【特集】AI企業の顔:第三回 アラヴィンド・スリニヴァスとPerplexity AI、次世代検索エンジンの挑戦

Perplexity AIは、ChatGPTのような会話型のAIとGoogleのような検索エンジンを組み合わせたユニークなポジションを作りました。ChatGPTは引用元がはっきりせずにハルシネーションが起きる場合もありますが、Perplexityは引用元がはっきりしているのでハルシネーションは比較的起きにくい特徴があります。また、Googleの検索のようにひとつづつページを提示するのではなく、複数の引用先からまとめた情報を提示してくれます。

このような独自のポジションを得たPerplexityですが、OpenAIはChatGPT Search、GoogleはAI OverviewをリリースしてPerplexityの追撃をはじめました。OpenAI、AnthropicとPerplexityの三社はそれぞれユニークなポジショニングでアメリカのAI業界をけん引しています。

Perplexityの共同創業者たちが目指したもの

共同創業者のアラヴィンド・スリニヴァスとデニス・ヤラツは、カリフォルニア大学バークレー校とニューヨーク大学で類似した研究を発表したことをきっかけにメールで交流を始め、ヤラツがFacebookで働いている間も連絡を取り続けていました。

彼らのビジョンは、従来の検索エンジンが文脈を理解しながら直接的な回答を提供する能力に欠けているという共通の課題意識から生まれました。Perplexity AIの目標は、ユーザーの質問に対してより人間らしい方法で正確かつ関連性の高い回答を提供できる会話型検索エンジンを構築することでした。

スリニヴァスとヤラツはQuaraでエンジニアだったジョニー・ホー、Databricksの共同創業者のアンディ・コンウィンスキーを加えてPerplexity AIを創業しました。

同年12月には、最初のプロダクト「Bird SQL」をリリースしました。このツールは、OpenAIのCodexを活用し、自然言語のクエリをSQLに変換してTwitterのデータベースを検索することを可能にしました。この革新的なアプローチは、検索体験をより直感的で効果的なものにするための第一歩として位置づけられています。

Perplexity AIの設立:AI検索の新たな幕開け

Perplexity AIの創設者たちは、OpenAIやMetaなどの企業で培った経験をもとに、人工知能と機械学習の専門知識を新たなプロジェクトに活かしました。CEOのアラヴィンド・スリニヴァス氏は、OpenAIやDeepMind、Google Brainでの研究経験を通じて、高度なAI技術とその応用可能性について深い洞察を得ました。一方、CTOのデニス・ヤラツ氏は、Meta(旧Facebook)でのAI研究者としての経験を活かし、大規模なユーザーデータを扱う技術や複雑なクエリを処理する方法に貢献しました。

従来の検索エンジンが文脈を理解しながら直接的な回答を提供する能力に欠けているという課題意識が、Perplexity AI設立の大きな動機となりました。創設者たちは、OpenAI、Google、Metaといった最前線のAI研究開発の現場で培った知識を活かし、より高度で会話型の検索エンジンを構想しました。同社は、オンライン情報検索、自然言語処理、機械学習を統合し、文脈を踏まえた正確で詳細な回答を提供することを目指しています。

Perplexity AIは、チャットボットの高度な機能(OpenAIで開発されたもののような)と従来の検索エンジン(Googleのような)の能力を融合することで独自の地位を築いています。ユーザーに直接的かつ詳細な回答を提供し、その出典を明示するアプローチは、情報処理におけるAI技術の可能性と限界を熟知した上での取り組みです。このような特徴により、Perplexity AIは単なるチャットボットや検索エンジンとは異なる新しい「アンサーエンジン」としての立ち位置を確立しています。

競合他社との比較:GoogleやOpenAIとの違い

OpenAIとの比較

Perplexity AIとOpenAIのChatGPT Searchは、情報収集と提示方法において異なる特徴を持っています。Perplexity AIは一貫してウェブ検索を行い、最大20件の情報源を参照することで、詳細で信頼性の高い回答を提供します。一方、ChatGPT Searchはクエリ内容に応じて内部知識を活用するかウェブ検索を行うかを選択し、情報源提示が簡略化される場合があります。また、Perplexity AIは視覚的なグラフやチャートを活用することで、特に天気や株価などのトピックでわかりやすさを強化しています。

柔軟性とカスタマイズ性において、Perplexity AIは学術論文やYouTubeなど特定の情報源に絞って検索を行うオプションを提供し、複数のAIモデルから選択する機能も備えています。一方、ChatGPT Searchは特定のニュースやデータプロバイダーと連携し、リアルタイム情報の提供に強みがあります。これにより、ChatGPT Searchは情報を簡潔に提供することで、より会話的で直感的な体験を重視しています。

全体として、Perplexity AIは詳細な情報源の明示と情報収集に特化し、研究や調査に適したツールです。一方、ChatGPT Searchは柔軟な検索機能と対話型のユーザー体験を提供することで、幅広い用途に対応しています。それぞれの強みを理解し、目的に応じて使い分けることで、より効果的な情報活用が可能です。

Google "Search Generative Experience" (SGE)との比較

Perplexity AIとGoogleの”Search Generative Experience” (SGE)は、どちらもAIを活用した検索ツールですが、情報提供の方法や体験にいくつかの違いがあります。Perplexity AIは、すべてのクエリに対して一貫して正確で完全なAI生成の回答を提供し、対話形式でユーザーのフォローアップ質問にも自然に対応します。一方、SGEのAI Overviewは一部の検索タイプに限られ、正確性や回答の完全性にばらつきがあるため、追加のリンクを確認する必要がある場合があります。

また、広告の扱いとユーザーインターフェースにも違いがあります。Perplexity AIは広告を排除し、純粋な情報を提供するのに対し、SGEはGoogleの広告モデルを維持しています。ユーザーインターフェースでは、Perplexity AIが会話形式を重視する一方、SGEは従来の検索結果ページにAI生成回答を統合しています。さらに、両者とも情報源を提示しますが、Perplexity AIはこれを回答内にスムーズに統合することで、調査や事実確認を効率的に行える仕組みを提供します。

これらの違いを踏まえると、Perplexity AIは簡潔かつ信頼性の高い回答を求めるユーザーに適しており、SGEは従来のGoogle検索の枠組みを活かしてAIを統合しようとするアプローチを取っています。

著作権問題

2024年、Perplexity AIはNews Corp傘下の企業から著作権侵害で提訴され、回答生成に利用するデータソースの扱いが問題視されました。Perplexity側は、違法コピーとの主張を否定し、この訴訟を誤解によるものだと位置づけています。CEOのアラヴィンド・スリニヴァス氏は、法的措置ではなく対話を通じた解決を希望していたと述べ、著作権問題への対応を進めています。

パートナーシッププログラム

この課題に対応するため、Perplexityは出版社やコンテンツ提供者との協力体制を強化する取り組みを進めています。具体的には、収益分配モデルを採用し、生成回答で得た収益の一部を出版社に還元する「Perplexity Publishers’ Program」を展開。さらに、APIの無料提供や、従業員全員へのProサービスの提供を含むパートナーシップを通じて、AI技術とジャーナリズムの融合を目指しています。また、FactSetやCrunchbaseといったデータプロバイダーとの提携や、学術機関への寄付などを通じて、AIとメディアの発展を支える取り組みも進めています。

これらの戦略を通じて、Perplexityは著作権に関する課題への対応と、パートナーシップを通じた持続可能なエコシステムの構築を両立させようとしています。一方で、著作権問題の抜本的な解決には、さらに具体的な合意形成と透明性の確保が求められています。

OpenAIのパートナープログラムとの違い

OpenAIのパートナーシッププログラムは、Perplexity AIと比較するとアプローチの幅広さと高い選択性が特徴です。OpenAIは、技術企業や大学、ニュースメディアなど多様な業界のパートナーと連携し、AIモデルを既存の製品やプラットフォームに統合することで、包括的なソリューションを提供します。一方、Perplexity AIのプログラムは主に出版社やコンテンツ提供者に焦点を当て、AIツールを活用した情報提供や収益分配を支援する仕組みを整えています。このように、OpenAIはより多様な業界を対象とし、Perplexityは特定分野に特化したアプローチを採用しています。

また、収益分配モデルの有無は両者の大きな違いの一つです。Perplexityは、パートナーが収益の一部を得られるモデルを採用し、コンテンツ提供者の利益を直接還元する仕組みを持っています。一方、OpenAIは収益分配を目的とするプログラムではなく、主にAIモデルのライセンスや技術統合に注力しています。このため、Perplexityはコンテンツ提供者にとって具体的なメリットがあるのに対し、OpenAIは革新的なAI技術を活用した高付加価値な統合を求めるパートナーに向いています。

さらに、技術提供の形式にも違いがあります。PerplexityはAPIの無料提供やカスタム検索エンジンの作成支援といった柔軟なサポートを行い、特定のニーズに応じたツールを提供しています。一方、OpenAIは選択的なパートナーシップを通じて、AIモデルを製品やサービス全体に組み込む形での統合を進めています。この違いは、Perplexityが特定の情報提供に特化したツールを提供するのに対し、OpenAIがより広範で包括的な技術ソリューションを提供するという異なる目的を反映しています。

まとめ:透明性と専門性がもたらす未来

Perplexity AIは、情報源の透明性、専門性、広告のない検索体験という特徴を通じて、AI検索の新しいスタンダードを確立しつつあります。競合他社との差別化を図りながら、法的課題にも対応し、AI検索市場での地位をさらに強化することが期待されています。

スリニヴァス氏のビジョンのもと、Perplexity AIが今後どのような進化を遂げるのか、注目が集まります。

 


 

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