語版

    アメリカ政府機関が使っているデザイン手法を集めた『18Fメソッドカード』日本語版

    大規模デザインシステムを作る:いかにしてアメリカ連邦政府のデザインシステムを作り上げたか」という記事を以前に書きました。これがカタパルトスープレックス最初の翻訳記事でした。

     この取り組みは米連邦政府一般調達局の部門の一つである18Fという組織が中心となっています。そして、その18Fが自分たちで使っているデザイン手法を集めたのが18F Method Cardsです。今回はこのアメリカ政府のデザインチームが利用しているメソッドカードの日本語版を新しくはじめた「カタパルトスープレックスデザイン」で公開しました。

     このメソッドカードを翻訳していると「あ、この場面はこのメソッドを使ってるんだなあ」というのがはっきりとわかります。改めてメソッドカードを眺めながら記事を読んでみると面白いかもしれません。

     このメソッドカードも以前の記事で紹介しているのですが、多くが英語というのが難点でした。メソッドカードに書いてあるやり方を何回かやるうちに、自分のスタイルみたいなものができてきます。あまり詳しいやり方を読んでその通りにやるよりも、これくらいの粒度で試行錯誤しながらやったほうが最終的には身につくと思います。

    ここで紹介されている『18Fメソッドカード』の日本語版はカタパルトスープレックスデザインに収録されています。

    カタパルトスープレックスデザインはデザインやイノベーションに役立つオープンソースで無償のツールを集めたツールボックスです。

  • イノベーションのツールボックス『カタパルトスープレックスデザイン』

    イノベーションのツールボックス『カタパルトスープレックスデザイン』

    イノベーションのツールボックス『カタパルトスープレックスデザイン』

    カタパルトスープレックスの目指すところ

     日本ではなかなかイノベーションが起きません。理由として文化的な背景や日本人の国民性などあるかもしれません。少子高齢化など人口構成の変化もあるかもしれません。文化や国民性はなかなか変えることができません。それでも「今すぐ自分一人の力でもできること」もあるはずです。結局のところ文化や国民性も一人一人が集まった集合体です。個人が変わればそのうち全体も変わります。そのためにはボクがまず変わります。文句を言うのをやめて自分のできることをやる。

     カタパルトスープレックスが目指すのはボク個人が「自分でできることをやる」ことで最終的に「日本が再びイノベーションを起こせる国」に変えることです。そのために必要なもの(そしてボク個人でもできること)は情報、ツールとサービスの提供です。

    情報提供メディアとしてのブログ『カタパルトスープレックス』

     まず知ることが大事です。イノベーションに関する情報は日本語より英語の情報が多い。これは人口比率からして仕方がありません。ボク個人も日本語の情報より英語のニュースやブログをよく読みます。ブロックチェーンやIOT、人工知能など。さらにイギリスやエストニア、スイスのクリプトバレーなど世界で起きている政府主導のイニシアティブ。

     このブログ『カタパルトスープレックス』は主に海外の情報を日本語で提供しています。ボクはパブリックドメインの情報や個人のブログ記事は許可をもらって翻訳しています。商用メディアの記事や企業ブログの記事は翻訳していません。

     まずは世界の最先端の情報に触れることが大事だと思います。もちろん、ボク以外にも沢山の英語の情報を翻訳して日本語で届けている人もいるかと思います。ボクはそんな一人として、少しでも多くの情報を日本語で届けてイノベーションを阻害する言葉の壁を壊していきたいと考えています。

    ツールボックスとしての『カタパルトスープレックスデザイン』

     そして知識を使うことが大事です。世界ではオープンソースで様々なイノベーションに役立つツールが出ています。多くはクリエイティブ・コモンズのライセンスで、誰でも自由に使えて日本語化を含む改変もできます。これがコードであればGithubで共有されているのですが、デザインツールだとPDFが多いため、いろんなところに散らばっています。

     まずこのようなイノベーションに役立つツールを日本語化する。そして、それらを一箇所で共有するためのツールボックスとして『カタパルトスープレックスデザイン』を作りました。世界で広く使われている無料のツールを日本語で。

     これで情報としての『カタパルトスープレックス』とツールとしての『カタパルトスープレックスデザイン』が揃いました。今回のローンチのために6つのツールを日本語化して収録しました。

    サービスジオラマ:サービスのエコシステムを可視化してチームで共有。
    18Fメソッドカード:アメリカ政府機関の18Fが作ったメソッドカード。

    GOV.UKデザイン原則ポスター:イギリス政府のデジタルサービスにおけるデザイン原則
    RDCLツールキット:顧客中心のプロダクトビジョンからプロダクト戦略を導き出す。
    チームキャンバス:チームでお互いのことを知り、ゴールや目的を共有する。
    共感マップ:ユーザーに共感を持つことで理解を深める。

    コミュニティーとしての『カタパルトスープレックスデザイン』

     ブログ『カタパルトスープレックス』は個人ブログです。ボクが海外の記事をピックアップして翻訳の許可をもらって翻訳をする個人プロジェクトです。今回立ち上げる『カタパルトスープレックスデザイン』はそこから一歩進んでコミュニティープロジェクトにしたいと考えています。リポジトリは全てGitHubに公開していますので、コミュニティーによりフィードバックと改善をしていくことができます。

     また、Connpassで『カタパルトスープレックスデザイン』のコミュニティーを作りました。ツールは使い方がわからないと意味がないので、ミートアップやツールの使い方のワークショップなどを実施していく予定です。これもボクが主体となるより有機的なコミュニティーとして育っていくことを期待しています。ボクはそうなるための役割を果たしていきたいと考えています。

    そもそも『カタパルトスープレックス』の名前の由来とは?

     たまに聞かれるのですがあまり意味はありません。ガンダムがホワイトベースから飛び立つ発射台。またはガンバスターの登場シーン。つまり、ローンチのイメージでカタパルトです。スープレックスは「投げっぱなしジャーマン」をイメージしています。「スタートアップのような荒々しいローンチ」という意味合いとして捉えていただければと。

     ちなみにYouTubeを検索するとこういう動画が出てきます。まあ、こんな感じです。「ちゃんとした」お行儀のいいイノベーションではなく、破壊的なイノベーションを作りましょう。