カタパルトスープレックスニュースレターで海外のニュースを(ほぼ)毎日お届けしています。毎日海外のニュースに触れていると、トレンドのようなものが見えてきます。そのようなトレンドをピックアップしてブログ記事にしました。
今回はAIについての解説をします。いま何ができるのか、直近に期待されている進化と課題、将来的にAGIは本当に来るのかという章だてです。この記事も(わかる人は分かると思いますが)生成AIをフル活用しています。

AIが登場してからの進化のスピードは目覚ましいものがあります。ChatGPTが公開されたのは2022年11月30日。当時は「面白いが実用性は低い」ものでした。しかし、2023年3月のGPT-4、さらに2023年9月のWebブラウジング機能の追加を経て、わずか1年弱で実用レベルに到達しました。2025年1月現在、生成AIは「優秀なCopilot(共同作業者)」として、ブログ記事の執筆やプログラミング、調査業務などに幅広く利用されています。しかし、完全な自律性にはまだ遠く、詳細な指示が必要なうえ、指示通りに動かない場合も多いのが現状です。
生成AIの現状評価
生成AIはすでに様々な場面で利用されています。実際、このブログ記事もChatGPTやClaudeに助けられて書かれています。具体的には、記事の骨格を人間が作成し、生成AIが肉付けをする形です。このプロセスでは、ChatGPTのGPTsやClaudeのProjectなど、特定用途に特化したテンプレートを活用しています。例えば、映画レビュー専用のテンプレートや、ブックレビュー用のテンプレートを使い分けています。しかし、生成された内容をそのまま使うわけではありません。AIと「壁打ち」を繰り返し、修正を重ねて完成形に近づける必要があります。このような人間とAIの共同作業は、今後さらに一般的になると考えられます。
カタパルトスープレックスが2025年1月時点で「使える」と感じる生成AIツールをいくつか紹介します。
ChatGPT
Webブラウジング機能が追加されて以来、ファクトチェックや情報補足の作業が非常に便利になりました。特に、最新情報を元にした精度の高い出力が可能な点は大きな強みです。また、GPTsを活用して定型的なタスクを効率化しています。
Canvas機能は便利な場面はあるものの、手間がかかるため、実際にはChatGPTに直接指示を出して修正する方が効率的だと考えています。手入力で修正する場合は外部ツールで編集します。
画像生成(DALL-E 3)はまだ発展途上だと感じます。画像は文章のように人が直接人が修正できないため「お遊び」の域を出ていないと感じます。これはMidjourneyやRunwayなど画像/動画生成全般に言えることです。
Claude
文章生成においては、ChatGPTより優れている場合も多く、特にブラウジングを必要としないタスクでは頻繁に活用しています。Project機能を活用して定型作業を効率化していますが、ChatGPTのCanvas同様、Artifactはあまり使わず、外部ツールでの編集が現時点では効率的です。
Gamma
プレゼン資料やパンフレット、カタログ作成に特化したツールで、特定の用途では非常に効果的です。他の生成AIと異なり、ファイルの生成から共有までを一括で行えるため、ニッチな分野では優位性があります。
このほかにも、開発者であればGithub CopilotやReplitなどのお世話になっているのではないでしょうか。デザイナーであればAdobe Photoshopに搭載された各種AI機能を使っていると思います。また、Notion使いの人であればNotion AIもかなり使えると聞いています。
近い将来実現されそうなこと:エージェント型と推論型
直近で注目されているAI関連技術としてエージェント型AIと推論型AIがあります。それぞれ、大きな進歩に寄与することが期待されていますが、課題も多くあります。それぞれの期待点と課題を解説します。
エージェント型AIの期待点
現在注目されているのは「エージェント型AI」の進化です。AnthropicのClaudeに搭載される予定の「Computer Use」はその一例であり、従来のRPA(Robotic Process Automation)を超える可能性を秘めています。
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自動化の範囲と柔軟性
エージェント型AIは、画面上でカーソルを動かし、クリックや入力を行うなど、人間のような操作が可能です。これにより、ソフトウェアやウェブサイトを直接操作し、複雑なタスクにも対応できます。 -
学習能力と適応性
新しい状況や変化に柔軟に適応し、ウェブブラウザやアプリケーションを自律的に操作して情報収集やタスク実行を行えます。 -
導入の容易さ
AIが操作方法を自動で学習するため、詳細な設定が不要です。ただし、まだ実験段階でエラーが発生する可能性もあります。
エージェント型AIの課題
- セキュリティリスク: エージェント型AIは直接システムにアクセスするため、悪意ある攻撃やデータ流出のリスクが高まります。
- 制御の難しさ: 操作がブラックボックス化することで、AIの行動を完全に理解・管理するのが難しくなる可能性があります。
- 責任の所在: 操作ミスやトラブルが発生した際、責任を誰が負うのかが不明確です。
推論型AIの期待点
次世代AI技術として注目されているのが「推論型AI」の進化です。その代表例として、OpenAIのo1(オーワン)があります。o1はAIの「推論能力」を強化するために設計されており、生成型AIとは異なる方向でのブレークスルーを目指しています。
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論理的思考と決定の向上
o1は単なるデータ生成ではなく、与えられた状況や情報から推論を行い、意思決定や提案を行う能力を強化します。これにより、例えば、法律相談や複雑なビジネス戦略の立案といった、高度な意思決定を支援する分野での活用が期待されています。 -
効率性と計算資源の最適化
o1は計算コストを削減しながらも、推論精度を維持することを目指しています。これは、従来の生成AIが抱える膨大なリソース消費の課題を克服する鍵となります。 -
倫理的な透明性の確保
推論型AIは、判断や意思決定の過程を説明可能にすることを重要視しており、AIが出した結論に対して人間が納得できる形での説明を提供します。
推論型AIの課題
- 推論の精度: 不完全なデータや曖昧な情報が与えられた場合、AIの推論結果が誤った方向に進むリスクがあります。
- 計算リソースの制限: 推論処理は依然として膨大な計算能力を必要とし、特にリアルタイムでの応答が求められる場面では課題となります。
- 倫理的ジレンマ: 推論型AIが複雑な意思決定を行う際、その結論が人間の倫理観と対立する場合があり、社会的な合意が必要となる可能性があります。
AGIの未来と成長の限界
OpenAIのサム・アルトマンはAGI(汎用人工知能)の実現を2027年までに予測し、さらに9年以内にASI(人工超知能)が到来する可能性があるとしています。一方、Anthropicのダリオ・アモデイは2026年から2027年にAGIが実現する可能性を示唆しつつも、不確実性が伴うと述べています。
しかし、AI業界全体の成長が限界に近づきつつあるとの見方もあります。ChatGPTもGPT4が出てから21か月(2025年1月時点)経ちますが、まだGPT5は出そうにありません。これまでのGPTの急速な成長がスローダウンした印象を受けます。
生成AIの成長限界
- 技術的限界: データの枯渇、ハードウェアの制約、エネルギー消費の増大
- 経済的負担: 運用コストの増加と収益化の難しさ
- 社会的・倫理的制約: 規制強化や誤情報の懸念
- 成果の停滞: 現行技術の改善が収穫逓減の段階に入っている
データ枯渇についてはNature誌の記事でも指摘されています。
Natureの記事。AI研究機関Epoch AIの調査によると、2028年頃までにAIの学習に必要なデータ量がインターネット上の公開テキストの総量に達する見込み。これに加え、新聞社などのコンテンツ提供者がAI学習目的でのデータ収集を制限し始めており、状況は一層深刻化している。しかし、OpenAIやAnthropicなどの大手AI企業は、この課題の対策として新しいデータの生成や、従来とは異なるデータソースの活用を進めている。(カタパルトスープレックスニュースレター)
エネルギー消費の増大に関してはゴールドマン・サックスが調査で160%増加すると予測しています。
ゴールドマン・サックスの最新調査によると、2030年までにデータセンターの電力需要は160%増加すると予測している。現在、世界の総電力消費量の1-2%を占めるデータセンターだが、2030年までには3-4%に拡大する見込み。この急増の主な要因は、AIの利用拡大にある。例えば、ChatGPTでの1回の検索は、通常のGoogle検索の約10倍の電力を消費する。(カタパルトスープレックスニュースレター)
結論
「ユビキタスコンピューティング」「IoT」「ボイスインターフェース」「Web3」など、これまで数多くのバズワードが生まれては消えていきました。これらは一時的な流行に終わったかのように見えますが、実際には社会に浸透し、私たちの生活に溶け込んでいます。「生成AI」もまた、そのような技術の一つです。そして、いまや当たり前のものになる過程にあると言えるでしょう。
生成AIやエージェント型AI、推論型AIといった技術の進化は続いていますが、その道筋は平坦ではありません。技術的な課題や社会的な調和の必要性を乗り越えることが、次のブレークスルーに不可欠です。私たちは、AIの可能性に期待を寄せる一方で、課題に目を向け、責任ある導入と発展を進めていく必要があります。AIが未来を形作る存在になるためには、技術と社会の両輪をバランスよく回すことが求められているのです。
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