『プロジェクトX トラクション』は、2023年に公開されたスコット・ウォー監督によるアクションコメディ映画です。ジャッキー・チェンとジョン・セナという異色の共演が話題となりました。ジャッキー・チェンは70歳近い年齢ながらもアクションに挑み、ジョン・セナはプロレスのバックグラウンドを活かしたパワフルな演技を披露しています。世界的に人気の高い二人のタッグが織りなすアクションとコメディの融合が見どころとなるはずでしたが、その完成度に関しては賛否が分かれる結果となりました。

あらすじ|砂漠で繰り広げられる波乱のミッション
物語の舞台は中東の砂漠地帯。ジャッキー・チェン演じる元エージェントのロウは、重要な資源を守るミッションの指揮を任されます。彼の前に現れたのがジョン・セナ演じるアメリカの元軍人クリス。二人は対立しながらも、巨大な陰謀に巻き込まれていきます。荒涼とした砂漠を舞台に、過酷な戦闘とユーモラスな掛け合いが展開される中、二人は意外な友情を育んでいくというストーリーです。
アクション映画としての特徴|キレ不足のアクションとVFXの限界
『プロジェクトX トラクション』の最大の売りは、ジャッキー・チェンのカンフーアクションとジョン・セナのパワフルな肉体を活かした戦闘シーンの融合です。しかし、両者のアクションスタイルは必ずしも噛み合っておらず、シーン全体の迫力に欠ける印象を受けます。特に、ジャッキー・チェンの往年のキレや華麗なスタントは薄れつつあり、ジョン・セナのダイナミックな動きとも調和していない点が残念でした。
また、VFXの品質が不十分で、特にアクションシーンでのリアリティが損なわれているとの指摘が多くあります。派手な爆発やカーチェイスがあるものの、その表現力は観客の期待を大きく下回るものでした。
キャラクター造形|活かしきれなかった二人の個性
ジャッキー・チェンとジョン・セナという魅力的な俳優を起用しながら、そのキャラクター造形が浅い点は本作の大きな課題です。ロウとクリスの個性や背景が十分に掘り下げられておらず、観客が感情移入しにくい設定となっています。
ジャッキー・チェンのキャラクターは彼のこれまでの作品と大差がなく、どこか既視感を覚える役柄。一方、ジョン・セナの役柄も単なる筋肉頼みで、彼が得意とするコミカルな演技や深みのある描写はあまり活かされていません。二人の掛け合いも平板で、コメディ部分のテンポが悪いことが全体の魅力を削いでいます。
まとめ|ポテンシャルを活かしきれなかった一本
『プロジェクトX トラクション』は、ジャッキー・チェンとジョン・セナという豪華なキャスティングが注目を集めたものの、そのポテンシャルを十分に発揮できなかった作品です。アクションもコメディもやや中途半端な仕上がりとなり、観客の期待に応えるには至りませんでした。
スコット・ウォー監督は『エクスペンダブルズ』シリーズ最新作を手がける予定ですが、本作の仕上がりを踏まえると不安の声もあります。ただし、ジャッキー・チェンとジョン・セナのファンであれば、それぞれの新しい試みに触れる機会として楽しめる部分もあるかもしれません。