映画評|『正欲』岸善幸監督(2023年)

朝井リョウの小説『正欲』を映画化した「フェチとフォビア」を題材とした群像劇です。

息子の不登校に頭を悩ます検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)。ショッピングモールで販売員として働く桐生夏月(新垣結衣)。桐生夏月の元同級生、佐々木佳道(磯村勇斗)。ダンスサークルで活躍する諸橋大也(佐藤寛太)と、大也に思いを寄せる神戸八重子(東野絢香)。それぞれの人生が交差するとき……という話です。

まず褒めます。キャストの演技はとてもよかったです。オーラを消したガッキー。黙ってても美人が溢れ出るのに、そこを演技で消す。そして、東野絢香。ほんと、そういう人にしか見えない。

さて、ここから正直なお気持ち表明です。本作が好きな人はそっと閉じましょう。

最初に言っておくと、まったくハマりませんでした。めっちゃ、どーでもいい。テーマは多様性なんでしょうね。好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。うん、そーだね。好きにすればいいじゃん!本作はそこに対立軸を持ち込みます。フェチやフォビアな人たちと、そうじゃない人たち。

そうじゃない人たちの代表が稲垣吾郎が演じる寺井啓喜。一風変わった人たちへの無理解と拒絶。でも、ほんとうのリアルは無理解ではなく「無関心」だと思います。「どーでもいい、好きにやってください」だと思います。それなのに本作のフェチやフォビアな人たちは勝手に対立軸を作ってしまう。いやいや、拒絶してるのはあなたたちですから!勝手にこじれてるだけ!

そういう意味でキャラクターに全く共感できない。好きにやったらいいじゃん、誰も文句言わんよ。

ストーリー的にも無理がありすぎる。特に最後の展開。あれだけの証拠で、あーはならない。いくら稲垣吾郎がそうじゃない人たちの代表だからといって、法律を曲げてあんなことできないです。現実にありえない。対立軸を作りたいからと、ありえないことやってはダメでしょう。百歩譲ってそういう世界線の話だとして、そしたらSFやファンタジーになっちゃいますよ。

正欲(新潮文庫)

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  • 作者:朝井リョウ
  • 新潮社

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正欲

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  • 稲垣吾郎

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