『バニシング ’72』映画レビュー|実話に基づくクライム・ラブストーリー

『バニシング ’72』(原題:Finding Steve McQueen)は、2019年に公開されたアメリカのクライム映画で、1972年に実際に起きたユナイテッド・カリフォルニア銀行強盗事件を基にしています。監督はマーク・スティーヴン・ジョンソン、主演はトラヴィス・フィメルが務めています。

あらすじ|ニクソン大統領の秘密資金を狙った男たち

1972年、カリフォルニア州ラグーナ・ニゲルにあるユナイテッド・カリフォルニア銀行が襲撃されました。強盗団の一員であるハリー・バーバー(トラヴィス・フィメル)は、ニクソン大統領の秘密資金が保管されていると信じ、この銀行を標的に定めます。しかし、計画は思わぬ方向へ進み、FBIの捜査官(フォレスト・ウィテカー)による追跡が始まります。逃亡生活を続ける中、ハリーは恋人モリー(レイチェル・テイラー)との関係に悩みながらも、過去の行為と向き合うことになります。

テーマ|犯罪と愛、そして自己発見

本作は、犯罪映画でありながら、主人公ハリーの内面的な葛藤や成長、そして恋人モリーとの関係を中心に描いています。犯罪のスリルとロマンスが交錯し、観客に人間ドラマとしての深みを提供しています。また、1970年代のアメリカ社会や文化、特にスティーブ・マックイーンへのオマージュが随所に散りばめられており、当時の雰囲気を色濃く再現しています。

キャラクター造形|魅力的な登場人物たち

ハリー・バーバーを演じるトラヴィス・フィメルは、犯罪者でありながら純粋さと人間味を持つキャラクターを巧みに表現しています。恋人モリー役のレイチェル・テイラーとの化学反応も良好で、二人の関係性が物語に深みを与えています。また、FBI捜査官を演じるフォレスト・ウィテカーや、強盗団のリーダー役のウィリアム・フィクトナーなど、脇を固める俳優陣の演技も見応えがあります。

映画技法|70年代の雰囲気を再現

監督のマーク・スティーヴン・ジョンソンは、1970年代のアメリカの雰囲気を忠実に再現するため、衣装や美術、音楽に細部までこだわっています。特に、スティーブ・マックイーン主演の映画『ブリット』で使用された1968年型フォード・マスタングが登場し、カーチェイスシーンでは観客を引き込む演出がされています。しかし、一部の批評家からは、サスペンス感が希薄であるとの指摘もあり、物語のテンポや緊張感に関しては賛否が分かれています。

まとめ|軽妙なクライム・ラブストーリー

『バニシング ’72』は、実際の事件を基にしながらも、軽妙なタッチで描かれたクライム・ラブストーリーです。犯罪のスリルと人間ドラマ、そして1970年代の文化的要素が融合し、独特の雰囲気を醸し出しています。一部の観客からは、テンポの良さやシュールなユーモアが評価されており、気軽に楽しめる作品としておすすめです。

バニシング ’72(字幕版)

  • トラヴィス・フィメル

Amazon