タグ: エストニア

  • スタートアップ国家エストニアの脆弱性

    スタートアップ国家エストニアの脆弱性

    エストニアでマネーロンダリング(資金洗浄)が行われている疑いがあるとして、世界を騒がせています。ノルウェーのダンスケ銀行のエストニア支店を通過した約26兆円に相当する資金が疑わしい取引であったということです。いま、このスキャンダルはドイツ銀行やウェルス・ファーゴなどほかの銀行にも広がっています。

    事件の概要

    一般的には外国人が銀行口座を作るのはとてもハードルが高いです。顧客確認(KYC: Know Your Customer)が厳しいのも資金の不正な流通を妨げるためですが、今回の事件ではこれが機能していなかったということになります。事件の概要はこうです。

    • ロシア通貨ルーブルは国際的に流通需要が少ないソフトカレンシーな上、価値の変動が激しい。このため、資産を守るためにユーロや米ドル、英ポンドのようなハードカレンシーへの換金需要がある。しかし、ハードカレンシーへの換金は法律で制限されている。
    • ロシアではそもそも非合法な手段で得たり、出所が不明瞭な資金が多い。そのようなお金はマネーロンダリングして、きれいにしないと使えない。
    • 資金を国外に移動して洗浄したい人は、エストニアに口座を持ち、そこに粉飾見積もりの差額を業者に入金してもらう。
    • エストニア口座に入金した資産を、イギリスの口座に移し、さらに英領バージン諸島など転々とさせる。

    マネーロンダリングに関しては猫組長の『猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言』が読みやすくて面白いのでお勧めです。

    猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言 完全版

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    eレジデンシー(仮想住民制度)とマネーロンダリングの関係

    エストニアはスタートアップ的な国家として様々な先進的な施策を実施してきました。その中心となっているのがエストニアに居住しなくてもエストニアで起業できるeレジデンシー(仮想住民制度)の仕組みです。このeレジデンシーがはじまったのは2014年からですが、問題となっている資金洗浄はそれ以前(わかっているだけで2007年)からありました。そのことからもわかるように、エストニアの先進的な取り組みと今回の事件が直接的に関係しているということではなさそうです。それでも、今回の事件でエストニアのイメージ低下は避けられそうにありません。

    捜査はアメリカ、イギリス、フランスなど国をまたいで行われていて、今回のスキャンダルの全容はまだ明らかになっていません。これが単に濡れ衣なのか、本質的に何か脆弱性があるのかわからないため、エストニアも風評被害を抑えようとしています。

    経済大臣のViljar LubiはMediumでeレジデンスの仕組みは資金洗浄が難しい理由を解説するブログポスト”Here’s why money launderers are disappointed with e-Residency“を発表しました。要約するとポイントは以下の四つです。

    • 申請者は警察による身元確認が行われ、IDカードを受け取るためには警察やエストニア大使館など所定の場所で本人が受け取らないといけない。
    • デジタルIDカードを使ってエストニアで企業を設立するのと、一般のエストニア市民がエストニアで企業を設立するのと違いはない。エストニアでライセンスを持つ代表者を立ててマネーロンダリングを含むリスクを開示しなければいけない。
    • 仮想住民がエストニアで銀行口座を開設する場合も同様にそれぞれの銀行でエストニア市民と同じ審査が適用される。
    • エストニアの商法に違反した仮想住民はその権利をはく奪される。

    エストニア政府のeレジデンシー(仮想住民制度)とマネーロンダリングは関係ないという主張はおおむね合理的だと思います。ただ、それはベースとなるエストニアの金融制度や法整備に問題がないことが前提となっています。今回の事件はeレジデンシー(仮想住民制度)のベースとなる根本的なエストニアのビジネスインフラに関して疑問符がついてしまった形になっています。ここからきちんと信頼回復をしていかないと、スタートアップ国家としてのエストニアブランドは厳しいことになりそうです。

  • ブロックチェーンとエストニアの情報連携基盤『X-Road』の違い

    ブロックチェーンとエストニアの情報連携基盤『X-Road』の違い

    原文:”There is no blockchain technology in the X-Road” by Petteri Kivimäki (Nordic Institute for Interoperability Solutions)

    最近、X-Road(エストニアの情報連携基盤*1 )はブロックチェーンを基盤としたテクノロジーだと説明する記事を複数見かけました。または、内部的にブロックチェーンを使っていると。それが事実なのかどうか検証したいと思います。

    ブロックチェーンとは

    ブロックチェーンは今年の流行語の一つで、テクノロジー分野で最もアツいとされています。ブロックチェーンは2009年に最初の暗号化通貨として立ち上がったビットコインの基盤技術として知られるようになりました。それ以来、ブロックチェーンは暗号化通貨だけでなく、様々なビジネス分野やユースケースに適応されるようになりました。

    ブロックチェーンは分散化されたパブリックデータベースで、取引情報をチェーン上に保存して、改ざんから守り、データの整合性を保証します。ブロックチェーンはP2Pネットワークでそれぞれのノード(エンドポイント)は平等で全てのノードの完全なブロックチェーンのコピーが保存されます。ブロックチェーンに保存されたデータはネットワークに参加している続く全てのブロックを変更して複製されない限り、変更することはできません。この仕組みによりブロックチェーンのデータ改ざんは非常に難しいものになっています。

    取引データはブロックチェーンにおいてマークル木*2の形式で保存されます。連続するブロックはお互いにリンクされ、チェーンを形成します。それぞれのブロックは、その前のブロックの暗号学的ハッシュを含み、最初のブロックからチェーン上のブロックの順序と整合性を確認することができます。この仕組みにより、チェーン上の取引データの監査と確認をすることができます。

    ブロックチェーンは中央集権ではないため、新しいブロックが追加される前に参加するノードの合意が必要となります。これは合意プロトコルまたは合意機構によって行われます。最も一般的な合意機構はProof of Work (PoW) とProof of Stake (PoS)です。

    X-Roadとは

    X-Roadはオープンソースのデータ連携レイヤーで、組織がインターネット上でデータ連携することを可能にします。X-Roadは中央管理された情報システム間の分散統合レイヤーで安全に標準化されたサービスの提供と消費の方法を提供します。X-Roadはデータ連携をする双方の匿名性、整合性、互換性を保証します。 

    サービスプロバイダー(例:基本レジストリ)とそれを消費するコンシューマー(例:Webポータル)のアイデンティティはX-Roadのオペレーターにより集中的に管理され、全てのデータ連携はデータのコンシューマーとプロバイダーの間で直接行われます。データ連携の証拠はデータ連携した双方のローカルストレージに保存されます。第三者はアクセスできません。タイムスタンプと電子署名によってX-Roadからおくらえレウデータの否認不可を保証しています。

    X-Roadはバッチ処理による署名とタイムスタンプをサポートしています。バッチ処理による署名は添付を含むメッセージのために作られます。バッチによるタイムスタンプとは最後に作られたタイムスタンプから遡ってバッチ処理によって非同期に作られるタイムスタンプです。バッチ処理によるタイムスタンプはタイムスタンプサービスの負荷を削減するために利用されます。署名とタイムスタンプの両方の機能はマークル木とバッチ中にメッセージをハッシュチェーンを通じてリンクされるメッセージプロセスを元にしています。ハッシュチェーンを使うことで任意のメッセージが特定のバッチ処めいの一部だと確認することができます。しかし、異なるバッチと含まれるメッセージの間にリンクはなく、バッチ処理された全てのメッセージを全てリンクはされていません。

    セキュリティーサーバーは全ての署名とタイムスタンプがバッチ処理されたメッセージをメッセージログデータベースに保存します。ログの記録はディスクに定期的に保管され、データベースからは削除されます。メッセージログのアーカイブは以前にアーカイブさたメッセージに依存し、このチェーンは異なるアーカイブファイルに続きます。これによりメッセージログのアーカイブファイルは一つのセキュリティーサーバーにあるメッセージのチェーンを構成します。つまり、メッセージのアーカイブファイルはチェーンを破ることなく変更することができなくなります。

    X-Roadはブロックチェーンを基盤としているか?

    ブロックチェーンは非中央化された分散データベースで、合意プロトコルを通じて更新されます。ネットワーク上の全てのノードは平等で、データベースの完全なコピーを所持します。データベースに格納されたブロックは暗号学的ハッシュ機能でリンクされます。

    X-Roadのセキュリティーサーバーに格納されているメッセージログのアーカイブファイルは一つのセキュリティーサーバーで処理された全てのメッセージを含みます。メッセージは暗号学的ハッシュ機能でリンクされています。ファイルはローカルで保管され、ファイルをホスティングしているサーバーはファイルを作成する必要があります。それぞれのセキュリティーサーバーはそれぞれユニークなメッセージのチェーンを持ちます。それ以外のX-Roadのエコシステムメンバーはファイルにアクセスできません。

    ブロックチェーンとX-Roadの共通点はデータをリンクする暗号化ハッシュ機能です。それ以外はあまり共通点はありません。それは目的のユースケースが異なるからです。暗号化ハッシュ機能はブロックチェーンが生まれる前から存在しました。暗号化ハッシュタグをブロックチェーンでもX-Roadでも使っていることで、X-Roadがブロックチェーンを基盤としていることにはなりません。自転車も自動車も車輪があります。しかし自動車が自転車の前にあったからといって、自動車は自転車を元にしていると言いません。ブロックチェーンとX-Roadにも同じことが言えます。

    上記からX-Roadはブロックチェーンを基盤としていないと言えますし、内部的にも使っていないと言えます。

    解説

    この記事はThe Nordic Institute for Interoperability Solutions(略称:NIIS フィンランドとエストニアが共同で設立)がX-Roadとブロックチェーンの違いを解説したものです。

    X-Roadはもともとエストニア政府が開発した情報連携プラットフォームで、MITライセンスのもとにオープンソースとして公開されています。海外でも使われていて、2018年2月にはフィンランドのX-RoadとエストニアのX-Roadが接続されました。

    この記事にもありますが、X-Roadとブロックチェーンを混同する記事が日本でも見受けられます。確かにエストニアはブロックチェーンの公共サービスへの活用にも積極的ですが、その基幹システムとも言えるX-Roadは違うんですよ。

    カタパルトスープレックス なかむらかずや

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  • エストニアがスタートアップ国家としてデジタル政府を推進する理由

    エストニアがスタートアップ国家としてデジタル政府を推進する理由

    これまでアメリカイギリスのデジタル政府に踏み出した背景を説明してきました。なかなか評判がいいようなのでエストニアの資料も作ってみました。全ての国家はそれぞれ歴史があり、大きさも様々です。アメリカ、イギリスや日本とエストニアを単純に比べることはできませんが、一見「弱み」に見えるエストニアの特徴を「強み」に変えるしなやかさは多くの為政者や経営者の参考になるのではないでしょうか。

    PDFのダウンロード(カタパルトスープレックスデザインのGithub)

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  • エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    エストニアが仮想住民のためにぺイオニアのペイメントシステムのサポートを発表

    原文:”Welcome to our digital nation, Payoneer” by Kaspar Korjus

    ぺイオニア(Payoneer)はペイメントのプラットフォームで、起業家がグローバルに支払いや支払いの受け取りをローカルと同じように簡単にできることを実現します。しかも、ローカルの銀行口座なしに。

    本日、エストニアの電子国家にぺイオニアを招待し、世界中に急速に拡大するエストニアの仮想住民(e-resident)に専任のサポートを提供します。仮想住民の企業はすでに200カ国で150通貨と35言語で運営されています。

    このコラボレーションはエストニアの仮想住民に金融サービスの選択肢を広げることになります。同時にぺイオニアにとって400万人の既存顧客へのグローバルなEU企業を完全にオンラインで設立する機会が提供できることになります。私たちはぺイオニアの既存顧客にエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に理解していただき、登録していただきたいと考えています。

    多くのエストニアの仮想住民はすでにぺイオニアを利用して、そのサービスに前向きなフィードバックを私たちに伝えてくれています。そして、この協力関係はぺイオニアとエストニアの仮想住民制度(e-Residency)がさらに利用しやすくなることを促進します。

    この結果、ぺイオニアは仮想住民に向けて特別なキャンペーンを実施しています。このリンクを通じてぺイオニアアカウントを登録すると、口座登録3カ月以内に$5,000の支払いを受け取ることができます。さらに$250を受け取ることができます。エストニアの仮想住民はさらに低い手数料、より高い取引量、特別サポートなど特別な条件でサービスを受けることができます。

    ぺイオニアがエストニアの仮想住民に提供するもの

    口座は世界のどこからでも完全にオンラインで開設することができ、国境をまたいでビジネスをする世界の起業家に有益な多くの機能があります。

    ぺイオニアのグローバルペイメイントシステムを使えば仮想住民に複数の国の複数の貨幣でカードを含めた支払いを受け取ることができます。仮想住民にとって重要なのはぺイオニアの口座所有者が口座から資金を引き出し、個人の銀行口座に移せることです。これによりエストニアにある仮想住民の会社のために法人口座を作れない場合でも、伝統的な銀行口座の必要性がなくなります。

    これは仮想住民がEUの法人口座を持てるというだけではありません。アメリカ、イギリス、日本、中国、カナダやオーストラリアの現地銀行があるかのようにエストニアの会社がお金を受け取れるのです。

    必ず必要なわけではありませんが、ぺイオニアでお金の取引をするのに一番簡単な方法な、ぺイオニアのネットワーク内で取引をすることです。Amazon、Google、UpWork、Fiverr、Airbnb、ShutterstockやGettyImagesを含め、すでに多くのマーケットプレイスがぺイオニアを利用しています。フリーランス、アフィリエイトマーケティング、Amazonでの販売、アプリ開発、ストックフォトなど場所に縛られないビジネスを展開している企業にとってこれはとてもメリットがあります。

    仮想住民はぺイオニアの口座から国をまたいだ支払いもできます。サービス、サプライヤー、従業員や契約社員への支払いなどです。ぺイオニアのネットワーク内での支払いや、ペイメントカードでの支払いの他にもSEPA(Single Euro Payments Area 単一ユーロ決済圏)内であれば銀行への直接送金も可能です。

    バンキングの将来

    仮想住民の制度(e-Residency)を開始して場所に縛られない起業家にサービスを提供してから銀行へのアクセスは最大のチャレンジの一つでした。

    それでも大きな流れは明白でした。

    新しい技術は急激に世界中の人たちに起業の機会を広げています。会社の設立、会社の運営やバンキングなどのビジネスツールは完全にオンラインで低価格で少ない労力でできるようになっています。それでも、まだまだ改善する余地はあります。

    グローバルに生活し、どこからでもオンラインで仕事をするのは新しいスタンダードです。行政と金融機関はともに国境や官僚主義から生まれる障害を少なくするようなスマートなソリューションを提供する努力をすべきです。

    エストニアはぺイオニアが私たちのデジタル国家に参加することを歓迎します。なぜなら、私たちは世界中にとって選択肢が増えること、価格を低く抑えること、障害が少なくなることを歓迎するからです。

    エストニアの仮想住民制度もぺイオニアもそれぞれ世界で急激に広がりを見せています。特に東アジアなど私たちのスタート地点から離れた場所で顕著です。偶然ですが、今年には双方とも韓国に新しいオフィスを設立し、韓国の起業家支援に力を入れています。これにより力を合わせて現地の起業家支援を強化することができます。

    仮想住民は以下のリンクからさらにぺイオニアの提供するメリットについて学ぶことができます。

    ぺイオニアの顧客はエストニアの仮想住民制度(e-Residency)に関してe-resident.gov.eeで学ぶことができます。また、以下のブログ記事ではどのように場所に縛られない会社を設立できるのかを学ぶことができます。

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  • エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    エストニアがICOプラットフォームとして暗号化トークン「エストコイン」の準備を開始

    クレジット:E-residentのPeter Kentieさんが寄贈してくれたイラスト

    原文:”We’re planning to launch estcoin — and that’s only the start” by Kaspar Korjus

     エストニアはe-Resideincyが世界の起業家が信頼できるICOを実施するときのベストな選択肢であることを目指しています。そして三種類の暗号化トークン「エストコイン」を検討しています。

     スタートアップの世界はICOによって大きく変わろうとしています。

     株式を提供する代わりに、ブロックチェーンをベースとした暗号コインを発行して世界各国の投資家から資金を調達しています。

     アメリカ、シンガポールとスイスがICOを実施する上で起業家が検討する国としてリードしています。一方で各国政府はどのようにICOを規制するのかを検討しています。起業家にとっても投資家にとっても不幸なことに、ICOは法律上はグレーなエリアで実行しなければいけませんし、透明性と信頼性の問題によりこのイノベーションの歯止めがかかっています。

    解説

    ICOのトークンには二つの考え方があります。一つは「利用料」としてのトークン。もう一つは「証券」としてのトークンです。資金調達をする企業は「利用料」としてのトークンと位置づけることが多いように思われます。これは「証券」としてのトークンは法整備が整っていないからですし、「証券」の発行には大きな責任が伴うからです。

     それにもかかわらず、ICOを通じた資金調達金額はベンチャーキャピタルからの資金調達を上回っています。しかし、資金調達はICOの一面に過ぎません。スタートアップが発行した暗号化トークンに投資している人たちのインセンティブは開発の支援というオンラインコミュニティーに近いものがあります。

     エストニアの仮想住民プログラムであるe-Residencyも急速に成長しているスタートアップです。政府のスタートアップであるにも関わらずです。それは仮想住民からのフィードバックにより絶え間なく改善されているからです。そして商業セクターのベストプラクティスも取り入れています。私たちは急速に成長するコミュニティーを持ち、そのコミュニティーはe-Residencyプログラムからどのように価値を最大化できるのかを常に探しています。

     そこで、2017年8月にe-Residencyブログを通じて「エストニアのようの国がICOを通じて自らの暗号化トークンを発行したらどうなるか」を聞きました。その時につけた暗号化トークンのニックネームが「エストコイン」でした。e-Residencyがプラットフォームを通じてどのように「エストコイン」をグローバルで流通させ交換させるのかを説明しました。誰でも登録できるデジタルIDがあるからです。

     この記事はすぐにバズりました。世界中のメディアで取り上げられました。世界で2億人くらいの人がこの記事を読んだと推定しています。

     多くの人がこのアイデアに熱狂して「エストコイン」のあり方について意見を書きました。そして多くの人は批判的でe-Residencyプログラムのマーケティングスタントでしかないのではないかと推測しました。

     私たちはアイデアを閉じたドアの奥で作ることができますが、e-Residencyを作り上げる上でオープンポリシーは常にベストでした。できる限り早い時期からオープンに議論をはじめる。それによりアイデアを改良することができ、どのようなサポートが必要なのかも理解できます。サポートする人も批判する人も貴重です。

     暗号化コミュニティーは政府のこのような介入に一番批判的なのではと最初は予想していました。しかし、実際は違っていました。クリプトワールドの起業家も投資家も熱狂的に興味を持ち、アイデアを受け入れているようでした。反面、伝統的な組織は一番批判的でした。欧州中央銀行総裁のマリオ・ドラギも懸念を表明しました。

    qz.com

    「エストコイン」に対する多くの批判はエストニアが仮想通貨を発行したくてもできないことです。エストニアの唯一の通貨はユーロであり、これは私たちが誇りとするEUのメンバーの必須条件だからです。誰もそれを変えるつもりはありません。

     ですから私たちは「エストコイン」を暗号化トークンとしています。

     政府は暗号化トークンが通貨として利用できることによる破壊的なインパクトも考慮する必要があります。暗号化トークンは世界的に価値を交換するもっと効果的な方法だからです。しかし、暗号化トークンは通貨としての利用よりもさらに大きな重要性があり、必ずしもそのカテゴリーに押しとどめるべきものではありません。

     エストニアの観点から見ると、「エストコイン」はデジタル国家を開発するための世界的資金調達をする手段を提示しています。そして、e-Residencyを通じて起業するスタートアップを増やすという目的を達成するため仮想住民のインセンティブとしてトークンをデザインしたいと考えています。

     仮想住民によるビジネスはエストニア経済に前向きなインパクトをすでにもたらしています。2017年12月に発行されたDeloitteよる独立したレポートによると最初の三年間でエストニアは1億4400万ユーロを回収し、2025年には18億ユーロになると予想しています。これは1ユーロの投資に対して100ユーロを回収することになります。私たちは仮想住民たちに価値を提供し続けることによってのみそれを達成することができます。

    「エストコイン」の目的はそれを加速することです。そしてデジタル国家の開発のため追加の投資と利息を活用します。

     それでも疑問は残ります。「エストコイン」はコインを持つ人のどのような課題を解決するのか?「課題を探すソリューション」これもよくある批判でした。提案が発表されてからオーディエンスに「エストコインを買うのに興味があるか」を聞き、答えは「イエス」でした。どうして「イエス」なのかは自分でもまだ明確ではないにも関わらず。

     驚くかもしれませんが、私たちは「エストコイン」が「課題を探すソリューション」であることを完全に認めます。そして、それは必ずしも悪いことではありません。

     e-Residencyも立ち上げ時は「課題を探すソリューション」でした。このソリューションは世界中の誰でもエストニアのデジタルIDの申請ができ、エストニアのデジタル公共サービスを受けられるというものでした。しかし、最初の仮想住民たちはそれがどのような問題を解決するのかも確かではないにも関わらずに申し込みました。

     三年後に3万人の仮想住民申請を通じて私たちはe-Residencyが解決する課題について理解を深めました。世界的な起業の民主化と地域に縛られない働き方の推進です。エストニアの仮想住人に関してはここで詳しく読めますし、どのような課題を解決してきたのかはこのビデオ広告でも紹介しています。

    「エストコイン」の提案をしてから私たちは世界中のフィードバックに慎重に耳を傾けてきました。そしてどのように構築するかだけでなく、どうして人々がそれを欲するか理解を深めてきました。

     その概要を説明する前に、「エストコイン」のビジョンを実現するためにまず何をしなければいけないのかを説明します。私たちはe-ResidencyをグローバルでICOを実施するベストのオプションとしなければなりません。

    信頼できるe-ResidencyのICO

     ブロックチェーン技術は世界を二つに分けました。一つは政府や伝統的な機関でもう一つはクリプトコミュニティー。両方とも相手には将来がないというフリをします。

     多くの場合、真実はどこか真ん中にあり、分断も元に戻ります。暗号化を取り込まなければ政府は経済成長の原動力を手放し、妥当性すら失う危険があります。公共の監視を取り込まなければ、まともなクリプト投資家も偽物投資家によって変質してしまい、トークンの価値にも疑問符がつきます。

     リスクとその複雑さに関してはアメリカ証券取引委員会が暗号化通貨とICOに関する包括的な声明が読むに値します。

     私たちはブロックチェーンが非常に強力な破壊的なソリューションになりつつあることを認識する必要があります。そして、公共機関は全ての人の利益のためにできる役割があります。伝統的な派閥と暗号化の派閥。二つに分かれた派閥は平和的な合意に達する必要があります。

     それこそがエストニアで起ころうとしていることです。「エストコイン」の提案が発表されてから私はエストニア議会内で公共機関と商業セクターの代表者、クリプト起業家、世界中のハッカーを集めたキックオフを開催しました。この会議にはe-Residencyプログラムのチームメンバーと諮問委員、エストニア財務大臣、議員、エストニア中央銀行、ICOを実施している企業とそのアドバイスをしている法律事務所が参加しました。

    エストニア議会でのキックオフ

     私は特に遠くからエストニアに足を運んでくれたTrent McConaghy、Anish MohammedとBruce Ponに感謝します。

     私たちはエストニアがどのように取り組むかを理解するための膨大な作業を始めました。どのように正当な起業家を支援してデジタル国家として成長できるのか。同時に公共の利益を守り、国家とビジネス環境に対するリスクを軽減できるのか。

     私たちは他の国々でのベストプラクティスから学ぼうとし、エストニアのユニークさを活かしてさらに先に進むための方法を探りました。これ以来、私たちは継続して一緒に働き、定期的に意見の交換をしました。

     理解できる注意深い理由でエストニアは暗号化に対して友好的な国家とは言えませんでした。しかし、驚くべきことに最初に私たちが発見したのはエストニアはすでにクリプト起業家にとって絶好のビジネス環境だということです。100%オンラインのクロスボーダーマネージメントから分配されない利益に対する0%の法人税まで。

     さらに私たちの安全なデジタルIDはKYC(Know Your Customer|顧客の身元証明)の一部として利用できます。企業は投資家と起業家の両方の身元証明のために多大なコストと時間をかけています。投資家がキーを忘れて暗号化トークンにアクセスできなくなったという話はよく聞きます。このようなことは政府が保証しているデジタルIDがウォレットと紐づいている仮想住民には起こりません。

     実際に多くの企業がe-Residencyを通じてエストニアでICOの準備をしています。また、すでにe-ResidencyをKYCのプロセスに組み込もうと模索しています。

     ICO現象が成長し続けると、ICOにとって「天国」とされる国が出てくるでしょう。しかし、私たちは現在のICOに懸念を持ち、どのようなICOでも誘致したいわけではありません。未成熟な行動や資金の行き先の不透明性ですでに多くの投資家が失意によって離れていきました。また多くのICOは実際には関わりのない有名人や組織の名前に頼っていたりもします。暗号化トークンに関するe-Residencyやエストニア自体の告知はこのブログで詳細に説明することを覚えておいてください。

     現実はほとんどのICOに私達が望むような標準はありません。

     更に暗号化トークンの価値は現在は非常に揮発性が高くビットコインを含めその他の大幅な価格上昇は近い将来急速な冷え込みも考えられます。多くのアナリストは現在の暗号化市場と90年代のドットコムバブルの類似性を指摘しています。ドットコムバブルは崩壊しましたが、損背景にある基礎的な技術(インターネット)はなくならず、多くの可能性を切り開き世界を変えました。同じことが暗号化でも起きるでしょう、たとえそのバブルが崩壊しても。

     人々が最終的に求めているのは信頼を背景とした本当の価値です。信頼はe-Residencyの価値の一つです。政府に保証された安全なデジタルIDsそれを活用したオープンで透明性の高いビジネス環境があります。これが私たちが信頼のあるICOの誘致にフォーカスする理由です。

     ではどうやって信頼あるICOをe-Residencyを通じてサポートするのか?

     最も明白なソリューションは法律を変えることです。エストニアは仮想住民の起業家を支援するためやこれから成長する産業を支援するために法律を改定する意志があります。例えば、エストニアはヨーロッパの中で配達ロボットとライドシェアを合法にした最初の国です。さらに人工知能の法律の枠組みに関しても議論をしています。

     しかし、ソリューションを探すために必ずしも法の力が必要なわけではありません。さらに、多くの複雑さがあり、その中にはEUの枠組みで取り組まなければいけないものもあります。

     これらの議論は現在進行中です。しかし、私たちが最初にやらなければいけないことははっきりしています。規制された環境下において合法的に責任のあるICOを立ち上げるための明確なガイドラインを出すことです。

     e-Residencyは積極的に責任のあるICOを支援したいと考えています。私たちは国家としてその組織のICOをバックアップすることはできませんが、e-Residencyを通じたICOでの信頼性を高めるたるのガイドラインを提供することができます。そのガイドラインには投資家により高い信頼性と透明性を確保するためのベストプラクティスが含まれます。

     私たちは現在ガイドララインを作成中です。何がガイドラインに加わるべきかフィードバックをください。例えば暗号化トークンの分類や、どのような法律に従わなければいけないのか、どのようなベストプラクティスに従わなければいけないのかなどをガイドラインに含める予定です。こうすることによって投資家は投資がどのように使われているかをトラッキングすることができます。

     最もトリッキーなICOに関わる課題はトークンの分類です。トークンは証券なのか、利用料なのか。私たちのガイドラインは両方を取り組まなければいけません。起業家が自分のニーズに合わせて正しい分類のトークンを選べるようにしなければいけません。ある責任を避けるようにICOのトークンを構成するのではなく。私たちは起業家の暗号化トークンが「証券」とラベルづけされる事に慎重なことを認識しています。しかし、これは投資家からのより高い信頼を得られる方法です。私たちは大胆に起業家が証券としてのトークンをもっと実施しやすいビジネス環境を支援していきたいと考えています。

    「エストコイン」の提案が発表されてからe-Residencyの申請が跳ね上がりました。多くはICOへの投資が目的だと理解しています。つまり、e-Residencyを通じてデジタルIDとリンクした形でICOを実施することは成長しつつある投資家のコミュニティーへのアクセスのコスト、時間と手間が軽減される事を意味しています。

     多くの仮想住民はすでに投資目的でこのプログラムを利用しています。しかし、私たちの長期的な目標は投資家と起業家のコミュニティーによる規模の経済を実現する事です。

     商業セクターも起業家と投資家を支援する重要な役割があります。例えば金融や弁護士サービスです。もしこれを読んでいて支援できるとお考えであれば私たちのチーム(e-resident [at] gov.ee)にコンタクトしてください。

     私たちの目標はエストニアが信頼あるICOの世界でのベストオプションとなる事です。それは公共と商業セクターが協力してe-Residencyや透明性の高いビジネス環境といったエストニアのユニークな特色を活用することで実現します。エストニアはエンジニアたちがSkypeを開発することによって通信の中間業者を取り除いて以来、ビジネスの技術革新の最前線にいます。私たちはブロックチェーン、暗号トークン、安全なデジタルIDによって証券の中間業者を取り除くことができる機会に直面しています。これによりe-Residencyを通じて世界規模で真に分散化されたP2Pの証券取引を実現することができます。

    エストコインはどのようなものになるのか?

     公共と商業セクターの議論の中で私たちはエストニアの暗号化トークンがどのように機能しするか世界中からのフィードバックに基づいて審議しています。

     このプロジェクトの当初のニックネームは「エストコイン」でしたが、エストコインという名前は急速にグローバルブランドとなりましたので現在でもそのまま使っています。

     私たちはデジタル国家にとって、利用者にとって有効なエストコインを一つだけではなく、三種類を特定しました。三種類全て実行可能で欧州中央銀行に警戒心を抱かせるものではありません。

     私たちは批判にも関わらずエストコインの準備を進めるのではなく、批判に感謝をして進めます。批判によってどのように推進すべきか理解できたからです。

     一つまたはそれ以上のエストコインが複数の目的を実現するために実行される可能性があります。

     以下がそれぞれのエストコインの背景です。

    1. コミュニティーエストコイン

     暗号化トークンの強みの一つは行動に対してインセンティブを与えることです。トークンの保持者はコミュニティーの成長から恩恵を受けます。

     Ehtereumの創業者であるVitalik Buterinに私たちのアイデアの概要を発表まえに共有したのですが、これはその時に特に強調されたポイントです。以下がその引用です。

    e-Residencyエコシステム内でのICOは仮想住民とファンドを同じ方向性に向かせる強いインセンティブを作り上げます。共同にできることが多いため、経済的な側面を超えたコミュニティーへの帰属意識を高めます。

     コミュニティーエストコインは世界中の人たちが仮想住民として参加することにインセンティブを与え、e-Residencyの価値を引き出すことで新しいデジタル国家の成長に寄与すると考えられます。これには投資家や起業家がe-ResidencyをICOのプラットフォームとして活用することも含みます。

     すでに多くの仮想住民が様々なやり方でデジタル国家の成長にボランティアとして貢献してくれています。彼らの経験をコンテンツとして共有したり、他の人をプログラムに紹介してくれたりしてくれています。しかし、私たちはその貢献にどのようにリワードを提供したり支援できるか分かりませんでした。

     更に仮想住民の最も価値のある活動の一つはお互いのビジネスや実際のエストニア国民とのビジネスの活性化です。つまり、e-Residencyは公共サービスへのアクセスだけでなく、成長する価値あるコミュニティーに参加することによって事業を拡大することです。

     幸いに私たちはすでにコミュニティープラットフォームがあります。そこでエストコインがプラットフォームの「利用料」として価値のあるものとして、コミュニティーの成長に貢献した参加者には自動的に発行される仕組みが考えられます。

     例えばe-ResidencyのWebサイトにトラフィックを送り、実際に新しく仮想住民が増えた場合に、その仮想住民にはエストコインが発行されるなどです。またコミュニティー内でクラウドソーシングのような仕組みを作ったりが考えられます。

     エストコインはネットワーク効果でプラットフォームの成長を可能にしますが、調達された資金はこのプラットフォームのさらなる開発やエストニアでビジネスをする企業への再投資にも活用できます。

     私たちは商業セクターからの参加も求めています。商業セクターはeResidencyエコシステムで重要な役割を担っています。会計処理やバンキング、バーチャルオフィスなどのサービスをエストコインで利用できるようにしたいと考えています。仮想住民に対して様々なサービスを提供する企業があり、エストコインの交換も奨励していきたいです。

     実際にコミュニティーエストコイン立ち上げのための国家的ICOには公共と商業セクターのパートナーシップが必要です。単一組織がトークンとファンドの分配を管理すべきではないからです。

     最初のフォーカスは「利用料」としてのエストコインですが、e-Residencyの開発によってデジタル国家の成長の恩恵をエストコイン保持者が受けることも重要です。つまりコミュニティーエストコインは最終的には伝統的/暗号の双方の交換所でオープンに取引されることを意味します。実際には投機家を抑制するためにロックアップ期間が必要となるでしょう。エストコインの保持者はデジタル国家の長期的な成長から恩恵が受けられるようになります。

     透明性は仮想住民やその企業だけでなく、プログラム自体にとっても重要です。つまりエストコインの供給量について明確にしなければいけません。どのような法律の元でどのような利用ができるのか。ブロックチェーンのフェデレーションがエストニア政府と独立組織のネットワークのリーダーシップを提供するために必要となるでしょう。

     このような暗号化トークンの利用は多くの人たちが自律して全ての人たちのために協力しながら働く役に立つでしょう。私たちはすでに仮想住民がお互いにつながりビジネスをともに加速していきたいということを理解しています。またここ数ヶ月の間、エストコインを得たい人が増えていることも理解しています。

     e-Residencyプログラムはデジタルスタートアップとして国全体をオンラインでスケールアップするというこれまで誰もなし得なかったことを行っています。これは仮想住民へのメリットが高まるにつれて加速的に進行しています。コミュニティーエストコインはこれをさらに加速するメカニズムとなります。コミュニティーに参加する価値を高め、成長を助ける人たちにリワードを提供することにより全体のサービスを劇的に改善することになります。

    2. IDエストコイン

     エストニアのデジタル国家の中心(そしてe-Residencyプログラムの中心)は政府が提供する安全なデジタルIDです。

     これはデジタルIDでも世界をリードするイニシアティブです。しかし最先端でい続けるためにはそれを支える技術を継続的に改善していく必要があります。エストニアはすでにいろんな意味でブロックチェーン国家と言えます。ではブロックチェーンを活用してIDをトークン化してみてはどうでしょうか。

     このモデルにおいてエストコインはデジタル社会の中で利用されるブロックチェーンベースのトークンとなります。例えばデジタル署名、サービス利用のためのログイン、スマートコントラクトの実行などです。

     エストニア国民と仮想住民はデジタルIDに紐づく一定量のトークンを得ることができ、必要な時にはその量を増やすことができます。たとえこのIDトークンが購入されたとしてもエストニアの売り上げとはなりません。ネットワークの維持に利用されます。実際にこの提案によって全ての人はコストを抑えることができるようになります。

     このIDエストコインとコミュニティーエストコインの大きな違いはここです。IDエストコインは身分証明の一部なので取引したり売ることはできません。実際にe-Residencyプログラムが成長して人の数が増えればIDエストコインの価値は下がります。これは時間とともに取引コストが下がることを意味し、規模の経済に寄与します。

     すべの人が望むものではないかもしれませんが、この仕組みは私たちのビジネス環境にさらなる透明性をもたらします。しかしこの透明性は多くの人が仮想住民になることを選ぶ理由の一つです。透明性は仮想住民がグローバルでビジネス展開をするための信頼の源泉となります。実際にこのIDエストコインモデルはエストニア警察や国境警備隊がある状況下において法律違反を犯した仮想住民からトークンを取り上げることにも利用できます。

     なぜエストニア国民や仮想住民はこのIDエストコインを推進したいのでしょうか?

     IDエストコインにより現在デジタル国家を運営するために使われている技術をなくすことができ、そのコストも削減することが出来ます。

     エストニア国民と仮想住民はこの低コストの恩恵を受けるだけでなく、デジタルIDを利用してさらに簡単にサービスを受けることが出来ます。

     例えば、私たちは最近デジタルIDカードの証明書に関する問題があり、停止する必要がありました。実際にハッキングされた形跡はなく、新しい証明書もすぐにダウンロードできるようになりました。しかし、スムーズなプロセスとは言えませんでした。このケースを通じてデジタル国家はIDサービスがスムーズに機能し統合するために商業セクターに大きく依存していることがわかりました。

     対照的にIDエストコインはどのようなデバイスでも機能し、アップデートは必要ありません。

     エストニアにとってこれはデジタルインフラの信頼性、安全性、透明性の劇的な向上につながります。そして国をもっと効果的にスケールアップすることを可能にします。エストニア政府の様々な部門はe-Residencyの利益のためにハードに働いています。国境警備隊がIDカードを発行し、各国の大使館に届けます。そしてIDカードを手渡すために対面の面談をします。

     しかし、もし私たちが改善して遠隔地からのデジタルIDの認証を合法化したら仮想住民はオンラインですぐにデジタル国家に参加することができるようになります。カードが承認され配達され、自ら取りに行く必要は無くなります。

     IDエストコインの実現は私たちのデジタル国家が未来に備えることとなり、技術と法律が進化に対応することができるようになります。

    3. ユーロエストコイン

     ここまで価値が上がったり下がったりするエストコインのモデルを見てきましたが、単純にユーロと紐づいたエストコインを発行したとしたらどうでしょうか?これがユーロエストコインです。

     私たちはユーロの代替通貨を発行することはありません。しかし、e-Residencyコミュニティー内だけで使える暗号化の分散化の利点と安定して信頼ある認可された通貨の組み合わせの可能性はあります。

     ユーロエストコインと実際の金銭の交換には銀行が必要となります。しかし取引は独立してブロックチェーン上で行われます。つまりグローバルにある無料のコミュニティーベースの交換所で交換がされることになります。必要なのはデジタルウォレットと政府がユーロエスタコインを1ユーロで買い戻すという政府のコミットメントです。

     もしe-Residencyのプログラムチームが15人の小さなコミュニティーだとします。そして誕生日でどのようにユーロエストコインが機能するのかみましょう。メンバーの誕生日に私たちは一人につき10ユーロを使います。つまり一回につき13回の支払いが発生します*1。支払いには銀行で40ユーロセントかかります*2。つまり隠れた支払いコストは5ユーロ以上になりますし、プロセスにも時間がかかります。しかし、この価値は私たちの間で回るだけです。デジタルで処理したいからというだけで銀行の関与が必要あるでしょうか?普段の生活は銀行のネットワークなしで動いた方が早く効率的です。

     では次に日々国境をまたがり交流を続けている仮想住民コミュニティーの複雑さをみてみましょう。仮想住民は世界の住民で、世界中どこでもビジネスができるのが成長の要因の一つです。仮想住民コミュニティー内のユーロエストコインはグローバルの価値交換を可能にし、仮想住民とエストニア国民の間のビジネスを活性化します。

     e-Residencyコミュニティー内のユーロエストコインの運用はビデオゲームなどのオンライン世界でのトークンの運用と似ています。仮想住民はユーロエストコインを購入してそのほかの仮想住民と価値交換をすることができ、必要であれば銀行取引と納税義務に準拠して現金化することもできます。大きな違いは仮想住民はゲームのためにトークンを利用しないということです。仮想住民が得られるのは他の仮想住民との簡単なグローバル取引です。

    新しいデジタル国家に参加しましょう

     私たちはブロックチェーンを通じたトークン国家は今後の地球にとって重要だと認識しています。さらにICOはスタートアップの成長のあり方を大きく変えようとしています。しかし、信頼と合法性の問題は解決されないといけません。私たちは同時に提案されたエストコインに需要があり、エストコインは仮想住民コミュニティーを大きく成長する可能性があることを理解しています。

     私たちは引き続きこの提案をエストニアの公共と商業の両セクター、暗号化起業家、投資家、世界のパートナーとなる可能性のある組織とともに改善していきます。

     以前にe-Residencyのビジョンに書いたとおり、私たちは人類の歴史の中で非常に短い地政学の境界線に閉じ込められた機会の中で生きています。今は国家は生まれた場所で私たちに割り当てられ、多くの場合はそのままです。このランダムな人口の割り当てが何よりも大きく私たちの機会の大きさを握っています。

     しかし、変化は近づいています。暗号トークン化は私たちが行動するかどうかに関わらず世界の性質を変えます。だから私たちがリードする必要があり、それはすでにエストニアで起きています。私たちは新しいデジタル国家の構築と世界中の起業の民主化という全体の目標にフォーカスし続けます。

    私たちのe-Residencyのビジョンはこちらから。

    medium.com

     エストコインの提案に考えや、応援や、批判をくださった方々に感謝します。全ての人が改善に貢献し、私たちを前に進めています。新しい年にさらにアップデートをすることを楽しみにしています。

     e-Residencyから申請することで私たちのデジタル国家に参加することができます。もしプログラムを利用してEU圏内でEUの企業を立ち上げに興味があればこちらで詳しく説明しています。

    medium.com

    解説

    前回に紹介したアメリカ証券取引委員会とはうって変わって前のめりな姿勢のエストニアです。アメリカや日本のように歴史(レガシー)がないのがエストニアの強みですね。ソ連から離脱して国連に加盟したのが1991年、NATOとEUに参加したのが2004年ですから。

    アメリカやエストニアではICOで発行されるトークンを「証券」としてみなす方向に進んでいます。現時点でエストニアは最もICOに関して最も積極的に取り組んでいる政府と言えるでしょう。エストニアが中央管理の世界と分散管理の世界と二つに分かれた世界を調和させることができるのか、世界が見守っています。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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    www.catapultsuplex.com

    *1:14回の気がするのですがオリジナルは13回と書いてあるので…

    *2:ヨーロッパではデビットカードの利用が多いのでその利用料なのでしょう

  • エストニアの仮想住民と税金の仕組みを解説

    エストニアの仮想住民と税金の仕組みを解説

    原文:”How Do e-Residents Pay Taxes” by Evelyn Liivamägi, Head of the Tax Department at the Estonian Tax and Customs Board (ETCB), October, 2017

     現在、エストニアは国際租税競争力指数(International Tax Competitiveness Index)のトップに立っていて、起業家たちに完全オンラインで簡単な税金支払い方法を提供しています。

     しかし、これは現状に満足する理由にはなりません。

     エストニアの税金と関税についての委員会(Estonian Tax and Customs Board)は、国民、住民、その他の税金納付者のために変革を続けなければいけません。そして外国にいるエストニアの仮想住民(e-residents)の起業家コミュニティーに奉仕しなければいけません。

     e-Residency(外国人が簡単にオンラインでエストニアの仮想住民になる仕組み)のメリットは起業家に幅広いオンラインサービスの選択肢を提供していることです。このプログラムの成功は最高品質の公共電子サービスとオンラインビジネス環境を提供できるかどうかにかかっています。

     今後、さらに多くの国がe-Residencyのような仮想住民の仕組みを提供し、世界的に行政の仕組みが改善されることでしょう。しかし私たちはそれを待たずに先に進んでいきます。

     私はエストニア税務局長としてエストニアの仮想住民である皆様方(そしてエストニアで税金を払っているすべての人たち)のために、どのようにサービス改善のため投資をし続けているのか説明します。また、仮想住民の税金に関する仕組みについてより明確に説明したいと思います。これは仮想住民の中で最も頻繁に議論されている問題の1つです。

    仮想住民は課税対象ではありません

     エストニア仮想住民はこのプログラムから得られる機会を活用してエストニアに貢献しています。

     一部は財務的な貢献で税金として直接納められています。実際に仮想住民の所得税納税額はe-Residencyに対する税金投資金額を超えています。

     しかし、e-Residencyで登録した仮想住民は課税住民ではないことを強調したいと思います(市民権、エストニアやEUに物理的に居住する権利もありません)

     すべての仮想住民がエストニアに納税しているわけではありません。納税義務はe-Residencyが仮想住民を可能にしたこと(国際的なルールのもとに企業を設立できること)に基づいています。仮想住民だから課税義務が発生するわけではありません。

     また、e-Residencyは税金逃れをする仕組みでもありません。e-Residencyは世界中の起業家が信頼できる企業として成功する機会を提供します。幸いなこと実際そのように認識され運用されています。

    私たちが税金の仕組みで改善しようとしていること

     最近まで国際税務の複雑さに対処しなければならなかったのは世界各国に事務所や工場を持つ大企業だけでした。

     しかし、e-Residencyやその他のデジタル技術の進歩により、だれでも国をまたがるグローバル企業を作ることができます。たとえその従業員があなた一人だとしても。

     これは明らかに良いことですが国際課税の複雑さがだれにでも身近な問題となることでもあります。

     e-Residencyの恩恵を受けている設立された新しい企業はこのような複雑な納税義務を理解するための大企業のように大きな会計部門もリソースもありません。しかし、その必要もありません。

     私たちはすべての人にとってシンプルで公正であるべきだと信じています。そうすることにより起業家は書類作成ではなく情熱を傾けるべきことに集中することができます。

     幸いにもエストニアはすでに起業家の成長を支えるようにデザインされた納税の仕組みをもっています。例えば、エストニアで納税義務のある法人は利益分配後に定率で課税されます。そのため再投資をした金額を除いた利益にのみ課税義務が発生します。

     起業家にとって魅力的なのは税制だけではありません。税金を支払うこと自体も容易です。私たちはEstonian Tax and Customs Boardが提供するソリューションに大変な誇りを持っています。すべてオンラインで行うことができ、国民、住民や仮想住民に提供されている安全なデジタルIDによって完全に統合されているからです。オフィスがウレミステにある私たちの事務所の隣であろうと、地球の反対側にあるビーチカフェにあろうと、どこからでも利用することができます。

     しかし、現在のシステムは数年前にオフラインサービスのオンライン版としてデザインされました。政府の多くのレガシーシステムと同様に(当時としては当然ながら)役人のニーズを重視して設計されたものです。

     新技術は会計士、中小企業や大企業のようなユーザーを中心にデザインし、もっと革新的なシステムの構築を可能にします。たとえば私たちはより多くの言語を追加し、レスポンシブでモバイルフレンドリーなデザインを使用し、すべてのプロセスが可能な限り論理的でわかりやすくなるように心がけています。

     私たちの目的は快適なセルフサービスの納税環境をすべての納税者のために構築することです。またデータの収集と分析を改善し、起業家に貴重な経済情報をリアルタイムで提供できるようにします。

     新しいe-TaxおよびCustoms Boardポータルの開発は2020年末までに完了する予定です。そして、今年から私たちはすでに新しいサービスの段階的な導入を開始し、フィードバックを求めています。

     私たちは自国の税金の仕組みを改善するだけではありません。私たちの国は欧州連合理事会の議長を務めています。その中でデジタル経済の発展を考慮し、誰にとってもより中立的、公正かつ透明になるようにヨーロッパ全体の税制を洗練させる一助となるように努めています。

     私たちはまた国をまたがる税金を自動的に分けるような国際税制を模索する初期段階にあり、課税対象の住民でなくとも私たちの税務サービスを利用できるようになるのではないかと期待しています。これにより世界の起業家への手間がさらに軽減されると同時に各国が公正な税収入を得られることができます。私たちはこのアプローチのパイロットに関心のある他の国の税務当局と常に話したいと思っています。

     最後に、仮想住民の方々が実際に住む国によって異なる納税義務を簡単に理解できるような支援を含むe-Residencyプログラムも同時に開発しています。

     このように私たちはエストニアの税務サービスをできるだけ多くの仮想住民の方々に活用していただけるよう支援していきたいと考えていますが、皆さんの税金義務は国際税規則に基づいています。次にその概要を説明します。

    納税義務を理解する

     あなたとあなたの会社が一つの国に籍を置き、その国で価値を明確に生み出していれば、あなたの税務上の居住地は簡単です。

     しかし、特定の場所に依存しないデジタル遊牧民のような起業家である場合、国際納税義務を決定することは大変です。

     この問題は居住地に関わらず国境を越えてビジネスを行うすべての人に影響を及ぼします。e-Residencyは企業がどのように運営されているかをより透明にし、負担している税金を簡単に支払うことで、このようなグローバルな課題への解決策となる可能性があります。

    個人税

     最初に個人に対する税金について説明します。国際課税に関するオンラインでの議論されていますが、個人の税金と法人に対する税金について混同されていることが大き見受けられます。

     あなたの個人の税務居住地とあなたの会社の税務居住地は違うことがあります。税務居住地を決める基準が個人と法人では異なります。あなたの個人の状況とあなたの会社の状況も異なるでしょう。

     個人として納めている税金は個人が在籍する税務居住地での幅広いサービス(医療福祉や年金など)のために納められています。このようなサービスは私たちのようなデジタルな国家から提供される可能性もありますが、それはまだ遠い将来の話です。

     それぞれ国によって個人の税務居住地を決める方法がありますが、通常は1年のうち6ヶ月以上住んでいることが条件です。 エストニアでは12ヶ月以上連続して183日以上住んでいると税務居住者となります。税務居住者となる場合は居住者としてデジタルIDを持つことになるので、e-Residencyで仮想住民として登録する必要はないでしょう。

     デジタル遊牧民のような起業家はこの基準を満たすに十分の期間をどこか一つの国で過ごすことがないケースがあります。その場合は税務居住地は、通常その人の「母国」とみなされます。

     デジタル遊牧民は自らを特定の地域に縛られないと考えていますが、多くの人たちは実際には「母国」に籍を持つので、考慮しなければいけないことは多いにもかかわらず個人所得の税務居住地を決定することはそれほど難しいことではありません。

     税務上は「国にいない」のと「国に住んでいない」のは一般的に同じこととみなされます。たとえば休暇で海外に出かけても個人の税務居住地に影響を与えません。それがどれだけ長期間旅行に行く場合でも、特に帰国できる住所がある場合は、同じです。

     移動し続けることで特定の場所で税務居住者とならないことは技術的に可能ですが、それは思っているよりも達成するのが難しく、その労力に見合うものではありません。また、社会保障、信用格付、現在と将来の公共サービスを受ける権利など多くの利益をあきらめなければいけません。更に訪れた国すべてのルールを確認しなければいけません。

     まれにではありますが、二か国で税務居住者とみなされることもあります。しかし、個人も法人と同様に二重課税を回避する条約によって保護されています。

     企業が個人に賃金を支払うとき、個人に対する税金は税務上居住地の規則に沿って、その収入に対して納められます。会計士はこのプロセスがスムースに進むことをお手伝いします。e-Residencyのウェブサイトはビジネスサービスプロバイダのリストを掲載しており、仮想住民に特化した会計サービスを探すことができます。

    法人税

     法人税はその会社の税務居住地で納められます。

     国際税法は国際ルールに基づいていて、国際的に運営されている企業に一般的なアドバイスを提供することを難しくしています。その会社がどこで登記されていようと、創業者である起業家が個人的にどこに住んでいようと、税金がどの国に納められるべきかは一国で決められるものではありません。

     法人の納税居住地はその企業固有の状況に依存しているため、納税義務(税務居住地のみか恒常的な拠点を持つ他の地域を含むのかなど) 将来どの税務当局にも問題が発生しないように納税する必要があります。

     納税義務について疑問がある場合は、資格を持つ税務アドバイザーに相談すべきです。また、いつでも私たちにコンタクトしてください。

     まず第一にエストニアのe-Residencyを通じて設立された企業は、自動的にエストニアが税務居住地となります。 また課税所得の源泉があれば、法律に従って他の国でも納税義務が発生します。

     幸いにもエストニアはすでにすべてのEU加盟国とほとんどのOECD加盟国、仮想住民が急速に増えているウクライナやトルコを含む57カ国と二重課税の回避のための条約に署名しています。全リストはこちらから入手できます。

     個人の税務居住地と同様に法人の場合も居住地を決定するための基準が国によって異なりますしかし、一般的なルールとして、ほとんどの税制は価値が生まれた国で税金を支払うという原則に基づいています。 例えば恒久的施設(PE)という用語は国との経済的なつながりを決定し、税務上のしきい値として使われます。

     あなたの会社がある国で強い存在感がある場合、法人としての税務居住地は簡単に決めることができます。しかし、あなたの会社が複数の国にまたがって運営されている場合、あなたの会社が置かれている独特な状況を見ることができる資格のある税務アドバイザーから助けが必要になるでしょう。これは小さな会社や創業者一人の会社も影響を受けます。旅行と出張を同時にしたり、国境を越えて協力している可能性もあるためです。

     あなたの会社の状況(そして納税義務)は時間とともに変化する可能性があることも忘れないでください。

     e-Residencyのウェブサイトではビジネス・サービス・プロバイダーのリストを掲載しています。このリストは他の仮想住民から推薦されており、 起業家の約90%はこのようなサービスを利用しています。

     あなたのエストニアの会計士はあなたの税務居留地として異議申し立てをしそうな国の税務専門家とも話すようにアドバイスをするでしょう。長期的に2カ国で2人の会計士が必要になるわけではありません。しかし、一度訪問は賢明な投資である可能性があります。また、あなたはいつでも私たちのチームに話すことができますし、それは無料です。

     次に、実際に国際課税がどのように機能するかいくつかの例をあげて見てみましょう。

    • Jaakoはフィンランドのヘルシンキに住み、Venlaはエストニアのタリンに住んでいます。彼らは一緒にeコマースを設立。世界のどこからでも顧客に製品を販売したいと考えています。会社とVenlaの税務居住地はエストニアです。そしてJaakoはフィンランドが税務居住地で、エストニア企業の外国従業員として個人所得税をフィンランドで納めています。Jaakoは税務アドバイザーとフィンランドの税務署と相談して、エストニアにある彼が共同創始者の会社に法人として課税義務があるかどうかを確認しました。フィンランドのエストニアとの租税条約により二重課税のリスクはありませんでした。
    • Katerynaはウクライナのキエフに住んでいて、キエフで起業しました。彼女はPayPalビジネスアカウントを開設するためにe-Residencyで彼女のスタートアップを運営しています。それによりEU市場にアクセスし、ユーロで取引し、世界中の顧客とより簡単にビジネスを行うことができます。同社はウクライナですべての価値を生み出しているため、税金はウクライナに納められていました。しかし、Katerynaはビジネス機会がEU内にあること発見し、彼女はエストニアのスタートアップビザプログラムに応募。審査に通り彼女のスタートアップをタリンに移転し、自らもエストニアに移り住みました。そうすることによりKaterynaは現在の居住地であるエストニアで法人税と個人の所得税を納めることになります。1年後にKaterynaは彼女の最初の物理的なオフィスを開設し、最初の従業員を雇うことができるほどに会社を成長させることができました。人材プール、コスト、地元の知識など鑑みて将来の成長を考えるとキエフがよさそうです。そして、ウクライナに恒久的施設(PE)を持ち、再びウクライナで税金を納めることになりました。エストニアとウクライナの両方が彼女のスタートアップの成功に重要な貢献を果たしていますが、両国間の租税条約により二つの国から同時に課税されることはありません。
    • Steveは英国のマーケティングコンサルタントです。彼は色々な国を旅をしながら、彼自身が唯一の従業員である彼の会社で「デジタル遊牧民」として働いています。彼はe-Residencyを通じて彼の会社を設立しました。それにより、どこにでもオンラインで会社を運営することができる真の意味でのロケーションフリーな企業となります。また、英国で登記するより運営コストがやすくなりました。彼は有名なエストニアのスタートアップシーンである#estonianmafiaを含む世界中の他のフリーランサーとともに働いています。 スティーブの個人としての税務居住地はまだ英国にあり、彼はそこで彼の医療と年金に貢献し続けることができます。一方で彼の会社はエストニアで設立され、エストニアが税務居住地となります。他の国には税金の納め先に関する異議申し立てもありません。Steveは外国人従業員としての給料に対してイギリスで所得税を納め、彼の会社は配当金からエストニアの法人税を納めています。

    解説

    この記事エストニアの税金と関税についての委員会(Estonian Tax and Customs Board)のEvelyn Liivamägiさんが自らエストニアの仮想住民に関する税金の問題を解説した”How Do e-Residents Pay Taxes“の翻訳記事となります。

    ボク自身、シンガポールとオランダで法人を設立して事業をしていたので、外国での会社の登記や銀行口座の開設の大変さは身をもって理解しています。それがオンラインで全てできてしまう仮想住民の仕組みは単純に「スゲエ」と思います。

    仮想住民はビザや居住地の必要がなく、法人の登記や銀行口座の開設をオンラインで行うことができる仕組みです。例えば外国人が日本で株式会社をオンラインで作ってすぐにビジネスをオンラインではじめられるとしたら?エストニアはそれをすでにやってます。お金が関わる話なので当然ながら税金がどうなるかが気になりますよね。それを解説してくれる貴重な記事です。

    カタパルト式スープレックスなかむらかずや

    免責事項:ボク自身は税金の専門家じゃないので、詳しくは専門家にちゃんと聞いてね!

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  • エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    エストニア政府の人工知能(AI)についての考え方

    原文:“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”

     エストニアでは人工知能(AI)に関するパブリックな公開議論がはじまっています。

     その背景として昨年11月に召集されたクルマの自動運転のプロジェクトチームがあります。プロジェクトチームの主な目的の1つは自動運転のクルマが路上で走行した時の法的枠組みを定義することでした。

     召集されたチームの専門家たちは道路交通法だけを取り扱うのは不適切であると認識しています。なぜなら自動運転で使われる人工知能(AI)の問題ははるかに広く、取り扱うはべき範囲は道路交通法だけにとどまらないからです。クルマの自動運転はAIの問題を社会に問いかけるのにちょうどいいテーマです

     AIはとても複雑で幅広い問題提起をしています。例えば、証券取引所で取引をする金融ボット、食料品を自動的に買うスマートな冷蔵庫、クルマの自動運転やバケーションの飛行機チケットをiPhoneのSiriに買ってもらうなどです。

     この規制の主な目的はAIに関わる責任の所在をユーザーにやさしい形で定義することです。そうすれば一般的な市民は、例えば事故が起きた場合でも、正確に責任の所在を理解することができるようになります。

     「責任の所在」は単に「この事故は誰が悪いのか」ということより複雑な問題です。多くの場合、AIは人にとってその意思決定プロセスが直感的に理解できる方法で構築されています。そのアルゴリズムの開発者でさえ開発したアルゴリズムが特定のポイントでその特定の決定をした理由がわからないので「この事故は誰が悪いのか」と法的な観点から言いにくいのです。だから、このタイプのブラックボックスアルゴリズムは法的観点からはかなり複雑ですし、このように広くオープンに責任の定義について議論をすることはとても大事なことです。なぜなら、このようなアルゴリズムは日々の生活にいろんな角度から入り込んでくるからです。どの種類のコンテンツを表示するかを選択するFacebookアルゴリズムから、より使いやすい方法でサービスを使用できるようにするさまざまなスマートフォンデバイスまでです。しかし、アルゴリズムには一定の偏り(バイアス)があり、彼らはあなたから収集されたデータに基づき様々な決定をします。偏りが存在するAIを人々が理解できる方法で法律を書くことが重要です。

    エストニアの公共部門におけるAIソリューションの実装に関する現在の議論の状態について教えてください

     エストニアにおいて私たちはマシンラーニングとディープラーニングについて詳しく研究しています。私たちはAI技術によっていくつかのシステムをより効率的にすると認識しています。例えば小さなケースですと警察の事務業務などです。他にも多くの法的業務も自動化することができるでしょう。裁判所で最も簡単な判決は自動的に行うことができるようになるかもしれません。しかしまだまだゆっくりとアイデアを孵化させている状態で、私たちはまだ実際にそのようなシステムを構築していませんが、とても大きな可能性があると考えています。エストニアでの電子政府の経験が示しているように、効率的なシステムを安価に構築する大きな可能性があります。

     AIはeガバナンスの次のステップであり、私たちはそれを利用できる可能性を調査していますが、限界はありません。エストニアはすでに積極的なサービスに取り組んでいます。つまり、市民が政府とやりとりなくサービスを受けることができます。これらのアルゴリズムが役立つ分野はたくさんあり、eガバナンスに新しい道を示しています。

    AIが実際に市民の生活を向上させることができる3つの可能な例を教えてください

     市民の日々の生活のために私たちが検討している枠組みは法律にたずさわる人たちがロボットに対応できるようにすることです。例えばあなたはiPhoneのSiriにあなたのためにサービスを売買するよう委任することができます。また、スマート冷蔵庫に食料品を買うことを委任することができます。クルマの自動運転では、あなたが働いている間に空いているクルマを買い物に送ったり、Uberのようなサービスに活用したりできます。このように多くの可能性があるのですが、エストニアは法的観点からパブリックな公開討論を開始した最初の国であることを理解することも重要です。私たちは実験を通じてこのフレームワークが実際にどのように機能するかを検証し、AIの合法化に関する重要なコンテンツを提供することでグローバルな議論に貢献をしようとしています。

     問題は差し迫っていると思います。多くの人は気がついていないかもしれませんが、日常生活の中にこのようなテクノロジーはすでに存在しています。単に厳しい規制を課すしてAIとの境界を作るだけではなく、AIを規制するためのケーススタディシナリオを持つこと。それによって市民や企業が恩恵を受けることができる多くの新しい可能性が開かれていると思います。

     たとえばこのAIとe-Residency(外国人が簡単にオンラインでエストニアの仮想住民になる仕組み)のアイデアを組み合わせると可能性は無限に広がります。エストニアの法的枠組みで動く金融ボットであれば、グローバルに金融取引を行いつつ、投資家がこのエストニアの法の元で法律的に信用することができます。

    エストニアはAIを規定するような「ロボット法」を検討していますか?

     私たちは三つのシナリオを提示できます:

    • 最も急進的なシナリオはAIに対して法的人格を与えることです。現在、法的人格は個人と法人という2つです。私たちは三つめの法的人格をAIに与える提案していますが、これは楽観的すぎるかもしれません。
    • もう一つの提案はロボットに対して別の条例で範囲やルールを規定することです。
    • 私たちの三つめの提案は「意志」の法的意味合いを根本的に変えて、同時にロボットに関して別の条項を作ることです。エストニアの法律において「意思」は何かを答えるのは非常に単純です。「私は水を飲みたい」とか。AIの場合、この単刀直入な疑問は幅広いです。例えば、私が冷蔵庫に何か食べ物を買うことを委任したとしましょう。私はミルク、おむつ、ドッグフード、チーズなど具体的な定義をしていません。私が欲しいと思っている製品はアルゴリズムによって決められます。このような場合「意思とは何か」と「私は何を望んでいるか」の差はとても広く、「意思」は非常に抽象的です。

     私たちは何が正しいのかまだわかっていませんが、私たちは公開議論をはじめて社会全体が参加していくことになるでしょう。全ての人が認識する必要があります。なぜならこの法的フレームワークの変化は非常に急進的で大きなものとなり、全ての市民の日々の生活に影響を与えるからです。

     技術的観点からの責任問題は簡単です。製造者の責任であろうと人間の間違いであろうと、誰の責任か決めることは可能だし、保険制度を確立したり、国家責任をシステム内に確立することも可能です。このような「決めの問題」はいま行われている公開議論で形作られていくでしょう。しかし責任問題の最も難しい部分は感情面です。クルマの自動運転を例としましょう。もし私の子供が自動運転のクルマにひかれて死んだとしましょう。私は誰に責任があるのか、誰が刑務所に行くのかを知りたい。社会が議論しなければならない最も困難なことは、このような場合には、ときには誰も責任がないということです。これを認めなければなりません。最近ホットな話題であれば列車の事故です。誰かが線路上を歩いている場合、列車は速度と慣性を持っているので止めることができません。自動運転のクルマの場合、やはりスピードと慣性があり、森林から速いスピードで走っているトナカイと衝突事故となる可能性があります。私たちは感情的にこの議論をやり通し、誰もがこのような場合に起こることを理解する必要があります。

    私たちは将来、すでにデータの中に存在する偏り(バイアス)にどのように対処することができますか?

     この法的提案の範囲を理解することは重要です。私たちは人を越えるようなスーパー知能の考え方に取り組んでいません。私たちはより範囲を絞った一般的なAIに取り組んでいます。これらのAI問題を取り巻く現在の問題は、アルゴリズムにはいくつかの偏り(バイアス)が組み込まれていることです。 ドナルド・トランプ大統領が選出されたアメリカ大統領選やイギリスEU離脱のBrexitのキャンペーンでは、Facebookアルゴリズムはさまざまなイデオロギーのバブルを作り出しました。これは問題です。これは現在のAIの最大の問題です。どのようにバイアスを減らすのかは非常に難しい課題です。私はこれが完全に可能ではないと思います。AIを作る人たちの法的枠組みや文化の背景には偏り(バイアス)があるのです。しかし、私たちのゴールはこの偏り(バイアス)を可能な限り最小化し、包括的な成長と繁栄を最大化することです。


    e-Talks | A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence

    解説

    この記事はエストニア政府のAdvisor of Digital AffairのMarten Kaevats氏のAIに関してのインタビュー記事“A conversation with Marten Kaevats on e-governance and Artificial Intelligence”の翻訳です。

    エストニアはeガバメントの先進的な取り組みで知られています。1997年のeガバナンスを皮切りにe-Taxi-Votinge-Regidencyなど矢継ぎ早にデジタルサービスを展開していきました。このe-Regidencyがすごいのは外国人がオンラインで簡単にオンライン上の仮想エストニア国民になれることです。オンラインだけで会社を作って銀行口座を開設することができます。2025年までにこの仮想住民を2,000万人にするのがエストニア政府の目標だそうです。

    このインタビューでも出てくるようにe-Regidencyによる仮想エストニア住民とAIの組み合わせはとてもパワフルで大きな可能性がある気がします。「国民」とは何だろう、さらに「意思」って何だろうという非常に深みのある示唆に満ちていますね。

    この記事の元になったであろうYouTubeのインタビューは若干異なる部分があります。この翻訳では記事にはないけどYouTubeのインタビューに含まれていることを追加しています。その方がわかりやすい部分があったので。

    カタパルトスープレックスなかむらかずや

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